2003年9月

●9月1日(月)

 おはようございます。爽涼の9月を迎えました。遠からん者は音に聞け、近くば寄って目にも見よ。三重県は伊賀の国からご挨拶を申しあげております。

 伊賀の地にバカの壁あり鰯雲

 伊賀は山国。四方をバカの壁に囲まれたここ伊賀の地では、官民合同による県事業「税金三億円どぶに行くバカのくに伊賀の恥さらし」という事業の準備が着々と進んでおります。馬鹿は百人集まると百倍馬鹿になるという山本夏彦先生の寸鉄が、ここ伊賀の地で見事に実現されようとしております。事業のテーマ曲「伊賀ばか囃子」も、
 「伊賀に来るならいま来やしゃんせ、莫迦バカ馬鹿のてんこ盛り、はーやっしょーまっかしょ」
 と伊賀全土でたいへんにぎやかに響き渡っております。どちらさまもお誘い合わせのうえ、どうぞ伊賀の地にお運びください。寄ってらっしゃい見てらっしゃい。
 なんて感じで私もしつこいわけですが、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業事務局の局長さんにこんなメールをお送りしてしまいました。

木戸博様

 過日はご多用中ご丁寧なご回答をたまわり、ありがとうございました。ご高配にあらためて謝意を表します。またしてもお願いの儀があり、勝手ながらメールをさしあげる次第です。

 8月30日発行の地方紙「伊和新聞」に、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業パンフレットの記事が掲載されておりました。二万部を作成し、伊賀七市町村や県外に配布するとのことですが、このパンフレットはもう出回っているのでしょうか。できれば早急に拝見いたしたく、厚かましいことを申しあげて恐縮なのですが、伊賀県民局に参上して一部頂戴いたしたいと考えております。ご手配をいただくことは可能でしょうか。もしも可能であれば、県上野庁舎のどちらにお邪魔すればよろしいのか、お手数ながらメールでご指示をいただければ幸甚です。先日来お願いばかりで心苦しく思っておりますが、なにとぞよろしくお願い申しあげます。

 それにいたしましても、過日頂戴したご回答では、「事業の計画と予算が最終的に決定されるのはいつか」との質問に「来年度予算はH16年3月の市町村や県の議会で議決されて最終的な決定となります。事業の計画は、事業推進委員会で決定されることになりますが、その時期は、秋に開催予定の次回第2回の委員会を予定しています」とのお答えをいただいた次第ですが、いまだ事業推進委員会の決定さえ見ていない現在の段階で、事業のパンフレットを作成してPRを開始するというのはどうにも理解しがたい話です。

 拝見していない段階で軽々に申すべきことではありませんが、パンフレットで宣伝する以上、そこに記載された事業内容はすでに決定されたものと見るのが一般的であると判断されます。それともこのパンフレットには、事業計画は未決定であるが一足早くPRする、といったような注意書きでも添えられているのでしょうか。いずれにしてもこのパンフレットは、先日来指摘しております二〇〇四伊賀びと委員会と事業推進委員会との関係性の曖昧さを如実に示すものであると申しあげざるを得ません。そしてそれ以上に、ふたつの委員会のあいだには何の連携もないのではないかという疑問さえ抱かせずにおきません。

 こうした場合、とくに行政が関与して予算を支出する事業であれば、最終的に議会の承認を得て初めて計画が決定され、事業のゴーサインが出されるのが通常であろうと考えます。そうした決定を待たずに事業内容を既決のものとしてPRすることになれば、三重県と伊賀地域七市町村の各議会から「議会軽視」という批判が出されて当然でしょうし、事業推進委員会について申しますならば、このパンフレットの配布によって委員会の存在が形骸に過ぎないという事実が証明されることになり、わざわざ事業推進委員会を発足させる必要はまったくなかったという結論にたどりついてしまいます。

 以上、余計なことですが所見を申し述べました。事業のためにご尽力いただいている貴職はじめ関係者の方々にはまことに申し訳ないのですが、事業に対する不信感はいよいよ強まるばかりであることを附記いたします。なおこの書面は、貴職のご回答をお願いするものではありません。事業に関して疑問が生じた場合には、先のメールにも記しましたとおり、最高責任者でいらっしゃる野呂昭彦知事にメールでお尋ねしようと思っております。今後ともよろしくお願い申しあげます。

2003/09/01

 きのうもちらっと記しましたけど、もう配慮はありません仮借もありません。関係各位にはみなさん実名でご登場いただきます。
 ついでにもう一通、8月中にリニューアルされるはずだった「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業ホームページに記されたアドレスへも、私はこんなメールをお送りしてしまいました。

担当者様

 はじめまして。お忙しいところお手数をおかけいたしますが、以下の書面を二〇〇四伊賀びと委員会代表の辻村勝則さんにご転送いただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。

 ご無沙汰いたしました。昨年12月7日、前田教育会館蕉門ホールで開かれた旭堂南湖さんの講談会のおり、会場でお目にかかってご挨拶を申しあげた者です。「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業に関して、一度ご見解をお聞かせいただきたいと思っております。勝手なお願いで恐縮ですが、このアドレスにメールで質問を送信すれば、辻村さんのお答えを頂戴できるでしょうか。ご回答は当方のホームページ(http://www.e-net.or.jp/user/stako/)で公開させていただきたく、あらかじめご了承をいただければと存じます。よろしくお願い申しあげます。

2003/09/01

 はーやっしょーまっかしょ、よよいのよいっ、と。


●9月2日(火)

 どちらさまもみなさんお忙しいのでしょうか。私が昨日送信した二通のメールなど、どなたにも取り合ってはいただけぬようです。あるいは三重県職員のみなさんも、さすがにお気づきになられたのかもしれません。これは悪しき前例を残したな、と。
 ここにひとり、三重県政に不満疑問を抱く男がいたといたしましょう。彼は自分のホームページにその不満疑問を公表し、いっぽうで県の担当課へ県政に関する質問のメールを送信します。むろん返事などありません。お役所は住民からの質問にいちいちマンツーマンで応答するようなことはしてくれません。
 しかし彼のホームページでは、何月何日に県庁のこの部署にこれこれこういう内容のメールを送信した、と質問内容がすべて明かされています。県から返事は来ない、県から返事は来ない、県から返事は来ない、と連日報告がくりかえされます。
 なんだこのざまは、と彼はホームページに書きつけます。県民の疑問に答えようともしないとはいったいどういうことか。怠慢である。不誠実である。住民無視である。生活者起点でどうのこうのといくら当世風のご託を並べてみたところで、三重県政の実態など相も変わらぬ官尊民卑ではないか。
 ところで、と彼は思います。いつであったか、名張人外境というサイトの開設者が「税金三億円どぶに行くバカのくに伊賀の恥さらし」事業、ではなかった「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」という県事業に関して質問のメールを送りつけたときには、たしかに県職員が応答していたはずだ。そんな前例があるというのに、三重県はどうして俺の質問に答えないのか。
 いよいよ承伏いたしかねる。どうあっても県の回答を引き出してやる。あの前例を盾に取って県職員の前例墨守体質を徹底的にいたぶってやる。見てろ。俺のホームページは三重県民はおろか全国のあべ静江ファンから注視されているのだ(お知らせするのが遅くなりましたが、彼は三重県出身あべ静江さんの支援サイトを開設しております)。三重県の恥を全国にさらすことになっても俺は知らんからな。
 なーんて感じなのがいわゆる悪しき前例ってやつなんですが、だからインターネットなんて気違いに刃物だっていうんです。こんな事例がどんどん増えてきたら、いったいどうなさいますか親愛なる三重県職員のみなさん。
 しかしまあ、前回の八項目の質問にうっかり答えていただいたんですから、もう後戻りはできません。それに私は難しいことをお願いしているわけではありません。「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業のパンフレットをいただきたい、伊賀県民局まで出向きますからどっかに一部置いといてくださいとお願いしてるだけなんです。
 その返事くらい、つまりパンフレットはこれこれこの場所に置いておくからいつでも取りに来るように、くらいの返事はすぐにも頂戴できるのではないかと思うのですが、どんなお仕事に全身全霊を捧げていらっしゃるのかは存じませぬものの、やはりみなさんお忙しいのでしょうか。どうぞご精励ください。いやー、三重県の将来は安泰ですか。
 それからもう一通、二〇〇四伊賀びと委員会代表の方への転送依頼も、いったいどうなったことでしょうか。私はじつは血も涙もない男で、その男がもう配慮も容赦も仮借もないと申しあげているのですから、そんなのを相手にしたくないなとお思いになるのは当たり前の話ではあるのですが、私の質問そのものは不合理でも理不尽でもありません(むしろ二〇〇四伊賀びと委員会のやってることが不合理であり理不尽であるわけです)。どうぞご安心ください。ごくまっとうなことをお訊きするだけの話です。
 とはいえ最終的には、とどのつまり野呂昭彦知事を叩かなければ話は収まらないのかもしれません。いくら知事にメールで質問をお送りしたところで、はいこのとおりとすんなりお答えがいただけるものとはとても思えませんが、お答えをいただけぬ理由として、公務多忙につき時間がないだの、事業の詳細をよく存知しないだの、もしもそんなことがたらたら挙げられるのであれば話は早い。そんな方が事業推進委員会の会長に納まっているべきではありません。即刻辞任されるべきだと申しあげておきましょう。
 いや先走ってしまいました。まだ決定されてもいない事業のPRをとっとと始めてしまう二〇〇四伊賀びと委員会じゃないんですから、先走るのは禁物禁物。ただまあ最終的な結論としては、やはり野呂昭彦会長に対して辞任勧告を突きつけるということになろうかとは思われる次第です。
 それにしても愚劣な事業にすっかり深入りしてしまいました。ほんとにいやになってしまいます。


●9月3日(水)

 本日はまずアドレス変更のお知らせです。探偵小説ファン乱歩マニアにはすっかりおなじみの下記二サイト、人にはいえない事情もいろいろありまして、などということではまったくないようなのですが、このたび新たなアドレスを取得されました。ブックマークお気に入りの変更をどうぞ。両サイトのますますのご発展をお祈り申しあげます。

探偵小説専門誌「幻影城」と日本の探偵作家たち

乱歩の世界

 さて昨日、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業事務局からのメールで、事業のパンフレットを名張市立図書館宛クロネコメール便で郵送したとのお知らせを頂戴しました。お手数をおかけしてしまいました。そこまでしていただかなくても、お申しつけいただければ私はほいほい伊賀県民局まで参上いたしましたものを。それともあれでしょうか、もしかしたら私の顔なんかご覧になりたくないということなのでしょうか。だとしたらそれは理由のない疎外感に悩む思春期の少年ならば自殺さえ考えかねないむごいお仕打ち、私はよよと泣き崩れます、よよ、なんてこといってるから私はいいだけ嫌われるわけですが。
 ここで伊賀地域住民のみなさんにアナウンスしておきますと、パンレットは伊賀県民局四階の「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業事務局と同局二階フロアをはじめ、伊賀七市町村でもそれぞれ配布されているそうで、名張市内では市役所と各地区公民館に置かれているとのことです。それならそうとメールでお知らせいただければ、私は市役所でも公民館でもどこにでも足を運びましたものを。「伊和新聞」には「配布した」ではなく「配布する」と書かれており、配布開始はまだ先だろうと思っておりましたのでとんだご造作をおかけする結果となりました。
 しかしこうなりますと、いまだ正式に決定してもいない事業をPRするなんていう詐欺まがいの内容を掲載したばったもんのパンフレットが、伊賀地域七市町村でしれっと配られていることになります。県のみならず市町村ぐるみの犯罪ってわけですか。いや犯罪といってしまうと面白すぎますが、とにかく県のいうことならまったく無批判にへこへこ尻尾を振ってしまう伊賀地域七市町村のぼんくら職員のみなさん、こんなパンフレットを配っていいんですかほんとに。
 いやいや、まーた先走ってしまいました。パンフレットを拝見しないことには滅多なことは申せません。たぶんきょうじゅうには到着するものと思います。心して熟読玩味することにいたしましょう。
 それから二〇〇四伊賀びと委員会代表の方からは、いまだご返答をいただいておりません。そりゃ私だって心苦しいんです。たまたま代表に担がれただけの善良な一民間人を標的にするのはまことに心苦しい行為です。しかし代表という立場にある方なんですから、住民から組織や事業に関する質問や批判が寄せられた場合には、可能な限りそれに応える義務があります。その点はご理解くださっているであろうなとは思っているのですが、実際どうなんでしょうか。
 私にはどうも二〇〇四伊賀びと委員会というのは気の合った人間だけで組織された閉鎖的な仲良しクラブであるみたいな印象があって、委員の頭からは住民の血税を自分たちの裁量で消費するという身も顫えるほどなお仕事に携わる組織なのだという意識が完全に欠落しているのではないかと邪推される次第なのですが、それじゃそこらの公務員と選ぶところはありません。それじゃ困るんです二〇〇四伊賀びと委員会のみなさん。
 なにしろ世間には口の悪い手合いがいっぱいいて、なかにゃ「税金三億円どぶに行くバカのくに伊賀の恥さらし」事業、なんてほざいてる奴だっているんです。思わず笑ってしまいましたけど。さてしかしところでいったいどうなさるおつもりなんですか伊賀びとのみなさん。知らぬ存ぜぬがこのまま貫き通せるとはとても思われませんけど。


●9月4日(木)

 ああしあわせの狸よどこへ

 乱歩の生誕地碑がなんか変なことになってますッ、と名張市民の方から電話でご一報をいただきましたので、さっそく名張市新町の現地に急行いたしました。たしかに変なことになってました。

乱歩生誕地碑がこんなことに

 生誕地碑の手前に緑色のネットが張られ、そのネットに貼られた一枚の紙にはこんな文章が──。

江戸川乱歩の石碑 探訪の方へのお詫び

最近、石碑後方部に、たぬきが出没し、排便する様になり頭を悩ませ
この様な、防御ネットを張り、お見苦しい状況にしています。
探訪されました皆様には、大変ご迷惑をお掛けしています事をご了承下さい。
石碑後方に お入りになられます際には、右端の紐を解きになり
お入り下さい。

 たッ、狸ッすか、はッ、排便ッすか、と私はおおきに驚きましたが、おそらく住環境の激変に耐え得なくなったのでしょう、生まれ故郷のげんこつ山や、縄張りを捨て国を捨て、可愛い乾分の手前たちとも別れ別れになる門出だと棲み慣れた里山を離れてこんな町中にご不浄を求めねばならなかった狸の身の上を思えば、決して怒る気にはなれません。緑色のネットによって締め出された狸は、はたして安住の地を見つけることができるのでしょうか。
 貼り紙の文面から案じますに、このネットはたぶん乱歩生誕地碑の土地所有者の方にお貼りいただいたものでしょう。毎度お手数をおかけしております。名張市立図書館のカリスマ改め癒し系としてもお礼を申しあげたいと思いますが、生誕地碑への「探訪の方」というのは、別の角度から見れば生誕地碑の建つ私有地へ無断で侵入している人たちなわけです。どうして土地所有者が侵入者に「お詫び」なんぞをしなければならぬのか。むろん土地所有者の方には乱歩の生誕地碑がいわば公有の財産であるとのご認識があり、だからこそその管理者として「大変ご迷惑をお掛けして」いることを心苦しく思っていらっしゃるのだと思われますが、それにしたってどっかおかしい話ではあります。
 私が何を申しあげたいのか、察しのいい方はすでにお気づきかもしれません。ここに明らかに窺えるのは行政の怠慢です。やれ乱歩の生誕地がどうのミステリーのふるさとがこうのと乱歩の名前をさんざっぱら名張市の自己宣伝に利用しておきながら、名張に残る数少ない乱歩ゆかりの地のまず筆頭にあげられるべき生誕地碑は長きにわたってほったらかし……
 みたいなことを書き出すときりがありません。ただまあ先日、名張市立図書館へ名張商工会議所の会頭さんがおいでくださり……
 みたいなことは先日「人外境だより」に芦辺拓さんのご投稿への回答として記しましたから、関連箇所を抜粋転載しておくことにして──。

