2003年10月

●10月1日(水)

 懐かしの10月、いつの年も末ちかくあらわれる金木犀の月を迎えました。大乱歩のお誕生日ももうすぐです。

 お知らせを二件。

 一件目。二〇〇四伊賀びと委員会事務局蔵びらきグループから、伊賀学講座のテーマ変更についてお答えをいただきました。すでにホームページ、チラシ、新聞などで講座の広報がなされており、それを見て参加を申し込んだ人もあるため、いまからテーマを変更することはできないとのことです。圧倒的にまっとうなお答えだと思います。野呂昭彦知事には涙を呑んでご退場いただき、既定どおり「江戸川乱歩と情報発信」とのテーマで講師を務めます。

 二件目。二〇〇四伊賀びと委員会の辻村勝則会長からメールをいただき、11月8日の伊賀学講座のあと大宴会を開催していただくことになりました。会場その他の手配は委員会に丸投げいたしました。まるでどこかの知事みたいな話です。委員会のみなさんもそうでないみなさんも、どうぞお気軽にご参加ください。

 といったところで告知しておきます。

伊賀学講座秋の陣

 秋陣営の霜の色、鳴き行く雁の数見せて、二〇〇四伊賀びと委員会が十八万伊賀地域住民にお送りする伊賀学講座が近づいてまいりました。秋講座の陣立ては次のとおり。

第一陣 10月29日(水)
  会場ふるさと会館いが(伊賀町)
  講師福井健二先生
      伊賀文化産業協会専務理事
      伊賀上野城城代家老
 テーマ中世城館と天正伊賀の乱

第二陣 11月8日(土)
  会場上野ふれあいプラザ(上野市)
  講師サンデー先生
      名張市立図書館カリスマ嘱託
 テーマ江戸川乱歩と情報発信

第三陣 11月15日(土)
  会場伊賀くみひもセンター(上野市)
  講師廣澤浩一先生
      伊賀上野観光協会会長
 テーマ伝統工芸組紐と組紐の魅力

 受講料は三回で五〇〇円、受講申し込みは10月17日締切です。詳細はこのページでご確認ください。


伊賀学講座秋の陣開催記念大宴会

 植うる剣に照りそいし、むかしの光いまいずこ、伊賀学講座秋の陣第二陣を記念して大宴会を開催いたします。

日時11月8日(土)午後3時過ぎごろから
会場不詳
会費不明
予約不要

 何の告知にもなっておりませんが。

 私の場合、人前でお話をするときは内容よりも受けを重視することになっておりまして、近い例ではあれはいつでしたか、たしか8月下旬のことでしたが、名張史友会という団体から講師を依頼されて一時間半ほど乱歩について喋る機会がありました。さすがに私が講師を務めるとなるとえらいもので、あとでお聞きしたところではいつの例会にも増して女性の受講者が多かったそうなのですが、とにかく勇み立った私は乱歩生誕地碑の土地所有者であった開業医のM田先生はあそこが大きかった、みたいなトリビアを連発しておおきに顰蹙を買ってしまいました。

 二〇〇四伊賀びと委員会のみなさん。いったいどうなることでしょうか。


●10月2日(木)

 いや困ったもんだ困ったもんだ。

 三重県庁の責任回避体質にはほんとに困ってしまいます。県議会のぼんくら議員のみなさんはものの道理というものをしかとは弁えていらっしゃらないかもしれませんから、不肖わたくしちょこっと指摘しておくことにいたしましょう。

 こちらは環境先進県

 伊勢新聞のホームページから引きます。

北川前知事の責任問わずRDF貯蔵タンク爆発事故

 県議会九月定例会は三十日、本会議を再開し、舟橋裕幸(新政みえ、津市)、木田久主一(自民・無所属、鳥羽市)、大野秀郎(新政みえ、多気郡)、中森博文(自民・無所属、名張市)の四議員が一般質問した。この中で、ごみ固形燃料(RDF)焼却・発電施設の貯蔵タンク爆発事故に絡んで、同事業を実質的に推進してきた北川正恭前知事の責任問題について、野呂昭彦知事は「前知事への指摘があるのなら、それは私自身の問題と考える」と述べ、継続する行政の性格上、北川前知事の責任は問わない考えを示した。

2003/10/01

http://www.isenp.co.jp/news/_2003/1001/news01.htm

 莫迦なんでしょうかこの知事は。前知事の責任を問わなくていったいどうするの。「私自身の問題」と考えていただくのは結構なんですが、そもそも事情というものが何ひとつおわかりになっていない現知事が何をどうお考えになったところで何の解明にもつながらんではないか。

 「環境先進県」などと舞いあがって安全面への配慮を怠ったままあんな愚かな施設をつくったのは、まぎれもなく前知事です。どうしてそんな軽挙に走ったのか、なぜこんな結果を招いたのか、それをみずからすべて明らかにし、こんな愚かしい事故が二度と起こらないように努めるのが前知事の責任というものです。そうでなければあの消防士二人の死は、まったくの犬死にということになってしまいます。

 それがどうですか現知事は。何を考えてるんですかこの知事は。おまえに何がわかるというのだこの唐変木。おまえには逆立ちしたって事故の責任なんか取れないというのだこの冬瓜野郎。面洗って出直してこい。

 ところで二〇〇四伊賀びと委員会のみなさん。「前知事への指摘があるのなら、それは私自身の問題と考える」と現知事はおっしゃってるわけです。この現知事は「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業推進委員会の会長でもいらっしゃって、この会長は私の質問に関して、口にこそ出さね態度において明らかに「会長への指摘があるのなら、それは事務局自身の問題と考える」と事務局への丸投げをつづけておいでです。

 ずるずるべたべたとなあなあ感覚の身内意識で関係性の連鎖をくりひろげ、結果として責任の所在を曖昧にしてしまう三重県庁の責任回避体質は、三重ごみ固形燃料発電所爆発事故にせよ「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業にせよ、あたかも金太郎飴のごとくどこを切ってもひとしく確認できるものであると申しあげておきましょう。

 それを結成することがまったく予告されていなかった事業推進委員会がいきなり組織され、その会長に知事が就任なさったとき、私はみなさんにおまえたちの自立性や主体性はどうしたのだと申しあげました。みなさんの、すなわち伊賀地域の自立性や主体性を曖昧にしようとする事業推進委員会に対して、みなさんは毅然として異議申し立てを行うべきであったと私は思っております。

 自立性や主体性を明確にしないことには、責任というものもまた明確になりません。お互いの知事としての自立性や主体性を重んじるならば、今回の事故における前知事の責任を明確にすることが現知事の責任であることは指摘するまでもありません。ところが何をいっておりますかあの莫迦は。「前知事への指摘があるのなら、それは私自身の問題と考える」だと? ふざけるのもたいがいにしろ。一度でいいから自分の頭でものを考え、自分の言葉でそれを表明してみろこの昼行灯野郎。

 しかしまあ、こんな情けない方が会長を務める事業推進委員会にすべての決定権を握られているというのがみなさん、二〇〇四伊賀びと委員会の現実の姿です。なんか歯がゆい話だなと私は思いますが、みなさんはいかがお考えでしょうか。

 いや困ったもんだ困ったもんだ。


●10月3日(金)

 本日はお知らせ一件。

謹 告

 名張市立図書館の江戸川乱歩リファレンスブック3『江戸川乱歩著書目録』は、おかげさまで10月10日ごろに出来あがってくる運びとなりました。

 素晴らしい秋空のもと東京オリンピックの開会式が挙行された昭和39年10月10日から数えれば苦節三十九年、関係各位のご協力とみなさんのご支援を得て、ここにようやく世紀の偉業が成ることとなりました。

 もうしばらくお待ちください。

カリスマ拝

 本日はこれにて失礼いたします。


●10月4日(土)

 昨日お知らせいたしましたとおり、名張市立図書館の江戸川乱歩リファレンスブック3『江戸川乱歩著書目録』もようよう完成の運びとなりました。私が名張市立図書館カリスマ嘱託として果たすべき最低限の責務は、これでなんとか果たせたことになります。刊行に伴う雑務が一段落したあとは、いよいよ名張市教育委員会相手に乱歩をめぐる最後の闘いを挑むことになっております。

 覚悟しとけよ、と教育長に伝えておいてくれ、と市立図書館長に伝えておきましたところ、まあ一度お酒でも、ということになりまして、今月22日水曜の夜に教育長その他の方々と酒席を囲む手筈を整えていただいたと、きのう連絡がありました。お酒なら喜んでおつきあいいたしますが、だからといって莫迦を叩く手は休めません。呵々。

 名張市教育委員会のみなさんはどうぞ覚悟しておいてください。

 いっぽう、三重県の莫迦のみなさんは相変わらずだんまりをつづけていらっしゃるわけですが、ここらでちょっと揺さぶっておこうかな、と考えて下記のメールをお送りしました。

安藝政比古様

 お手数をおかけいたします。何度も恐縮ですが、下記の文面を「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業事務局長の木戸博さんにお読みいただきたく、よろしくお取り計らいいただきますようお願い申しあげます。

木戸博様

 九月二十二日付メールでお送りいたしました三項目の質問へのご回答、まだ頂戴しておりません。ご多用のところ催促めいて申し訳ありませんが、ぜひお答えをたまわりたく、よろしくお願い申しあげます。

 それから、これは先日二〇〇四伊賀びと委員会のオフィシャルサイト宛メールでお訊きしたことなのですが、お答えがいただけず、また本来であれば貴職に質問するべき用件でありますので、事業推進委員会に関して新たに質問させていただくことにいたしました。

 先のメールに記した三項目の質問に今回の質問を加え、都合四項目、下記のとおりお尋ねいたします。

 一) 「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業の三か年計画は、いつ、どのような場で、誰によって決定されたのか。決定時の議事録を公開するよう要請する。公開は可か、不可か。

 二) 三か年計画のうちの平成十五年度事業「平成十六年の実施予定事業の広報」は、三重県ならびに伊賀地域七市町村の各議会の承認を得ているのか、得ていないのか。得ていない場合は、承認を得る必要はないと判断しているのか。

 三) 事業推進協議会の三回にわたる会合の議事録を公開するよう要請する。公開は可か、不可か。

 四) 次回の事業推進委員会はいつ、どこで開催されるのか。地域住民がそこに出席し、事業に関して意見を述べることは可能か。

 以上です。

 四点目の質問について補足しておきますと、私は最近、いや以前からそうなのですが、委員会メンバーである三重県知事や伊賀地域市町村長のみなさんはものの道理というものをご存じないのではないかと深い疑念を抱いておりますので、この事業の問題点を具体的に指摘することでみなさんに人並みの見識を身につけていただくお手伝いができるのではないかと愚考しております。貴職のご一存では決定できないことでしょうから、みなさんのお考えをご確認のうえ、お答えをいただければ幸甚です。

 よろしくお願い申しあげます。

2003/10/04

 二〇〇四伊賀びと委員会オフィシャルサイトへは下記のメールをお送りしました。

担当者様

 先日はわざわざメールをいただき、ありがとうございました。九月二十六日付メールでお送りしました質問の三項目目、事業推進委員会の日程につきましては、事業事務局長の木戸博さんにメールで質問いたしましたので、勝手ながらご放念いただければと存じます。いろいろお手数をおかけして恐縮しております。今後ともよろしくお願い申しあげます。

2003/10/04

 もひとついっときましょうか。三重県議会議長の中川正美さんへ、今回は中川さんのオフィシャルサイト宛にメールを一通。

中川正美様

 定例会開会中のお忙しい時期に申し訳ありません。九月二十四日に三重県議会事務局のメールアドレスにお送りした貴職宛メールでご挨拶申しあげた者です。何かの手違いでメールをお読みいただけていないのかと考え、貴職オフィシャルサイトに再送信申しあげる次第です。よろしくお願い申しあげます。

 以下が再送信分です。

中川正美様

 はじめてメールを拝呈いたします。名張市の中と申します。平素は県勢進展のためにご尽力いただき、県民の一人として厚くお礼を申しあげます。おりいってご教示をたまわりたいことがあり、失礼ながらメールで質問させていただく次第です。

 定例会開会中のご多忙な時期であることは承知いたしておりますが、ご返事を頂戴できればまことにありがたく存じます。来年度、伊賀地域を主会場として実施される予定の県事業「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」に関する質問です。

 同事業は、官民合同による二〇〇四伊賀びと委員会が実施主体となって事業実施計画案をまとめ、今秋開かれる予定の同事業推進委員会(会長=野呂昭彦知事)がその計画を承認、さらに県および伊賀地域七市町村の各議会が来年三月の定例会で予算案を可決して、事業内容が正式に決定されることになっております。

 しかるに、今年三月に発表される予定だった事業実施計画案がいまだに発表されていないにもかかわらず、二〇〇四伊賀びと委員会は来年度の事業内容を紹介するパンフレットを作成、事業のPRを開始しております。いまだ計画も予算も正式決定を見ていない事業を既定のものとしてPRすることには、手続きのうえで小さからぬ不備があると判断される次第ですが、貴職のご見解はいかがなものでしょうか。

 むろん同事業には、事業実施計画案の公表をなおざりにしたままで事業内容のPRを開始した点にも大きな問題が存在しておりますが、貴職には同事業と県議会との関係に問題を限定して質問させていただきたく存じます。

 来年三月の県議会定例会で正式に決定される事業をいまから既定のものとしてPRすることに、手続き上の問題はないのでしょうか、あるのでしょうか。

 私個人はこのパンフレット配布には手続き上の問題があると考え、二〇〇四伊賀びと委員会にも事業推進委員会にもその旨をお伝えしている次第ですが、後学のため議会関係者の方のお考えをお聞かせいただきたく、勝手なお願いを申しあげている次第です。

