2004年7月前半

●7月1日(木)

 三重県民のみなさん、お喜びください。三重県がまたしても全国トップに輝きました。毎日新聞オフィシャルサイトから柴沼均記者の記事をどうぞ。

電子自治体ランキング:
総合トップは三重県と岡山市 摂南大調査
 電子自治体の最も進展している県は三重県で、市は岡山市−−。摂南大の島田達巳教授らのグループが30日までに、「庁内情報化」「行政サービス」「情報セキュリティー」の3分野をもとに都道府県と市・特別区の電子自治体進展度をランキング。インフラだけでなく総合的な調査は初めてという。

 調査は文部科学省の科研費の助成を受け、5月10日から1ヵ月にわたり実施され、回答率は都道府県が78.7%、市・特別区は63.9%。3分野で63の質問を設定し、分野ごとと総合のランキングを算出した。

 もう一段落だけ行っときましょう。

 島田教授は「三重県の北川正恭前知事が行政改革と一体的に電子自治体を推進するなど、上位の都府県はトップが旗振り役を果たして、腰の重い組織を動かした成果」と分析している。

 記事に名前が登場することからも知れるとおり、これもまた北川正恭前知事の余慶にほかなりません。つまりは過去の栄光ってやつですか。「旗振り役」の前知事がいなくなった三重県庁にかつての「腰の重い組織」が甦ってきていないという保証はどこにもないわけなのですが、いやいや、こんな意地の悪いことを記すのはやめておきましょうか。

 それに、話はもう少し複雑なのかもしれません。と申しますのも、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業と「ネットで県民参画」事業とにおける電子掲示板の取り扱いを見る限り、三重県職員のみなさんはITの活用という側面においておおきに功を焦っていらっしゃるのではないかと見受けられるからです。すなわち、電子掲示板の必要があるとは思えないのにわざわざどーんと設置して、挙げ句の果てはいきなり閉鎖して全国に失態をさらしたり、かと思うと日本国憲法に違反して投稿の検閲かましたりといった眼を覆いたくなるような不始末不手際の背景には、なんだかあさはかきわまりない功名心が見え隠れしているようにも感じられるからです。要するにですね、たとえばIT先進県などというお先走りな旗のもと、ITの何たるかもよくわきまえていない人間がいたずらに目先の功を焦ってとんだお粗末を演じてしまった、あるいは演じつつあると、そういうことではないのかね、え、そうじゃないのかね君たち、と私には思われぬでもありません。

 そのあたりのことも「知事と語ろう本音でトーク」でとりあげられればと思うのですが、きのうまとめるつもりだったトーク参加のための「事前意見送信書」追加分、あいにくとまだ仕上がっておりません。と申しますか、いまだ一行もしたためておりません。きょうこそ仕上げてやろうっと。


●7月2日(金)

熊野古道世界遺産登録を祝す

 三重県民のみなさん、おめでとうございます。毎日これだけ三重県の話題がつづくウェブサイトも珍しいのではないかと思われますが、本日もまた三重県のお話です。21世紀を迎えた紀伊半島南部にいまも露出する日本の古層、かの熊野古道が晴れて世界遺産に登録されました。中日新聞の記事をどうぞ。

「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に
 【蘇州(中国江蘇省)=渡部圭】中国・蘇州で開かれている国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会は一日、三重、和歌山、奈良の三県にまたがる「紀伊山地の霊場と参詣道(さんけいみち)」を世界遺産(文化遺産)に登録することを決めた。熊野三山への参詣者がたどった熊野古道も含まれている。日本では四年ぶり、十二件目の世界遺産が誕生した。北朝鮮と中国にまたがる「高句麗古墳群」も別々に登録が決まった。北朝鮮では初の世界遺産で、日本政府も北朝鮮の古墳群の保存に支援を表明した。

 各国が推薦した計四十八の候補(新規、拡張など)のうち、日本の「紀伊山地」は二十一番目に審査された。現地を調査した委員会の諮問機関が、紀伊山地の文化的景観を形づくる霊場は、神道と仏教、修験道のユニークな融合であり、参詣道とともに今に伝えられ、連綿と民衆の中に根付いている−などと、日本の推薦理由を認めたことを写真などを使って説明。各国代表から賛同を表明する意見が相次ぎ、満場の拍手で世界遺産の一覧表に記載することを決めた。正式な登録は七日に行う予定。

 知事の喜びの声も引いておきましょう。

◆野呂昭彦・三重県知事の話

 待ち望んでいた朗報を県民とともに喜びたい。郷土の宝が世界の宝になった。この宝物を守ってきた地元の人々、さらに先人の功績にも感謝したい。住民の皆さんや地元市町村と一緒に、古道がよりよい宝物となるよう、しっかりと保存に取り組み、地域活性化にも活用したい。