サンデー先生   2003年 8月22日(金) 9時 2分

 じつは昨日、名張商工会議所の会頭ら数人の方が名張市立図書館へおいでくださいまして、あの死んだような名張のまちをなんとか活性化するために乱歩のことで知恵を貸してほしいとのお話。乱歩記念館を建てたいのだがとまことに眠たいお申し出がありましたので、じつは豊島区がこうで立教大学がこうでとご説明申しあげ、乱歩記念館の話は完全につぶしてさしあげた次第なのですが、それでお引き取りいただくのも愛想のない話ですから、名張のまちのたたずまいがどうのこうのでああしたらどうかこうしたらどうかこういうふうに考えてはいかがなものかと手練れの詐欺師みたいにぺらぺらまくしたてましたところ、それはそのとおりだということになり(どのとおりなんだかおわかりにならないでしょうけど)、じつは今夜も会頭さんらとお酒を飲んで詐欺のつづきをつづけることになっているのですが、名張のまちを舞台に、なんてことを前面に押し出してやれば名張市経済界の全面的なバックアップを得ることができるかもしれません。


サンデー先生   2003年 8月24日(日) 9時39分

 で、一昨日の夜、名張商工会議所の人たちとお酒を飲む機会があり、彼らがいったい何を考えていらっしゃるのかいろいろお聞きしたところ、要するに芦辺さんにもお運びをいただいたあの名張の中心市街地が衰退の一途をたどっており、実際にはもうほぼ死んでいると表現しても差し支えないように思うのですが、同会議所としては傍観もできず、市街地再整備のための組織を結成したとのことでした。その再整備の核施設として乱歩記念館を、などという眠たいプランも出てきたらしいのですが、身も蓋もないことをいってしまえばその程度のプランしか出てこない組織ではあるわけです(大きな声ではいえませんが)。しかし中心市街地の空洞化高齢化は全国各地にあまねく見られる現象で、いわば時代の波なわけですから、名張の商工業者がいくら必死になったってとどめようはありません。
 そこで私は、いっそのこと名張のまちのお葬式を出してやってはどうかと莫迦なことを考えつきました。二〇〇四伊賀びと委員会ならぬ二〇〇四名張葬送委員会でもつくっていまから準備を進め(むろんこの準備にはいったん葬送したあとの再生の準備も含まれているべきなのですが)、来年の秋、乱歩の生誕百十年祭あたりに名張葬送の催しを派手にぶちあげてはどうか、みたいなプランを週明けにでも名張商工会議所の会頭に提案し、むろん一笑に付されて一蹴されることは目に見えているのですが、生まれ育った名張のまちの死に水を取ってやり、盛大なお葬式で荼毘に付してやることはできんものかと愚考するに至った次第です。

 というこの話がまだつづいておりまして、私は結局会頭さんのご自宅にのこのことお邪魔し、生誕地碑の建つ新町も含めた市街地の再生に乱歩を利用するのであれば、とにかく二年と期限を切って、乱歩生誕百十年の2004年10月21日と生誕地碑建立五十年の2005年11月3日のふたつを節目に、最後の悪あがきとも呼ぶべき再生策をぶちかましてはどうか、それで駄目ならもう何をやっても駄目だろう、みたいなことをあれこれ吹き込ませていただきましたので、何かしら形になるものが出てくるかもしれません。形になりそうになったらまたお知らせいたしますが、現時点ではこの程度の報告にとどめます。
 といったところで毎度おなじみ「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業ですが、事務局から名張市立図書館宛にお送りいただいた事業のパンフレットを昨日落掌いたしました。図書館長にも一部手渡し、
 「ほれ。乱歩展て書いてありますやろ。10月下旬、江戸川乱歩て書いてありますやろ。伊賀びと委員会とか名張市役所の伊賀の蔵びらき事業担当課から、この件でなんぞ連絡はありましたんか」
 「いやいっこうに」
 「乱歩のことやってくれるんやったら名張市立図書館としてもなんぼでも協力するんですけど、お役所の人間ゆうのはなんで連携しませんねん。なんでてんでんばらばらなことばっかりやりますねん。名張市役所でこの事業担当してる人間、ちょっと叩いたりましょか。いやもう叩きついでですわ」
 みたいなことを申しあげておきましたので、関係各位はご注意ください。
 末筆ながら、パンフレットの件でご造作をおかけした「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業事務局職員の方にお礼を申しあげます。二〇〇四伊賀びと委員会代表の方のご返事はまだなんでしょうか。


●9月5日(金)

 おはようございます。
 伊賀地域以外の方にもすっかりおなじみになりました三重県事業「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」の話題ですが、事業事務局からパンフレット(というよりはA4サイズのリーフレットを三つ折りにしたものですが)をご恵投たまわりましたので、ここに表裏ともご紹介申しあげる次第です。なんのかんのといいながら、私は結果としてこの事業のPRに大きく貢献しているのかもしれません。

A面  B面

 しかし二〇〇四伊賀びと委員会のみなさん。事業の計画も予算もまだ正式に決定されていないと申しますのに、いまからPRなんか始めてしまっていいんでしょうか。パンフレットB面の左下には、

掲載されているイベント等は平成15年8月現在で予定されているものです。変更または中止となる場合もございますので、あらかじめご了承下さい。また、この他にも全部で約200のイベント等が企画されています。各イベント等の詳細または最新の情報はホームページ http://www.iga2004.jp に掲載します(2003年8月下旬以降予定)。

 と小さく書かれていますけど、こんなものは何の逃げ口上にもなりません。決まってもいない事業をあたかも決まったことのように紹介するパンフレットは、存在そのものがすでにして詐欺だと呼べるのではありますまいか皆の衆。
 それにしても二〇〇四伊賀びと委員会のみなさん。何なんですかここに紹介された事業内容は。パンフレットを拝見する限りでは、「伊賀の魅力を360度の全方向に発信します!」ってのは要するにご町内の親睦行事をたらたらへらへら数だけ並べることなんだなと了解される次第なのですが。ほんとにこんな事業内容でいいんですかみなさん。こうなりますとこの事業、まさしく「税金三億円どぶに行くバカのくに伊賀の恥さらし」になってしまう感じなわけですが。
 ここでお知らせを差し挟みます。あしたのことです。

人形芝居「押絵と旅する男」上演記念大宴会

   日程9月6日(土)
 集合時間
午後6時
 集合場所
芳林堂書店池袋店一階
大宴会会場
蔵之助(池袋西口センタービル五階)
   会費
時価

 予約してあるわけではありませんので、いつかのように蔵之助が満席だったらほかの会場を探すことになります。定刻には間に合わないとおっしゃる方は、携帯電話の番号をメールでお知らせいただければ、ご指定の時刻にご連絡申しあげます。

 パンフレット騒動勃発す

 さて、二〇〇四伊賀びと委員会の会長さんからはいまだにご連絡がいただけませんので、えーい面倒だッ、と思った私は事業推進委員会の会長でいらっしゃる野呂昭彦知事にこんなメールをさしあげてしまいました。なッ、なんてことするんだッ。

野呂昭彦様

 おはようございます。先月上旬、書面でご挨拶を申しあげた者です。その後、ご健勝のことと存じます。本日はご多用のところ、またRDF発電所爆発事故ではひとかたならずご心労のことと拝察いたしますが、取り急ぎお聞かせいただきたい儀があってメールをさしあげます。

 貴職が事業推進委員会の会長をお務めの「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業は、このほど二〇〇四伊賀びと委員会の手でA4サイズのパンフレットによるPRが開始されましたが、このPRは果たして有効なのでしょうか。パンフレット配布には何の問題もないのでしょうか。パンフレットで紹介されている事業内容はいまだ正式な決定を見ていないものであり、それを早々とPRすることには小さからぬ疑問が感じられる次第です。

 先月、同事業事務局長の木戸博さんに「事業の計画と予算が最終的に決定されるのはいつか」とお訊きいたしましたところ、「来年度予算はH16年3月の市町村や県の議会で議決されて最終的な決定となります。事業の計画は、事業推進委員会で決定されることになりますが、その時期は、秋に開催予定の次回第2回の委員会を予定しています」とのお答えをいただきました。

 手続き上のことで申しますと、今回のパンフレット配布は事業推進委員会や県ならびに市町村の各議会を無視した越権的行為であると判断されます。あるいは、推進委員会の決定や議会の議決が形式的なものに過ぎないという事実を、間接的に証明する行為でもあります。さらにいえば、事業推進委員会の存在が単なる形骸に過ぎないという事実を、はしなくも露呈してしまう行為でさえあります。

 三月末に発表される予定だった事業の実施計画案はいまに至っても公開されておらず、いっぽうであたかも既定の事実のように事業内容を紹介するなど、この事業には疑わしい点が少なからず存在しております。また、事業推進委員会と二〇〇四伊賀びと委員会の関係性という組織の問題にも、一般の地域住民には理解の届かぬ点が散見される次第です。今秋開催される事業推進委員会の会合では、住民の疑問を解消するためのご協議を、事業の中止も視野に入れてお進めいただければ幸甚です。

 さて、前置きが長くなってしまいましたが、お聞かせいただきたいのは次の点です。すなわち、二〇〇四伊賀びと委員会による今回のパンフレット配布は、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業の趣旨と運営、計画と組織に照らして、果たして正当なものでしょうか、それとも不当なものでしょうか。パンフレットの配布には問題があるのでしょうか、まったく問題がないのでしょうか。もしも問題があるとご判断の場合には、どのような対処法をお考えなのでしょうか。

 以上、お忙しいところお手数をおかけするのはまことに心苦しく思われる次第ですが、なにとぞお答えをたまわりますようお願い申しあげます。ご回答は当方のホームページ(http://www.e-net.or.jp/user/stako/)でご紹介申しあげ、地域住民などに広く閲覧の機会を提供したいと考えております。あらかじめご了承をいただければと存じます。

2003/09/05

 えー、ここで伊賀地域住民のみなさんにお知らせしておきますが、みなさんのなかにはきのうの議員全員懇談会で方針を一転させ、市町村合併に伴う在任特例の適用をちゃっかり了承してしまった上野市議会のぼんくら議員どもをぜひぜひ叩くように、とおっしゃる方がいらっしゃるかもしれませんが、私にはとても手が回りません。あしからずご諒恕ください。私もできるだけお手伝いはいたしますが、上野の莫迦は基本的には上野市民によって叩かれるべきです。


●9月6日(土)

 本日は短めにお知らせを。
 お知らせその一。
 野呂昭彦知事からのご返事はまだ頂戴できておりません。週が明けたらいっちょ催促させていただきましょうか。
 お知らせその二。
 二〇〇四伊賀びと委員会の新しいホームページは9月8日に稼働を開始するそうです。下記のページでアナウンスされております。

二〇〇四伊賀びと委員会

 お知らせその三。
 名張市内在住の二〇〇四伊賀びと委員会メンバーの方から昨日お電話をいただきました。委員会の会長さんが一度私に会って話がしたいとおっしゃっているとのことです。いつでも伊賀県民局にお邪魔いたします、とお答えしたのですが、いや県民局ではあれですし、どうせならお酒も飲みましょう、ということで9月16日夜に名張市内でお会いすることになりました。伊賀県民局というお役所は私にとって何やらカフカの城めいた場になりつつあるようです。16日には県民局長さんもおいでいただけるとのことなのですが。
 しかし知らんぞ、と私は思います。俺に酒を飲ませて俺がべろんべろんになって俺が南方熊楠みたいになってしまっても俺は知らんぞ。だいたい二〇〇四伊賀びと委員会もやることが手ぬるいではないか。全委員出席の会合を開いてそこに私を呼び出し、委員全員で私を吊しあげるくらいのことをしてもいいのではないか。会長と県民局長が酒席でこそこそ私と会ったりなんかした日には、それでなくてもよろしくない二〇〇四伊賀びと委員会の評判がさらに下落してしまうのではないかと推測される次第なのですが、お酒が飲めるのであれば私はどこにだって参上することにしております。嬉々として参上つかまつります。
 お知らせその四。
 下記のとおりです。

人形芝居「押絵と旅する男」上演記念大宴会

   日程9月6日(土)
 集合時間
午後6時
 集合場所
芳林堂書店池袋店一階
大宴会会場
蔵之助(池袋西口センタービル五階)
   会費
時価

 どちらさまもお誘い合わせてにぎにぎしくお運びください。


●9月8日(月)

 本日も短めなお知らせです。
 お知らせその一。
 週が明けました。なんだかせわしないのですけれどあしたかあさってあたり、野呂昭彦知事に回答催促のメールをお送りしようと思っております。なにしろお忙しい方ですからうちつけな催促も憚られる次第で、善良な地域住民の素朴な疑問に基づく単純な質問にも答えられぬというのなら事業推進委員会の会長などとっととやめてしまえこの役立たずが、と激怒のメールを送りするのはもう少し先のことになる見込みです。三重県庁知事室職員のみなさんはどうぞ楽しみしておってください。
 お知らせその二。
 二〇〇四伊賀びと委員会の新しいホームページはきょう8日に稼働を開始する予定です。従来のページには「諸事情により当初予定の8月中稼動から遅れますことをお詫び申し上げます」と記されております。二〇〇四伊賀びと委員会もその気になればこんなしっかりした挨拶ができるのではありませんか。事業実施計画案の発表遅延についてもひとことあってしかるべきかと思われます。

二〇〇四伊賀びと委員会

 お知らせその三。
 JAL グループ機内誌「スカイワード」の8月号に「旧江戸川乱歩邸──幻影の蔵に迷い込む」が掲載されております。夏海コウキさんの記事から引用。

 ちなみに乱歩の子息、平井隆太郎氏は立教大学名誉教授。そんな縁もあってこの旧邸が平井家から立教大学に譲渡され、土蔵部分は今年3月に豊島区の有形文化財となった。大学では公開に向け、現在資料を整理中。年内には土蔵の改修に取りかかる。幻影城への文学散歩。数々の名作を読み返すなら今がいい機会だ。

 学校法人立教学院の創立百三十周年を記念した乱歩資料館(仮称)の開設へ向けて、いよいよ土蔵の改修がスタートするようです。乱歩ファンは刮目して待ちましょう。
 お知らせその四。
 9月6日土曜夜、私たちが大宴会二次会で終電ぎりぎりまで大騒ぎした池袋駅近くのカラオケ屋さんの店名をご存じの方はどこかにいらっしゃいませんでしょうか。忘れ物をなさった方がおいでなのですが、店名不明につきお店に連絡が取れないとのことです。ご存じの方はぜひお知らせください。しっかしわれわれは実際なーにやってるんでしょうか。


●9月9日(火)

