2007年
2月 3月 4月 5月 6月

6月

6月14日(木)番犬敬白

エロチック乱歩

 乱歩作品を原作にした映画二本が6月から7月にかけて、東京のシアターN渋谷で公開されます。「エロチック乱歩」と銘打って、「人間椅子」と「屋根裏の散歩者」をレイトショーで交互に上映。もっともよく知られた乱歩の二短篇を素材に、新進気鋭のふたりの監督が新たな乱歩ワールドをくりひろげます。

 ふれあうことも抱きしめ合うこともないまま愛し合っていたのだ。私たちは肉の重みとぬくもりで恋をしていた。肌も唇も触れぬ、恋。腱の張りを、腰のまろみを、下腹の隆起を、一枚の革を隔てて感じ合うことが、私たちの愛の営みだったのだ。(「人間椅子」プレスデータから引用)

 愛慾と情痴 獵奇と狂氣 享樂と叫喚 そこは地獄と極楽がお互いに愛撫しあう場所。屋根裏から覗き見たことは、誰にも話してはいけない。(「屋根裏の散歩者」プレスデータから引用)

 それでは二作品のご紹介をば。

人間椅子
江戸川乱歩のストイックでエロティックな愛の世界 椅子に座る女、椅子の中の男…。椅子の革一枚のおかげで二人の肌は、唇は、直接触れ合うことはない。女は椅子の上で悶え、男も椅子の中から愛撫する。革一枚隔てた向こうにある肌の感触、肉の重みを感じ、二人は激しく愛の行為に耽る。
日程
6月30日(土)─7月6日(金)/7月14日(土)─7月20日(金)
監督
佐藤圭作
脚本
佐藤圭作、武井彩
出演
宮地真緒(倉田真里)、小沢真珠(今野佳子)、板尾創路(小原茂樹)
辻修、石川謙、鈴木薫、鈴木拓也、茅野雅生、水戸ひねき
ストーリー
 美貌の人気女流作家・今野佳子の新任担当となった倉田真里の仕事は、佳子に新作を“書かせる”ことであった。若くして華々しくデビューした佳子は、ここ数年新作どころかエッセイすら書いていない。真里が勤める出版社の新人賞に応募したことが佳子のデビューのきっかけで、作家志望だった真理はその賞にも応募した過去があり、彼女にとって佳子はまさに憧れの存在であった。
 真里には有名人の私物やゴミを盗んでは集める妙な癖があった。上司の編集長・小原と佳子と会食した際にも、佳子が使用したティースプーンを懐に忍ばせていた。
 真里は佳子がデビューした本当の理由を先輩に尋ねると妙な答えが返ってきた。佳子は大御所作家の大河内俊作の弟子をしていた。弟子と言ってもその実、大河内の変態プレイの相手をしているだけではあるが…。変わり者の大河内に耐えられなくなり、担当編集者まで失踪してしまうくらいであった。あるとき、出版社の屋台骨を支えていた大河内自身が突然失踪してしまい、文芸誌の連載の穴を埋めるべく、美人の佳子を小原が抜擢したのだと言う。小原の狙いはまんまと当たり、若手の美貌作家として大河内以上の人気を得る。佳子の才能を昔から知るその先輩は、佳子にゴーストライターが付いているのではという疑問を抱いていた。
作品データ
2006年/日本/カラー/DV/ビスタサイズ/ステレオ/76分
製作
アートポート
屋根裏の散歩者
江戸川乱歩の最高傑作、四度目の映画化! 1925年に発表された「屋根裏の散歩者」は本格ミステリと乱歩独特の猟奇と耽美の世界が見事に融合した傑作として、21世紀の今なお多くの読者の心を掴み、70年の木俣堯喬監督、76年の田中登監督、94年の実相寺昭雄監督と過去に三度も映画化されている。これは乱歩映画では最多リメイクとなる。「村の写真集」(03)などほのぼのとした世界を得意とする監督の三原光尋は今までと180度違う世界観の映画に挑むこととなったが、四度目となる本作を乱歩にトリビュートしつつ、視聴覚への強い刺激を持った全く新しい“屋根裏”を創り出すことに成功している。
日程
7月7日(土)─7月13日(金)/7月21日(土)─7月27日(金)
監督
三原光尋
脚本
井土紀州
出演
嘉門洋子(富岡奈緒子)、窪塚俊介(桜井優介)
村木仁、永瀬ひかり、清水萌々子、遊井亮子、木下ほうか、でんでん
ストーリー
 編集者の富岡奈緒子は、おどろおどろしい作風でカルト的人気を得ている今は亡き画家、郷田三郎の特集記事の取材で、彼が生前に身を寄せていた東栄館を訪れる。館はあたり一面の草原と雑木林に囲まれ、まさに人の目を避けるようにひっそりと佇んでいる。東栄館には主人の山根、病気療養中の青年・桜井優介、借金取りに追われて館に辿り着いた阿久津夫妻と10歳になる娘のマドカ、そして家政婦のカオリが住んでいた。
 郷田ファンでもある奈緒子は、館内に飾られた郷田の作品群に興奮を覚え、次々とシャッターを切っていく。到着した夜に悪夢にうなされた奈緒子が翌朝鏡を見ると、首筋や鎖骨のあたりに蝋が付着していた。訝しげに思う奈緒子であった。
 奈緒子は優介の案内で館の周りを散策しながら、生前の郷田のことを聞きだそうとしていた。「絵がうまいただの精神病患者」と言い放つ優介。そんな言葉が気に入らず喰って掛かる奈緒子に「あまり首を突っ込まない方がいい」とクギを刺すと、優介はその場を去ってしまう。ひとりになった奈緒子は途中の湖畔でマドカと出会う。そこで奈緒子はマドカから、郷田は屋根裏が大好きだったことを聞かされる。
作品データ
2006年/日本/カラー/DV/ビスタサイズ/ステレオ/87分
製作
アートポート