 おめでとうございます。おめでとうございます。いつもより多い目に回しております。

 南北格差というのは地球規模に限ったお話ではなく、南北に長い地勢の三重県にだって存在しています。ひとことでいえば北が豊かで南が貧しく、三重県にとって県南部の振興はいっこうに解決策の見つからぬ積年の課題となっていますから、知事が熊野古道の世界遺産登録に伴う「地域活性化」に望みを託していらっしゃるのも無理からぬところでしょう。まずはめでたし、と申しあげておきましょう。

 しかしこうなりますとわが三重県におきましては、現在ただいま「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業を展開中の伊賀地域の存在がいよいよ霞んでしまうことになりそうです。以前から記しておりますとおり、県庁内部ではすでにしてこの事業が失敗であったという結論が公然と囁かれているらしいのですが、熊野古道が一躍脚光を浴びることで県にとってほんとにもうどうでもいいような、誰からも見向きもされぬような事業になり果ててしまうものと予想されます。残念でしたな二〇〇四伊賀びと改め伊賀むし委員会のみなさん。

 いやいや、残念でしたな、などと他人ごとみたいなこというのはそれこそ当事者意識皆無の二〇〇四伊賀びと改め伊賀むし委員会のみなさんにお任せてしておくことにして、そもそも当事者能力すら皆無の連中がどうして「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」などという事業に携わり、三億三千万をどぶに捨て去ってしまうことになったのか、みたいなことを一から解明して三重県に二度と同じ轍を踏んでいただかないようにするのがわれわれ伊賀地域住民に残された唯一の道でしょう。

 とはいえ、熊野古道が世界遺産にという朗報が全国紙でいっせいに報じられた朝くらい、難しい話は抜きにしてにこにこしていることにしましょうか。


●7月3日(土)

 三重県職員のみなさん、ご苦労さまです。

 本屋さんに行ってこれこれこういう新刊はどのへんにありますかと尋ね、立ち読みで済ませるつもりだったのに店員のお姉さんがえらく時間をかけて見つけてきてくれたものだからなんだか申し訳ないような気になってつい購入してしまった、というような経験はおありではありませんか。私にはあります。きのうもそうでした。新聞広告で見かけて『採点! 47都道府県政』の著書がこんな本も出しているのかと気がつき、上記のごときゆくたてから心ならずも買う羽目になってしまったのが樺嶋秀吉さんの『「税金ムダ喰い」のカラクリ』 。

 「政治家、公務員、都道府県別「ひどさ」を総検証!」というサブタイトルからも容易に推測されるとおり、中央といわず地方といわず議員や公務員がいかにお手盛りお手盛りで税金をみずからの懐に入れることに汲々としているか、その実態を具体的に暴いたのがこの一冊です。私はこういった類の、敢えていえば品のない本の所有者にはあまりなりたくないのですが、買ってしまったものは致し方ありません。寝っ転がってぱらぱら眺めてみたところ、巻末に「47都道府県のおカネ全比較」という表が掲載されていました。

 がばッ、と私は起き直りました。どうやらこのところ都道府県別ランキングというやつが私のプチブームであるらしく、その手のものを眼にすると思わず反応してしまいますから困ったものです。

 それは人口、財政規模など十五項目にわたって四十七都道府県の数値を比較した表だったのですが、残念ながら三重県が全国一位に君臨している項目はありませんでした。そのかわり、といってはあれなんですが、ブービー賞すなわちビリから二番目つまりは三重県が全国四十六位という項目が三つもあって、それは何かと申しますと下記のとおり。

10 知事交際費 848,000円
都道府県知事の01年度の交際費。全国市民オンブズマン連絡会議の資料より作成
全国一位は福岡県の10,970,000円
11 職員年収 6,861,000円
都道府県職員(一般行政職)の年収を「平成14年地方公務員給与の実態」より試算
全国一位は愛知県の8,298,000円
12 官民年収格差 1,993,000円
民間企業従業員の年収を「平成14年賃金構造基本統計調査報告」より試算し、11よりどれだけ少ないか比較
全国一位は青森県の3,636,000円