 なお、ご回答は三重県議会議長のご見解として当方のホームページ(http://www.e-net.or.jp/user/stako/)で公開させていただきたく、あらかじめご了承いただきますようお願いいたします。

 ご多用中、唐突に勝手なお願いを申しあげて恐縮しております。当方の意をお酌み取りのうえ、よろしくご回答をたまわりますようお願い申しあげます。

参考:二〇〇四伊賀びと委員会のパンフレット(A4サイズ)
http://www.e-net.or.jp/user/stako/Images/DE-200311.jpg
http://www.e-net.or.jp/user/stako/Images/DE-200312.jpg

2003/09/24

 以上が再送信分です。どうも失礼いたしました。

2003/10/04

 ところで不肖カリスマ、名張市教育委員会から来年3月まで名張市立図書館嘱託として任用する旨の辞令をいただきました。

辞   令

中   相 作

乱歩資料嘱託員として平成16年3月31日まで任用する
月額 80,000円 を支給する
図書館勤務を命ずる

 平成15年10月1日

名張市教育委員会

 やれありがたやありがたや。


●10月5日(日)

 きのう中川正美三重県議会議長のオフィシャルサイト宛にお送りしたメールが、なぜか舞い戻ってきてしまいました。「Mail Delivery System」からの「Undelivered Mail Returned to Sender」という英文の文書が添えられていて、Excite Japan の翻訳サービスを利用するとこんな和文が出てきました。

これはホストpo0.i-chubu.ne.jpの接尾辞プログラムです。

1つ以上の目的地に下に返されたメッセージを述べることができないかもしれないとあなたに通知しなければならなくて、私はすまなく思います。

一層の援助については、<郵便局長>のもとへメイルを送ってください。そのように行う場合は、この問題報告書を含めてください。

下に返されたメッセージから自分のテキストを削除することができます。

接尾辞プログラム<n-masami@i-chubu.ne.jp>:未知のユーザ:「n-masami」

 あー面倒だ面倒だ、と思って、三重県議会議長のオフィシャルサイト宛に回答を催促するのは中止しました。

 ところで昨4日の朝日新聞三重版に、「マニフェスト/必要性を訴え/北川前知事が講演」というベタ記事が掲載されていました。三重大学人文学部創設二十周年の記念行事として、前三重県知事の北川正恭さんが講演を行ったという内容です。最後の段落を引きましょう。

 講演後、多度町の三重ごみ固形燃料(RDF)発電所爆発事故について問われると「ノーコメント。場所が違う」とだけ言い残し、車に乗り込んだ。

 三重県議会のみなさん。みなさんのお役目がおわかりでしょうか。前知事は「場所が違う」から「ノーコメント」だとおっしゃってます。ふさわしい場を設ければ、ちゃんとコメントしていただけるということでしょう。その場を設定するのがみなさんのお役目です。県議会で前知事に証言していただきましょう。

 発電所つくったメーカーを呼び出して追及するのと同様に、発電所つくった知事を呼び出して追及する必要もあるということは、そこらの小学生にもわかってもらえる理屈でしょう。しかも現知事は前知事の責任をうやむやにしようとしているわけですから、県議会議員の先生方にしっかりしてもらわないと県民としては困るわけです。

 困るわけではありますけれど、三重県議会のぼんくら議員の先生方に何を期待しても仕方ないか。ぱーか。衆院選で必死になってろ。


●10月6日(月)

 本ページ左側に縦に並んだコンテンツをご覧ください。

 最上部に白い横文字が六行並んでおります。

 「reference」にカーソルをあてると文字の色が赤に変わり、その右側に「江戸川乱歩著書目録」「江戸川乱歩執筆年譜」「乱歩文献データブック」「江戸川乱歩年譜集成」というコンテンツが現れます。カーソルを移動させてクリックすると、それぞれのページにジャンプします。横文字部分は以下ほぼ同様。

 横文字の下には上から順に、「最新情報」「人外告知板」「A Glimpse of Rampo」「うつし世リンク」「番犬情報」が並んでおります。「人外告知板」以外は、タイトルをクリックするとそれぞれのページにジャンプすることになっております。

 本ページの「最新情報」は更新のお知らせ。「人外告知板」はちょっとしたお知らせ。「A Glimpse of Rampo」はちょこっと見かけた乱歩の名前のお知らせで、いずれ「A Glimpse of Rampo」のページに記載されることになるはずです(「A Glimpse of Rampo」はまだ「お」「た」の二ページしか存在しておりません。長い目でご覧ください)。「うつし世リンク」には新規リンク先やアドレス変更があったサイトを掲げております。「番犬情報」の更新は本ページの「最新情報」には記載いたしません。

 以上、9月14日の模様替えのときにお知らせ申しあげるべきところ、見りゃわかるだろと思って何の説明も加えませんでしたので、遅ればせながらこの機会にひとことご紹介申しあげた次第です。

 それではまたあしたから、お役所の莫迦を相手にした不撓不屈の闘いに邁進したいと思います。莫迦のみなさん待っててね。


●10月7日(火)

 莫迦がごたごたしてほんとに困ったもんです。

 日本道路公団の話ではありません。われらが伊賀地域ではこのところ、市町村合併に伴う議員身分の特例をめぐってまことに見苦しいすったもんだが連日のように日刊紙地方版をにぎわせております。

 本日付の報道を、中日新聞ホームページに掲載された太田鉄弥記者の記事から引用しましょう。

 上野市と阿山、名賀両郡5町村でつくる法定の伊賀地区市町村合併協議会(法定協)で、関係市町村議会が出した合併後の議員身分に関する案が否決されたことについて、対応策を検討していた協議会長の今岡睦之・上野市長は、6日開かれた市議会議員全員懇談会で、今週末に関係市町村の首長会を開き“最大公約数”の代替案の原案を作ることを明らかにした。今月23日の法定協で示す方針という。

http://www.chunichi.co.jp/00/mie/20031007/lcl_____mie_____009.shtml

 これだけでは何のことだかおわかりにならないかもしれませんが、要するに伊賀地区市町村合併協議会が迷走をつづけて地域住民を呆れさせたあげく、協議会の会長でいらっしゃる上野市長が「協議進行上の説明不足を認めた」り「後悔の念を述べた」り、目も当てられぬ醜態を演じてくださっているというわけです。

 しかしいつかもお知らせしましたとおり、私にはこれらの市町村長ならびに市町村議会議長という名の莫迦を叩いている暇はありません。まあ三重県知事ならびに三重県職員という名の莫迦を叩いてもいまやまったく相手にしていただけないわけですから、暇があるといえばあるわけなのですが、もうしばらく野呂昭彦さんや木戸博さんの回答をお待ちして、最終的な結論は11月8日の伊賀学講座「江戸川乱歩と情報発信」の場で発表したいと思っております。

 いや、その前に別口を叩いておく必要があるかもしれません。別口というのは名張商工会議所がらみの口なのですが、この件に関しては以前からこの伝言板や掲示板「人外境だより」でもお知らせしてきましたので、まずその経過を振り返っておくことにして、うまい具合に9月4日付伝言に転載してあった「人外境だより」への投稿から、必要箇所をさらに転載することで話を始めたいと思います。

サンデー先生   2003年 8月22日(金) 9時 2分

 じつは昨日、名張商工会議所の会頭ら数人の方が名張市立図書館へおいでくださいまして、あの死んだような名張のまちをなんとか活性化するために乱歩のことで知恵を貸してほしいとのお話。乱歩記念館を建てたいのだがとまことに眠たいお申し出がありましたので、じつは豊島区がこうで立教大学がこうでとご説明申しあげ、乱歩記念館の話は完全につぶしてさしあげた次第なのですが、それでお引き取りいただくのも愛想のない話ですから、名張のまちのたたずまいがどうのこうのでああしたらどうかこうしたらどうかこういうふうに考えてはいかがなものかと手練れの詐欺師みたいにぺらぺらまくしたてましたところ、それはそのとおりだということになり(どのとおりなんだかおわかりにならないでしょうけど)、じつは今夜も会頭さんらとお酒を飲んで詐欺のつづきをつづけることになっているのですが、名張のまちを舞台に、なんてことを前面に押し出してやれば名張市経済界の全面的なバックアップを得ることができるかもしれません。


サンデー先生   2003年 8月24日(日) 9時39分

 で、一昨日の夜、名張商工会議所の人たちとお酒を飲む機会があり、彼らがいったい何を考えていらっしゃるのかいろいろお聞きしたところ、要するに芦辺さんにもお運びをいただいたあの名張の中心市街地が衰退の一途をたどっており、実際にはもうほぼ死んでいると表現しても差し支えないように思うのですが、同会議所としては傍観もできず、市街地再整備のための組織を結成したとのことでした。その再整備の核施設として乱歩記念館を、などという眠たいプランも出てきたらしいのですが、身も蓋もないことをいってしまえばその程度のプランしか出てこない組織ではあるわけです(大きな声ではいえませんが)。しかし中心市街地の空洞化高齢化は全国各地にあまねく見られる現象で、いわば時代の波なわけですから、名張の商工業者がいくら必死になったってとどめようはありません。

 で先日、名張旧町再生プラン(ちなみにお知らせしておきますと、かつては行政、教育、商業などにおける名張の中心を占め、乱歩が生まれた新町もそこに含まれる市街地一帯は、現在では名張の「旧町」と呼ばれております)のパースができあがったというので名張商工会議所にお邪魔して拝見したのですが、あ、やっぱりこの人たちは何もわかっていらっしゃらないのだなと得心されるところがあり、ここはひとつものの道理というものを教えてさしあげるのが私の役目だなと判断されましたので、野呂昭彦さんや木戸博さんから何のお答えもいただけないことでもあり、ここらでそろそろそっちのほうのお役目を果たすことにしようかな、と愚考している次第です。

 石川や浜の真砂は尽きるとも世に莫迦どもの種は尽きまじ

 てなわけで、浜の真砂と五右衛門が、歌に残せし莫迦どもの、種は尽きねえ伊賀盆地、あすはどうなることじゃやら。


●10月8日(水)

 本日は急遽お知らせを一件。

 なぞがたりなばりの憂鬱

 名張市が日本推理作家協会の協力を得て開催している講演会「なぞがたりなばり」の内容が発表されました。

 日程は11月8日土曜日、講師は高村薫さん。詳細は名張市オフィシャルサイトのこのページでご覧ください。

 それにしても名張市役所は相変わらずぼんくら揃いだ。この「なぞがたりなばり」担当課の莫迦どもはいったい何を考えておるのか。だいたい講演会の講師が決まったのならなぜその時点で市立図書館に連絡を入れぬのか。あれはいつであったか今年の講演会がどうなっているのか担当課に電話で確認するよう俺が図書館長に指示して(指示系統を完全に逆行しているわけですが)ようやく日程と講師がすでに決定していることが判明したのではないか。おまえたちは行政機構内の横の連携というものをどう考えておるのか。しかもそのうえにだ。講演会の件はまだオフレコだから黙っていてくれとはどういうことだ。日程と講師が決まっているのなら一日も早くPRを始めるのが筋ではないか。それでなくても去年までと違って今年は有料になるから例年よりいっそうPRに力を入れなければならぬはずだというのに莫迦どもはいったい何をしておるのかというのだ。どうせ講演会の予告記事を掲載した「広報なばり」10月号が出るまではみたいな愚にもつかぬ理由なのであろうが莫迦ども。お役所の都合を世間に押しつけるなと何度俺にいわせたら気が済むのだこの大莫迦者ども。だいたいが11月8日といえば俺が伊賀学講座の講師を務める日で高村薫先生が「警察小説を解剖する」と題して講演していらっしゃる時間に俺は「江戸川乱歩と情報発信」と題して名張市役所の連中がいかにぼんくらであるかを具体的に実名もまじえながら話している最中ではないか。そのあと俺は酒を飲んでへろへろになることになっておるのだこの莫迦。高村先生に市立図書館へお運びいただいても俺は不在でおもてなしできないからおまえら莫迦がなんとかしろ莫迦。しっかし実際なーにが情報発信だ。なーにが江戸川乱歩をキーワードにミステリーのふるさと名張から全国へ情報発信をだ。日本推理作家協会に何から何まで丸投げしていったい何が情報発信だというのだ。税金つかって講演会開くのならもう少し自分の頭でものを考えて自分の手をつかって仕事をしろこの税金泥棒ども。

 以上、読点なしで八百字あまり、たったかたーッとかましてしまいましたが、高村薫ファンのみなさんは11月8日にぜひ名張へお運びください。


●10月9日(木)

 そんなこんなで高村薫さんの講演会にはにぎにぎしくお運びをいただきたいものだと思っておりますが、講演会担当の名張市生活環境部生活環境政策室職員のみなさんは、みなさんのご同業でいらっしゃる徳島県の小西昌幸さんがみなさんのお仕事ぶりに呆れ果て、アドバイスの意味をこめて掲示板「人外境だより」にご投稿くださったその道のいろはをここに転載しておきますから、リンク先ともどもよくお読みになって冷や汗のひとつもかいたあと、謹んで拳拳服膺するように。

徳島 北島町立図書館・創世ホール 小西昌幸   2003年10月 8日(水) 13時29分
http://www.emile.co.jp/muj/lets/nagare/nagare.html