 きのうの朝覗いたときにはまだ準備中だったのですが(近所の定食屋の話みたいですが)、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業をPRする二〇〇四伊賀びと委員会の新しいホームページが無事に開設されました。

二〇〇四伊賀びと委員会

 何度も申しあげておりますが、こんな事業は単なる税金の無駄づかいでしかありません。むしろ実態に即して「税金三億円どぶに行くバカのくに伊賀の恥さらし」と称したほうがいいのではないかと愚考される次第です。とにかく関係者が莫迦なものですから事業を客観的に評価することができず、自分たちのあいだでしか通用しない価値観のみに基づいてご町内の親睦行事をずらずら並べるだけに終始しております。
 みたいなことはこの新しいホームページを一瞥するだけでもなんとなく伝わってくる感じです。たとえば「伊賀びと委員会の紹介」というページに見られる「おもい組」「はかり組」「芭蕉さんがゆく組」などといったネーミングの気色悪さはいったいどうしたことでしょう。こんな連中に住民の税金三億円をいいようにつかう資格はかけらもおまへんな、とあらためて実感される次第です。
 みたいことを書き始めるときりがありませんが、この新しいホームページのリンク集にはわが名張人外境も加えていただいておりますので、ご高配に対し満腔の謝意を表しておきたいと思います。そのリンクをふらふらたどってここまでおいでくださった方には、まずこれをお読みになることをお勧めしておきましょう。

乱歩文献打明け話

 それからまた新しいホームページの「伊賀学講座」では私が講師を務める11月8日の「江戸川乱歩と情報発信」も紹介していただいているのですが、「もしかしたら、次の日から使える『トリビア』を発見するかも」みたいなことを期待されるとついその気になりまして、
 「『生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき』事業の計画と予算は、まだ決まっていない」
 「三重県知事にメールを出しても、返事は来ない」
 なんてことをお知らせしようかなと思っております。いずれにせよ「江戸川乱歩と情報発信」の本題に入る前に二〇〇四伊賀びと委員会批判を軽くぶちかます心づもりでおりますので、委員のみなさんは全員ご集合いただければ幸甚です。いやそれより先に一週間後の16日夜、伊賀びと委員会の会長と伊賀県民局長に名張市内でお会いすることになっておりますので、一日も早く私の批判を聞きたい、一刻も早く私に怒鳴りつけられたいとおっしゃる委員の方はこの席にご集合くださっても結構です。午後7時、近鉄名張駅前の一月屋集合です。一月屋はいちげつやとお読みください。たまにゃ庶民的なうどん屋さんでお酒を飲むのもいいでしょう。
 そんなこんなで、野呂昭彦知事へのメールはあしたにでも送信することにいたしましょうか。三重県庁知事室職員のみなさんはどうぞ楽しみしておってください。


●9月10日(水)

 さてお約束どおり野呂昭彦知事にメールをお送りしようと舞文曲筆の限りを尽くしたのですが、書きあがった書面を読み直してこれではまずいのではないかと思われてきました。まずいかまずくないかを考えてみる必要がありますので、メールを送信するのはあす以降に延期いたします。何がまずいかと申しますと、文章のなかに腐れ金玉という言葉が出てくるわけなんです。これはやっぱりまずいかな。

 江戸川乱歩著書目録校了

 話柄はころっと転じまして、掲示板「人外境だより」への芦辺拓さんのご投稿を全文転載させていただきます。

芦辺 拓   2003年 9月 9日(火) 12時52分

 遅くなりましたが、『江戸川乱歩著書目録』校了との吉報、承りました。おめでとうございます! ここに至るまでのご苦労を想像するだに頭の下がるものがありますが、それ以上にワクワクする思いを禁じ得ません。

 以前「文藝別冊」に書きましたけれど、乱歩は僕にとって《物語》の王、面白いお話、あるいは書くことそのものです。中さんの編纂にかかる乱歩リファレンスブックは、その乱歩の作品世界と執筆人生に地図を作るもの。これによって、一人の人間が作家としていったいどれだけのことが可能かがわかるわけで、そのことがどれほど僕らにとって大きなことかは論を俟ちません。

 何はともあれ、一刻も早く現物に接し、東京での「乱歩の世界」展で見たあの膨大な著書の大海を俯瞰し、その中を遊弋する日を楽しみにしております。お知らせをありがとうございました。

 どうもありがとうございます。
 といった塩梅で、おかげさまで『江戸川乱歩著書目録』がようやく校了となりました。蔵書を調べていただいたりなんやかんやでご厄介をおかけしたみなさんに、あれは先週5日のことでしたか、私製葉書で礼状をお出ししたのですが、一昨年八枚昨年十二枚今年は何枚といった感じで残っていたお年玉つき年賀切手が一気にはけてしまいました。
 葉書をさしあげたみなさん以外にもお世話になった方はいらっしゃいますし、形にはならないエールを送ってくださった方もまた少なからずいらっしゃることだろうと思われますので、感謝の意をこめて葉書の文面を転載しておくことにいたします。

 謹啓。新涼の九月を迎えました。いまだ残暑は厳しいようですが、お元気でお過ごしのことと存じます。

 さて、足かけ二世紀にわたって悪戦苦闘を重ねてまいりました名張市立図書館の江戸川乱歩リファレンスブック3『江戸川乱歩著書目録』は、おかげさまでようやく校了の運びとなりました。たまわりましたご協力、ご指導、ご支援に対し、心からお礼を申しあげます。

 望外なほど多くの方からさまざまなお力添えをいただけましたのも、畢竟すれば江戸川乱歩という作家の偉大さのたまものにほかならず、巨人の掌であらためてその存在の大きさを実感しているような気分です。

 『江戸川乱歩著書目録』は早ければ今月中にもお手許にお届けできる見込みですが、ご厚志にお応えできるだけの内容にまとめ得たかどうかはまことに心許なく、ご高覧のうえご叱正を頂戴できれば幸甚です。

 右、取り急ぎお礼とお知らせのみ記しました。今後ともなにとぞよろしくお願い申しあげます。

敬具

  二〇〇三年九月吉日

カリスマ拝

 ついでですから「人外境だより」のご投稿をもう一通、関連箇所のみの抜粋で。

臼田惣介   2003年 9月10日(水) 0時 5分

「江戸川乱歩著書目録」校了の由、なによりです。もうこうなっては、怖いものなしですね。

 どうもありがとうございます。
 怖いものはもちろんいろいろあるのですが、とにかく気は楽になりました。昨年の年頭、地方紙のインタビューでとんでもない虚偽発言をかました当時の名張市長を叩き市長の虚偽を隠蔽しようとする名張市教育委員会を叩きしていたころには、さすがにこのまま行くと馘になるかな、『江戸川乱歩著書目録』ができあがってないのに馘になるのはちょっとまずいかな、みたいなことを考えないでもなかったのですが、これで後顧の憂いはなくなりました。
 したがいまして、『江戸川乱歩著書目録』ができあがって一段落いたしましたならば、おまえらいったい乱歩のことをどうするつもりだこの能なしが、たまには自分の頭つかってものを考えてみろこの腐れ金玉が(これが腐れ金玉の使用例です。こんなことを知事に申しあげるのは失礼でしょうか)と名張市教育委員会の偉い方をばこばこ叩いてさしあげたいと思っております。
 みたいな予告をですね、まあ申さば武士の情け、名張市立図書館長に先日ちょこっと耳打ちいたしましたところ、今月下旬か来月上旬に教育委員会の偉い方(要するに教育長と教育次長なわけですが)との酒席を設けるから、みたいな展開になってきて私はいささか驚きました。籠絡でも懐柔でも好きなことやってください、と思っております。
 しかしそれより先に今月16日には二〇〇四伊賀びと委員会の会長と三重県伊賀県民局の局長との酒席が待っているわけで、私はきのうなんか「16日のご武運(?)を祈りつつ」なんて記されたファクスも頂戴している次第ですが、昔から籠絡や懐柔に際しては飲ませる抱かせる握らせるが三原則だとされており、飲ませるだけでなく抱かせると握らせるのほうにもご高配をいただければまことにありがたく思います。


●9月11日(木)

 これが丸投げってやつですか

 さあ大変です。いよいよ佳境かもしれません。野呂昭彦知事の命を受けた「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業事務局の安藝政比古さんからメールを頂戴いたしました。腐れ金玉という言葉が結構効いたのかもしれません。メール全文は次のとおり。

知事へのメールありがとうございました。
この対応は事務局で行うようにと転送されてきました。

このメールは事務局長名で送らせていただいています。

 あちゃー。
 あちゃちゃー。
 いきなり丸投げされてしまったではありませんか。
 丸投げ体質、当事者意識のなさ、答弁の曖昧さ、なんてものは先日の三重ごみ固形燃料発電所爆発事故をめぐっていやになるくらい批判されてきたはずなのに、三重県庁のみなさんはまーだこんなことなさいますわけですかそうですか。私がもしも高瀬実乗であったなら必ずや「あのねおっさんわしゃかなわんよ」というとるよ。三重県庁のみなさんは郷土の誇り植木等さんに倣って「こりゃまた失礼いたしましたッ」って感じなんでしょうか。がちょーんあじゃぱーさいざんす。
 でまあメールに添付されていた回答の文書というのがこれなわけなんですが。

●質問内容
 二〇〇四伊賀びと委員会による今回のパンフレット配布は、「生誕三六〇年 芭蕉さんがゆく 秘蔵のくに 伊賀の蔵びらき」事業の趣旨と運営、計画と組織に照らして、果たして正当なものでしょうか、それとも不当なものでしょうか。パンフレットの配布には問題があるのでしょうか、まったく問題がないのでしょうか。もしも問題があるとご判断の場合には、どのような対処法をお考えなのでしょうか。

●回答
 「生誕360年 芭蕉さんがゆく 秘蔵のくに 伊賀の蔵びらき」事業につきましては、事業の基本構想や伊賀シップ等に基づき、2002年から2004年にかけての3年間にわたり事業を展開していくことや、2003年のプレ事業、2004年における4つの共同事業(情報発信力をさらに高めるために個々具体的な事業を共同して実施する事業)を含む事業構成案(展開ストーリー)や事業期間等の事業の全体構想は既に推進協議会における承認を得て、その推進を図っています。
 それを受け、現在、広報や準備、仲間づくりのためのプレ事業を実施し、また、2004年を来年に控え、このようなパンフレットの作成を含むさまざまな広報展開を行っています。
 なお、2004年の全体の事業計画につきましては、2004伊賀びと委員会の企画案に基づき、推進委員会での承認を経て、この秋には策定したいと考えています。

 いつもいつもこんな感じです。事務局長の木戸博さんからは以前にもご回答をいただきましたが、今回のご回答も「事務局長名」というのですからやはり木戸局長にお書きいただいたものでしょうか。三重県庁職員はみんなこんな答えしかできんのかとも思われてきましたが、要するに夢で蒟蒻を踏むようなお答えでしかありません。ですから私は安藝政比古さんにこんなメールをお出ししてしまいました。

安藝政比古様

 メールと添付ファイル拝受いたしました。お手数をおかけいたしました。私は事業推進委員会の会長でいらっしゃる知事のご見解をお聞かせいただきたいと思っておりますので、知事に再度メールをお送りしてご回答をお願いいたしました。丸投げはご法度としていただきたく存じます。

2003/09/11

 で、知事にお送りしたメールの文面は下記のとおりです。しかし飽きもせずにこんなことばっかやってて、私はいったい何が面白いというのでしょうか。

野呂昭彦様

 お忙しいところご厄介をおかけしております。先日メールでお尋ねいたしました件、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業事務局の安藝政比古さんからご回答をたまわりました。「この対応は事務局で行うようにと転送されてきました」とのことで、事務局長名義による回答の添付ファイルを落掌しております。念のため添付ファイルを同送いたします。

 さて、まことに失礼なことを申しあげますが、これではお話になりません。ご多忙なのはよく存じあげているつもりですが、私は事業の最高責任者でいらっしゃる事業推進委員会の会長、すなわち貴職のご見解をお聞かせいただきたいと思っております。事務局長には以前にもこの事業に関して質問のメールをお送りし、ご丁寧なお答えを頂戴いたしましたが、遺憾ながらどちらかと申しますと不得要領な内容でしたので、ぜひとも貴職のご回答をいただきたく思った次第です。

 私がお訊きしているのはごく単純なことです。事務局長のご回答にあった基本構想や事業構成案などは何の関係もありません。私は構想や案ではなく、目の前の現実のことを問題にしております。私が貴職の見解をお聞かせいただきたいと申しあげているのは、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業の計画と予算は今秋から来年三月にかけて、事業推進委員会と三重県ならびに伊賀地域七市町村の各議会によって決定されることになっているが、二〇〇四伊賀びと委員会は決定を待たずにパンフレットを配布して事業のPRを始めている、ここには何か手続き上の問題があるのではないかということです。

 貴職のご回答を再度お願い申しあげる次第です。丸投げはご法度としていただきたく存じます。

2003/09/11

 事業推進委員会の会長にお訊きしたいことは、むろんこのパンフレットの問題のみにとどまりません。3月末に発表される予定だった事業実施計画案はなぜ発表されないのか。実施計画案は住民に一度も示されることなく今秋の事業推進委員会に提出され、そのままこっそりと承認されてしまうのか。パンフレットには「県・市町村だけでなく、住民も企画段階から参画する新たな『協働』によって実施する『手作りイベント』です」とありますけれど、こんなことやってていったい何が協働だどこが住民参画だ。
 いいかよく聞け。何かといえば官民合同だの協働だのと聞こえだけはいい言葉をつかいたがるお役人各位にものの道理というものをとっくり教えてやるから耳の穴かっぽじってよっく聞け(啖呵がどうも往年の東映時代劇調ですが)。協働とやらの基本が馴れあいやもたれ合いだと思ったら大きな間違いだ。協働の基本は情報開示だ。行政による徹底した情報開示だ。二〇〇四伊賀びと委員会のあんぽんたんぽかん各位がやってるのとは正反対のことだ。ここまで情報を隠蔽して何が協働だどこが住民参画だこの大莫迦者。痴れ者愚か者不埒者ども。えーいこの推参者どもめがッ(ですから往年の東映時代劇ではないのですが)。
 しかしこうなったらもう全面抗争しかないですか。事業推進委員会の会長は質問を無責任にも丸投げしてしまう。二〇〇四伊賀びと委員会の会長は質問に答えてくれるかと尋ねたら一度会いたいと人を介して伝えてくる。伊賀県民局の局長はそれにのこのこついてくるという。どいつもこいつも情けないやつらだ。地域住民に対してもう少し誠実になれんものか。まとめてしばきあげてやるから覚悟しておけ、みたいなことを一度でいいからいってみたいわけですが。


●9月12日(金)

 守るも攻めるもくろがねのニイタカヤマノボレ広瀬はいずこ、みたいな感じでわけのわからない日々がつづいておりますが、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業推進委員会事務局の安藝政比古さんから事務局長木戸博さんご執筆の添付ファイルをお送りいただきました。お役所というのはとにかく手間のかかるところです。
 木戸博さんの添付ファイル全文は次のとおり。