 三重県職員のみなさん、どうもご苦労さまです。数字にまるで弱い私にはいかさま理解の届きかねる点もあるのですが、とにかくどうもご苦労さまです。

 職員はわかったけどそれなら知事はどうよ、とお思いの方のためについでに掲げておきましょう。

9 知事年収 22,636,000円
都道府県知事の03年度年収(04年1月26日付毎日新聞より)
三重県は全国六位
全国一位は愛知県の26,117,000円

 さて知事といえば「知事と語ろう本音でトーク」なわけなんですが、トーク参加のための「事前意見送信書」追加分、じつはまだまとまっておりません。と申しますか、やはり私は「知事と語ろう本音でトーク」なんてところに顔を出すのは気が進まないのでしょうな。やなこった、と思っておるのでしょうな。とはいえいまさら参加を見合わせるわけにも行きませんから、休み明けには「事前意見送信書」追加分を送信しなければなりません。しかしどうにも私の場合、人前にしゃしゃり出るのがなんとも苦痛なんですからまいったまいった。

 そういえば、きのうも名張市のアドバンスコープという有線テレビ局から電話があり、人物紹介みたいな自主制作番組に出てくれないかとの依頼を頂戴したのですが、さすがに地元の局ですから私が普段からテレビ出演を嫌っていることは承知してくれていて、しかしそれは承知しているのだがぜひお願いしたいとの由。

 「いまだったら中さんはやっぱり伊賀の蔵びらき事業についていいたいことがいっぱいおありだと思うんですが」

 と地元テレビ局にも私の悪名はかなり知れ渡っているらしいのですが、

 「それはそれとして、今回は江戸川乱歩のことでご活躍いただいている立場からお話しいただけたら」

 みたいな具体的なお申し出もいただきましたので、いや私は近く「じゃーん。名張市は乱歩から手を引けキャンペーン」にとりかかることを予定しており、テレビに出演したとしても乱歩に関して名張市や名張市教育委員会あるいは名張商工会議所を全面的に批判することになるであろうし、あるいは名張市立図書館の乱歩コーナーを閉鎖することに対する市民の理解を求めたりするやもしれぬ、いやいやもっとひどいことを口走ってしまうやもしれぬのだぞ、それでは御社の立場がまずくなるのではないかなと言い訳してなんとか諦めていただいた次第です。アドバンスコープのみなさんどうも相済みませんでした。

 そういえば何年前でしたか、上野市の伊賀上野ケーブルテレビという有線テレビ局からも、私が上野市内で不本意ながらかますことになっていた講演会の一部始終をすべて収録して番組で流したいのだが、という依頼を電話でいただき、これは困ったことになったなと、むろん講演者たる私にはその依頼を拒否する権利なんか全然ないのですけれど、そんな恥ずかしいことはやっぱやなこったと一計を案じまして、自分はこのたびの田中善助翁を主題とした講演のなかで上野市長を批判するつもりでいるのだがそれでもいいのか、もしも善助翁が生きていたとしたら上野市長など頭から一喝されて小さくなっていたに相違なく、したがって自分は天国の善助翁になりかわって上野市長を思いきり一喝してやるつもりでいるのであるが、それでは御社の立場がまずくなるのではないかなと言い訳してなんとか諦めていただいた次第です。伊賀上野ケーブルテレビのみなさんどうも相済みませんでした。

 といったところでふと思いつき、つらつら勘案してみますに、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業をぶちかますとなればひとつやふたつは田中善助翁がらみの事業があってもいいはずなのにな、いったいどうしたんだろうな、上野の人は何を考えてんのかな、何も考えてないのかな、などとあれこれ愚考される次第ではあるのですが、結局そうは問屋が卸さないのが上野市のあれなところってやつでしょうか。

 そんなことはともかく、「知事と語ろう本音でトーク」なんてものに参加しなければならぬのかと思うと私はもう憂鬱で憂鬱で、ほとんど鬱病かと思ってしまうくらいです。


●7月4日(日)

 ようやく昭和が終わりました。

 ひとりの確信犯として著作権法を軽く無視しながらたらたら掲載をつづけている本サイト「乱歩文献データブック」の話です。

 とりあえず名張市立図書館の江戸川乱歩リファレンスブック全三巻、すべてネット上で公開する作業を済ませてから「じゃーん。名張市は乱歩から手を引けキャンペーン」に着手し、手始めとして名張市教育委員会をかつーんと叱り飛ばしてやろうかなと腕を撫してはいるわけなのですが、それに先立つこの公開作業の徒労感はただごとではありません。朝もはよからカンテラこそ下げてませんが、すでに過去のものでありじつはあまり見向きもしたくない『乱歩文献データブック』という本にふたたび向き合って、目録としての至らなさをあらためて思い知りながらそれをウェブページに掲載してゆくのは気分のよろしい行為ではなく、坑内通いに似たこんな作業も乱歩を愛するすべての人のため、と承知はしているつもりなのですが、それにしても砂を噛むようなとはまさしくこのことか。ほんとやんなっちゃう。