■徳島の小西昌幸と申します。大変ごぶさたしております。来週に迫った原田裕さんと田中治男さんの講演会の準備で脳みそがぐちゃぐちゃです。やっと本日朝11時過ぎ、当日パンフレットを印刷に出すことが出来ました。A4サイズ8頁だてで、写真が18点入ります。その写真内容の一部については、「小林文庫」の掲示板で少し発表しましたので、関心ある方はぜひチェックしてください。
■私は、催しの企画や広報の仕事をしている人間なのですが、普通、イベントをするときにはその2か月前にはチラシやポスターが完成していなくてはいけません。広報宣伝をきめ細かく行なって浸透させるにはどうしたってそのくらい必要なのです。
■2か月前にチラシが完成しているためにはもっと以前に企画書を完成して、新聞社やテレビ局などに「後援承認申請書」を送っておく必要があります。当然内部では、横の連携を取って、同じ日に同種の行事が行なわれないか、近隣の諸施設と催しがバッティングしないかということも調査します。当たり前のことなんですが、それが出来ていないところが結構多いんですよ。まったく。で、多くの皆さんは、この書き込みを見て、本当にそーだよなーとうなずいていらっしゃると思うのですが、これが意外と出来ない人がいます。催しが転がり始めると(行政の場合は起案文書に首長の決済印が押されたときから)大きな渦に自分も巻き込まれるので、頭がボーっとなってしまう人がいるのです。
■名張市の場合がどうなのかは分かりませんが(経験不足の人なのか、段取りが悪くて仕事がはかどっていないのか、舞い上がっているのか、脳みそが極端に小さくてアタマを振ったらコロコロと音がしたりするような人材なのか)、中さんのご立腹は痛いほど分かります。ちょっとあきれますねえ。私は、北島町の「情報発信推進」をするための委員会の座長をしているのですが、折りしも今日、町長や助役に、そのレポートを提出してプレゼンテーションをしました。そこから結論めいた周辺を引用すると、《自治体現場の情報は、現場の職員が最もよく接している。》《情報発信の課題とは常に全職員の課題として存在するので、ここにも意識改革の課題が大きく存在するといえるのである。》《マスコミ記事等はすべて無料であるので、記者なりディレクターの興味を引くような話題づくりや情報提供が重要となる。すなわちここでも職員の心がまえや意識改革が大切な要素を持つのである。》といった感じです。まあ、永遠の課題なんですけどねえ。
■以前、私は、徳島県内の音楽家団体からの依頼で、「コンサートの企画・立案から公演当日まで」という4百字詰め20枚ぐらいの文章を書いたことがあって、それはインターネットでも読めます。上にリンクを入れておきますので、関心ある人はお読みください。催しの取り組みに当たっての、最低限のノウハウを書いておきました。といったところで、仕事がいっぱいたまっているのでそろそろ失礼します。中さんのご健勝を、四国徳島の地からお祈りしております。チャンチャン。

 ま、お役人衆の第一義は責任回避ですから当事者意識なんぞとっととかなぐり捨てるのが彼らの常道ではあるのですが、三重県の莫迦といい名張市の莫迦といい、ここまで見事に「世はなべて他人ごと」みたいな顔を決め込まれるとさすがににこにことはしていられません。おまえらもう少し真面目に働くように、と苦言のひとつも呈しておきましょう。

 その点私などえらいもので、左の「人外告知板」に本日記しました「江戸川乱歩著書目録発刊慰労会」をご覧ください。名張市と名張市教育委員会のお偉い方々が私ごときのために寄ってたかってこんな席を設けてくれることになりました。お役人衆の世界においては私のように当事者意識全開の人間は徹底的に嫌われ敬遠され、こんな具合に腫れ物に触るがごとき扱いを受けることになっております。いーんだいーんだ。莫迦に嫌われたってちっとも淋しくなんかないやい。

 名張商工会議所を軽く叩く

 さてそれでは三重県および名張市の話題から一転して、名張商工会議所の関係各位にものの道理を教えてさしあげるシリーズ第一弾です。私はきのう、関係者のお一人に宛てて下記のごとき内容の封書を投函いたしました。まだ新聞発表されていない案件も含まれておりますので、適宜伏せ字といたします。

 前文略させていただきます。

 過日はお忙しいところ「なばり OLD TOWN」構想についてご説明をいただき、ありがとうございました。あの席でも申しあげましたとおり、構想のなかの乱歩生誕記念館プランに関しては当方からお話しすべきことが少なからずあると判断されますので、僭越ながら構想を協議する場にぜひ一度お招きいただきたく、また構想の新聞発表は当分のあいだ見合わせていただきますよう、あらためてお願い申しあげます。

 本日は、お招きいただいた協議の場でお話し申しあげようと思っていることを取り急ぎ文書でお伝えするため、書状をお送り申しあげる次第です。

 結論から申しあげますと、この乱歩生誕記念館プランには残念ながら賛成いたしかねます。もしもプランがこのまま公表され、実施に移されるとしても、プランへの協力はいっさいいたしかねますので、その旨ご承知おきいただきたいと存じます。

 八月二十一日に名張市立図書館へおいでいただいたおり、乱歩の遺産を継承した立教大学が旧乱歩邸土蔵を改修し、立教学院創立百三十周年にあたる来年、乱歩資料館(仮称)として公開する見込みになっていることはお話し申しあげましたし、それとは関係なく、名張市に乱歩記念館に類する施設を建設することの愚もご説明申しあげたはずです。名張旧町地区に乱歩をテーマとした記念館を建設したところで、それが観光あるいは集客の核施設には決してなり得ないということも、他都市の事例を挙げてお知らせ申しあげたはずです。

 「なばり OLD TOWN」構想そのものについて私見を差し挟むことは控えますが、これも図書館でお話しいたしましたとおり、名張旧町地区を再生するための最大のテーマは「生活」であると私は思っております。名もない人々があの狭いまちで喜怒哀楽とともに重ねてきた生活と、それが集積された結果である豊かな歴史と文化を再確認することなしに、旧町地区が再生することはあり得ません。旧町地区の再生は、何よりも生活の場としての再生であるべきだと愚考いたします。過去から現在を経て未来につづく「生活」を視野に入れることなく、単に施設や店舗を整備するだけの表面的な処方を施したところで、旧町地区の再生はおぼつかないのではないでしょうか。

 乱歩の話題に戻りますと、やはり図書館で申しあげたことですが、乱歩は名張旧町地区で生まれた人間のひとりであるというに過ぎません。旧町地区再生を図るうえで得がたい要素とはなり得ますが、あくまでも副次的な要素に過ぎないということをご理解いただきたいと思います。乱歩をテーマにした施設を整備して旧町を再生するのではなく、旧町全体を生活の場として再生させるためのひとつの要素として、乱歩という作家を利用していただくようお願いしておきます。この点、図書館でみなさんのご了解をいただけたものと思っていたのですが、説明が至らなかったのかもしれません。あらためてお願い申しあげておきます。

 「なばり OLD TOWN」構想に描かれた乱歩生誕記念館について申しますと、いったい何を展示するのか、将来にわたってどのように運営されるのか、もっとも肝要な施設の基本がまったく検討されていないように推測されます。施設さえつくってしまえば内容や運営はどうにでもなるとお考えでしたら、それは大きな間違いです。あまりにも無責任な話です。乱歩の名を冠した展示施設が、単なる思いつきに基づいてたいした予算をかけることもなく完成し、運営に意を用いることもなくろくに入場者もないまま存続するとなれば、天国の乱歩にも全国の乱歩ファンにも名張市の市民に対しても、何の申し開きもできない事態に立ち至るものと予想されます。

 失礼なことを申しあげてしまえば、みなさんは乱歩作品をお読みになったことがなく、乱歩がどういう作家であったかもご存じない方々です。そういう人間が乱歩に関して喋々し、乱歩の名前を利用しようとすることのおこがましさについて、私はひとことも申しあげておりません。みなさんに広い視野と高い見識があれば、乱歩に関する知識の欠落はいくらでも補うことができるからです。しかし、無礼を承知で敢えて申しあげますと、この乱歩生誕記念館プランからはみなさんの視野や見識をうかがうことができません。

 みなさんが名張旧町地区再生のために乱歩という作家を有効に利用してくださるのであれば、私は協力を惜しむものではありません。お役に立てることを嬉しく思います。ですから私は、ご自宅にお邪魔したおり、名張旧町地区にかつてたしかに存在した生活を現代に再現する手だてとして、乱歩生家を復元して公開することを提案した次第です。乱歩生誕記念館などという陳腐なプランは、乱歩のことなど何ひとつ知ることなく、名張旧町地区への愛着も持ち合わせていない人間が考え出したものに相違ないと思われますが、そんなプランと乱歩生家の復元とを一緒にしていただいては困ります。

 くわしいことはまた、みなさんお集まりの協議の場であらためて申しあげたいと思います。僭越なことをお願いして恐縮ですが、私にも自分が生まれた名張旧町地区への愛着はあり、そこに集積された歴史と文化も人並みには理解しているつもりでおります。再生のための協力を惜しむものではないことを、重ねてお約束申しあげる次第です。ご高配をたまわりますよう、よろしくお願い申しあげます。

草々

  二〇〇三年十月八日

 幸福な家庭は一様に幸福であるが、不幸な家庭はそれぞれに不幸であり、賢い人間は一様に賢いが、莫迦はそれぞれに莫迦である、なんてことがひしひしと実感される伊賀盆地の秋です。


●10月10日(金)

 東西南北天地左右三六〇度全方位を対象として莫迦をぽこぽこ叩いているあいだに10月10日を迎えました。本日、名張市立図書館の江戸川乱歩リファレンスブック3『江戸川乱歩著書目録』が納品されてくることになっているのですが、私はと申しますと果たして図書館に顔を出す暇があるかどうかというありさま。きょうはこれにて失礼いたしますので莫迦のみなさんご休心ください。


●10月11日(土)

 やあ。名張市役所のみなさんおはようございます。おかげさまで昨日、名張市立図書館に『江戸川乱歩著書目録』が納品されてまいりました。刊行に伴う雑事あれこれが終了したあとは、いよいよみなさんを相手にした最後の闘いの火蓋が切られます。とっかかりとしては教育長を叩くことから始めるつもりですが、要するにみなさん全員のお相手を務める所存です。どうぞよろしくね。

 そういえば三重県のみなさんはどうなさったのでしょうか。いっこうに音沙汰がありません。野呂さん木戸さん、そうだそうだ、三重県議会の中川さんも、みなさんご健勝にてお過ごしなのでしょうか。地域住民の真摯な問いかけに応えもせず、莫迦どもはいったい何をしているというのでしょうか。

 いや、まあいいでしょう。木戸博さんには11月8日の伊賀学講座でお会いできるはずです。二〇〇四伊賀びと委員会の主催事業に事務局長が顔を出さないという法はありません。しかもテーマは「江戸川乱歩と情報発信」です。名張市役所のぼんくらどもに関する最新情報もまじえて話が進みますし、関連して三重県庁のぼんくらどもにもご登場いただくことになるでしょう。きゃはは。「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」の関係者は、万障くりあわせてご参集いただきますように。

 野呂昭彦さんはどうかと申しますと、伊賀学講座においでいただくことは無理でしょうけど、今秋開催予定の「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業推進委員会にはご出席のはずです。会長が欠席してどうする。私はその会合でちょこっとお話をさせていただくことにしておりますので(日程その他に関するお知らせを木戸さんからいまだに頂戴できていないわけですが、官民合同で進める事業の会合に善良で有能、しかも事業の本質を深く理解していること三重県知事以上である私のような地域住民が出席できないなんてことはないと思っております)、そのとき野呂さんにもご挨拶申しあげたいと思っております。きゃはは。

 ついでにお知らせしておきますと名張商工会議所関係では、関係者のお一人から昨日お電話を頂戴し、13日月曜に拝眉の機をいただいて、あらためて愚見を具申することになりました。愚見を具申ったって結局のところ、そこらの女子高生にもわかるものの道理と人の道ってやつを説教してさしあげるだけのことなんですけど。

 しかしそんなことはどうだってよろしい。とにかくここに『江戸川乱歩著書目録』ができあがってまいりました。そしてなぜかこんなときに限ってばたばたとお仕事が立て込んでしまい、どこからいらっしゃるのかいまだによくわからないNHK文化センター関連の文学散歩のお相手だの名張人外境開設四周年記念大宴会だの名張散策だのと雑用もあってさあ大変。仔細はまたあしたということにいたします。


●10月12日(日)

 終わらん。

 まだ終わらん。

 きのう締切だったお仕事がまーだ終わっておりません。

 ひいひいいいながら失礼いたします。


●10月13日(月)

 おはようございます。一昨日が締切だったお仕事は昨日夕刻ようよう仕上がり、本日の私は名張商工会議所のみなさんによる「なばり OLD TOWN」構想のなかの乱歩生誕記念館という発案者の気が触れているとしか思えないプランに関してものの道理と人の道を説くことになっております。これに関連して申しあげておきますと、名張市企画財政部広報対話室の莫迦のみなさん。きのう拙宅に届いていた「広報なばり」10月号に名張地区まちづくり推進協議会正副会長のインタビューが掲載されておりますが、「名張地区は、江戸川乱歩生誕の地(新町)や能楽発祥の地(春日神社)でもあるし、名張藤堂家邸跡などたくさんの文化遺産があります。そういった地域の資源を知るための事業も計画しています」とはいったいなにごとか。能楽発祥の地が春日神社だなどとほざく正副会長もとんでもない大莫迦者だが、それをそのまま記事にしてしまうおまえらもおまえらだ。おまえらはほんとに救いがたい莫迦である。機会があれば無教養きわまりない正副会長にも企画財政部広報対話室長にもものの道理と人の道を説いてやることにするが、もうちょっと勉強せいこののうたりんども。


●10月14日(火)