●回答

 知事へのメールありがとうございます。
 回答につきましては、「生誕360年 芭蕉さんがゆく 秘蔵のくに 伊賀の蔵びらき」事業推進委員会会長の命を受け、この事業の責任あるセクションとして、回答させていただいたものです。
 現在、配付していますパンフレットは、この事業全体の考え方や構想をPRするものです。パンフレットの内容である基本的な方針(事業開催時期、事業展開ストーリー、プレ事業の実施等)は既に事業推進協議会で決定し、市町村議会や県議会で了承されたものです。なお、個々具体の事業の企画・運営については2004伊賀びと委員会に委ねられているものです。
 こうした手続きのうえ、現在、事業を進めているところです。よろしくご理解ください。

  平成15年9月11日

 当方の返信は次のとおり。

木戸博様

 重ねてご回答をたまわり、感謝申しあげます。たびたびご造作をおかけする結果となってまことに申し訳なく思っておりますが、たとえ百万言を費やしても言い訳は言い訳に過ぎず、言い逃れは言い逃れの域を出ません。

 ご回答には「パンフレットは、この事業全体の考え方や構想をPRするものです」と記されておりますが、パンフレットで紹介されているのはあくまでも具体的な事業内容であると判断されます。

 五月十六日には伊賀全域で「おむすび持ってウォーキング伊賀」があり、上野市で「旅のフォーラム」と「偲翁 伊賀大茶会」があり、伊賀町で「イガいな料理?コンテストINつつじ祭」がある、といった具合にイベントを列挙し、交通機関の所要時間まで掲げた記載内容は誰が見ても事業そのものの紹介でしかないだろうと思われます。

 お言葉の「考え方や構想」ということで申しますと、むしろこんなご町内の親睦行事を思いつきで並べただけのような事業に果たして「構想」や「考え方」と呼べるものが存在するのかどうか、その点がきわめて訝しく思われる次第です。

 それから、「パンフレットの内容である基本的な方針(事業開催時期、事業展開ストーリー、プレ事業の実施等)は既に事業推進協議会で決定し、市町村議会や県議会で了承されたものです」との仰せに関して申しあげますと、私はそんなことを問題にしているのではありません。

 当方の質問に対し、貴職から「来年度予算はH16年3月の市町村や県の議会で議決されて最終的な決定となります。事業の計画は、事業推進委員会で決定されることになりますが、その時期は、秋に開催予定の次回第2回の委員会を予定しています」とのお答えを頂戴したまさにその点を、私は問題にしております。極言すれば、パンフレットの配布は議会制民主主義を否定するものではないかということです。

 お手数をおかけしたうえに失礼なことを申しあげるのは心苦しい限りなのですが、言い訳や言い逃れはもう結構です。お立場上、白を黒だとおっしゃらねばならぬ場合もおありであろうことは拝察しております。ただ、公務員は誰のために働いているのか、パブリックサーバントのサービスの対象はいったい何であるのか、その点を公務員の初心に立ち戻ってお考えいただきたいと、僭越ながらお願い申しあげる次第です。

2003/09/12

 野呂昭彦知事にも二日連続でメールをお出ししました。全文は次のとおり。

野呂昭彦様

 たびたび申し訳ありません。「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業推進委員会事務局長の木戸博さんから、重ねてご回答をたまわりました。

 回答が記された添付ファイルを同送いたしますとともに、木戸博さんへの当方の返信も添付ファイルでお送り申しあげます。

 ひきつづき貴職のご回答をお待ち申しあげております。ご多用中恐縮ですが、よろしくお願い申しあげます。

2003/09/12

 二〇〇四伊賀びと委員会のホームページにもメールをお送りしました。全文は次のとおり。

担当者様

 どうもお世話さまです。過日は辻村さんに用件をご伝声いただきましたようで、どうもありがとうございました。

 質問にご回答いただけるかどうかに関してはお答えを頂戴できませんでしたが、九月十六日の夜、名張市内でお会いすることになりました。伊賀県民局長の高杉さんもご同道いただけるとのことです。

 つきましては、例によって下記の文面を辻村さんにお伝えいただきたく、お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いできればと存じます。

辻村勝則様

 お世話さまです。お申し出の件、北村酒造の北村さんから承りました。名張までご足労いただくのは申し訳ないのですが、よろしくお願いいたします。

 つきましては、十六日にお会いするとき、貴委員会がおまとめになった「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業の実施計画書をお渡しいただけないでしょうか。

 実施計画案がいまだに公表されていないのは不可解きわまることで、地域住民を愚弄するものであると申しあげざるを得ませんし、公開されないまま事業推進委員会に提出されるのであれば、事業の旗印である官と民の「協働」も看板倒れに終わってしまうと考えます。

 一日も早く貴委員会ホームページで実施計画案を公表するべきだと愚考いたしますが、それが無理な場合は当方のホームページで公開させていただきたく、お門違いなことながらご英断をお願い申しあげる次第です。なにとぞご高配をたまわりますよう。

2003/09/12

 本日はここまで。
 それにしてもあれですけどね。
 なあなあ感覚で税金無駄につかわれたらほんとに困るんですけどね。


●9月13日(土)

 野呂昭彦知事のご回答はまだ頂戴できません。催促のメールをお出ししようと思って文面を考えたのですが、どうしても腐れ金玉という言葉が出てきてしまいます。私は腐れ金玉に呪われてでもいるのでしょうか。相手が野呂知事だけに呪われている、なんちゃって。

野呂昭彦様

 ご厄介をおかけしております。催促がましくて恐縮ですが、先日の質問に対するご回答をお待ち申しあげております。お手間を取らせることではありません。そもそもご判断を仰ぐことですらありません。いまだ決定もしていない事業をパンフレットで紹介することには明らかに問題があります。それを貴職はどのようにお考えでしょうか。その点だけを確認させていただきたく思っております。この手続き上の不備は「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業の愚劣さがその一端を不可避的に露呈させたものであり、三重県政がいかに杜撰に不誠実に運営されているかを端的に物語るものでもあります。貴職には前任者のばらまき行政を無批判に継承することではなく、貴職ご自身のお考えで県政をリードすることが望まれております。「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」という税金の無駄づかいでしかない事業を中止することは、そうした旗幟を鮮明にする何よりのチャンスでもあると愚考いたします。ご英断をお願いする次第であり、敢えてご回答をお願いする所以でもあります。ご回答は事業事務局を経ることなく、貴職ご自身のお言葉でお願いできればと存じます。それが事業の最高責任者である貴職の責務であると判断いたします。事業事務局に丸投げなさらず、知事室職員の松田さんあたりにお命じになって、簡略な口述筆記で結構ですからご回答のメールをお送りください。もしもご回答をいただけないのであれば、その旨をメールでお知らせください。確固たる信念に基づいたご判断であれば、当方もそれを尊重いたします。ただしその場合には、不本意ながら当方は貴職に対する批判をより徹底することになります。とても腐れ金玉どころの話では済まなくなります。むろんのこと腐れおまんこでも済まないでしょう。貴職の政治家としての……

 ほら。
 ほらほら。
 やーっぱり出てきますね腐れ金玉が。
 こんなメールはとてもお送りできません。
 それにきょうは土曜日で県庁もお休みですし。
 メールによる催促は来週のことにいたしましょう。
 ヤミ金が追い込みやってるわけじゃないんですからね。
 話は突然変わりまして、掲示板「人外境だより」のご投稿から貼雑をば。人様から罵詈雑言はよくいただきますが祝辞を頂戴する機会なんてまずありませんので、なんですかもう嬉しくて嬉しくて。

喜国雅彦   2003年 9月10日(水) 7時44分

カリスマ様
お疲れさまでした。
校了も終わり「やれやれ」としているところだと思いますが、敢えて水を差す質問を。
『リファレンス・ブック4』は何を?


正木   2003年 9月10日(水) 17時16分

サンデー先生様
お葉書届きました!とうとう校了までこぎつけたのですね。おめでとうございます。私のほうは9月6日の「押絵と旅する男」6時半からのチケットを取っていたにもかかわらず、当日、諸般の事情でおじゃんになってしまい、非常にガッカリしておりましたが、このニュースにはとても勇気づけられました。


ほりごたつ   2003年 9月10日(水) 23時31分

サンデー先生さま

お葉書届きました。校了おめでとうございます。また、お知らせくださりありがとうございます。
念のため、お年玉くじの番号を確かめてみましたが、ハズレでした。当たっていても今からではどうにもなりませんが。

 どうもありがとうございました。
 肝心の江戸川乱歩リファレンスブック3『江戸川乱歩著書目録』は現在鋭意印刷中です。だと思います。たぶんそのはずです。もうしばらくお待ちください。
 またころっと話が変わりまして、大宴会のお知らせをひとつ。

税金三億円どぶに行くバカのくに
伊賀の恥さらし事業を語る大宴会

  日程9月16日(火)
集合時間
午後7時
  会場
一月屋(近鉄名張駅西口)
 ゲスト
二〇〇四伊賀びと委員会の会長さん
     三重県伊賀県民局の局長さん
  会費
時価

 一人二人は面倒だ。
 大宴会ということにしてしまいます。
 まとめてお相手いたしますから関係各位はにぎにぎしくご参集ください。こそこそ密談するわけじゃあるまいし、辻村さんにも高杉さんにもやわかご異存はないでしょうけれどいやどうもすいません。
 ちょいとそこ行く二〇〇四伊賀びと委員会のみなさん。みなさんにも人並みの当事者意識があるのなら大事な会長さんをむざむざ見殺しにはできないはずだと思うのですが。ま、当事者意識が毛筋ほどでもあったら税金を無駄づかいする算段なんてできる道理がないわけですが。
 あ。よろしかったら木戸さんもぜひどうぞ。


●9月14日(日)

 やあ読者諸兄姉。
 諸兄姉には1999年10月21日の開設以来お引き立てをたまわってまいりましたが、このたび思うところあって名張人外境の模様替えに踏み切りました。いや別にたいして思うところがあったわけでもないのですが、飽きてきたと申しますか何と申しますか。とにかくこのセキチクやナデシコの花弁を思わせる色のページとはお別れすることになった次第です。
 それではピンクの画面を爛漫たる桜花に(季違いじゃが仕方がない)見立てまして惜別の一首をば──。

ここにても雲井の桜さきにけりただかりそめの宿と思ふに

 後醍醐天皇の御製におじゃりまする。

 それでは読者諸兄姉。
 下の ACCESS をクリックして、
 まずトップページへどうぞ。
 そして 名張人外境 というロゴにカーソルを合わせて、
 お役所との闘いに備えた私の心意気をばご確認のうえ、
 お暇でしたらその場でマウスをクリックしていただき、
 お次はページ下部にある modern をクリック。
 一足お先にあちらでお待ちしております。

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●9月14日(日)

 やあ読者諸兄姉。お待ちしていました。三重県職員のあいだにも着々とファンが増えている名張人外境はこんな姿になってしまいました。人外境番犬苦心のサイトデザインは殺し屋的ダンディズムをテーマとしているそうなのですが、果たしてお気に召していただけましたかどうか。お気に入りやブックマークをこのページに設定し直していただければ幸甚です。

 名張人外境模様替え次第

 模様替えの本格公開をきょうと定めたのに深い意味はありません。17日まで待てば中井英夫のお誕生日なのですが、それではあまりにも不吉です。そこでネット検索で調べてみたところ、9月14日は赤塚不二夫先生のお誕生日であることが判明しました。ケムンパスでやんす。んなこたどうだっていいんでやんすが、いまはただ祝福されるべき模様替え記念日に阪神タイガース十八年ぶりのVッ、なんて悲痛なことにだけはならぬよう、野球の神様に切なるお祈りを捧げるばかりです。

 開設四周年を一か月一週間後に控えて涙とともに振り返りますと、やはり思ったほどには更新作業が進まなかったという心残りがあり、去年の6月から今年の4月まで更新ができなかったというトラブルもあって、時代は私を取り残してしまいました。「前人未踏の夢」で新しい乱歩全集の構想を語ったのもいまは昔、いまや光文社から21世紀版乱歩全集が刊行されつつありますし、その全集では私が「江戸川乱歩異稿拾遺」で目論んでいた作業が進められていて、乱歩作品の本文校訂という気の遠くなるようなお仕事は新保博久先生と山前譲先生に思いがけず肩代わりしていただける結果となりました。めでたしめでたし。

 いっぽう、『乱歩文献データブック』をはじめとした名張市立図書館の江戸川乱歩リファレンスブックの内容をネット上で公開する作業もいまだ道なかば。しかも光文社文庫から書誌的価値の高い探偵雑誌のシリーズが陸続と刊行され、東京創元社からは『貼雑年譜』完全復刻版気になるお値段は本体三十万円なんていう瞠目ものの出版物まで世に問われるなど、参照して当サイトに反映させるべき資料が津波のように押し寄せてきました。津波というのは大袈裟ですが、非力な私にしてみればまさにどんとどんとどんと波乗り越えなければならない怒濤の印象なんですこれが。

 しかももうひとつ、江戸川乱歩リファレンスブックの三巻目である『江戸川乱歩著書目録』が近く完成の運びとなったという事情もあります。つまり私は名張市立図書館カリスマ嘱託としてとりあえず所期の目的を果たせたことになり、そろそろ今後の身の振り方も考えなければならないわけです。そこへもってきて二〇〇四伊賀びと委員会の連中はどうしてあんなに莫迦なんだ、三重県の知事や職員もろくなものではないではないか、えーいどいつもこいつも揃いも揃っていったい何を考えておるのか、いやきっと何も考えておらぬのであろうな、何も考えられぬのであろうな、あそこばかりでなく脳味噌まで腐っておるのであろうな、という腹立ちも加わって何が何やらもう判然とせず、半狂乱の状態でサイトの模様変えを断行したというのが正直なところかもしれません。

 いやどうも愚痴っぽくなってしまいました。模様替え本格公開日に愚痴は禁物でしょう。ありていに申せばうわべをちょっといじっただけなのですが、より機能的なサイトにという模様替えの主目的は多少なりとも達成できたように思います。お暇でしたらしばらく当サイトでお遊びいただき、リンクミスその他がありましたらぜひご一報くださいますよう。OS やブラウザによってサイトデザインが乱れ崩れ揺れ揺られということになっているかもわからんなと危惧しているのですが、当方は Mac の OSX にブラウザは Safari という村八分みたいな環境を基本としております。こんなことでいいのかしらとも思われますものの、人外のこととてなにとぞご容赦くださいな。

 それでは読者諸兄姉。御意見無用の名張人外境を今後ともよろしくお願い申しあげます。


●9月15日(月)

 あっというまに連休もおしまいです。当地ではこの連休を利用して稲刈りに精を出す農家が多く、きのうなど日が傾いてからも収穫に汗を流す家族の姿がそこここの田んぼに見られました。ふらふら犬と散歩している途中にそんな親子を見かけ、ふと目が合って挨拶なんかされてしまうと、自分がずいぶんな極道者であるような気がしてくるから不思議です。

 この場合の極道者という言葉は、悪事放蕩にはあまり関係がありません。働きもせずぶらぶらしている人間のことを、当地では極道者と称する場合があります。名張市内の農家に嫁いだ私の知人には、本を読むのは極道者のすることだとお姑さんからお説教された女性もいるくらいです。本を読む人間など不健全で非生産的で実際ろくなものではありませんから、このお姑さんの言葉はまさしく正鵠を射たものであるといわなければなりません。