 それから脈絡もなく記しますと、私は名張市教育委員会より先にまず「知事と語ろう本音でトーク」において三重県知事を叱り飛ばしてやらなければならぬのですが、21世紀を迎えた紀伊半島南部にいまも露出する日本の古層、熊野古道を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録されたのを機に、登録を受けて知事が望みを託していらっしゃる「地域活性化」についてもひとこと申しあげておくべきではないかと思われてきました。すなわち、地域の活性化といったって目先のことしか考えられない県および地元市町村の職員と地域住民、さらにおまけで御用学者といったあたりのみなさんが結局は聖地を俗化させるだけで終わってしまう話ではないのか。世界遺産登録はまさに奇貨と呼ぶべきことでご同慶の至りではあるのだが、これからは君たち関係者の叡智が問われることになるのだぞ。君たちに叡智はあるのか。あ、おまへんのか。

 しかしこうなりますと、7月13日の「知事と語ろう本音でトーク」名張市会場では「ネットで県民参画」事業をとりあげることになっておりますから、熊野古道がらみの話題をもちだすには7月29日の阿山町会場に参加する必要があるのかもしれません。知事とトークしたいとおっしゃる方はたくさんおいででしょうに私だけ二回も欲張るのは気が引けますし、それ以前になんだか関西でいういちびりそのものみたいな感じですし、要するに莫迦みたいですし、いやいや、名張市会場ただ一回の参加だって気が進まないと申しますのに、私はいったい何を考えているのでしょうか。別にトークの事務方にして三重県の内務省と呼ばれている総合企画局をからかって喜んでいるわけではないのですが。

 さて、あしたからは平成か。ほんとやんなっちゃう。


●7月5日(月)

いじらしくも色魔なお姉さん

 本日はまず favilla_ayaka@yahoo.co.jp さんから頂戴したメールをご紹介。

今年で24歳になります。仕事はホームヘルパーをやっていて、今年で
4年目なんですけど、普段おじいちゃんやおばあちゃんとばかり
お話しをしているので、いろんな年代の人と話がしたいなって
思ってて、そんな時に掲示版を見てメールをしてしまいました。
よろしかったらお返事もらえませんか?

 なかなかよさげなお嬢さんではありませんか。敬老精神にあふれているうえ、いかにも働き者らしい点が好ましい。男は結局のところ女の子のいじらしさに弱いものなのですが、このメールはそうした男の弱点を巧みに衝いているといってよろしく、そろそろ要介護認定のひとつも受けてみようかと考えている私はおおきに心を動かされてしまいました。

 つづいては izayoi_queen@yahoo.co.jp のさがらゆかりさんのメールです。

はじめまして。ゆかりっていいます。
セックスフレンドを募集してましたよね?
わたし、応募してもいいでしょうか?
えーと、彼氏はいるんですが、満足してなくて、
ぜひ、エッチ友達になってほしいです。
住んでる所、近いみたいなので、
まずはエッチの相性を確かめてからでもいいよ?
カンタンなプロフを書きますね。
さがらゆかり(本名です。漢字はまだ秘密 笑)、
24歳で、職業はテレホンオペレーターです。
スリーサイズは上から92・61・88で、胸はFカップです。
ちょっとアルピノっぽい感じなので、
日焼けしたギャル系が好みだったら、わたしダメかも。。
えーと、性癖として、実はMッ気があって。。。
彼氏とのエッチは、その辺でちょっと不満があるんです。
ソフトSMな感じで、バックから挿入してのプレイや、
下着をつけないでミニスカでデートしたり、そんな感じで
いじめてほしいんですが、いいでしょうか?
普通にセフレを募集してるのかな?
うーん、とりあえずお返事待ってますね☆

 色魔かおまえは。とはいえ、女の子はいじらしい色魔であればそれに越したことはありません。それでふむふむFカップの美白か、Mっ気ありソフトSM希望か、後背位を好むか、デートはノーパンミニスカでか。よーし。それならばデートは手近なところで乱歩の恩人川崎克が私財を投じて建設した伊賀文化産業城、つまり上野城の天守閣でかましてやることにするか。なにしろバリアフリーなんてどこ吹く風のあの狭くて急な階段こそ、地元住民にもほとんど知られておらぬもののノーパン嬢を先に登らせて愉しむための絶好のポイントなのだからな。よーし。相手がノーパンで来るのなら俺は松方弘樹みたいな派手なシルクのパンツ穿いていこうっと。南無、鬱病退散鬱病退散。

