伊勢物語(いせものがたり)

◆解説:『平安時代に成立した歌物語(うたものがたり・和歌をめぐって構成される物語)で、各段は「むかし、男ありけり」で始まる。随所に在原業平(ありわらのなりひら)の歌が引かれ、業平を主人公として意識させる内容が中心になっている。
とくに六十九段は斎王と狩の使(かりのつかい・鳥獣狩猟のために諸国に派遣された役人)との贈答になっていて、神に仕える斎王が男性と恋に落ちるというスリリングな物語である。
(斎王)君やこし我や行きけむ思ほえず 夢かうつつか寝てかさめてか
(狩の使)かきくらす心のやみにまどいにき 夢うつつとは今宵(こよい)さだめよ
【(斎王)あなたが来たのか私が行ったのかわかりません。夢か現実か寝ていたのか起きていたのか。(狩の使)暗くなる心の闇の中で迷ってしまった。夢か現実かは今夜決めなさい(今夜わかる)。】
◆参考文献:伊勢物語(新編日本古典文学全集、日本古典文学大系、角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックスなど)

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