 さて昨日、なんとか押さえこんでフォールを決めてきました。「なばり OLD TOWN」構想の乱歩生誕記念館の話です。名張商工会議所の会頭にお会いしてきました。

 金もない人材もいないというのに何を血迷っておるのか、ろくに乱歩作品を読んだこともない連中が何の騒ぎか、ときつめにかましておきましたので、名張市内に乱歩の名を冠した展示施設が建設される心配はなくなったと思います。

 三重県の御意見番にして名張市の黒幕である不肖カリスマの提案が名張商工会議所側に受け容れられれば、来年10月の百十回目のお誕生日あたりに乱歩の生家が復元されて公開されることになるはずですが、いやまあ生家の復元といったって『貼雑年譜』の間取り図に基づいて長屋を一軒おっ建てるだけの話なのですが、実際にどうなるかはわかりません。

 要するに、乱歩をメインにした展示施設なんかつくった日にゃ目も当てられませんけど、乱歩の生家を展示品のひとつとして扱う程度のことなら滑り込みセーフなのではないか、といったことです。しょぼい話でどうもすいません。

 名張商工会議所に関してはこれでひとまず一段落、三重県の莫迦は黙りこくったままですから、お次は名張市役所のぼんくらを叩く作業に突入するわけですが、名張市立図書館江戸川乱歩コーナーを閉鎖し、名張市民の血税を乱歩のことには一円もつかわないというところまで追い込むことが当面の目標となります。

 今月22日の「江戸川乱歩著書目録発刊慰労会」で宣戦布告と洒落込むつもりでいるのですが、どんな展開になることでしょうか。


●10月15日(水)

 きのうの伝言に「名張市立図書館江戸川乱歩コーナーを閉鎖し、名張市民の血税を乱歩のことには一円もつかわないというところまで追い込むことが当面の目標となります」と記しましたところ、ある方からそれは本当のことかとメールでお問い合わせをいただきました。私は洒落や冗談でカリスマやってるわけではありませんから、洒落や冗談は申しません。虚言癖がよだれ垂らして歩いてるようなそこらの一人二役野郎と一緒にしていただいては困ります。

 もう少し説明を加えますと、乱歩に関してどんな事業を実施すればいいのかよくわからない、と名張市立図書館がずいぶん情けないことを申しますものですから、そんなこともわからんのかこの税金泥棒どもとは思いながら、図書館にも市役所にも何の関係もなくただ野に遺賢ありと名のみ高かった私は懇切丁寧にそれを教える役目を引き受けた次第です。もう八年前のことになります。で、なにしろ相手は莫迦なんですから、図書館が実施すべき事業は莫迦にでもわかるようできるだけ具体的に示す必要がありました。

 それでつくったのが『乱歩文献データブック』『江戸川乱歩執筆年譜』『江戸川乱歩著書目録』の三冊です。当初は三年で三冊つくる予定だったのですが、そうは問屋が卸しませんでした。これは自慢ではありませんし洒落でも冗談でもないのですが、書誌三冊といえども犠牲にできるすべてのことを犠牲にしなければ私ごとき非力な人間にはとても作成できませんでしたし、犠牲にできるすべてのことを犠牲にしてもなお八年もの日月が必要であったという寸法です。しかしなんとかできあがったんですから、まずはめでたしめでたしですが。

 印刷物としての書誌以外に、きょうびのことですから名張市立図書館が乱歩に関するデータを公開するためのホームページを開設することも必要で、そのための予算を要求したらいったいどこの莫迦であったか、とにかく名張市民の税金を泥棒している莫迦の一人が、あるいは莫迦の集団がその要求をあっさり蹴ってくれたものですから私はこうして自分の手でホームページを開設し、名張市立図書館が行うべき作業を肩代わりして本日に至っているわけですが、上記三冊の書誌とこの名張人外境をつらつらと打ち眺めれば、どんな莫迦にだって名張市立図書館が乱歩に関して何をやればいいのかはよくわかってもらえるはずだと思います。ちょっと考えが甘いかな、とも思いますが。

 したがいまして、あとは名張市立図書館が私の示した方向性に沿って乱歩のことをやってくれるのかどうか、それが問題になります。そのための専門職員を養成し、私がやってきたことを将来にわたって着実につづけてゆけば、こと乱歩に関する限り名張市立図書館は天下無双の名図書館になります。それができるのかな、できないのかな。

 まあできないだろうな、と私は思います。

 たとえば専門職員の養成と口でいうのは簡単ですが、職員の専門性を抑圧することで成り立っているお役所の責任回避構造のなかでそれを実現するのがいかに困難なことか。それに私の見るところ、名張市職員のみなさんは頭の出来が……

 いやいや、こんなこといくら書いてたって仕方ありません。とにかく名張市立図書館にいま要請されるのは、手前ども名張市立図書館にはまともに乱歩作品を読んだ者など一人もおらず、専門職員を養成する気もないのですから乱歩に関して何もできる道理がありません、ですから何もやりませんとはっきり表明することです。無責任な先送りはいい加減でおしまいにして、乱歩のことをどうするのか、いくらなんでもそろそろ決断しなければなりません。

 あしたももう少しつづけましょうか。


●10月16日(木)

 名張市立図書館にとって幸いなことに、立教大学が乱歩の遺産を継承してくれることになりました。立教大学は乱歩の遺産を広く公のものとし、社会に還元する責務を引き受けたわけです。たとえば乱歩の著書目録を編むなんてのも、今後は生誕地の公立図書館ではなくて遺産の継承者である立教大学が手がけるべき作業となります。

 ラッキー。

 まことにラッキー。

 名張市立図書館はもう乱歩から手を引いてもいいわけです。乱歩のことに一円の税金もつかわなくていいわけです。昭和44年の開館当初からこれといった考えも見通しもなく、ただ乱歩の著書を形だけ買い集め乱歩の遺品の貸与を受けて乱歩コーナーを開設したあげく、乱歩に関して何をやっていいのかちっともわかんないなどとほざく知恵の足りない税金泥棒どものみなさん、もう乱歩のことで悩まなくてもいいようになったわけです。ラッキーラッキー。あとは立教大学にお任せして手前どもはこれにてご無礼、みたいなこといってとっととすっこんでしまえばいいんです。

 さあどうしますか。みたいなことを、私はそろそろ名張市の教育長にお訊きしてみる所存です。乱歩コーナーの閉鎖も視野に入れて、一度でいいから乱歩のことをどうすればいいのか、その頭でしっかり考えてみてくれとお願いしてみるつもりです。ほんとにどうなることでしょうか。

 それ以外にもうひとつ、ろくに乱歩作品も読まずに乱歩の名前を名張市の自己宣伝に利用しようとするお役人衆にも、この際ですから釘を刺しておこうかなと私は考えております。自己宣伝はいいんですけど、それにしたって乱歩のことをよく理解していないとろくなことができません。まともなことをしようと思ったら人の褌で相撲を取るしかありませんから、結局はお金がかかってしまいます。

 名張市の乱歩関連事業といえば、たとえば11月8日に催される高村薫さんの講演会がまさにそれなのですが、事業を担当している名張市生活環境部生活環境政策室にも乱歩のことをこれから先どうするのか、おまえらみたいなろくに乱歩読んだこともないような連中が乱歩にかこつけてこれから先も市民の血税つかいつづけるのか、そんなことでいいと思ってるのか、といったことを真剣に考えてもらう必要があるように判断されます。いっちょ大騒ぎしてもらいましょうか。

 以上、一昨日の伝言に記した「名張市立図書館江戸川乱歩コーナーを閉鎖し、名張市民の血税を乱歩のことには一円もつかわないというところまで追い込むことが当面の目標となります」という文章に関して補足説明を施しました。まあ実際のところは、何がどうなるのか私にもとんと見当がつかないわけですが。

 ついでに記しておきますと、「なばり OLD TOWN」構想における乱歩生誕記念館プランはたぶん跡形もなく叩きつぶすことができたと思うのですが、そのプランをフォローするための書状を昨日お送りしましたので、記録と報告の意味で全文を転載しておきます。未決案件は例によって伏せ字といたします。

 前文略。先日はありがとうございました。いつもお邪魔してばかりのうえに、おみやげまでいただいて恐縮しております。

 さっそくですが、お申しつけの施設名の件、「名張の町家(まちや)」ではいかがでしょうか。今回のプランの基本は、名張に残る旧家の文化財的な価値を認め、それを保存することにあると思われますので、施設名にもそうした価値判断を反映させることが必要であると愚考いたします。ただし、資料館や展示館といった堅苦しい名称は避け、市民にも観光客にも親しんでもらえる名前を採用するべきだと考えます。

 もうひとつ、施設名に乱歩、歴史、文化、民俗といった言葉を使用して施設内容を限定してしまうのは、このプランに限っていえば得策ではありません。「名張の町家」と命名することで、施設運営の自由さが保証されるのではないでしょうか。

 また、施設内で飲食ができるかどうかは、人を集める大きなポイントになると判断されますので、開設当初から名張の「食」を提供する態勢が整っていることが望ましいと思われます。

 なお、インターネットで「町家」を検索すると、町家の利用や再生などさまざまな事例を知ることができます。一度ご覧になることをお勧めいたします。

 取り急ぎ用件のみ記しました。今後ともよろしくお願いいたします。

草々

  二〇〇三年十月十五日

 えー、ここで自己宣伝に走っておきますと、名張市教育委員会が私という有能な人間を乱歩に限定してこきつかっているのはじつにもったいない話です。乱歩という限定をとっぱらっても武芸十八般あらゆる分野で私には、たとえば上記のごとき有効適切この上ないアドバイスが可能です。関係各位はどうぞお気軽にご利用ください。

 あーこれこれ、そこの「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業関係者のみなさん。陰でこそこそいってないで、困ったことがあればいつでも私のもとを訪ねておいでなさい。そこらに転がってる出来の悪い頭の五十や六十より、私の頭ひとつのほうがよっぽどましだと思います。一度お試しあれ。


●10月17日(金)

 一難去ってまた一難。

 いや、抱え込んだあれこれの難がまだ去ってもいないのにまた一難、と申しあげるべきでしょうか。

 著書目録リターンマッチ

 概略は掲示板「小林文庫の新ゲストブック」に投稿してきましたので、そのまま転載いたします。

No.679 (2003/10/17 06:43) title: お詫びかたがたお知らせまで
Name: 中 相作
Email: stako@e-net.or.jp
URL: http://www.e-net.or.jp/user/stako/

 ご無沙汰いたしました。小西昌幸さんに露払いを、さくらさんに太刀持ちを務めていただいて、いよいよ堂々の土俵入りをご覧いただくべくお邪魔したと申しあげたいところなのですが、恥ずかしながらお詫びを申しあげるために参上いたしました。

 名張市立図書館の江戸川乱歩リファレンスブック3『江戸川乱歩著書目録』は、ちょっとしたミスがあったせいで発送開始が一か月ほど遅れることになりました。函がやや小さく、本体を出し入れするのにいささか難儀いたしますため、函をぜーんぶつくり直すことになった次第です。

 こちらの掲示板で乱歩の著作についてご教示いただいたみなさんには、あれはいつでしたか葉書でご挨拶申しあげ、早ければ9月中にはお届けできるとお知らせいたしましたが、これがちっとも早くはなくて、完成した『江戸川乱歩著書目録』が名張市立図書館に到着したのは10月10日のことでした。

 で、この函では駄目だ、つくり直しだ、と決定したのがついきのうのこと、新たに函をつくるには一か月ほどかかるとのことですから、まあ早ければ来月中旬、あまり早くなければ来月下旬、いくらなんでも年内にはお届けできるであろうと自暴自棄めいて思っております。

 どうもとんだことで申し訳ありません。組版その他の作業が遅れに遅れ、そのうえ最後の最後にも見事に躓いて、名張市立図書館はもしかしたら呪われているのではあるまいかと疑われる昨今です。

 以上、謹んでお詫びかたがたお知らせまで、不肖カリスマ平蜘蛛のごとく蜘蛛男のごとく平身低頭してお伝え申しあげる次第です。

 いま気がついたのですが、この投稿ではうっかり間違えて桜さんのお名前をひらがな表記としてしまいました。またあしたにでもお詫びにお邪魔したいと思います。お詫びお詫びの毎日ですが。

 そーれにしてもまいった。まいったまいった。心待ちにしていてくださったみなさんにはお詫びの申しあげようもありませんが、『江戸川乱歩著書目録』が世に出るのは一か月ほど先のことになりました。

 この写真をご覧いただくだけでおわかり願えるかもしれませんが、たしかに函は……

 と事情を説明するだけの気力もいまはありませんので、本日はこれにて失礼いたします。

 いやーまいった。まいったまいった。


●10月19日(日)

 きのうは伝言をお休みいたしました。おとといの夜、お酒を飲みながらぼんやりテレビを見ている最中に、あッ、あした締切の原稿があるッ、と唐突に思い出し、きのうの朝は「Salon De 書痴」と「小林文庫の新ゲストブック」に投稿しただけで原稿にかかったのですが、いまに至るもまだ仕上がっておりません。もう少ししっかりしなければなりません。

 さて昨日、江戸川乱歩生誕地碑建立五十周年にあたる2005年のたぶん11月に、その記念事業としてお芝居を公演することが決定いたしました。東京に拠点を置くミステリー専門劇団が企画を持ち込んでくださいましたので、ふたつ返事でお引き受けした次第です。昨年の探偵講談と同様、名張初演、東京再演の舞台となります。ご期待ください。

 といったところで、『江戸川乱歩著書目録』の発送開始遅延に関する弁明は先送りして、ひいひいいいながら原稿のつづきを書くことにいたします。ひいひい。


●10月20日(月)