 以上、アルゴ・ピクチャーズご提供の資料と画像にもとづいてお知らせいたしました。シアターN渋谷のオフィシャルサイトはこちらです。


5月

5月4日(金)番犬敬白

探偵小説発祥の地 神戸

 昨年12月にオープンした神戸文学館で昨日、企画展「探偵小説発祥の地 神戸」が開幕いたしました。

 神戸の港には諸外国から客船・貨客船がたくさん入港しました。それらの船には長い船旅の無聊を慰めるために肩のこらない読み物、特にミステリーが 積み込まれていました。神戸入港時にそれらが 街の古本屋に出回り、いち早くとりついた人々の間から、神戸発のミステリーが生まれました。神戸探偵作家クラブの主宰者西田政治は、多くのミステリーの翻訳をしています。西田の弟の友人が横溝正史という関係です。今回の展示では横溝正史を中心に、西田政治とその周辺も含めた作品、資料、写真などを展示し、陳舜臣に至る神戸のミステリーを生み出す風土を明らかにしたいと考えます。(リーフレットから引用)

日程
5月3日(木)──7月17日(火)
 午前10時─午後6時(平日)/午前9時─午後5時(土・日・祝日)
 毎週水曜定休
会場
神戸文学館
 〒657-0838 兵庫県神戸市灘区王子町3-1-2
 TEL & FAX:078-882-2028
入館料
無料
講演会
昭和50年代の横溝正史ブームを再検証する
日程
6月2日(土)午後2時─3時30分
講師
野村恒彦(神戸探偵小説愛好會)
定員
40人(先着順)
申し込み
受講名称、住所、氏名、電話番号を電話、ファクス、電子メールで神戸文学館へどうぞ。オフィシャルサイトはこちらです。
リーフレット

4月

4月10日(火)番犬敬白

末永昭二講演会

 徳島県が生んだ日本 SF の父をしのぶ「海野十三忌2007」が5月に催されます。

 海野十三の物書きとしてのデビューはラジオ雑誌だった。それ故重要な課題とされてきた《ラジオ雑誌と海野十三》の調査研究──。このテーマに、気鋭の研究家が斬新な視点から挑み、海野の科学小説家としての発想の原点を探る。あわせて電気技術者としての海野十三像を浮き彫りにする!(リーフレットから引用)

テーマ
ラジオ雑誌と海野十三
日程
5月20日(日)午後2時開場、2時30分開演
会場
北島町立図書館・創世ホール2階ハイビジョン・シアター
 〒771-0207 徳島県板野郡北島町新喜来字南古田91
 TEL:088・698・1100
講師
末永昭二(すえなが・しょうじ)
 大衆文学研究家、『新青年』研究会会員、日本出版学会会員
入場料
無料
主催
海野十三の会
共催
北島町創世ホール
特別協賛
『新青年』研究会
後援
アスペクト、キューテレビ、誠文堂新光社、名張人外境
リーフレット
講師近影
写真撮影は青柳敏史さん

 
3月

3月3日(土)番犬敬白

立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センター センター通信

 昨年6月に設立された立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センターが館報「立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センター センター通信」の創刊号を発行しました。