 田植えや稲刈りといった労働を見かけると、私の頭には堀切直人さんのこんな文章が浮かんできます。

ディエス・デル・コラールは『アジアの旅』のなかで、日本の農民について、「農民がその水田で足を泥の中に深く入れて働く時、そこに人間が大地の中に挿入され、根付かされていく極点が出現する。そのとき人間は、動物であるというよりは、むしろ理性を備えた植物である。」と述べているが、いかにもわが国の農民は田圃の泥中に根をおろした植物だ。彼は猫の額ほどの土地にしがみつき、終日田圃の手入れに余念がない。その労働は西洋人の労働ほど強い胆力や高度の知性を必要としないが、そのかわりに西洋人の労働にもまして少なからぬ忍耐強さや勤勉さや繊細な神経を要求される。というのは、天候の変化のめまぐるしいわが国で、ほんらい熱帯性の植物である水稲を育てるには、それに不断の細心な注意を払わなければならないからである。
堀切直人『日本夢文学志』平成2年7月、沖積舎

 大地に挿入された植物としての人間となるとまるで筒井康隆さんの「佇む人」ですが、最近では田んぼにしっかり根をおろした正真正銘の農民もすっかり地を払ってしまいました。農家の兼業化が徹底的に進行したからです。戦後の高度経済成長は日本の農業が完膚なきまでに衰退していった過程でもあり、農村人口は安価な労働力として都市に吸収されて都市化の進行と農村の壊滅とがもたらされましたが、農村にとどまった層もまた地元に働き口を求めなければなりませんでした。彼らはどこにそれを見つけたのかというと──。

 お役所です。

 田舎のお役所です。

 田舎のお役所こそは高度成長の陰で農家兼業化の受け皿となったアジールめく職場であり、その農民的体質はお役所の伝統として平成のいまも脈々と受け継がれています。彼らの労働はたしかに「強い胆力や高度の知性」を必要とせず、そのかわり「少なからぬ忍耐強さや勤勉さや繊細な神経」によってお役所のシステムに奉仕することを要求されるものです。

 地域社会に奉仕するべき公務員がお役所というシステムに奉仕して微塵も怪しまないこの嗤うべき転倒は、いうまでもなく明治時代さらには江戸時代にまで遡りうる官尊民卑思想を現代に継ぐものにほかなりませんが、そこにはまた豊葦原瑞穂国の農民的体質という伝統も太い流れとなって合流していると見るべきでしょう。

 先に引いた堀切直人さんの著書にはこんなことも記されています。

 そのかわり、わが国の農民は、そうした感受性とひきかえに、人手の加わっていない未開の自然に対する関心を失った。彼らは水田と、その周囲にひろがる川や野や林といった気心の知れた穏かな自然とのみ接し、その自然の外側に待ちうけている森や山といった気心の知れぬ未開の自然にたいしてはまったく没交渉であった。村境から一歩外は、すでに自分たちとは関わりのない、怖るべき世界であった。彼らはそれを死者や鬼などの棲まう異界とみなしてあえて触れるのをはばかり、もっぱら自分たちのまわりを取り巻いている、人間的な暖かく親しげな雰囲気の漂う、手入れの行きとどいた自然とのみ交渉を持った。

 お役所というムラ社会に棲息する公務員たちもまた、田んぼにしがみつくようにして居心地のいいお役所に根をおろし、外側にひろがる広大な世界への眺望をまったく欠いたまま日々を送っていると見えます。しかしそんな日々が永遠に持続するとは限らないでしょう。彼らが触れるのをはばかっている異界から極道者だか鬼だか何だかがやってきて、いっちょ「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」を無茶苦茶にして莫迦どもの眼を醒ましてやるか、なんてことになる日が訪れるのかもしれません。

 首を洗って待ってろ百姓ども。

 百姓は海民、山民、商人、職人、芸能民などの非農業民を重層的に内包する言葉であり、百姓イコール農民という単純な等式は誤りであるとは網野善彦先生がつとに指摘していらっしゃるところですが、長きにわたって百姓という言葉に蓄積されてきた自虐的なそれも含めた侮蔑感情は、やはり百姓という言葉でなければ表現できません。上の一行では敢えて百姓なる語を農業民の意で使用したことをお断りしておきます。

 さて、三重県庁も連休はきょうまで。あすの夜には税金三億円どぶに行くバカのくに伊賀の恥さらし事業を語る大宴会か。


●9月16日(火)

 朝っぱらからまいってしまいました。

 えらいことしでかしてしまいました。

 いくらなんでもこれはまずかろうが。

 何がまずいのかと申しますと13日土曜日付の伝言に掲載しました送信されなかった知事へのメール、つまりあの腐れなんとかが出てくるメールなんですが、あれをまたどうした手違いからかさっきうっかり送信してしまったわけなんです。

 まったく何をやってるんですか私は。送信したあと大慌てで下記のメールを殴り書きしてお送りし、なんとかご寛恕をいただくよう知事にお願い申しあげた次第なのですが。

野呂昭彦様

 失礼いたしました。さきほどお送りしたメールは手違いで送信してしまったものです。お出ししようと思って書き始めましたものの、文中に腐れ金玉だの腐れおまんこだのといった言葉が出てまいりますため、不謹慎と申しますか不適切と申しますか不穏当と申しますか、とにかく貴職にさしあげるべきではないと判断し、送信を見合わせたものです。

 ところが、当方のミスのせいでついうっかりお送りしてしまい、腐れ金玉だの腐れおまんこだのという言葉を心ならずもお目にかけてしまう仕儀となりました。さぞやご不興のことと拝察いたします。どうも申し訳ありません。お詫びを申しあげます。

 とは申しますものの、腐れ金玉や腐れおまんこの問題を別にすれば、さきほどお送りしたメールには当方の意が充分に尽くせております。ミスを犯しておきながらさらに手前勝手を申しあげることは幾重にもお詫びし、またその点のお叱りはお気の済むまで頂戴いたしたいと存じますが、なにとぞ腐れ金玉や腐れおまんこの件をご放念のうえで先のメールをお読みいただき、寛大なお心でご回答をたまわりますよう伏してお願いを申しあげる次第です。

 失礼の段、重ねてお詫び申しあげます。二度と腐れ金玉だの腐れおまんこだのといった言葉をお目にかけることはいたしません。今後ともよろしくお願い申しあげます。

2003/09/16

 ま、このメールによって私の誠意や真意は知事にもお酌み取りいただけたのではないでしょうか。

 9・16一月屋決戦顛末

 さて本日は9・16一月屋決戦の日なのですが、阪神リーグV決定の翌日という縁起がいいんだか悪いんだかよくわからない日の決戦となってしまいました。「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業関係者はこぞってご参加ください。関係者でない方もお気軽にどうぞ。案内を再掲しておきます。

税金三億円どぶに行くバカのくに
伊賀の恥さらし事業を語る大宴会

  日程9月16日(火)
集合時間
午後7時
  会場
一月屋(近鉄名張駅西口)
 ゲスト
二〇〇四伊賀びと委員会の会長さん
     三重県伊賀県民局の局長さん
  会費
時価

 決戦内容は関係者の承諾が得られればあすにでもお知らせいたします。ただし私の主観に基づいた一方的な報告では公平性を欠き、だからこそ私は以前伊賀県民局の局長さんや事業事務局の局長さんがそうしてくださったように、二〇〇四伊賀びと委員会の会長さんにも文章の形で質問に答えていただきたかったのですが、それが無理みたいなんですから致し方はないでしょう。

 いったいどうなることですか。


●9月17日(水)

 報告二件。

 一件目。

 三重県知事の野呂昭彦さんとかおっしゃる方からはいまだうんともすんともご返答をいただけません。

 「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業の根幹に関わる質問に、とはいえそれは簡単明瞭、瞬時に答えられる質問ではあるのですが、善良な地域住民のごく単純な質問にも答えられぬような人間が事業推進委員会の会長に納まっているのはどう考えても納得できぬ話です。

 回答のメールを頂戴するのが遅くなれば遅くなるほど、この名張人外境を日々閲覧していただいているみなさんのあいだで知事の評判は悪くなり、事業そのものがいよいよ嗤いものになるばかりであるということを、野呂昭彦さんとかおっしゃる三重県知事はよく認識されるべきでしょう。

 会長なんかとっととやめてしまえこの役立たずが。

 ま、もうしばらくお待ちはいたしますが、これ以上ぐずぐずしてるとほんとに取り返しがつかなくなるぞ、知事だか恥部だか知らんが俺はほんとに容赦せんから覚悟しておけ。みたいなこと申しあげてもまーだ知らぬ存ぜぬをおつづけになるのかしら。

 二件目。

 読者諸兄姉お待ちかね、昨日開催の9・16一月屋決戦、税金三億円どぶに行くバカのくに伊賀の恥さらし事業を語る大宴会に関してご報告申しあげますと、じつは昨日、一月屋はお休みでした。きのうまで三連休だったとのことです。致し方なく一月屋決戦は中止と決定、会場を変更して居酒屋中むら決戦となりました。なーにやってんですか。

 決戦内容に関しましてはいっさい公開いたしません。私は昨日の伝言に、

決戦内容は関係者の承諾が得られればあすにでもお知らせいたします。ただし私の主観に基づいた一方的な報告では公平性を欠き、だからこそ私は以前伊賀県民局の局長さんや事業事務局の局長さんがそうしてくださったように、二〇〇四伊賀びと委員会の会長さんにも文章の形で質問に答えていただきたかったのですが、それが無理みたいなんですから致し方はないでしょう。

 と記しましたが、二〇〇四伊賀びと委員会の辻村勝則会長から文章の形で回答をいただけることになりましたので、それならそれがベスト、酒席でのあれこれを報告する必要はなくなった次第です。ちなみに出席者は、事業ホームページに掲載された伊賀びと委員会の紹介の登場順で申しますと次のみなさんでした。

上野市 辻村勝則
名張市 北村嘉孝
的場敏訓
兼事務局 名和健治
参与 高杉勲

 こんなのはどうでもいいことですが、「兼事務局」というのはもしかしたら「県事務局」の誤記かもしれません。

 さらにこんなのもどうでもいいことですが、伊賀びと委員会の紹介で上のほうに名前の並んでいるたとえば池澤基善さんだの田中愛一郎さんだの中村伊英さんだのはきのういったい何をしていらっしゃったのか。池澤さんからはほかに用事があるから出席できないとのお電話をいただきましたが、それ以外の関係各位は何をしていらっしゃったのか。きのうの大宴会は委員会の主要なポストを占める方々にとって万障くりあわせて参加するべき会合であったと申しあげておきましょう。

 決戦の報告がないことに肩すかしを食らったような気分を味わっておいでの読者諸兄姉もいらっしゃることでしょうが、大宴会そのものはしごく和気藹々とした雰囲気で、温厚円満を絵に描いたような私が声を荒げることはただ一度しかありませんでした。

 ここにいるこの莫迦どもをどうしておまえはかばってやらなかったのだこの莫迦。

 みたいなこといって相手の反応次第では必殺のチョークスリーパーかましてやろうと手ぐすね引いていたのですが、そんなことにならなくてよかったよかった。


●9月18日(木)

 いわゆる最後通牒ってやつですか。三重県庁知事室のメールアドレスに下記のメールをお送りしました。

野呂昭彦様

 どうもお世話さまです。「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業のパンフレット配布に関して、再度お尋ね申しあげます。ただし、この件でメールをさしあげるのはこれで最後といたします。毎朝びくびくしながらメールの着信をチェックする知事室職員のご心労もお察ししなければなりません。誠実なご回答をたまわりますよう、心からお願い申しあげる次第です。

 私の質問は、いまだ計画や予算が決定されておらず、それどころか事業実施計画案さえ公表されていない「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業を、いまの段階からパンフレットでPRすることには手続き上の問題があると思われるが、貴職はどうお考えか、もしも問題がある場合にはどんな対処法をお考えか、というものです。

 貴職が私の質問をご覧くださったことは、事業事務局長から頂戴したメールの「知事へのメールありがとうございました。/この対応は事務局で行うようにと転送されてきました」との文面から確認できます。貴職に回答の意志がおありだったこともまた、このメールから知ることができます。

 にもかかわらず、貴職のご回答はいまだに頂戴できません。どうしてでしょうか。丸投げのあとはだんまりですか。それでことが済むとお思いですか。だとすれば貴職は、すでにして「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業推進委員会の会長という職責を放棄していらっしゃると判断せざるを得ません。

 私の質問に対する回答は、おそらく次のようなものにならざるを得ないと思われます。

 パンフレットの配布には問題がある。二〇〇四伊賀びと委員会に対し、事業計画が正式に決定するまで配布を差し控えるよう申し入れる。

 これだけです。

 これだけで済む話です。

 知事室職員に命じてこの文面をメールで送信するだけで、ことは簡単に済んでしまいます。私は貴職に感謝し、ご英断に敬意を表して引き下がります。これだけのことが、いったいどうしておできにならないのでしょうか。

 貴職のこうした態度は、人の上に立つ人間のそれであるとはとうてい思われません。貴職は職員の心情というものをお考えになったことがおありでしょうか。たとえば私への対応を丸投げされた事業事務局長がいまどんな気持ちでいらっしゃるか、貴職の態度にどんな感想を抱いていらっしゃるか、お考えになったことがおありでしょうか。

 事務局長ばかりではありません。毎日私のホームページを閲覧し、そこに記された貴職への批判を読んでくださっている県職員は、貴職の丸投げとだんまりをどんな思いでご覧になっているのか、貴職は一度でもお考えになったことがおありでしょうか。ことは職員の志気にも関わる問題であると、敢えて申しあげておく次第です。

 私がパンフレット配布の問題に関して質問をつづけているのは、二〇〇四伊賀びと委員会の勇み足を指摘するのが貴職の責務であるからにほかなりません。それすらできないというのであれば、事業推進委員会の存在意義はどこにも見出せなくなってしまいます。そんな組織を存続させるのは税金の無駄づかいというものです。

 しかし現在の段階では、貴職に回答や二〇〇四伊賀びと委員会への働きかけを期待するのは無理であると判断せざるを得ません。とはいえこのまま看過できる問題ではありませんので、僭越推参なことではありますが、当方から二〇〇四伊賀びと委員会に対して申し入れを行うことにいたします。

 事業推進委員会が果たすべき役割を一地域住民が肩代わりすることは、委員会が形骸であり会長が無能であることの何よりの証左であり、貴職には決して好ましい結果をもたらさぬであろうと判断される次第ですが、あしからずご了承いただきますよう。

 もうひとつ、私は二〇〇四伊賀びと委員会に対して、事業実施計画案の早急な公表も要請するつもりでおります。公表手段のひとつとして住民説明会を提案したいと思っておりますが、この説明会には事業の最高責任者である貴職のご臨席が欠かせません。

 二〇〇四伊賀びと委員会には貴職のご都合を最優先して住民説明会の日程を設定するよう要望いたしますので、ご多用中恐縮ですがなにとぞご足労をいただきますよう、この点に関してもお願いを申しあげておく次第です。

 そのおり拝眉の機を頂戴して、あらためてご挨拶を申しあげたく存じております。

 話が先走りして、それこそ勇み足めいたことを申しあげてしまいましたが、冒頭にも記しましたとおり、誠実なご回答をお待ち申しあげております。知事であれ市町村長であれ、首長と呼ばれる人間に何より要請されるのは地域住民に対して誠実でありつづけるべく努めることであると、僭越ついでに附記しておく次第です。