 さて『江戸川乱歩著書目録』の函の件ですが、函には最初から泣かされてます。

 江戸川乱歩リファレンスブック1『乱歩文献データブック』もやはり函がちょっときつめだったのですが、本を出し入れしているうちに馴染んでくるだろうみたいな程度でしたから、そのまま商品として世に送り出しました。

 ですから2『江戸川乱歩執筆年譜』をつくった際は、1よりもう少し余裕をもたせた函にしてくれと印刷屋さんに指示しておいたのですが、あとで確認したところでは伝達の過程でその指示がなぜか逆になってしまい(この手の間抜けなミスが異様に多い印刷屋さんであったといまにして思い返される次第です)、1よりさらにきつい函ができあがってきました。

 学生時代のタイトスカートを力任せにはいてみた経産婦、みたいな感じだったといえばおわかりいただけるでしょうか。生爪をはがす覚悟がなければ本を取り出せないような函でしたので、これは納品された時点ですぐにつくり直しを決定しました。新たにできあがってきた函はちょっと大きすぎる感じだったのですが、もうこれでいいやと妥協してしまいました。生きるとは妥協することだと乱歩も申しておりますし。

 三度目の正直となる3『江戸川乱歩著書目録』では、函に関する指示はとくに出しませんでした。過去二回の経験に基づいて、今度はちょうどいい塩梅の函ができあがってくるだろうと、勝手に思い込んでいたのが甘かったというわけです。2の最初の函ほどではなかったのですが、小さくて本が出し入れしにくいことは否定できません。

 さてどうしたものかと思案していたのですが、と申しますのも私は組版の段階で鬼みたいな指示をあれこれと出しており(とはいえそれらはいずれも組版の基本に属することで、たとえていえばそこらの食堂でカレーライス注文するときわざわざ「ライスは白米でお願いします」と指定することに似た指示ではあったわけですが)、これでまた函に文句つけるのはさすがに申し訳ないな、そんなこといったら嫌われるだろうしと、印刷屋さんからはとっくの昔に嫌われているにもかかわらずぐずぐずとそんなことを考えているうちに、こんな函では駄目だ、とても世に出せない、と名張市立図書館長が函のつくり直しを決断してくれました。図書館長が仔細に点検したところ、接着面がはがれかかっている函も散見されたとのことで、これもつくり直しを決めた理由のひとつになっております。

 いやはや、何をいっても結局は印刷屋さんの悪口に帰着してしまいますからこのへんでおしまいにいたしますが、『江戸川乱歩著書目録』刊行後に始まるはずのお役所との最後の闘いもなんだか気勢を殺がれた恰好で、しばらくは平穏に暮らしたいと思います。

 闘いついでに片づけておくつもりだった三重県との闘いに関しましては、いまやどなたからもまったく相手にしていただけなくなって、これはこれで困ったことだと思っております。

 ただまあ、おととい締切できのう仕上げた毎度おなじみお役所漫才「乱歩文献打明け話」最新版では、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業に関する最近のてんやわんやを情け容赦なくとりあげておりますので、掲載誌の発行は11月になりますが、関係各位はどうぞお楽しみに。

 それから、お役所漫才最新版にはこの伝言板に掲載してある事業事務局長木戸博さんの回答を引用させていただいております。引用というよりは転載ですが。機会がありましたら関係各位はその旨よろしく木戸さんにお伝えいただきますよう。無断転載だ著作権の侵害だと裁判沙汰にしていただいても結構です。望むところだとご伝声ください。


●10月21日(火)

 今年も10月21日、江戸川乱歩のお誕生日を迎えました。

 しばらくは平穏に暮らしたいと思っておりますときのう記したところなのですが、さっき二〇〇四伊賀びと委員会のオフィシャルサイトを覗いてみたら、心待ちにしている事業実施計画案や委員会議事録はいまだに公表されていませんでしたが、掲示板が新設されていました。

 伊賀びとの姿の見えぬ掲示板

 いいのか、こんな掲示板開設してもいいのか、俺が書き込んでもいいのか、と思いながら取り急ぎお祝いの投稿をしてきた次第です。

 掲示された投稿にはなぜか「\」という記号が四か所に紛れ込んでいましたので(よこしまな心をもった人間が投稿すると「\」のマークが表示されるシステムなのかもしれません)、「\」を除いた投稿を掲げておきます。

投稿者:中 相作
投稿日:2003/10/21(Tue) 06:07 No.7

タイトル:おめでとうございます

 ご開設お慶び申しあげます。名張市の中と申します。せっかくの掲示板ですから、せいぜい利用させていただきたいと思っております。

 さてさっそくですが、来年度実施される「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業の実施計画案はいつごろ発表されるのでしょうか。10月早々にも新聞発表されると聞き及んでいたのですが、いったいどうなっておりますのやら。見通しをお知らせいただければ幸甚です。

 本日はこのへんで失礼いたします。

 さーあ、ばんばんかますぞ。がっはっは。


●10月22日(水)

 天下の国立国会図書館からメールが届きました。同館が電子図書館事業のひとつとして手がける国立国会図書館データベース・ナビゲーション・サービス「Dnavi」に、名張人外境のコンテンツ五件を登録していただいたという通知です。

 五件はいずれも「91日本文学」の「913小説、物語(42件)」に分類されているのですが、四十二件の顔ぶれはと見てみると、

SF novels databank/GENERAL WORKS

SF書籍データベースSF雑誌データベース検索/石原藤夫/福岡教育大学

伊勢物語の世界/奈良女子大学附属図書館/奈良女子大学

雨月物語/東京大学総合研究博物館/東京大学

金沢美術工芸大学附属図書館絵手本DB/金沢美術工芸大学附属図書館/金沢美術工芸大学

仮名草子研究文献目録/近世初期文芸研究会/甲南女子学園

 といったあたりがアカデミックにずらずらつづき、そんななかに「隠文学誌」「江戸川乱歩執筆年譜」「江戸川乱歩著書目録」「江戸川乱歩年譜集成」「乱歩文献データブック」なんてのが紛れ込んでいるのはじつに面映ゆいかぎりなのですが、こんなものは元来名張市立図書館がインターネット上に公開していなければならぬデータであり、俺のご厚意に甘えつづけるのもいい加減にせんか、とっとと自前でなんとかしろこの能なしどもめがと、きょうは名張市長、教育委員長、教育長、教育次長、教育政策室長、図書館協議会長、図書館長のご臨席のもと「江戸川乱歩著書目録発刊慰労会」を催していただくことになっておりますので、その席でお歴々に一発かましてやろうかなと腕まくりしながら思案している次第です。

 かますといえば「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」ですが、例の掲示板ではいまだにお答えが頂戴できませんので、本日は次のような投稿をかましてまいりました。

投稿者:中 相作
投稿日:2003/10/22(Wed) 06:19 No.9

タイトル:またお邪魔してしまいました

 いやどうも毎日すいません。よく考えてみましたらきのう投稿した質問には宛名が書いてありませんでした。失礼いたしました。お答えをいただきたい方のお名前を明記して、あらためて投稿することにいたします。

 「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業推進委員会事務局ならびに二〇〇四伊賀びと委員会事務局の局長をお務めの木戸博さん。えー木戸さん木戸さんご覧いただいておりますでしょうか。ご覧でしたらよろしくご回答をたまわりますようお願い申しあげます。木戸さん木戸さんいらっしゃいますか。木戸さん木戸さんお元気で職務にご精励でしょうか。木戸さん木戸さん木戸さんはいずこ。

 木戸博様。来年度実施される「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業の実施計画案はいつごろ発表されるのでしょうか。10月早々にも新聞発表されると聞き及んでいたのですが、いったいどうなっておりますのやら。見通しをお知らせいただければ幸甚です。

 木戸さん木戸さんよろしくね。

 木戸さん木戸さん生きてるの、なんていったら張り飛ばされてしまうのでしょうな。がっはっは。がーっはっは。


●10月23日(木)

 すっかり恒例となってしまいました。例の掲示板への投稿のことです。本日はまあ下記のような次第で。

投稿者:中 相作
投稿日:2003/10/23(Thu) 07:15 No.24

タイトル:どうもありがとうございます

 いやー、三日連続でまかり越してしまいました。

 まあご精が出ますこと。

 いやそのままそのまま、どうぞお構いなく。

 なんてこといってる場合ではありません。木戸さん木戸さんえっさっさ、木戸さん木戸さんおっぺけぺ、木戸さん木戸さんどうしたの、でおなじみの「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業推進委員会事務局ならびに二〇〇四伊賀びと委員会事務局の局長を務めていらっしゃる木戸博さんから私への回答を丸投げされた事務局職員の方には心からご苦労さまですと申しあげます。お察しいたします。赤ちゃんすくすくお育ちでしょうか。

 何を訳のわからないこと申しあげているのでしょうか私という人間は。ともあれそんなこんなで今年3月末に公表される予定であった「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業実施計画案が今月末までに発表されるとの由、たいへん嬉しく承りました。これは二〇〇四伊賀びと委員会の会長さんにもお会いしたおりお伝えしたことですが、いわゆる官民合同事業の場合、民の立場の人間がまず第一に心すべきは事業決定過程の透明性を担保するということです。会長さんもその点に関しては深く認識していらっしゃいました。お会いして十日ほどあとに、事業実施計画案は10月早々には発表したいと会長さんのお約束もいただいたのですが、なにしろ官民合同事業には官の横槍がずぶずぶ入るのが世の習い、そろそろ10月も下旬なのだがといささか心配になっておりましたので、この掲示板が開設されたのを機にお訊きしてみた次第です。ご丁寧にお答えいただき、お礼を申しあげます。

 さてさて、まーたしても木戸博さんへの質問です。木戸さんも何かとご多用のことと拝察はいたしますが、これは以前木戸さんにメールでお訊きしたことでもあり、いまだにご返事を頂戴できておりませんので、この掲示板にあらためて質問を投稿する次第です。以下、列記いたします。

 一) 「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業の三か年計画は、いつ、どのような場で、誰によって決定されたのか。決定時の議事録を公開するよう要請する。公開は可か、不可か。

 二) 三か年計画のうちの平成十五年度事業「平成十六年の実施予定事業の広報」は、三重県ならびに伊賀地域七市町村の各議会の承認を得ているのか、得ていないのか。得ていない場合は、承認を得る必要はないと判断しているのか。

 三) 事業推進協議会の三回にわたる会合の議事録を公開するよう要請する。公開は可か、不可か。

 四) 次回の事業推進委員会はいつ、どこで開催されるのか。地域住民がそこに出席し、事業に関して意見を述べることは可能か。

 以上です。木戸さん木戸さんよろしくね。丸投げしないでちょうだいな。 あらえっさっさー。

 そんなことはともかくとして、名張市立図書館長の肝煎りで昨夜、名張市鍛冶町の清風亭において「江戸川乱歩著書目録発刊慰労会」を開催していただきました。出席者は名張市長、教育委員長、教育長、教育次長、教育政策室長、図書館協議会長、図書館長の予定でしたが、図書館協議会長のみご欠席でした。熱烈な阪神ファンでいらっしゃるのかもしれません。

 さてその席上、名張市立図書館江戸川乱歩コーナーの閉鎖を提案し、まあその場では、つまり酒の席での話なわけですが、一応みなさんの同意をいただけたように思います。と申しますか、一度みんなで検討してみましょうとのお答えをいただいた次第なのですが、私としてはこれで了解をいただけたなという感触です。

 それにしても八年かかりました。ろくに乱歩作品を読んだこともない名張市職員が乱歩にかこつけて市民の血税つかうのはとんでもないことだ、ということはきのうの席でも申しあげたのですが、その言葉にそれはそのとおりだと普通にうなずいていただくのに八年、名張市立図書館の嘱託を拝命して以来の八年という日月を要してしまった次第です。

 名張市が乱歩のことに税金を一円もつかわない日の到来が、徐々に近づいてきたように思われます。仔細はまたあした、ということで。


●10月24日(金)

 仔細はまたあした、というきのうのお約束は簡単に反故にして、本日はまずお知らせを二件。

 一件目。

 二〇〇四伊賀びと委員会の辻村勝則会長からメールを頂戴し、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業の実施計画案は今月中に新聞発表されるとの由、教えていただきました。この件については例の掲示板でも質問し、「平成15年10月現在の内容でとりまとめたものを今月末日までに発表する予定」と事務局の回答を得ておりますので、今度こそほんとに発表されるでしょう。関係各位はひとまずご休心ください。

 しっかりしなさい三重県議会

 二件目。

 三重県議会議長の中川正美さんから、9月24日付メールでお送りした質問への回答を頂戴しました。さっそくご紹介いたしましょう。

 この度は、三重県議会議長へのメールありがとうございました。

 お訊ねの「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業と県議会との関係について、お答えいたします。

 この事業の主催は、「生誕三六〇年 芭蕉さんがゆく 秘蔵のくに 伊賀の蔵びらき」事業推進協議会(平成15年8月1日からは、「生誕三六〇年 芭蕉さんがゆく 秘蔵のくに 伊賀の蔵びらき」事業推進委員会が引き継いでおります。)であり、三重県をはじめ関係する地方公共団体が負担金を出し合って運営しているものであります。

 この三重県分の負担金は、平成15年度三重県一般会計予算の中で可決されております。

 なお、事業展開については、当協議会で事業開催時期、事業展開ストーリー、プレ事業の実施等の承認を経て計画されたものと伺っております。

  平成15年10月23日

三重県議会議長 中川 正美

 私のお返事は下記のとおり。

三重県議会事務局議事課御中

 どうもお世話さまです。このたびはお手数をおかけいたしました。お礼を申しあげます。このうえさらにご造作をおかけするのは恐縮なのですが、下記の書面を中川正美議長にお読みいただきたく、ご手配をお願い申しあげる次第です。よろしくお願いいたします。