 センターの設立によって乱歩蔵書の公開はスタートしたわけだが、それと並んで果たさなくてはならないのが、さらなる資料の公開と研究の進展である。今回、センター通信に「研究ノート」と「資料紹介」の欄が設けられたのは、そうした理由による。そしてその拡大版、深化版が今秋にも創刊予定の研究誌であることは言うまでもない。これらの活動を通して、我々は、二〇〇二年に旧乱歩邸と乱歩蔵書・諸資料を一括して引き受けて以来真摯に取り組んできた貴重な文化遺産の保存と公開、という両立困難な課題に向かってさらに前進して行きたいと考えている。(藤井淑禎さんの「センター通信の創刊にあたって」から引用)


発行日
2007年1月15日
体裁
B5判 10ページ
目次
エッセイ
 開設を祝して 浜田雄介
 旧江戸川乱歩邸のこと 横山晋一
 メイチかアケチか──清張の乱歩批判 藤井淑禎
研究ノート
 論介と喜遊の説話化の比較──上海シンポジウムでの発表から 岩谷めぐみ
 江戸川乱歩と横溝正史──「本陣殺人事件」評を中心に 落合教幸
資料紹介
 秘密小説二銭銅貨荒筋 落合教幸 撮影=相澤創平、栗田卓、藤林豊
センターより
 センター通信の創刊にあたって 藤井淑禎
編集後記
 編集後記 落合教幸
入手方法
 1)毎週金曜の公開日に旧乱歩邸を訪れる。金曜以外にも3月15日から28日まで、第2回新池袋モンパルナスまちかど回遊美術館(詳細はこのページ)に関連して旧乱歩邸が公開されます(19・23・24・26日を除く)。アクリル板越しに土蔵のなかも見学できます。
 2)はがきか電子メールで申し込む。「センター通信希望」と書き、郵便番号・住所・氏名を明記して下記へどうぞ。発送は4月になるかも、とのことです。
申し込み先
立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センター
 〒171-8501 東京都豊島区西池袋3-34-1
 TEL & FAX:03-3985-4641
 E-mail:rampo@grp.rikkyo.ne.jp
 開室日:月・水・金曜(公開は金曜のみ)
     午前10時30分−正午、午後1時−4時
     資料閲覧には事前予約が必要です。

2月

2月22日(木)番犬敬白

池田憲章講演会

 徳島県の創世ホールで池田憲章さんの講演会が催されます。

 ■石川県出身の佐々木守(1936−2006)は、戦後日本を代表する脚本家だった■彼が手がけたのは「ウルトラマン」「怪奇大作戦」「アルプスの少女ハイジ」「七人の刑事」「コメットさん」など、そのまま戦後テレビドラマの歴史といってよいほど多彩だ■佐々木が作品に託したもの、彼がめざしたものとは何だったのか■佐々木から薫陶を受けた SF 特撮研究家・池田憲章が万感込めて熱く語る!(リーフレットから引用)

 特撮ファンはお見逃しなく。

テーマ
故郷は地球〜脚本家・佐々木守がめざしたもの
講師
池田憲章(SF 特撮研究家、日本推理作家協会会員)
日程
2月25日(日)午後2時開場、2時30分開演
会場
北島町立図書館・創世ホール
 徳島県板野郡北島町新喜来字南古田91
入場料
無料
主催
北島町立図書館・創世ホール
リーフレット



2月13日(火)番犬敬白

明智小五郎の事件簿─黒蜥蜴

 宝塚大劇場で花組公演「明智小五郎の事件簿─黒蜥蜴」が始まりました。

 これまでにも様々に映画化、舞台化がされている江戸川乱歩作「黒蜥蜴」。宝塚版では、時代を先の大戦後に移し、憂いを秘めた名探偵・明智小五郎と、洋装から和装へと変幻自在に姿を変える女賊・黒蜥蜴とのスリルとサスペンスに満ちた物語を展開、三島由紀夫版とは違う宝塚歌劇ならではの結末へと進んでいきます。(オフィシャルサイトから引用)

 「宝塚歌劇ならではの結末」というのが気になるところでございますが、気になった方はどうぞお運びください。幕間をはさんでショー「TUXEDO JAZZ」もございます。東京宝塚劇場での公演は4月6日から5月13日までとなっております。


日程
2月9日(金)──3月19日(月)
会場
宝塚大劇場 兵庫県宝塚市栄町1-1-57(阪急宝塚駅下車)
料金
SS席10000円、S席7500円、A席5500円、B席3500円
脚本・演出
木村信司
メインキャスト
春野寿美礼(明智小五郎)、桜乃彩音(黒トカゲ)、真飛聖(雨宮潤一)
オフィシャルサイト