 どうも失礼いたしました。ご健勝をお祈り申しあげます。

2003/09/18

 てな塩梅で読者諸兄姉、おかげさまにて追い込み快調、そこらのヤミ金から一目も二目も置かれそうな勢いでがんがん追い込んでおります。あしたはひとつ二〇〇四伊賀びと委員会に追い込みをかけますか。しかしこんなことやってていいんでしょうか。


●9月19日(金)

 野呂昭彦知事の回答はまだいただけません。なーんか永久にいただけないような感じです。回答しないなら回答しないでその旨を通知してくれ、という要請にも応答がありません。野呂って野郎はどうにも見下げ果てた男だな、と私は思います。

 野呂知事はほんとうにおまえのメールをお読みなのか、との質問をある方から電話で頂戴しました。つまり知事室職員が私のメールを闇から闇に葬っている可能性はないのか、ということです。

 その点についてはこの伝言板で以前から牽制してきましたし(なぜ牽制したのかと申しますと、知事室職員のチェックによって排除され、知事の手許には届かない郵便やメールもあるのではないかと推測されるからです)、この伝言板で知事宛のメールをすべて公開していることにもそうした牽制の効果は期待できるわけですから、いまこの時点では敢えて問題にいたしません。いまそれを問題にすると知事室職員の立場がなくなります。

 むろんきょうあたり知事室職員から、

 「知事はメールを読んでいなかった。自分が独断で知事にメールを見せていなかったからである。しかし自分は誤ったことをしていたと気がつき、知事にメールを読ませた。知事が回答しなかった責任は自分にある。非はすべて自分にある。知事には何の罪もない。メールを読んだ知事は次のとおり回答する。すなわち、パンフレットの配布には問題がある。二〇〇四伊賀びと委員会に対し、事業計画が正式に決定するまで配布を差し控えるよう申し入れる。以上」

 と言明するメールが届いたりしたら、私はその忠臣ぶりを愛でてその言を額面どおり受け容れ、その職員を咎めだてすることなく無罪放免とするのにやぶさかではないわけですが。やぶさかではないわけですがなどと私はいったい何様のつもりなのかと、それは自分でもそのように思うわけですが。

 と心優しい私はどこまでも相手を思いやりながら話を進めるわけですが、本日は二〇〇四伊賀びと委員会の辻村勝則会長宛メールを委員会オフィシャルサイトのメールアドレスにお送りいたしました。内容は下記のとおり。

担当者様

 お世話さまです。先日は辻村さんへの伝言をお伝えいただき、ありがとうございました。辻村さんからは文章の形で回答をいただけることになりました。お手数ですが下記の書面を辻村さんにお読みいただきたく、よろしくお願い申しあげます。

辻村勝則様

 先日はわざわざ名張までご足労いただき、お礼を申しあげます。腹蔵なくお考えをお聞かせいただけたのを、たいへんありがたいことに思っております。今後ともよろしくご高誼をたまわりますよう、あらためてお願い申しあげます。

 さてさっそくですが、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業について、質問二点を以下に記します。

 質問の前に概略を述べておきますと、貴委員会すなわち二〇〇四伊賀びと委員会と事業推進委員会との曖昧きわまる関係性をはじめとして、この事業には不審な点が少なからず存在しており、事業事務局にそれらの点の説明を求めても明快な説明は返ってきませんでした。私が過去に記したところをお読みいただければ、そのことはご理解いただけると思います。

 つまり個々の事業内容をうんぬんする以前に、事業全体の拠って立つ基盤があまりにも曖昧脆弱であるというその一点だけで、この事業には中止という結論も視野に入れた見直しが必要だと私は愚考しております。

 しかし頭ごなしに否定しているだけでは、事業はこともなく進められてしまいます。事業に関して現実に即した質問を行うことが見直しの端緒になるのではないかと考え、とりあえず事業実施計画案の発表と事業パンフレットの配布という二点に関して質問を行う次第です。貴委員会への批判も記すことになりますが、当方の意をよろしくお酌み取りいただければ幸甚です。

 まず事業実施計画案についてですが、計画案がいまだに公表されていないのは事業にとって致命的なことです。この「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」という事業に見るべきところがあるとすれば、それは徹底した公開性という一点に尽きます。従来お役所という密室の内部で決定されていた事業計画を広く住民に公開しながら決めてゆくという点にこそ、この事業の画期的な意義が認められるはずです。

 しかしながら実際には、住民から委員と事業案を募ったあとはすべて密室のなかで準備作業が進められており、これではお役所の手法と何ら選ぶところがありません。事業の生命とも呼ぶべき点はすでに死んでしまったと判断されます。その点にいまだにお気づきでないのであれば、二〇〇四伊賀びと委員会のみなさんは救いがたい莫迦であるとしか申しあげようがありません。

 もう手遅れではあるのですが、それでも一日も早く事業実施計画案を公表することが貴委員会の責務です。オフィシャルサイトで公表し、メディアを利用することも必要ですが、今年一月から二月にかけて伊賀七市町村八会場で開催したのと同様の説明会を開かなければ、地域住民に対する責任をまっとうできたことにはならないのではないでしょうか。

 早急に八会場を手配するのは困難かもしれません。しかしそれでも、たとえ一会場だけでも、貴委員会には説明会を開催して住民に直接報告を行う義務があると判断いたします。その説明会には事業推進委員会の会長である野呂昭彦知事も当然出席されるべきですから、野呂会長のご都合を最優先して説明会の日程を組んでいただくよう、ここに強くお願いしておきたいと思います。

 説明会では実施計画案の発表のみならず、その発表がここまで遅れ込んだのはなぜなのか、どんな支障があったのか、そうした点をも明らかにして、非公開を余儀なくされた実施計画案策定過程を遅ればせながらオープンにすることも必要だと考えますが、これは貴委員会のご判断にお任せしたいと思います。徹底した公開性が貴委員会の生命であることは、すでに申し述べたとおりです。

 パンフレットの配布につきましては、いまさら贅言は必要あるまいと思われます。先日お会いしたときにも申しあげましたが、いかに愚劣な人間が議員を務めていようとも、議会というシステムそのものは尊重されなければなりません。議会の議決を経ることなく事業内容をPRすることには大きな問題があります。

 そうした手続きの基本もわきまえずにパンフレットの配布を始めたのだとすれば、二〇〇四伊賀びと委員会のみなさんは救いがたい莫迦であるとしか申しあげようがありません。とくに莫迦なのは行政側の委員で、これはもうお役人衆がまともな感覚を麻痺させきった末の眼も眩むばかりの失態であるとしか表現のしようがありません。

 お役所という閉鎖的なムラ社会で身内意識に凝り固まり、何から何までなあなあで仕事してるからこんなことになるのだこの大莫迦者どもッ、と行政側委員にお伝えいただければと思います。パンフレットの配布を発案したのが誰であるのかもお訊きしたいところですが、本日は差し控えます。

 以上、当方の要望もお含みいただいたうえで、下記二点の質問にお答えいただければと存じます。

 一) 事業実施計画案は一般に公開されるのか、公開されることなく事業推進委員会に提案されるのか。もしも公開されるのであれば、その手法はどのようなものか。公開手法のひとつとして、野呂昭彦推進委員会長も出席する住民説明会を開催する考えはないか。

 二) 現時点で事業内容をPRするパンフレットを配布することに、手続き上の問題はないと考えるか、あると考えるか。あると考える場合には、どのような対処法を実施するか。

 以上です。ご多用中申し訳ありませんが、なにとぞよろしくお願い申しあげます。事業実施計画案が公表されておりませんので、具体的な事業内容にはいっさい触れませんでした。ご回答は当方のホームページで公開させていただきますので、あらかじめご了承をいただければ幸甚です。

 近いうちにまた楽しくお酒を酌み交わしたいものだと思っております。今度は公務員抜きでやりましょうか。

2003/09/19

 ま、本日はこんなところで。


●9月20日(土)

 やあ。百八十万三重県民のみなさん。先の知事選でわれわれ県民はなんだかとんでもない人物を知事にしてしまったのかもしれません。

 三重県民以外にも、呆れたやつだなこの丸投げ知事は、ひどい野郎だなこのだんまり知事は、と首をかしげていらっしゃる方がきっといらっしゃることでしょう。

 げんにリーサルウェポン臼田惣介さんからは掲示板「人外境だより」に、

 「野呂さん、頑張ってや、みんな見てまっせ」

 と、どんなつわものも思わず気がゆるんで一服したくなるようなエールをご投稿いただいている次第です。

 老婆心ながら記しておきましょうか。この名張人外境を以前から閲覧していただいている方はともかくとして、きのうきょう閲覧者になっていただいた方のなかには文章を読むことに習熟していない向きもおありかと思われますので、念のためにはっきり申しあげておきます。

 臼田さんのご投稿や私がいま記したエールという言葉には、アイロニーというものがこめられております。臼田さんのお言葉の真意は、「野呂さん、逃げ隠れせんときっちり返答しはったらどないですねん、このサイトの閲覧者はみんなあんたのことほんまに情けないやっちゃな思て見てますねんで」といったことになるのではないかと愚考する次第です。

 県知事やまたも丸投げ秋彼岸

 さて、二〇〇四伊賀びと委員会の辻村勝則会長からはまだお答えを頂戴していませんが、質問はきのう人づてにお届けしたばかりですから、焦らず気長にお待ちしたいと思います。ところが、お願いなんか全然してもいないのに、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業事務局の安藝政比古さんから思いがけずメールをいただいてしまいました。

責任あるセクションとして 改めて お答えさせていただきます。

 として添付ファイルをお送りいただいた次第ですが、この添付ファイルの文章には署名がありません。同じことは前にも一度あり、ごくごく遠回しにそれではまずかろう、文章には誰が書いたのかを明記するのが作法である、ついうっかり署名を忘れてしまうところにもお役人衆の責任回避体質が見事に露見しておるではないか、みたいなことを指摘してさしあげた次第なのですが、何の効果もなかったことを遺憾に思います。

 その添付ファイルの全文は次のとおり。

 知事へのメールありがとうございます。

 この事業につきましては、次のような3カ年計画で進めることについて包括的な承認を得て進めているものです。

平成14年度 キックオフ
平成15年度 1 プレ事業
2 平成16年の実施予定事業の広報
3 平成16年の準備
4 なかまづくり
平成16年度 事業の実施

 この計画に沿って、今年度は平成16年の実施予定事業についてのPRを含め、このようなパンフレットを作成し広報展開を行っているところです。

 実施予定事業を掲載することにより、事業のイメージをわかりやすくし、事業のPR効果を高めるとともに、協働して事業を実施する仲間づくりにもつながるものです。

 こうした意味あいでパンフレットを策定したもので、実施予定事業の掲載については、手続き上も含め、問題はないと考えています。

 私の返信は次のとおり。私もほんとに律儀なわけで、きのうは大阪市内で開催されたさるパーティでしこたま飲んで深夜に帰宅し、できればけさはそっとしておいてほしいなと思っていたのですけれど、メールを頂戴しておりましたのでよっこらしょッと机の前に坐り直して、こうしてよしなしごとをたらたら綴っている次第です。

安藝政比古様

 メールと添付ファイル、拝受いたしました。お手数をおかけしております。添付ファイルには署名が見当たらなかったのですが、事務局長の木戸博さんのご見解をお知らせいただいたものと解釈し、以下に返信をしたためます。

木戸博様

 安藝さんからご回答をお送りいただきました。何度もご造作をおかけして恐縮しております。しかし私は、九月十二日付のメールで「言い訳や言い逃れはもう結構です」と申しあげたはずです。言い訳や言い逃れでしかないご回答は、今後いっさいご無用に願います。

 安藝さんからのメールには「責任あるセクションとして 改めて お答えさせていただきます」とありましたが、私はいまや、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業事務局が「責任あるセクション」であるとは微塵も考えておりません。その点もご承知おきいただければと思います。

 しかしせっかくご回答いただいたのですから、拝読したうえでの所感を申し述べます。ただしご回答の具体的な内容には、いちいちお答えする必要が認められません。貴職に申しあげたいことを二点だけ、記しておくことにいたします。

 まず一点目。「知事へのメールありがとうございます」とおっしゃるのですから、私が知事にさしあげたメールはお読みいただいたのであろうと拝察いたします。私は事業推進委員会の会長でいらっしゃる野呂昭彦知事のご回答をお願いしております。その点に関して、つまり知事がどうして私の質問を無視されるのか、なぜ私は知事の回答を頂戴できないのか、貴職はその点に関してまず説明をなさるべきであると判断いたします。

 二点目。貴職の九月十一日付のご回答には、事業のパンフレットは「事業全体の考え方や構想をPRするもの」とのお答えが記されておりました。しかし今回のご回答には、パンフレットの配布は「平成16年の実施予定事業についてのPR」であるとのご見解が示されております。わざわざ指摘するまでもなく、このふたつの見解のあいだには明らかな矛盾が存在しています。したがいまして今回のご回答には、先の回答は間違いであったという前言訂正がまず記されていてしかるべきかと判断いたします。

 以上二点、熟読していただいて今後のご発言の指針としていただければ、幸甚これに過ぎるものはありません。ご回答の具体的な内容については、先にも記しましたようにとくに記すべきことはありません。いくら言い訳や言い逃れを並べていただいてもお相手するつもりはありませんし、私には自分の前言を訂正する必要がありません。

 最後に申し添えておきますと、二〇〇四伊賀びと委員会の辻村勝則会長にもパンフレット配布に関する質問をお送りして、現在そのお答えをお待ちしているところです。辻村さんがどのようなお考えを示してくださるのかはわかりませんが、辻村さんに対してどのような形の圧力もおかけいただかぬよう、老婆心ながら、またまことに礼を失したことながら、貴職に敢えてお願いしておきたいと思います。

 せっかくのご回答に対して失礼なことばかり記す結果になったことをお詫びいたしますが、一度ならず申しあげてまいりましたとおり、もうご回答は結構です。貴職にご造作をおかけするのが恐縮であるというばかりでなく、貴職のお答えを当方のホームページで公開することは、結局のところ三重県職員のレベルの低さを明らかにすることにつながってしまいます。貴職を前面に押し出して逃げ隠れをつづける野呂昭彦知事の醜態が、いよいよ際立ってしまいます。

 もっとも、首長や職員がその嘆くべき実態を白日のもとに曝すことこそが情報公開の第一歩なのですから、今回の件は三重県にとってその得がたい機会であるというべきなのかもしれませんが、しかしそれにしたって、いくらなんでももう、見苦しくうろたえてこれ以上の悪あがきを重ねることはお控えいただいたほうがいいのではないかとも愚考される次第です。よろしくご勘考くださいますよう。

2003/09/20

 さて物見高い御見物衆。

 鉄格子こそ存在しませんけれど、お役所という閉ざされた場の内側と外側のどちらがよりまっとうな世界なのか、私は徹底的に解明したいと思っております。

 え? もう答えはわかっている? 