中川正美様

 ご多用中、ご丁寧にご回答をたまわり、ありがとうございました。お礼を申しあげます。

 ただ遺憾ながら、当方の質問は「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業推進協議会ならびに事業推進委員会の今年度事業に関するものではありません。当該事業そのものと県議会との関係についてお尋ねしております。

 来年度に実施される同事業の内容は、来年三月の三重県ならびに伊賀地域七市町村の定例会で予算案が承認されて初めて、正式に決定されることになります。つまり事業の内容は、現時点ではまだ正式に決定しておりません。にもかかわらず、来年度に実施される事業内容をいまからパンフレットでPRすることには、いささか問題があるのではないかとお訊きしている次第です。

 また、事業推進協議会における「事業開催時期、事業展開ストーリー、プレ事業の実施等の承認」に関して申しあげますと、私が問題にしているのは、プレ事業の次に実施される事業、すなわち「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業そのものにほかなりません。よろしくお酌み取りいただければと思います。

 もしも三重県議会が事業推進協議会あるいは事業推進委員会に対し、来年の三月定例会における予算案承認を待たずに事業内容のPRを行ってもいいという承認を与えていたのであれば、県議会はみずからの存在が単なる形骸に過ぎないことを証明したことになるのではないでしょうか。

 いずれにせよ、お忙しいところまことに心苦しいかぎりなのですが、前回のメールに記した質問を再度記しますので、よろしくご回答をたまわりますようお願い申しあげます。

 来年三月の県議会定例会で正式に決定される事業をいまから既定のものとしてPRすることに、手続き上の問題はないのでしょうか、あるのでしょうか。

 なお、前回のメールでもお願いしましたとおり、頂戴したご回答は当方のホームページ(http://www.e-net.or.jp/user/stako/)で公開させていただきます。よろしくご了承をたまわりますようお願い申しあげます。

2003/10/24

 しっかし大丈夫なんでしょうか三重県議会は。しっかりせよと抱き起こしてさしあげたくなりますが。

 つづきましてこれで連続四日目となります例の掲示板への投稿、本日はこういった感じです。

投稿者:中 相作
投稿日:2003/10/24(Fri) 07:26 No.30

タイトル:炎の四連投となりました

 ●管理人様

 どうもご苦労さまです。

 掲示板への投稿が相次いでご同慶の至りですが、ほとんどの投稿に質問が記されていることもあって、管理作業は大変だろうとお察しいたします。管理人の方が掲示板管理以外にもいろいろお忙しいであろうことは(というより、掲示板管理はむしろ片手間の職務であろうと)承知しておりますので、閲覧者の方の質問には可能な範囲内でぼちぼちお答えいただければと僭越ながら思っております。

 私がきのう書き込んだ質問は木戸博さんにお答えいただくものですから、管理人の方のご回答は必要ありません。よろしくどうぞ。

 ●村びと様

 はじめまして。よろしくお願いいたします。

 電子掲示板の匿名性は、それを悪用する不心得者が少なからず存在しているにしても、インターネットの特性のひとつとして尊重されるべきだと思います。とはいえ、私は一貫してこの「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業を批判しているのですが、その批判が匿名性の陰に隠れたものであってはたいして説得力をもたぬのではないかと思われますので、この掲示板にも実名で投稿している次第です。ちなみに私の批判は、私のサイトの下記のページに掲載されております。まあ漫才なんですけど。

http://www.e-net.or.jp/user/stako/ED2/E08set.html

 この漫才以降の私の批判に関しましては、私のサイトの下記のページで2003年6月の「芭蕉さんは行くのかしら」からあとをたーっとお読みいただければ、だいたいのところがおわかり願えるのではないかと思います。

http://www.e-net.or.jp/user/stako/DE/DEset.html

 また、事業の不審な点を電子メールなどの手段で関係各位にお訊きする必要もあり、その場合には自分がどこの誰であるかを明らかにしたうえで質問するのが作法でしょうから、結局まあ何から何まで実名でやるのが手っ取り早いわけです。それにしてもえらいもので、きのうなど三重県議会議長の中川正美さんから事業に関する質問への回答をお寄せいただきました。この掲示板に投稿したあと、私のサイトの下記のページにアップロードする予定です。

http://www.e-net.or.jp/user/stako/main.html

 いやー、自分のサイトの宣伝に来たみたいでどうも申し訳ありません。「過度な売り込み」ってことで削除されたらどうしましょう。


●10月25日(土)

 さっそくですが例の掲示板、本日は下記のようなことになっております。

投稿者:中 相作
投稿日:2003/10/25(Sat) 07:21 No.33

タイトル:移動日なしで連戦五日目

 ●阪神タイガースファンの皆様

 本拠地で王手をかけた怒濤の三連勝、さぞやお喜びのことと拝察いたします。私は阪神ファンではまったくないのですが、今年の日本シリーズは楽しみにテレビ観戦しております。みなさんが期待していらっしゃるとおりの結末がもたらされますようお祈りいたします。

 ●木戸博様

 電子掲示板の双方向性について、どのようにお考えでしょうか。

 二〇〇四伊賀びと委員会のオフィシャルサイトに掲示板が開設されたとなれば、それを利用して事務局との直接的な意思疎通や情報交換が図れるだろうと考えるのは、ごく一般的な認識というものでしょう。これまでの投稿者の方が何らかの形で事務局への質問や提案を記していらっしゃる事実からも、そうした認識が一般的なものであることをご理解いただけると思います。げんに私も10月23日付の投稿に木戸さんへの質問を列記し、ご回答をお願いしております。

 この質問には、お答えいただけないのでしょうか。

 ご多忙でいらっしゃることは百も承知で二百も合点しておりますが、そもそもあの四項目の質問は10月4日にメールでお送りしたものです。うち三項目は9月22日にもお送りしております。いくらお忙しくてもそろそろご返事がいただけるのではないかと考えるのが、やはりごく一般的な認識だと思われる次第です。回答する意志がないとおっしゃるのであれば、どうぞその旨をお知らせください。その場合には私も催促めいたことは申しあげません。木戸さんの退路を断つことまでは考えておりません。

 いまのままだんまりを決め込んでいらっしゃるのは、どう考えても得策ではありません。事業の根幹に関わる質問にお答えいただけないということは、事務局長みずからが私の批判の正当性を、つまりは事業の欺瞞性をお認めになったことだと判断する閲覧者もいらっしゃるかもしれません。それは事業にとって致命的なマイナスです。この掲示板は事業の欺瞞性を間接的に証明するために設置されたものなのでしょうか。

 もしもお答えをいただけないのであれば、つまり電子掲示板における開設者と閲覧者の関係の双方向性を否定されるのであれば、この掲示板のどこかに「事務局への質問にはいっさいお答えいたしません」という注意書きがあってしかるべきでしょう。そうすれば閲覧者も誤解することなく、投稿者間の交流の場としてこの掲示板を利用するはずです。

 ご一考くださいな。

 ●村びと様

 名張人外境をご覧いただいてお礼を申しあげます。私のサイトはえっへん、国立国会図書館のデータベース・ナビゲーション・サービス「Dnavi」に堂々五コンテンツが登録された優良サイトなのですが(登録してもらったのが嬉しくてあっちこっちで自慢しております)、お役所批判サイトとしても天下無双となっております。またお立ち寄りください。

 それからひとつお知らせしておきますと、私は「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業に関わっている人間ではありません。どうせ税金の無駄づかいに終わるだけだからこんな事業とっとと中止してしまえ、と思っている人間です。事業実施計画案がいまだ公表されていませんから仔細は不明なのですが、事業そのものの立脚する基盤がきわめて曖昧脆弱であることはすでに明白だと判断されますので、地域住民の一人としてこのまま黙認できるものではないと考えております。

 とはいえ、実際には事業を中止にもちこむのは不可能に近いことでしょうから、それならば自分のできる範囲内で幾許かでも予算を有効適正につかってもらうことを考えたいと、『江戸川乱歩小酒井不木往復書簡集』(仮題)の刊行というプランを提案いたしました。このプランに対しては五百五十万円という予算の内示を得たと聞き及んでおります。今月中に発表される予定の事業実施計画案で、プランの詳細をご覧いただけるはずです。

 ●管理人様

 過去ログの保存に関しては、私も村びとさんとまったく同じ意見です。それから、村びとさんは「イベント期間が終ったら、何が残るのか」と心配していらっしゃいますが、この掲示板は「伊賀びと」のいわば公式掲示板として残されるべきではないでしょうか。それとも、そんな先のことまでお考えではないのでしょうか。

 何によらずこの「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」では、事業や組織の本質に関わる問題はほとんど顧慮されず、将来の見通しもほぼ五里霧中のまま、ただ事業を実施すること自体が目的化してすべての準備が進められているように見受けられます。これはほんとに困ったことです。

 いやいや、管理人の方にこんなことを申しあげても致し方ありますまい。ご放念ください。木戸さんにどうぞよろしく。

 ●二〇〇四伊賀びと委員会の皆様

 この掲示板にみなさんのご投稿が見られないのは、いったいどうしたことなのでしょうか。

 伊賀地域からはもちろん、はるばる滋賀県からご投稿いただいた方もいらっしゃいます。委員会のみなさんも投稿によって応接されるのが、ごくごく一般的な礼儀であると思われる次第です。むろん事務局でなければ応対できない質問もあるでしょうが、書き込まれた意見や提案に対してみなさんがご自身のお考えを述べるのはみなさんの自由のはずです。

 事務局一任で知らん顔をしていらっしゃるのは、まさに公務員そのものの当事者意識のなさを目の当たりにするようで、あまり気分のいいものではありません。私に対してもおっしゃりたいことがおありだろうと思うのですが、いかがなものでしょうか。

 みなさんが阪神タイガースだとすれば、この掲示板は阪神甲子園球場です。本拠地で心おきなくプレーしていただければと思う次第です。そうでなければ二〇〇四伊賀びと委員会は地域住民からすっかり見放され、チームに見切りをつけた阪神ファンが甲子園球場からぞろぞろ帰ってしまうという事態にもなりかねません。

 ちっとはしっかりしませうね。

 二〇〇四伊賀びと委員会のみなさんにしっかりしろと申しあげるのは、そこらの犬に二本脚で歩けと命令するようなものでしょう。これを実現不可能なことのたとえと見るか、それとも可能なことのたとえと見るか、じつにじつに難しいところですが。


●10月26日(日)

 例の掲示板への投稿も連続六日目を迎えてしまいました。まだまだがーんがん攻めております。福岡だろうがどこだろうが、行けるとこまで行って胴上げしてもらってくるつもりです。胴上げされるか袋叩きに遭うか、予断を許さぬ状況ですが。

投稿者:中 相作
投稿日:2003/10/26(Sun) 06:51 No.35

タイトル:六日目の朝を迎えました

 ●芭蕉さんのファン様

 はじめまして。よろしくお願いいたします。

 仰せのとおり11月8日の伊賀学講座で僭越ながら講師を務める次第ですが、きのうも記しましたように私は「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」を中止に追い込みたいと考えている人間ですから、講座の内容もこの事業に対する批判が中心になってしまうだろうと思います。

 当初は「江戸川乱歩と情報発信」をテーマにする予定だったのですが、よりタイムリーな内容とするべく「野呂昭彦知事と情報発信」へのテーマ変更を事務局に申し出ましたところ、すでにPRを行っていることもあって変更できないとのことでしたので、既定どおり「江戸川乱歩と情報発信」というテーマでお話はいたします。とはいえ、現時点で「伊賀」「江戸川乱歩」「情報発信」の三題噺を喋るとなると、どうしたって「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」が出てこなければならないでしょう。だから出てきます。

 したがいまして、私の話に江戸川乱歩はあまり登場しないかもしれません。そのかわり、野呂昭彦さんとおっしゃる県知事や木戸博さんとおっしゃる県職員や中川正美さんとおっしゃる県議会議員のみなさんにはばんばん登場していただくことになるはずです。あらかじめご了承いただければ幸甚です。

 ついでに申しあげておきますと、もしも江戸川乱歩のことを知りたいとおっしゃるのでしたら、どうぞ乱歩の著作をお読みください。結局それが一番手っ取り早い方法です。ちょうど光文社から全集が刊行されている最中でもありますし、名張市立図書館においでいただければ関連書籍も閲覧していただけます。むろんこの掲示板でお尋ねいただければ、私にわかる範囲内で何でもお知らせいたします。私のサイトの下記の掲示板にご投稿くださっても結構です。

http://www.e-net.or.jp/user/stako/tayori.html

 ●二〇〇四伊賀びと委員会の皆様

 といった次第で、11月8日の伊賀学講座ではみなさんの委員会と「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業推進委員会との関係性の曖昧さをはじめとして、事業と組織の不審な点にあたう限り言及するつもりでおります。つきましては、まことに変則的なことなのですが、講座の途中で事業と組織に関するみなさんのご見解をお聞きする時間を取りたいと考えております。

 事業推進委員会の会長でいらっしゃる野呂昭彦さんや事業事務局長の木戸博さんにもおいでいただければいいのですが、たぶんお二人ともお顔を見せてはくださらないでしょう。ですからまあ、命冥加なこのお二人をぼこぼこにしてさしあげるのは別の機会に譲るとして、講座の主催者である二〇〇四伊賀びと委員会のみなさんからお話をうかがう場を設けることで、より充実した講座にしたいと念じている次第です。

 ご了解いただけますでしょうか。

 みたいなことをお訊きしても、とてものことにご了解はいただけないでしょう。講師の資質に問題があることが判明しましたので、11月8日の伊賀学講座は中止いたします、なんてことになったらどうしましょうか。