 三重県民のみなさん、どんなパンツをお穿きでしょうか。そんなことはどうだっていいのですが、私の鬱の原因である「知事と語ろう本音でトーク」名張市会場がいよいよ来週に迫りました。ああ鬱じゃ欝じゃ。トークのための「事前意見送信書」追加分、書こうとすると妙にどよーんとした気分に襲われ、まるでひだる神に取り憑かれたような状態になって、ただの一行も書き進めることができません。ほんとになんとかしなければ。


●7月6日(火)

 本日は ironnna_ironnnawatasi@yahoo.co.jp さんのメールから。

プロフ交換してお互いOKならHしないっ?!
すて〜き☆な出会いがないかなぁと思ってますっ♪純愛希望ですか?!時々スリルのある出会いは?!私はセフレ探しなんですけど会ってみませんか?!まずはプロフ交換からでもどうですか?!25歳で162/45,B82/W60/H84、アパレル関係の仕事してますぅ♪

 いまちょっと忙しいからどうもすいませんね。

三重県総合企画局検閲部御中

 さて三重県民のみなさん、ご心配をおかけしました。ようやく窮地を脱しました。「知事と語ろう本音でトーク」参加のため三重県の内務省すなわち総合企画局に書き送る「事前意見送信書」の件ですが、お役所向けの堅苦しい文章を書こうとするから鬱々してしまうのではないかと気がつき、なにしろ私はこの伝言において文芸と話芸のシュールリアリスティックな統合を志している人間なのですから、それならばお役所向けの文書でもそうした志を明確にしておくべきだろうと考え直しました。そこで漫才形式を採用して意見を書き始めたところすらすらすいすい筆が走り、古典的完成度を備えた漫才が完成しつつあります。ひきつづき執筆してきょうじゅうに仕上げ、あすにはお読みいただけるよう手配したいと思っておりますので、勝手ながら本日はこのへんで失礼いたします。


●7月7日(水)

 本日のメール紹介はこんな感じです。

ども、はじめまして。

HP拝見しました。

 自分のアドへも、同じようなメールが
 favilla_ayaka@yahoo.co.jp
  より届いたんですが、これはなんでしょうか?

 さあ、私にもよくわかりません。

 さて三重県民のみなさん、きのうの県内各地は尋常ではない暑さを記録したものと思われる次第ですが、いかがお過ごしだったでしょうか。私はと申しますと雨にも風にも夏の暑さにも負けながら「知事と語ろう本音でトーク」の「事前意見送信書」をようやく書きあげ、一夜明けてさきほど送信いたしました。

 送信書の記入項目のうち「知事に話したいこと」は漫才にまとめましたので、全文を当サイト「乱歩文献打明け話」に番外「参院選イケメン対決」として掲載いたしました。文字どおりの意味でご笑覧いただければ幸甚です。

 その漫才にも、と申しますか「事前意見送信書」にも記したのですが、7月13日の「知事と語ろう本音でトーク」名張市会場におきましては、二〇〇四伊賀びと委員会オフィシャルサイト掲示板閉鎖事件ならびに過去ログ封鎖事件の真相を究明するべく当時の伊賀県民局長のご臨席をお願いいたしました。「ネットで県民会議」事業の検閲問題に関しましては、県の顧問弁護士の見解を発表していただくよう要請いたしました。

 それでは本日はこのへんで。Yahoo! 天気予報によればきょうの名張市は午後3時の天気曇り、気温33℃、湿度75%だそうです。七夕だと申しますのに、いやまあ七夕は関係ないのですが、とにかくたまりませんな実際。


●7月8日(木)

 あっち関係のメール、本日は一通もありませんでした。あっち関係の人もこれだけ暑いと何をする気にもなれないのでしょうか。こっち関係の私もひたすら憔悴しております。

 Yahoo! 天気予報によりますと、本日正午の名張市は晴れ、気温34℃、湿度73%。殺す気か。みなさんもきょう一日、なんとかこらえて長らえていただければと思います。


●7月9日(金)

 すっかり吉例となってしまいましたが、Yahoo! 天気予報によりますと本日正午の名張市は曇り、気温33℃、湿度63%。ああ、きのうよりは幾分か過ごしやすいかもしれません。ありがたやありがたや。週休二日でお務めのみなさんはきょう一日をやり過ごせばお休みが待っております。尋常さを見失うことなくきょうという日をお過ごしください。暑いから本日も短めで済ませます。


●7月10日(土)

