伊賀市・名張市広域行政事務組合 伊賀の国
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上野市 こじょろうぎつね

小女良稲荷(上野市徳居町廣禅寺境内) その昔、現在の上野市徳居町にある廣禅寺(こうぜんじ)では、月一回、檀家の人々が集まって、方丈(ほうじょう)さん(お坊さん)のありがたいお話を聞いたりして楽しんでいました。
 そんなあるとき、十二、三才のほっぺたの赤いかわいらしい女の子が、台所仕事を手伝いに来るようになりました。
 よく働く気だてのよい子で、「小女良(こじょろう)」と呼ばれ、近所の子どもたちにも好かれていましたが、ある日、お寺の台所では、稲荷ずしを作ろうと油あげにご飯をつめようとしましたが、何度数えても油あげの数が足りません。
 方丈さんが、厳しく小女良にたずねると、「おなかがすいて、おいしいにおいがしたのでつい…かんにんして…」と謝りましたが、癖になってはいけないと思い、きつく叱りました。
 小女良は、泣きながらお寺を出て逃げました。必死に走ったので、正体を現わしてしまいました。小女良は、長田の山に住む狐だったのです。
 命からがら逃げのびた小女良は、一安心してゆっくり歩きはじめたそのとき、一人の猟師が通りかかり、小女良をねらって鉄砲を撃ちました。
 その音を聞いて、方丈さんはかけつけましたが、小女良狐はもう撃たれた後で、ぐったりしていました。
 方丈さんは、気だてのよかった小女良のことを思うと悔やまれてなりません。そこで、お寺の中に小さな塚をたてて、手厚く葬ってあげました。
 廣禅寺のお堂の左側には、今も小女良狐の小さな石碑がおさめられた小さなほこらがあり、小女良稲荷と書かれた小さな赤いのぼりがはためいています。


〔参考文献〕 上野市制施行50周年記念
―民話集 こじょろうぎつね―


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