 賢明なる読者諸兄姉のそのご推測はおそらく大正解のはずではありますが、よろしかったらもうしばらく、高見の見物をお楽しみいただければと思います。

 さあもう少し寝てこよう。いやいや。きょうは京都へお酒を飲みに行かなければなりません。いやはや。


●9月21日(日)

 四人の女子高生による間奏曲

 京都は雨でした。

 先週放映された高名なテレビ番組「トリビアの泉」で高得点ならぬ高得へぇを獲得したという池田屋跡のパチンコ店を見学したあと、私は知人とがんこ三条本店にのたくり込みました。

 それにしても、私は視聴していなかったのですが、つまりこれはきのう会った知人から聞かされた話なのですが、

 「新撰組の襲撃で知られる池田屋の跡は、パチンコ屋になっている」

 というトリビアがどうして高得へぇを叩き出すことができたのか、私にはいまだによくわかりません。そんな程度のトリビアなら、たぶんいくらだって出てきます。

 江戸川乱歩の生誕地は、狸の便所になっている。

 横溝正史の生誕地は、特定されていない。

 やっぱりいくらでも出てきます。みなさんもお考えください。きっととめどもなく出てくることでしょう。

 たたずまいは大阪の店とかなり異なっているものの、出てくる酒や肴の価格は大阪と同じだという(この点、お店のお姉さんに確認いたしました)がんこ三条本店で昼間からいい加減に酔っ払った私は、店を出て知人と別れ、最寄りの駅へふらふらと歩きました。

 雨はしとしとと降りつづいています。

 京阪電車の駅にたどりついて、私は階段を降りました。

 切符販売機の前には制服姿の女子高生が十人くらい寄り集まり、何の屈託もない風情でにぎやかに場所ふさぎをしています。邪魔なガキどもだなと思いながら、私は京都駅までの運賃を確認するべく路線図を見あげました。

 ありません。見当たりません。その路線図に京都駅が書かれていないという事実に、私は愕然として気がつきました。天に駈けたか地に潜ったか、何度眺め直しても京都駅はどこにも見つかりません。

 ふと見ると、さっき十人ほどだった女子高生はいまは四人に減っており、それでも何が嬉しいのか、じつに愉しそうに話をつづけています。私は近寄って声をかけました。

 自分は京都駅まで行きたいのであるが、この路線図にはなぜ京都駅が書かれていないのか。

 女子高生、大爆笑。

 君たちが大笑いする気持ちはよくわかるが、困っている人間がいたら手をさしのべてやるのが人の道というものである。

 私の説教で人の道に目覚めた四人の女子高生は口々に説明を始めてくれましたが、

 「あっちにはタクシー乗り場もありますよ」

 というアドバイスを私は受け容れることにしました。

 君たちは西も東もわからない酔っ払いがそのタクシー乗り場まで無事にたどりつけると思うのか。困っている人間がいたら手を……

 私の説教を聞き終わる前に、四人の女子高生は私を先導するべく軽やかに歩み始めていました。私はふらふらとあとにつづきました。

 ふたたび地上に出ると、広い通りが目の前を横切っています。その通りを右に行くと京都駅があると、女子高生たちは教えてくれました。しかしタクシー乗り場などどこにも見当たらず、目の前を走るのは京都駅とは反対の方角に走る自動車です。

 それまでの短い経験から、女子高生たちは早くも要領を飲み込んでくれたようです。信号が青になるのを待ち、私を先導して道路を横断してくれました。

 おかげでようやく京都駅方向への車線に面することができましたが、交差点のなかですからタクシーをつかまえるのは至難のことです。と、

 「あ。こっちで」

 声を出した女子高生の一人が、交差点を左折して京都駅方向へ向かう車両の列に手を挙げました。めざとくそれを見つけた一台のタクシーがウインカーを点滅させながら交差点を折れ、私の前を通り過ぎて停車スペースに停まりました。

 世話になった。礼を申す。さらばだ。

 私は女子高生たちに別れを告げ、タクシーに乗り込んで、「京都駅。近鉄側の出口」と命じました。

 走り出したタクシーの窓からふと外を見ると、降りつづく雨のなか、四人の女子高生は寄せ合った身をガードレールから乗り出すようにして、白く細い腕を私に向かって振っています。

 私は雨で曇ったウィンドウ越しに、皇族のように手を振ることで彼女たちに応えました。

 雨はどこか幸福そうな静謐さで、九月の京都に烟るように降りつづけていました。

 そういった次第で、京都の女子高生のあいだでも絶大な人気を誇りながら三重県のお役人衆には圧倒的に不人気なこの私は、きのうの朝「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業事務局長にお送りしたメールをさっき読み返して、心が小さく疼くのを覚えました。

 いかんなあ。俺はずいぶん投げやりになってる。それはまあ、あんな回答を読まされたのだから投げやりになるのも無理からぬ話かもしれんが、俺はより誠実であるべきであった。知事の不誠実を非難する人間が自分も不誠実では話にならぬ。

 そこで私はあすあたり、事務局長から頂戴した回答へのより誠実なお答えをメールでお送りしようと決意した次第です。

 ではまたあした。


●9月22日(月)

 酔っ払いと女子高生の心温まる交流を描いたインテルメッツォをお愉しみいただきましたあとは、例によって例のごときお役所叩きとあいなります。不快にお感じの向きもおありかもしれませんが、心優しい女子高生に免じてご海容いただければ嬉しく思います。

 さて、私がけさ送信したメールは次のとおりです。

安藝政比古様

 何度もお手数をおかけして申し訳ありません。下記の文面を「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業事務局長の木戸博さんにお読みいただきたく、よろしくお願い申しあげます。

木戸博様

 二十日付のメールでは失礼いたしました。ご回答を拝読し、俗に申しますところのむかっ腹を立てた状態で返信をしたためましたので、当然求められるはずの配慮を忘れる結果となりました。せっかくお答えをたまわりましたのに、その内容を頭から否定するような返書となりましたことをお詫びいたします。

 いささか傲慢に過ぎ、誠実さに欠ける態度であったと反省しております。身勝手で厚顔無恥なお願いなどできる筋合いのものではないことは重々承知しておりますが、ご寛恕のうえひきつづきご高誼を頂戴できればまことにありがたく存じます。失礼の段、重ねてお詫び申しあげます。

 さて、先のご回答に関して、あらためてお訊きいたします。「この事業につきましては、次のような3カ年計画で進めることについて包括的な承認を得て進めているものです」とご説明いただいた点に関する質問です。

 このご指摘の根拠は、いったいどこにあるのでしょうか。こうした場合、いつ、どのような場で、誰によってこの三か年計画が承認されたのかをお示しにならず、ただこういうふうに決まっていると指摘していただくだけでは、ご説明は説得力というものをいっさい持ち得ません。私はまったくの部外者ですから、事情を知らない部外者にも理解が届くご説明をお願いいたします。

 もうひとつ、「包括的な承認」とおっしゃるのは、事業の計画と予算が正式に決定する以前に事業内容をPRすることを、三重県ならびに伊賀地域七市町村の各議会が認めたということなのでしょうか。議決を経ることなくPRしてもよいという裏取引めいた承認を与えていたのであれば、これら八議会は自殺行為を行ったと申しあげるしかありません。

 上記の所見に基づき、以下に三点の質問を記します。よろしくお取り計らいくださいますよう、お願いいたします。

 一) 「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業の三か年計画は、いつ、どのような場で、誰によって決定されたのか。決定時の議事録を公開するよう要請する。公開は可か、不可か。

 二) 三か年計画のうちの平成十五年度事業「平成十六年の実施予定事業の広報」は、三重県ならびに伊賀地域七市町村の各議会の承認を得ているのか、得ていないのか。得ていない場合は、承認を得る必要はないと判断しているのか。

 三) 事業推進協議会の三回にわたる会合の議事録を公開するよう要請する。公開は可か、不可か。

 以上です。

 これは二〇〇四伊賀びと委員会の辻村勝則会長への質問にも記したことですが、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」は、何よりも公開性を第一義として実施されるべき事業であると愚考いたします。しかるに現実はその正反対で、事業準備は官公庁における一般的手法そのものの密室性のなかで進められています。少なくとも私には、そのように見受けられる次第です。

 パンフレット配布の件に関して申しましても、先日来指摘しております手続き上の不備以上に大きな問題が、ここには存在しています。それは、二〇〇四伊賀びと委員会が、今年三月末に事業実施計画案を発表するという地域住民との約束をいっこうに果たそうとせず、そのいっぽうで決定もしていない事業計画のPRを開始するという矛盾した活動を行い、しかも委員会自身がその矛盾に何の疑問も感じていないらしいことです。委員会は地域住民を無視し、三重県庁や伊賀県民局だけを見て準備作業を進めているように思われます。これは明らかに信義に悖る行為です。

 かりにこのまま、事業実施計画案が地域住民に公表されないまま事業推進委員会に提案されてしまえば、それは地域住民に対する手ひどい裏切り行為となってしまいます。辻村さんには実施計画案と計画案策定過程をともども公表していただくようお願いしている次第ですが、実施計画案以前に事業そのものの公開性を高めることが必要であることは論を俟ちません。上記の質問で議事録の公開をお願いした所以です。

 議事録公開のためには事業推進委員会の会長である野呂知事の判断を仰がねばならず、場合によっては推進委員会を開催していただく必要も出てくるかもしれませんが、それは会長なり委員会なりが当然果たさねばならぬ責務であると確信しております。その責務を果たそうとしないのであれば、何度も指摘してまいりましたとおり、事業推進委員会が単なる形骸に過ぎぬことが証明されてしまうことになります。公開のためのお骨折りをたまわりますよう、心からお願い申しあげる次第です。

 毎度質問とお願いばかりで恐縮しております。ご多用中お手数をおかけいたしますが、なにとぞよろしくお願いいたします。

2003/09/22

 ま世の中、どこの馬の骨とも知れぬ酔っ払いの問いかけにきちんと答え、その酔っ払いが無事タクシーに乗り込むまでを見届けてやる女子高生もあれば、地域住民の真摯な問いかけにいっさい耳を藉そうとせず、たちの悪い犯罪者のごとき完全黙秘でその場をやり過ごそうとする知事もいるってこってすか。

 こーなりゃいっそそこらのジョシコーセーに知事やってもらったほーがいーんじゃねーのー、なんてことおっしゃってはなりません。


●9月23日(火)

 二〇〇四伊賀びと委員会の会長さんと「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業事務局の局長さんからは、まだ回答をいただいておりません。

 野呂昭彦さんとかおっしゃる三重県知事からは、天と地がひっくり返るようなことがあっても回答はいただけないのではないかという気がしてきました。むごい話です。

 私の願いはただひとつ、どうぞこれ以上私を怒らせないでおくれということだけなのですが、もしも私がこれ以上怒ってしまったら、騒動は三重県と伊賀地域七市町村の各議会事務局ならびに伊賀地域選出県議会議員をも巻き込んで、いよいよ風雲急を告げてしまうことになるでしょう。

 いやいや。そんなけちなこといってないで、いっそのこと七市町村の首長七人にまで飛び火させてしまいましょうか。どうせ連中も事業推進委員会のメンバーです。まとめて面倒見てさしあげたっていいんです。知事と市町村長のいったいどっちが地域住民に対して誠実なのか、七人の首長にメールをお送りして確認してみましょうか。

 いやいや。いやいやいやいや。あまり先走ってはいけません。ただまあ何と申しますか、実際に放つかどうかは私にもわかりませんが、二の矢三の矢はいつだって番えてあるという寸法です。「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業関係者のみなさん。みなさんがいま相手にしていらっしゃるのがどういう人間なのか、いくら血の巡りのよろしくないあなた方でもそろそろお気づきのことと拝察いたします。心しておつきあいください。

 しかしたまには乱歩の話もしなければなりません。8月31日に「乱歩という作家にとって改訂とはいったいどういう行為であったのか、みたいなことを悠長に書き綴っている場合ではなくなったのかもしれません」と記したきりでご無沙汰していた話題に戻ります。

 簡単に申しあげてしまいますと、乱歩という作家にとって改訂とは、達成や完成を求めるための行為ではおそらくありませんでした。同時代に通用する商品として自作を市場に流通させるための作業でした。私はそのように考えております。

 と書いただけであっけなく終わってしまいました。こんなことでいいのかしら。


●9月24日(水)

 乱歩作品の改訂は桃源社版全集におけるそれが広く知られていますが、昭和10年発行の『石榴』(柳香書院)でも、収録された「心理試験」と「陰獣」の二作品には乱歩自身の手で筆が加えられています。

 県議会議長には何ガバス

 なんてこと書いててもどうも落ち着きません。妙な体質になってしまったのかもしれません。そこで本日は三重県議会の議長さんにこんなメールをお送りして、心の平安を取り戻した次第です。

中川正美様

 はじめてメールを拝呈いたします。名張市の中と申します。平素は県勢進展のためにご尽力いただき、県民の一人として厚くお礼を申しあげます。おりいってご教示をたまわりたいことがあり、失礼ながらメールで質問させていただく次第です。

 定例会開会中のご多忙な時期であることは承知いたしておりますが、ご返事を頂戴できればまことにありがたく存じます。来年度、伊賀地域を主会場として実施される予定の県事業「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」に関する質問です。

 同事業は、官民合同による二〇〇四伊賀びと委員会が実施主体となって事業実施計画案をまとめ、今秋開かれる予定の同事業推進委員会(会長=野呂昭彦知事)がその計画を承認、さらに県および伊賀地域七市町村の各議会が来年三月の定例会で予算案を可決して、事業内容が正式に決定されることになっております。

 しかるに、今年三月に発表される予定だった事業実施計画案がいまだに発表されていないにもかかわらず、二〇〇四伊賀びと委員会は来年度の事業内容を紹介するパンフレットを作成、事業のPRを開始しております。いまだ計画も予算も正式決定を見ていない事業を既定のものとしてPRすることには、手続きのうえで小さからぬ不備があると判断される次第ですが、貴職のご見解はいかがなものでしょうか。

 むろん同事業には、事業実施計画案の公表をなおざりにしたままで事業内容のPRを開始した点にも大きな問題が存在しておりますが、貴職には同事業と県議会との関係に問題を限定して質問させていただきたく存じます。

 来年三月の県議会定例会で正式に決定される事業をいまから既定のものとしてPRすることに、手続き上の問題はないのでしょうか、あるのでしょうか。

 私個人はこのパンフレット配布には手続き上の問題があると考え、二〇〇四伊賀びと委員会にも事業推進委員会にもその旨をお伝えしている次第ですが、後学のため議会関係者の方のお考えをお聞かせいただきたく、勝手なお願いを申しあげている次第です。

 なお、ご回答は三重県議会議長のご見解として当方のホームページ(http://www.e-net.or.jp/user/stako/)で公開させていただきたく、あらかじめご了承いただきますようお願いいたします。

 ご多用中、唐突に勝手なお願いを申しあげて恐縮しております。当方の意をお酌み取りのうえ、よろしくご回答をたまわりますようお願い申しあげます。

参考:二〇〇四伊賀びと委員会のパンフレット(A4サイズ)
http://www.e-net.or.jp/user/stako/Images/DE-200311.jpg
http://www.e-net.or.jp/user/stako/Images/DE-200312.jpg

2003/09/24

 二の矢は意外な方向に飛んでゆく仕儀となりました。いや、二の矢としてはこれがむしろ順当か。今秋に予定されている(もう今秋なわけですけど)事業推進委員会までにあたう限り手を尽くしてできるだけ白黒をはっきりさせておきたいなと、私も結構本気です。

 さて、地域住民の真摯な問いかけに対して県議会議長からは誠実なお答えがいただけるのかどうか。

 あなたどっちに何ガバス?