 高温多湿な温帯モンスーン気候のもと日々あくせくとお過ごしのみなさん、お住まいの地域はきのうもやはり尋常ではなく暑かったのでしょうか。当地はと申しますと午後2時半ごろをピークに局地的な雷雨に見舞われ、雷が鳴り響くなか車軸を流すような激しい雨が降り募りました。それがやがて小やみになり、すっかりあがったあとのあの夕刻の爽快さといったら。あなたにもわけてあげたかったと思っております。

旧乱歩邸土蔵プレ公開

 さて8日木曜午後、乱歩旧宅の土蔵が8月の一般公開に先がけて報道陣にお披露目されたようです。読売新聞オフィシャルサイトから引用しておきます。

江戸川乱歩の「幻影城」、来月一般公開
 江戸川乱歩(1894―1965)の“創作の泉”として知られる旧自宅土蔵書庫(東京都豊島区、同区有形文化財)が8月に初めて一般公開される。

 「幻影城」とも呼ばれるミステリアスな書庫だけに、乱歩ファンならずとも注目を集めそうだ。

 土蔵は1924年の建築で、頑丈なつくりを気に入った乱歩が1934年に同じ敷地に転居、亡くなるまで書斎兼書庫として愛用した。

 ついでですからもう一段落。

 老朽化が激しくなったため、2002年に隣接する立教大学が遺族から土地と蔵書の一部を買い上げ(建物は寄贈)、豊島区の協力も得て、1600万円かけて修復工事を行った。土蔵の白い外壁は建築当初の「鼠漆喰(ねずみしっくい)」に復元され、蔵書の配置もほぼ乱歩の生前のまま。乱歩の孫、平井憲太郎さん(53)は、「祖父についての生きた資料として活用してほしい」と話している。
読売オンライン 2004年7月8日23時18分

 さて三重県民のみなさん、三重県が誇る参院選イケメン対決(何のことだかおわかりにならない方は「乱歩文献打明け話」の同題漫才をお読みください)は杉様ヨン様ががっぷり四つのままあすの当開票日を迎えることになりそうです。今度は伊勢新聞のオフィシャルサイトからどうぞ。

芝、津田氏 接戦でラストへ / 参院選 終盤情勢
 参院選は十一日の投票日まで残すところあと三日となった。三重選挙区(改選数一)は民主党の芝博一氏(54)、共産党の中野武史氏(30)、自民党の津田健児氏(34)=届け出順=の新人三候補が出馬。“一つのイス”をめぐりしのぎを削っているが、芝、津田両氏が接戦のまま、最終盤にもつれ込んだ。芝氏は民主党の支持母体の労組票を固めつつ、岡田克也氏の代表就任効果や、民主党への追い風を武器に、無党派層に支持拡大を狙う。斎藤十朗参院議員の後継の津田氏は、議席を失えば自民空白区になるとの危機感を前面に出し、保守層の掘り起こしを図る。「最近三回の参院選で、いまだかつてない支援をしている」(公明党県本部)という公明党からの支援も得る。中野氏は二大政党化のはざまで厳しい戦いを強いられている。

 私の周囲にはあれ以降(つまりあの漫才以降ということですが)とくにこれといった動きもなく、ヨン様関連で斎藤十朗先生の関係者の方からお電話を頂戴した程度。自民党三重県連関係者のあいだで斎藤先生、あんたさえきっちり跡目に筋つけといてくれたらこげなことにはなっとらんかったんと違いますかの、この一人区落としたらわしらの立場はどうなるんですか、みたいな話が出ているのかいないのか私には知るよしもありませんが、ゆうといたるがの、あんたはわしらがかついどった神輿じゃないの、自民党三重県連がここまでになるのに誰が血ィ流しとるの、神輿が勝手に歩けるゆうなら歩いてみいや、みたいな話になっていたらとても面白いと思います。いや面白い面白い。

 といったところで多少涼しくなったのを機にふと思い出しましたので記しておきますが、私は6月26日付伝言で「ネットで県民参画」の、というよりはその前身というか母体というか悪しき先例である「e-デモ会議室」における検閲の問題に関して、エディターというよりはセンサーすなわち検閲官と称するほうがふさわしい「e-エディター」のみなさんに「e-センサー」への改名を提案し、「当然のことをやっているはずのエディターがどうしてよだかみたいな扱いを受けなければならないのかというと、要するに場が変だからです。あるいは、手順が変だからです」、「e-エディターのみなさんは自分たちが置かれた環境のどこが変なのか、ひとつじっくり考えてみてください。もしもおわかりにならないようでしたら、やっぱ e-エディターから e-センサーに改名しなくちゃしょうがないか」と記しましたが、みなさんお考えいただけましたでしょうか。私の見解は「乱歩文献打明け話」の「参院選イケメン対決」に記してありますからどうぞお読みくださいね。