●10月27日(月)

 胴上げは無理かもしれないなと思われてきました。ともあれ例の掲示板、本日はこういった次第です。

投稿者:中 相作
投稿日:2003/10/27(Mon) 08:16 No.38

タイトル:一週間に七日来ました

 本日のタイトルは五月みどりさんの往年のヒット曲をご存じない方には面白さをご理解いただけないだろうと判断される次第ですが、とうとう七日連続の投稿となってしまいました。私はいまやこの掲示板で押しも押されもせぬボードリーダーの位置を占めているわけですが、私の投稿がここまで場所ふさぎをしているのはあまりいいことではないでしょう。もう少し慎みたいと思います。とかなんとかいいながら本日もばしばしまいります。

 ●管理人様

 お休みだったのにどうもご苦労さまです。

 掲示板の設定はいかようにも改められると思います。基本的には、掲示板からオーバーフローした書き込みを自動的に保存してくれるファイルをアップロードし、このファイルはそのままでは閲覧できませんから、そこにプールされた書き込みを別のファイルにコピー&ペーストして、たとえば一か月単位にまとめて過去ログとして公開することになります。あまりうまく説明できておりませんが、詳細はプロバイダまたはホームページ作成業者にご確認ください。

 私はそうした作業が煩わしいため、過去ログの保存はいっさい行っていないのですが、過去ログが保存されないから投稿者が気軽に思ったことを書き込めるという利点もあるように思っております。ただしこちらの掲示板には、実際に事業がスタートすれば地域住民による事業評価も当然投稿されてくるでしょうから、事業を記録する意味でも過去ログの保存公開が望まれる次第です。

 もうひとつ、これは私自身いまだに結論を出しかねているのですが、いったん流れ去った投稿を過去ログとして公開した場合、そこには著作権の問題が発生してくるのではないかと思われます。こちらの掲示板では投稿者の意志で投稿を削除できるようですから、そうした問題には意を用いる必要がないのかもしれませんが、念のために三重県の顧問弁護士の方にご相談なさってはいかがでしょうか。県民の血税で雇っている弁護士なんですから、遠慮なくどんどんご質問いただければと思います。

 ●芭蕉さんのファン様

 どうもありがとうございます。11月8日には講座終了後、会場近くのお店で「伊賀学講座秋の陣開催記念大宴会」を開催することになっております。講座関係者のほか受講者のみなさんにも自由に参加していただいて、酒食を楽しみながら「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」その他の話題で盛りあがろうという趣向です。ご都合よろしければぜひご参加ください。会場も会費も私はいっさい知らないのですが、当日には判明すると思います。どうぞよろしく。

 ●二〇〇四伊賀びと委員会の皆様

 ご了解いただけますでしょうか、とお訊きしたのにどなたからもご回答をいただけないのはなぜかしら。

 別に結論をお書きいただかなくてもいいんです。私の提案に対して、自分はそんなことをするべきではないと思うと、みなさんそれぞれのお考えを自由にご投稿いただければ、私はそれを拝読しておおいに参考にさせていただきたいと考えている次第です。おわかりでしょうか。私は公開性ってやつを問題にしてるわけなんです。

 そもそもこの「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業には、ホームページで公開しながら事業案を協議するほどの徹底した公開性が必要であったと私は思っております。官民合同事業において、官公庁には期待できない透明性を一貫して保持した貴重な事例となるべき事業であったと思っております。それがどーなのこの隠蔽性は。お役所そのものの密室性のなかで、みなさんいったいなーにやっていらっしゃるんでしょうか。

 早い話がこの掲示板においても、みなさんの閉鎖性や排他性は日に日に印象を濃くしているように見受けられます。みなさんが黙りこくれば黙りこくるほど、その沈黙がかえって「伊賀びと」の本質を際立たせているという事実にお気づきにはなりませんか。たった一人の事務局職員にすべてを押しつけて、どうせどこかでお会いしたら「いや私は〇四委員会の掲示板は見てませんから」みたいなことをおっしゃるおつもりなんでしょうけど、言い訳や言い逃れはもう結構です、とここにあらかじめお伝えしておく次第です。

 よろしいですかみなさん。みなさんは県民の血税三億円を自分たちのいいようにつかってやろうという人たちです。いわば悪党です。悪党なら悪党らしく、もう少し堂々としていていただければありがたい。そのほうがこっちにも叩き甲斐があるというもんです。

 なんてこと書いてしまいましたけど、ご了解いただけますでしょうか。

 こんなことにかまけてる暇はないようにも思われますが。


●10月28日(火)

 やはり星野仙一監督の敵地での胴上げは果たされませんでした。興味のない方もいらっしゃるでしょうが、プロ野球日本シリーズの話です。

 伊賀びとという名のお猿さん

 こうなりますと私もまた、胴上げめざした掲示板通いもはかばかしい成果が得られないみたいですから、二〇〇四伊賀びと委員会のいかれぽんちのみなさんを相手にするのも時間の無駄、そろそろ本拠に腰を据えることにしたほうがいいのかなと思われる次第ですが、とりあえず本日はこんな感じです。

投稿者:中 相作
投稿日:2003/10/28(Tue) 06:41 No.40

タイトル:愛想もこそも尽きて八日目

 ●芭蕉さんのファン様

 洒落のきいたお答えをいただき、お礼を申しあげます。それにしても、ほんとにいったいどうなっているのでしょうか。

 仰せのとおり、「やがて死ぬけしきは見えず蝉の声」とばかり毎日ひとりで鳴き暮らしている次第ですが、二〇〇四伊賀びと委員会は忍者集団なのかそれとも死人の集まりなのか、あるいは「物いへば唇寒し秋の風」を座右銘にでもしていらっしゃるのか、いずれにしてもここまで見事に無反応がつづくと何やら人生の孤独と寂寥が惻々と胸に迫り、こちらはまさに「この道や行く人なしに秋の暮」の心境です。「秋深き隣は何をする人ぞ」との思いも募りますし。

 といった具合に考えを進めてみますと、この掲示板にはいつのまにか芭蕉最晩年の境地が再現されているということに気づかされます。いやまいった。さすが「伊賀びと」、やることがちがいます。芭蕉の境地が実感できる掲示板とは恐れ入りました。天国の芭蕉翁も、二〇〇四伊賀びと委員会のみなさんにはずいぶん感謝していらっしゃることでしょう。

 もっとも、もしも私が芭蕉だったら、俺の句集をまともに読んだこともないような連中が勝手に俺の名前つこてしょーもないことさらしとったらしまいにしばきたおすぞこら、承知せんぞこら、知事を呼べこら、ぼこぼこにしたるさかいに野呂とかゆう知事さっさと呼んでこいゆうとるんじゃこら、と怒ってるところですが。まあこんな柄の悪い芭蕉はおらんわけですが。

 しかしこんなことにかまけてる暇はほんとにありません。そういえばきょう28日は乱歩ゆかりの名張の氏神、宇流冨志禰(うるふしね、とお読みください)神社の秋祭りです。露天商の商うベビーカステラでも食べて心を入れ替えることにしたいと思います。


●10月29日(水)

 いかんいかんとは思うのですが、例の掲示板で俳諧談義に花が咲いたものですから、きょうもきょうとていそいそと。

投稿者:中 相作
投稿日:2003/10/29(Wed) 07:04 No.43

タイトル:門を出て故人に逢ぬ秋のくれ

 ●芭蕉さんのファン様

 二〇〇四伊賀びと委員会のみなさんに死にかけた蝿ほどにも反応していただけないせいで、この掲示板はなんだか俳諧談義専用掲示板になってしまったみたいです。しかしまあ、なにしろ芭蕉さんがゆくんですからこれも一興でしょうか。

 もしもお墓が動いたりなんかしたら、それはもうホラー映画みたいで相当に恐ろしいのではないかと思われます。ただし、芭蕉が知人の死を知って慟哭しているのに対し、私は「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業の無茶苦茶さを知ってぶっつぶすぞこらと関係各位を恫喝しているわけですから、慟哭と恫喝では月とすっぽんというも愚かな隔たりがあり、私と芭蕉はとても同一視の対象とはなり得ません。それに私は、もしかしたら芭蕉より蕪村が好きだったりもいたしますので。

 タイトルの掲出句(上五は「もんをいでて」)も蕪村遺稿の一句で、初めて読んだときには故人、つまり死んだ人にばったり出くわしたというのですからこれはホラー俳諧にちがいないと思ったのですが、故人には古い友人という意味もあるそうですからひと安心。それにこの句の故人は、芭蕉その人を意味しているとするのが定説のようです。

   この道や行く人なしに秋の暮

   門を出て故人に逢ぬ秋のくれ

 芭蕉が「行く人」のない道を歩んだのも、蕪村が門を出て「故人」に会ったのも、季節は同じく秋の暮れ方のことでしたが、この二句には芭蕉と蕪村それぞれの生が暗示されて、見事な好一対をなしているように見受けられます。

 句集下巻を「芭蕉去てそのゝちいまだ年くれず」の句で締めくくったほど、蕪村が芭蕉に深い敬愛を捧げていたことは広く知られていますが、もしもこの「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」をめぐる伊賀の地のすったもんだを知ったなら、蕪村はいったいどんな感想を抱くことでしょうか。このむらの人は猿也冬木だち、なーんて詠まれたりして。

 ●二〇〇四伊賀びと委員会の皆様

 いやいやどうぞご心配なく。蕪村は決してみなさんのことを猿並みの頭しかない見下げ果てた連中だといってるわけではありません。句集下巻の「このむらの人は猿也冬木だち」はいわば夢中詠、「夢想に感ぜし也」と自註された句のひとつで、詠まれた「猿」は文字どおり動物の猿を指していると見るのが一般的です。句集には、

   冬こだち月に憐をわすれたり

   二村に質屋一軒冬こだち

   このむらの人は猿也冬木だち

 と三句が排列され、夢で訪れた村の不思議に静謐なたたずまいが表現されているのですが、人の姿はいっさい見えず、ただ冬木立に猿が戯れるばかりの情景には、どこか萩原朔太郎の「猫町」を連想させるものがあるようにも思われます。とにかくご心配なく。どうぞご休心ください。

 あ。芭蕉さんは好きだけど蕪村だの萩原朔太郎には興味がないとおっしゃいますか。それなら私のサイトの下記のページでもご覧いただきましょう。すべての「伊賀びと」に贈る傑作講談がアップロードされております。この程度ならご理解いただけるだろうと踏んでおる次第なのですが。

http://www.e-net.or.jp/user/stako/ED2/E10set.html

 それにしてもきょうは10月も29日。たしか今月中に「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業実施計画案を発表するとのお約束をいただいていたはずなのですが、いったいどうなることでしょう。念のために申しあげておきますと、私はいまだってもうかりかりに怒っております。猿みたいな真っ赤な顔になって怒っているとお思いください。ですからみなさん、お願いですからこれ以上私を怒らせないでくださいな。

 たぶんめちゃくちゃ怒ることになるのではないかと思っております。二〇〇四伊賀びと委員会のみなさん、難儀な話ですな実際。


●10月30日(木)

 そろそろ本気で怒っております。承知せんぞと思っております。例の掲示板、本日はこんな具合になっております。

投稿者:中 相作
投稿日:2003/10/30(Thu) 08:53 No.48

タイトル:とうとうキレた十日目の朝

 ●管理人様

 どうもご苦労さまでした。さっそく拝見いたしました。事業実施計画案が27日あたりに記者発表されるらしいということは聞き及んでいたのですが、総選挙の公示があるから紙面の余裕はあるまいに、と思っていた次第です。

 発表資料は県政記者クラブおよび上野・名張市政記者クラブに提供されたとの由、私の知るかぎりではいまだに記事を見かけませんから、いずれの記者クラブでもネグレクトされてしまったということでしょう。総選挙があろうとなかろうと、ほとんどニュースバリューの認められない資料ではありますし。

 さてこうなりますと二〇〇四伊賀びと委員会は、メディアに資料は提供しましたが記事にしてもらえませんでした、オフィシャルサイトで計画案を公開しております、なんてことで事業実施計画案発表の責を果たしたとお考えなのでしょうか。そんなことで地域住民に対する責任をまっとうできたとお考えなのでしょうか。なーにやってんだかまったく。

 しかしよく考えてみますと、なにしろ二〇〇四伊賀びと委員会のやることですから、一事が万事この調子、徹頭徹尾ひとりよがりで身内の自己満足に終始するのは致し方のないところかもしれません。「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」における情報発信とやらも、結局は今回の事業実施計画案発表と同様の嗤うべきレベルで推移するにちがいないと、私はいまから予言しておきたいような気分です。

 ともあれ、管理人の方にはお忙しいところお手数をおかけいたしました。伊賀地域住民を代表してお礼を申しあげます。二〇〇四伊賀びと委員会メンバーからは何の挨拶もないと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

 ●芭蕉さんのファン様

 芭蕉ほどの大物になると、さまざまな視点から芭蕉を論じた関連文献だけでも膨大な量にのぼるものと思われます。芭蕉さんがどーたらこーたらいうのであれば、せめて生誕三百六十年を記念して芭蕉に関する主要な関連文献をわかりやすく体系化した『芭蕉文献データブック』を伊賀から全国に発信しよう、なんて提案する「伊賀びと」が一人でもおらんかったのかと思われる次第です。伊賀の人間にそんなことを期待するのは大きな間違いだ、といわれればそれはまったくそのとおりなのですが。