●9月25日(木)

 二〇〇四伊賀びと委員会の辻村勝則会長。

 事業推進委員会の野呂昭彦会長。

 事業推進委員会の木戸博事務局長。

 三重県議会の中川正美議長。

 以上四人の方の回答はまだ頂戴できておりません。お送りした質問は簡単明瞭、すぐにもお答えがいただける内容を心がけたつもりなのですが、みなさんいったいどうなさったんでしょうか。

 それにしても、私はさすがにうんざりしてきました。だんまり決め込むしか能のない莫迦を相手にしているのがいい加減あほらしくなってきました。

 むろん知事だの県職員だの県議だの、そういった連中の程度の悪さならとっくの昔に見切っておりました次第ですが、二〇〇四伊賀びと委員会にもそろそろ見切りをつけるべき時期なのかもしれません。

 こら。二〇〇四伊賀びと委員会のうすらとんかちども。民間委員のいかれぽんちども。俺がこれほどいってもまだわからんのか。おまえら官に取り込まれてお役所の手先になりさがったのか、それともあくまでも民の立場にとどまりつづけているのか、それをはっきりしろというのだ。おまえらにはそうする義務があるというのだ。そのために事業実施計画案を早く発表しろというのだ。事業推進委員会の会長である野呂知事も招いて住民説明会を開催しろというのだ。知事を吊しあげてぼこぼこにしてさしあげるのは俺に任せておいていいから、おまえらはとにかく地域住民に対する責任をまっとうしろというのだ。まだわからんのかこの莫迦ども。

 みたいな啖呵は、辻村さんのお答えをもうしばらくお待ちしてからのことにしましょうか。

 それにしてもほんとにうんざりしてきました。


●9月26日(金)

 本日は二〇〇四伊賀びと委員会のオフィシャルサイトに下記のメールをお送りしました。

担当者様

 どうもお世話さまです。お願いの儀があり、メールをお送りいたします。お聞き届けいただければ幸甚です。

 お願いは下記の三点です。

 一点目は今秋開催の伊賀学講座に関してですが、二〇〇四伊賀びと委員会蔵びらき組の池澤基善組かしらから十一月八日、上野ふれあいプラザで開かれる講座の講師を担当するようご依頼を頂戴しております。

 伊賀に関わる「人」をとりあげよとのことでしたので、テーマを「江戸川乱歩と情報発信」と定め、貴委員会オフィシャルサイトでもアナウンスしていただいている次第ですが、伊賀地域により深い関わりをもち、より今日的な意義をもった内容とするべく、テーマを「野呂昭彦知事と情報発信」に差し替えたいと考えております。

 ご多用中まことに恐縮ですが、いまからでもテーマ変更が可能なようでしたら、ぜひご手配をいただきたいと思います。もしも差し替えが不可能なのであれば、既定のとおり「江戸川乱歩と情報発信」とのテーマで講師を務めます。

 二点目、二〇〇四伊賀びと委員会の辻村勝則会長にお送りした質問の件に移ります。まことに失礼なことをお訊きいたしますが、あの質問は辻村さんにお渡しいただけたのでしょうか。辻村さんからは文章の形でお答えを頂戴するお約束をいただいておりますので、念のために確認いたしたく思う次第です。

 辻村さんにご連絡いただいて、もしも何らかの事情で回答できないとおっしゃるのであれば、恐れ入りますがその旨をお知らせくださいますようお願いいたします。

 三点目、これは「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業事務局の木戸博局長にお訊きするべきことなのですが、木戸さんからはご返答が頂戴できないような気がいたしますので、もしもおわかりでしたらご教示をたまわりたいと思います。今秋開催予定という事業推進委員会に関してなのですが、その会合はいつ、どこで開かれるのでしょうか。

 事業に関して会長や事務局長に質問をお送りしてもはかばかしいお答えが頂戴できませんので、できればその会合に出席させていただき、事業に関する当方の考えを述べたうえで委員各位のご見解をうかがいたいと考えております。委員会出席の件はあらためて事業推進委員会事務局にお願いしなければなりませんが、とりあえず日程を確認いたしたく思っております。

 以上、伊賀学講座のテーマ変更、辻村会長の回答、事業推進委員会の日程、という三点に関してお願いを記しました。お聞き届けいただけるのかどうか、お手数ですがお知らせをたまわりますようお願い申しあげます。

 いつも勝手なお願いばかりで心苦しく思っております。ご高配をいただきますよう、重ねてお願いいたします。

2003/09/26

 こんなことばかりやっております。


●9月27日(土)

 伊賀びとファイナルアンサー

 二〇〇四伊賀びと委員会の辻村勝則会長から、先にお送りした質問へのお答えをいただきました。内容は次のとおり。

中相作さま

2004伊賀びと委員会の辻村です。先日は、お忙しい中ご無理をお願いして申し訳ございませんでした。楽しい酒席になったことにお礼を申し上げます。又、中さまからの返事が遅れましたことについてはお詫びを申し上げます。

さて、以下の質問をいただいておりますのでお答えをさせていただきます。

一) 事業実施計画案は一般に公開されるのか、公開されることなく事業推進委員会に提案されるのか。もしも公開されるのであれば、その手法はどのようなものか。公開手法のひとつとして、野呂昭彦推進委員会長も出席する住民説明会を開催する考えはないか。

事業実施計画案は一般に公開をさせていただきます。公開をせずに事業推進委員会には提案をしません。公開の手法については、プレス発表を考えております。時期については現在検討中ですが、10月早々には発表をします。又、ホームページ上でも公開をしますが、工事が遅れていることもあり時期を回答できません。次に住民説明会ですが、申し訳ありませんが開催をする予定をしておりません。計画策定の経過については、当委員会の発足時点から現在までの議事録を順次HP上で公開をします。中さまよりご指摘をいただいています情報公開は私も大きな柱として考えていますし、それが実施されていないことが問題だと認識をしています。

二) 現時点で事業内容をPRするパンフレットを配布することに、手続き上の問題はないと考えるか、あると考えるか。あると考える場合には、どのような対処法を実施するか。

事業確定は、議会で承認をいただいて決定だという手順は当然のことだと思います。今回配布のPRパンフレットは、決定した内容を掲載したのではなくあくまで予定であり、来年度のイメージであると考えています。予算も決定していないのに、来年の事業はこれですとは言えませんから。プレの年として来年にイベントがありますというPRのツールだと思っています。尚、今回公開させていただきます実施計画案も含めて、来年はこれらの事業をするという強い意志で臨んでいますし是非、議会で決定をしていただきたいと思っています。

ご質問をいただきながら、稚拙なご返答になって申し訳ございません。重要なことは公開性、透明性と理解しながら至らぬ結果になっています。「公開を早くやれ」と中さまからエールをいただいたことを糧に進めて行きたいと思っています。今後とも宜しくお願い申し上げます。遅くなりましたが、11月の伊賀学講座を宜しくお願いいたします。又、楽しいお酒などご一緒できれば幸いです。

 私の返信は次のとおり。

辻村勝則様

 お忙しいところご回答をたまわり、ありがとうございました。お手数をおかけいたしました。明快なお答えを頂戴できて、嬉しく思っております。

 事業実施計画案の発表につきましては、先日お目にかかりましたおり、この事業における公開性の重要さを充分認識していらっしゃることは当方にもよく理解できましたので、いずれ公開していただけるだろうとは思っていたのですが、官民合同の作業にはどこからどんな横槍が出てくるか窺い知れないところがありますので、委員会外部の人間が質問することも発表への道を開く一助になるかと僭越なことを考え、敢えてお訊きした次第です。

 住民説明会に関しましては、当初の日程にも挙げられていなかったことですから、いまから開催を要請するのはかなり無理な話ではあるのですが、実施できればそれに越したことはないと判断されますし、なんとかさんとおっしゃる能なしを引きずり出し、地域住民の前で吊しあげてぼこぼこにしてさしあげたいなとの穏やかならぬ狙いもありましたので、開催を要望した次第です。開催する予定はないとのお答えは、謹んで承りました。

 パンフレットの配布に関するお答えは、辻村さんのご見解として承っておきますが、私にはやはり、あのパンフレットは決定もしていない事業をPRする内容であると判断される次第です。その点、当方の見解としてご承知おきいただきたいと思います。もっとも、お考えそのものは明瞭にお知らせいただきましたので、パンフレットに関してこれ以上お訊きすることはいたしません。あとは事業推進委員会の会長、事業事務局の局長、県議会の議長、以上お三方の回答を拝見してから、パンフレットに関して当方になすべきことがあるかどうかを考えたいと思います。

 二〇〇四伊賀びと委員会の会長として、真摯なご回答をお寄せくださったことにあらためて感謝申しあげます。事業実施計画案を公開すれば、地域住民に対する最低限の責任はまっとうできたことになると考えます。むろんまだ計画案ができただけの話で、この先には越えなければならぬ山や谷が数多く待ち構えているわけですが、存分に腕を揮っていただきたいと思っております。

 私はこの事業に対して決して好意的なわけではないのですが、事業の本質や辻村さんのご苦労はある程度理解できているつもりでおります。事業の批判するべき点は今後も批判してゆきたいと思いますが、私の批判にはすべて私という個人の温かい血が流れております。行政機構という冷酷なシステムの一部と化して発言することしかできない公務員のみなさんとは、その点で決定的に違っております。お役人よりは遥かに頼りになる人間であると自分では思っておりますので、事業に対する批判は批判として、何かお力になれることがあれば遠慮なくお申しつけください。

 それから次回の大宴会の件ですが、せっかく上野にお邪魔するのですから、十一月八日の伊賀学講座のあと、会場近くの適当な店で盛りあがりたいと考えております。できれば委員会のみなさんとも膝を交えてお近づきをいただきたいのですが、ご都合はいかがでしょうか。ご高配をいただければ幸甚です。お手数ばかりおかけいたしますが、よろしくお願い申しあげます。

2003/09/27

 まあ本日はこんなところで。


●9月28日(日)

 本日は二〇〇四伊賀びと委員会のオフィシャルサイトに下記のメールをお送りいたしました。きのう送信するべきだったのですが、うっかりしていて遅くなった次第です。すまなんだな関係者諸君。

担当者様

 お世話さまです。辻村さんから回答のメールをお送りいただきました。失礼なことをお訊きして申し訳ありませんでした。お詫び申しあげます。

 野呂さんにしても木戸さんにしても中川さんにしても、善良な地域住民の質問にだんまりを決め込んだままでいらっしゃいますので、この連中はそも何様であろうか、人の質問に答えたら天罰がくだるとでも思っているであろうか、それともただの莫迦なのであろうか、などといつのまにか疑心暗鬼に陥っていたようです。勝手なことを申しあげて恐縮ですが、ご寛恕いただければと存じます。

 辻村さんからは、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業の実施計画案と委員会の全議事録をホームページで公開するとお知らせいただきました。事業の公開性を高めるのはきわめて重要なことで、更新のお仕事が増えて大変だろうとはお察しいたしますが、よろしくお努めいただきますようお願いいたします。

 残り二件、伊賀学講座のテーマ変更と事業推進委員会の日程に関しましては、お忙しいところ恐縮ですが、ひきつづきよろしくお願い申しあげます。

2003/09/28

 それではまたあした。


●9月29日(月)

 漫才師の夢路いとしさんが逝去されました。

 朝日新聞の訃報から引いておきます。

しゃべくり兄弟漫才の夢路いとしさん死去

 「いとこいさん」の愛称で親しまれ、豊かな大阪弁を生かした、しゃべくり漫才で人気を集めた兄弟コンビ「夢路いとし・喜味こいし」の兄、夢路いとし(ゆめじ・いとし、本名・篠原博信=しのはら・ひろのぶ)さんが、25日午前0時35分、自然気胸に肺炎を併発し死去した。78歳だった。

(09/29 00:22)

http://www.asahi.com/obituaries/update/0928/001.html

 ご冥福をお祈りいたします。

 本日はこれだけです。


●9月30日(火)

 9月も晦日となりました。ここらで整理しておきましょう。

 「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業推進委員会の野呂昭彦会長には、二〇〇四伊賀びと委員会によるパンフレット配布が正当なものであるかどうかをお訊きしております。

 いまだ回答はありません。

 同事業事務局の木戸博局長には、事業三か年計画決定時の議事録公開、同計画平成十五年度事業「平成十六年の実施予定事業の広報」における県議会の承認、事業推進協議会の議事録公開についてお訊きしております。

 いまだ回答はありません。

 三重県議会の中川正美議長には、二〇〇四伊賀びと委員会によるパンフレット配布を正当なものと考えるかどうかをお訊きしております。

 いまだ回答はありません。

 二〇〇四伊賀びと委員会オフィシャルサイトには、私が担当する伊賀学講座のテーマを「野呂昭彦知事と情報発信」に変更することの可否と事業推進委員会の日程に関してお訊きしております。これは本来なら木戸博事務局長に質問するべきことですが、上記の質問にいまだにお答えを頂戴できない状態なので、とりいそぎオフィシャルサイトにメールを送信した次第です。

 いまだ回答はありません。

 現時点では、私の質問にまともな回答をお寄せくださったのは二〇〇四伊賀びと委員会の辻村勝則会長ただお一人となっております。

 二〇〇四伊賀びと委員会のみなさん。みなさんがいくらいかれぽんちでもすっとこどっこいでもあんぽんたんぽかんでも、くそったれ公務員やぼんくら議員など何の頼りにもならぬということがよくおわかりでしょう。

 事業推進委員会はみなさんをフォローし支援するための組織だということになっておりますが、実態はそんなものではありません。すべてのお役所仕事がそうであるとおり、この委員会のお仕事もまたお役所の都合を地域住民に押しつけることでしかありません。

 お役所の都合を押しつけられてへこへこ引き下がることしかできぬ人間が、一人前に地域住民の代表面などするものではないわこの慮外者ども、と申しあげておきましょう。少しはものの道理というものもわきまえて、立派な人間になってくださいね。

 といったところで小考いたしますに、どうやら野呂さん木戸さん中川さんのだんまりトリオからは永遠にお答えをいただけないようです。もしも回答があったとしたら、それこそ晦日に月が出るようなものでしょう。どいつもこいつもそんなことじゃ立派な人間にはなれぬぞ、と申しあげておきましょう。

 しかしあれか。よく考えてみるときょうは晦日か。9月はきょうでおしまいか。

 いやまいったな。これはまいったな。決定的にまいってしまったな。早ければ9月中にお届けできると関係各位にお知らせした『江戸川乱歩著書目録』がまだできあがってこないではないか。あんなもの二十日もあれば楽勝で印刷製本が完了するであろうに、いったいどうしたというのだ。それはまああの印刷屋さんなら何があっても不思議ではないわけだが、しかしそれにしても。

謹 告

 早ければ9月中に完成すると見込まれておりました名張市立図書館の江戸川乱歩リファレンスブック3『江戸川乱歩著書目録』は、あんまり早くない状態で印刷製本作業が進められているようです。もうしばらくお待ちください。どうもとんだことで申し訳ありません。大乱歩の百九回目のお誕生日までには、よほどのことがない限りお届けできるはずです。刮目して待たれよ。

カリスマ拝

 別に9月晦日に間に合わなくたって、10月1日でも遅すぎない、という寸法です。しかしフレッド・ホイルなんて、きょうびのお若い衆はまったくご存じないでしょうか。

 ついでにもうひとつ謹告です。本ページ左側に縦に並んだコンテンツもぼちぼち更新しております。よろしくどうぞ。