 それでは恒例の Yahoo! 天気予報の時間となりました。本日正午の名張市は弱雨、気温29℃、湿度80%。きょうも雨模様で最高気温は30℃を切るみたいです。ありがたやありがたや。雨乞いが天に通じた農業民の気持ちがわかるような気がします。


●7月11日(日)

 幾分か過ごしやすくなったと思ったら、あっち関係の人も生気を取り戻してくれたようです。本日は ayaka_luna03@yahoo.co.jp さんからのメールをご紹介。

今年で24歳になります。仕事はホームヘルパーをやっていて、今年で4年目なんですけど、普段おじいちゃんやおばあちゃんとばかりお話しをしているので、いろんな年代の人と話がしたいなって思ってて、そんな時に掲示版を見てメールをしてしまいました。よろしかったらお返事もらえませんか?

 ふーむ。これは以前 favilla_ayaka@yahoo.co.jp さんから届いたメールと同文ではありませんか。どうも怪しいな。もしかしたらこの手のメールは私だけではなく、機械的な作業であっちこっちに送りつけられているのではないでしょうか。どうもそんなふうに思われてきました。ある方からいただいたメールの下記のごとき文面からもそうした疑いが生じてくるわけですし。

私のところにもエッチ友達募集メールが舞い込んできています。
7/5付「人外境主人伝言」で紹介していた、さがらゆかりさんのM系友達募集のメールも来ていたのですが、「住んでる所、近いみたいなので」って埼玉に住んでいる私にも同じ文面でメールを寄越さなかったか。名張の中さんにも同じ文面でメールを出しているのを知って、ちょっと裏切られた気分です。落ち込んでどうする。

 いやー、さがらゆかりさんに二股かけられてしまいました。しかも埼玉と名張を股にかけた二股です。なんと大股開きな。もしかしたら裏で絵図引いてるのは山師トマかもしれません。まあ恐るべき子供たち。ほとんど美女と野獣じゃん。何いってんだかよくわかりませんが(けさの新聞の読書欄で河出からなんとコクトーの新刊が出たと紹介されてましたから、たぶんそこからの連想だろうなとは思うのですが)、どうやらこのさがらゆかりさんだって二股どころか三股四股、いやそれどころか小股猿股素股に猫股蛙股、刺股突棒袖搦み、ayaka だろうがゆかりだろうが男の純情を踏みにじった不届き者は残らずしょっ引かれてしまえこの。

 暑さとは直接関係ないのですがちょっと体調を崩しておりますので(頭のほうは大丈夫だと思うのですが)、本日はそそくさとこのへんで。


●7月12日(月)

 三重県が誇る参院選イケメン対決は(何のことだかよくおわかりにならない方は「乱歩文献打明け話」の同題漫才をお読みください)杉様が大方の予想を上回る大差をつけて圧勝なさいました。冬ソナだか秋サバだか知りませんが当節の韓流ブームも三重県に深く浸透するには至らず、斎藤十朗先生の跡目として期待されていたヨン様は一敗地にまみれてしまいました。三重の喧嘩ゆうたら取るか取られるかで。いっぺん後ろに回ったら死ぬまで先頭を取れんのじゃけえ。

 読売新聞のオフィシャルサイトから引用いたします。

芝さん笑顔、10万票差の勝利
「民主」前面に戦う 「三重から首相」もアピール

 自民、民主両党が「最重点区」と位置づけ、激戦を繰り広げた参院選三重選挙区(改選定数一)は十一日の投開票の結果、民主党新人の芝博一さん(54)に軍配が上がった。自民党新人の津田健児さん(34)(公明党推薦)、共産党新人の中野武史さん(30)は及ばなかった。岡田克也代表の地元で必勝を期した民主党と、斎藤十朗・元参院議長の議席確保を目指した自民党の新人対決は、全国からも注目された。芝さんは民主党の国会、県議会議員や連合三重の手厚い支持に支えられたほか、保守票の一部も取り込み、約十万票差をつけた。津田さんは、小泉首相や安倍幹事長ら党幹部の応援を受け、公明党からも支援を得たが実らなかった。年金法案や自衛隊のイラク派遣問題を中心に小泉政権を批判した中野さんは得票が伸び悩んだ。投票率は62・28%で、三年前の前回参院選を1・69ポイント上回った。