 伊賀に猿が多いかどうかはよく知らないのですが、きのうの蕪村の句とは異なり、芭蕉の伊賀越え道中吟に出てくる猿は紛れもない現実の猿だと思われます。蕪村の猿は完全な客体として描かれていましたが、芭蕉の猿は主客未分離で芭蕉自身の感懐が投影されている印象があり、しかもそれが単なる哀愁にとどまらず、猿という題材のおかげで枯れたユーモアを漂わせている点に妙味が感じられます。其角が「俳諧に神を入れ給ひ」と絶讃した所以でしょう。

 芭蕉がこの句を詠んだ元禄2年と現代では、伊賀地域における猿の棲息状況も大きく変化していることでしょうが、人間のはずなのになぜか見ざる聞かざる言わざるを決め込んでいるすっとこどっこいどもも計算に入れて考えれば、伊賀は日本でもトップクラスのお猿さん棲息地ということになるのかもしれません。こんなこといってたら本物の猿から怒られますけど。

 それから、私は忍者のことはよく知らないのですが、村山知義の小説「忍びの者」には、伊賀の忍者が人遁の術につかう犬や猿を飼っていたという記述が出てきます。人遁の術はたしか人混みに紛れて姿を消す術のはずですから、犬や猿の出番がどこにあるのかはよくわかりません。じつは「忍びの者」には、忍者が手許から動物を放って敵の注意をそちらに集中させ、その隙に素早く遁走するというシーンがあったとの記憶があり、もしかしたら猿をつかったのかなと思って本をぱらぱら繰ってみたのですが、残念ながら確認することができませんでした。見事に遁走されてしまった感じです。

 ちなみに「忍びの者」は、伊賀の地に関して「少し角度を変えることによって、見方変わることは意外に多いかも」といったことを体験できる小説で、「伊賀びと」などと自称して悦に入り、「伊賀はひとつ」などとぼけ老人の寝言みたいなことおっしゃってるおめでたいみなさんには心からお薦めしたいと思います。今年1月に岩波現代文庫に入って、全五冊のうちの分冊一は本体千円。この分冊一はそこそこ面白いのですが、分冊二では唯物主義者の歴史解釈みたいな珍しくもない講釈がいささか鼻につき、私は分冊三以降を購入しておりません。

 さらにちなみに「忍びの者」の作中では、石川五右衛門が「この女は名張生まれの女だそうな。すると、案外狡くて、強突張りかも知れんぞ」なんて科白を口にしたりしておりますので、どちらさまも名張生まれの女性にはくれぐれもご注意くださいますよう。

 ●二〇〇四伊賀びと委員会の皆様

 いきなりつかぬことをお訊きいたしますが、みなさんもしかしてあほですか。前々からそうじゃないかとは思ってたんですけど、やっぱりみなさんあほなんでしょ。そうに決まってます。だって事業実施計画案とやらをざーっと拝見したんですけど、あんなもののどこが事業実施計画案ですか。たかがあれだけのものまとめるのに、予定を半年以上もオーバーしていままでかかってたっていうんですか。ばっかじゃねーの。あんなもんただの予定表じゃねーか。幼稚園児ならお遠足とかお遊戯会とかいっぱい書かれた年間行事予定表もらって大喜びするかもしれませんけど、はばかりながらこちとらそうはまいりません。

 予定表の内容にいちいち言及するのはいまは控えることにして、みなさんの事業実施計画案とやらの度しがたい点をひとつだけお伝えしておきます。それはいったいどんなことでしょうか。答え、予算がまったく示されていないことです。山といえば川、伊勢といえば津、梅に鶯なら松には鶴、計画といえば予算がつきものだってことくらいみなさんもご存じないわけありますまい。どうして予算が伏せられているのでしょうか。事業実施計画案は発表することにしてましたけど、予算案を発表するとは一度もいってませーん、なんて言い訳はどうぞなさいませんように。

 よろしいですかみなさん。あーたがたは血税三億を気前よくどぶに捨ててくれようって人たちなんです。それならそれで、計画のなかのこの事業にはいくらこの事業にはいくらと予算額をはっきり明示して、血税がどぶに捨てられるさまを地域住民にしっかり見せてくれないと困るんです。結局のところみなさんは、最後の最後まで公開性や透明性にはいっさい無縁な人たちだったってわけですか。そんな連中が官民合同のなんのと偉っそうなことを口になさるものではありません。とくに民間委員のみなさんがた、あーたがたはよくもここまで地域住民を愚弄できたものだ。いや感心感心。ご希望があれば何枚だって表彰状を書いてさしあげますから、どうぞお申しつけくださいな。

 さーあ。こーなったらあしたもばーんばんかますぞー。二〇〇四伊賀びと委員会の見ざる聞かざる言わざるのお猿さんたちは、いまから覚悟しておくように。きゃっきゃっきゃ。

 しかし難儀ですな実際。


●10月31日(金)

 「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業推進委員会事務局長の木戸博さんからメールを頂戴いたしました。私はきょうあたり例の掲示板で木戸さん相手に思い切り啖呵を切ってやろうかなと無邪気なことを考えておりましたので、間一髪で間に合ったというわけです。内容は次のとおり。

 いつも事業へのご意見、ご忠告、ありがとうございます。

 ご質問いただいておりましたことにつきまして、回答させていただきます。

 1 まず、この事業の実施事業計画案につきましては、10月27日(月)に公表させていただき、また、ホームページにも掲載させていただきましたので、よろしくお願いいたします。

 2 この事業に係ります情報公開につきましては、法令等に規定されている情報や個人に関する情報等を除き、原則として公開していきたいと考えています。委員会の会議の議事録につきましても、今後、ホームページに掲載していく予定です。

 なお、秋頃に開催する予定をしていました事業推進委員会につきましては、12月末に開催することとなりましたので、ご報告させていただきます。

  平成15年10月30日

 回答になっておりません。私の返信は次のとおり。

木戸博様

 お忙しいところご回答をたまわり、ありがとうございました。しかし遺憾ながら、まことに失礼なことを申しあげますが、納得のできるお答えではありませんでした。

 私の質問は次の四項目です。

 一) 「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業の三か年計画は、いつ、どのような場で、誰によって決定されたのか。決定時の議事録を公開するよう要請する。公開は可か、不可か。

 二) 三か年計画のうちの平成十五年度事業「平成十六年の実施予定事業の広報」は、三重県ならびに伊賀地域七市町村の各議会の承認を得ているのか、得ていないのか。得ていない場合は、承認を得る必要はないと判断しているのか。

 三) 事業推進協議会の三回にわたる会合の議事録を公開するよう要請する。公開は可か、不可か。

 四) 次回の事業推進委員会はいつ、どこで開催されるのか。地域住民がそこに出席し、事業に関して意見を述べることは可能か。

 質問一および三に関しましては、お答えが曖昧に過ぎるように思われますので、より明快にお答えいただくことを希望いたします。質問四へのご回答によれば、今年十二月末に事業推進委員会が開催されるそうですから、それまでには事業推進協議会の議事録を公開していただかなければ困ります。事業推進協議会の協議に正当性が認められるかどうかを判断したうえで、もしも必要ならば事業推進委員会にお邪魔して事業の中止をお願いしようと考えております。公開のための作業に時間が必要だということであれば、伊賀県民局で議事録を閲覧し、コピーを取ることを許可していただきたいのですが、可、不可、いずれでしょうか。

 質問二に関しましては、県議会議長の中川正美さんにもご見解をお訊きし、お答えを頂戴したのですが、これがまたずいぶんと見当はずれなご回答でしたので、再度質問をお送りしたことを附記いたします。ひきつづき貴職のご回答もお待ち申しあげます。

 質問四に関しましては、「地域住民がそこに出席し、事業に関して意見を述べることは可能か」との質問にお答えいただいておりません。ご回答いただきますようお願いいたします。

 以上、四項目に関するお答えを再度お願い申しあげる次第です。

2003/10/31

 お次は例の掲示板、連続投稿十一日目の本日はこのような塩梅で。

投稿者:中 相作
投稿日:2003/10/31(Fri) 07:45 No.50

タイトル:アドバイスして十一日目

 ●芭蕉さんのファン様

 毎日ありがとうございます。

 「角度をかえ」るというよりは、視点を外在化させることだとお考えください。たとえば二〇〇四伊賀びと委員会は、伊賀の内部から伊賀を見ているに過ぎません。視点が伊賀に内在しています。むろんそれも大切なことですが、とくに情報発信とやらを手がける場合には、伊賀の外から伊賀を眺める視点も不可欠でしょう。視点を外在化させる便法のひとつは外部の人間の目に伊賀がどう映っているかを知ることですから、伊賀の人間が「忍びの者」を読むことにはそうした意義も認められるだろうと思われます。むろん読書は、具体的な実利を求めるための行為ではないわけですが。

 ●二〇〇四伊賀びと委員会の皆様

 やあみなさん。お元気ですか。いや結構結構。あほでも何でも元気が一番、二児の父親三時のあなたって寸法ですか。それにしてもこのところ何かと大変でいらっしゃるのではないかと拝察いたします。さぞやお困りでしょう。

 ようがす。

 合点だ。

 お任せください。

 困ってる人に手を差し伸べるのが人の道ってやつです。

 おわかりですかみなさん。ものには道理というものがあります。人には道というものがあります。ところがみなさんと来た日にはえらいもので、ものの道理もご存じなければ人の道も弁えていらっしゃらない。そういう人間のことをわが伊賀の地では、ひらがな二文字で古来あほと表現してきた次第です。

 あほ。

 なんと微笑ましい響きをもった言葉であることか。ついつい微笑みながら本日は出血大サービス、みなさんにふたつもアドバイスをしてさしあげることにいたしましょう。あほから抜け出すあしたはどっちだ。

 あしたのために、その一。

 より詳細な事業実施計画案をオフィシャルサイトで公開するようアドバイスいたします。

 一事業に一ページをあててください。三百事業あるのなら三百ページが必要です。それぞれのページには、事業名、提案者名、要求予算額、獲得予算額、事業の内容(趣旨、目的、日程、会場、関係者名、その他いろいろ)と予算の内訳なんてところを記載して、予告、経過報告、終わったあとの評価も書き込みましょう。

 私は27日付投稿に「ホームページで公開しながら事業案を協議するほどの徹底した公開性が必要であった」と記しましたけど、それはそもそものとっかかりから、一事業一ページで協議内容を公開してゆくくらいのことをするべきだったという意味です。お役所そのままの隠蔽体質に凝り固まったみなさんには、ちょっと思いつきもしませんでしたか。きわめて先進的な事例を示すいい機会だったといいますのに、残念至極きゃっきゃっきゃ。

 あしたのために、その二。

 事業推進委員会に事業実施計画案を提案する前に伊賀びと委員会全員による会議を開くようアドバイスいたします。

 その会議では、ほんとにこのまま提案してしまっていいものかどうか、みたいなことを協議してください。みなさんは気にとめてもいらっしゃらなかったでしょうけど、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」の事業と組織には看過しがたい問題が存在しています。それを追及するために私はたとえば事業推進協議会の議事録公開なんてことを要請しており、それに対する事業事務局長のお答えも昨日頂戴したのですが(お答えは本日、当方のサイトにアップロードいたします)、相変わらず夢で蒟蒻を踏むような印象が拭いきれず、じつに困ったものだと思っております。

 しかし日も暮れよ鐘も鳴れ、六月からこちらの長い日月、私がどんな間抜けにもわかってもらえる明快さで問題点を指摘しつづけてきたせいで、いまのみなさんには事業と組織の問題点を充分ご理解いただいているものと拝察いたします。私が追及してきた問題点は本来みなさんが追及するべきものだということも、いまやすっかりおわかりのはずです。

 ですからただの一度でいいんです。一度だけで結構ですから全員で集まっていただいて、みなさんと事業推進委員会との曖昧きわまりない関係性について、事業推進委員会の必要性について、みなさんの自立性と主体性について、地域住民に対する公開性ないしは説明責任を一から十まで無視してきたみなさんの怠慢あるいは不見識についてなどなど、そして何よりこの「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」という事業が本当に必要なのか、ほんとにこんな情報発信に名を借りながら実質はご町内の親睦行事の寄せ集めにしか過ぎぬ事業に血税三億ぶち込まなければならんのか(ここで申しあげておきますと、私は別にご町内の親睦行事そのものを否定しているわけではありません。それならそれで、情報発信のなんのと小賢しいことおっしゃらずに、芭蕉生誕三百六十年を機に伊賀地域住民の交流イベントを盛大に催します、なんて感じでやっていただければいいんです)、その点をみなさんで話し合ってください。問題をクリアする道を探ってください。そして協議内容をオフィシャルサイトで公開してください。

 私は25日付投稿に「何によらずこの『生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき』では、事業や組織の本質に関わる問題はほとんど顧慮されず、将来の見通しもほぼ五里霧中のまま、ただ事業を実施すること自体が目的化してすべての準備が進められているように見受けられます」と記しましたが、こうした印象を抱いているのは私ひとりだけではないように思われます。このままではみなさん全員、地域住民に対して顔向けができなくなるのではないかとさえ危惧される次第で、それはまことに遺憾至極のきゃっきゃっきゃ。

 以上ふたつのアドバイス、しかと受けとめてくださいな。さて、二〇〇四伊賀びと委員会のあしたはどっちだ。

 といった次第で、二〇〇四伊賀びと委員会のみなさんが事業中止を決定してくれればいいんですが、おそらくそうは問屋が卸さないでしょうから、最終的には12月末に開催される事業推進委員会に私がお邪魔して(この日の委員会で事業実施計画案が承認されることになるわけですが)、野呂昭彦知事や伊賀地域七市町村長らお歴々の前でこんな事業やめてしまえとお願いすることになるのかもしれません。

 あしたはほんとにどっちかしら。