YOMIURI ON-LINE 2004年7月12日

 きのう夜更かししたせいでまだぼんやりしておりますので、本日は参院選イケメン対決の結果をお伝えするだけで失礼いたします。


●7月13日(火)

 参院選の翌々日は「知事と語ろう本音でトーク」名張市会場の日となっております。いまさらトークしたところで何がどうなるものでもなく、私は「ネットで県民参画」事業にこと寄せて二〇〇四伊賀びと改め伊賀むし委員会オフィシャルサイト掲示板閉鎖事件ならびに過去ログ封鎖事件の真相を究明したいなと目論んでいるだけの話なのですが(むろんお先走りなだけでたいした効果も期待できぬ「ネットで県民参画」自体の見直しが必要なことは論を俟ちませんが)、さてそれさえも果たせますですかどうですか。ただしあの掲示板騒動では権力のグロテスクな本質というものがまざまざと示されてしまったわけであり、それはもう取り返しのつかないことなのですから、せめてそのあたりの事情だけでも関係各位にご認識いただければありがたいかなと思っております。

行政の無謬性は結構しぶとい

 といったところでふと思いつき、きのう読んだ中沢新一さんと赤坂憲雄さんの対談『網野善彦を継ぐ。』(講談社)から中沢さんの発言を引いておきます。

 網野さんは『無縁・公界・楽』のなかで、人民の欲望を語ったんですね。現実のなかではつねに否定されて、短い期間に限って、ちいちゃな空間のなかに自分を実現した欲望が、まるで夢のようなかたちで出現しますが、つねに権力がそれを破壊したり、自分のなかに組み込んでしまおうとしていく過程が起こります。そういうものを網野さんは語ろうとしていたのですからねぇ。

 網野さんの偉大さは、これは笠松宏至さんが書いていることですけれども、実証をとおして、歴史の現実として言えなかったことを言い、現実化できなかったことを現実化してみせるという困難な仕事に挑戦したわけです。ですから、まさに実証的な歴史家として、実証を試みたからこそ、その仕事は偉大なんですが、そこから実証ということをめぐって一般の歴史学者たちと、それから網野さんの歴史学は対立し合うことになります。

 歴史学者は、現実のなかにあらわれた表現や事象を分析して、そこから一貫性のある理論を引き出してくるというやり方で仕事をしますけれども、網野さんの場合はむしろフロイトの精神分析学に似ていますね。現実にあらわれたものの背後に、現実化を目指していくけれど、つねに失敗してしまう欲望の力を、否定性として読みとろうとしています。フロイトの言い間違いのように、社会がちょっとほったらかしにしておいたらとんでもないことが実現されてしまった、それを後になって社会は躍起になって否定しにかかるけれども、もう後の祭りで、何か決定的なことはすでに世界にあらわれてしまったのですね。そこに目をつけて、まさにここに欲望が隠されている、欲望がここに表現されているということを明らかにする歴史学。そういうものを創造しようとしたのだと思います。

 まさしく何か決定的なことはすでに世に顕れてしまったという寸法です。権力のグロテスクな本質はあの掲示板騒動で私が示した否定性を躍起になって抹殺しにかかったことで明らかに証明されたのだと、そういうふうにお考えいただきましょうか関係各位のみなさん。

 ここで振り返ってみますと私もこれで一年以上の長きにわたり、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」という事業に対してやめてしまえやめてしまえと否定性に基づいた異議申し立てをつづけてまいりました。私の批判はごく簡単なことで、行政の無謬性なんていまやもう誰も信じていないのですから間違いに気づいたらその時点で手を打つことにしなさい、三重県はそういった柔軟な行政を推進しなさい、そうした姿勢を高らかに宣言するために「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業という税金の無駄づかいを中止しなさいと、そもそもそんな主張に端を発して今日に至っている次第であり、「乱歩文献打明け話」では昨年6月の第二十五回「芭蕉さんは行くのか」にこんなこと記してもおりますし。

「でも最近では行政の無謬性ゆう神話もすっかり崩壊してしまいまして」
「行政の無謬性といいますと」
「お役所は間違いを犯さないということです。つまりいったん計画が決定されたら親が死んでもそれを実施すると」
「親は関係ありませんがな」
「しかし現実にはとくに何十年もかかる大型事業なんか時間経過にともなう自己矛盾ゆうのが当然出てくるわけでして」
「計画決定したときとは社会情勢その他がいろいろ変わってきますからね」
「ですからいったん決まった計画でもあとで検討を加えた結果白紙に戻すべきだと判断される場合も出てきます」
「長野県の脱ダム宣言をきっかけに大型ダムの建設計画も見直されてますし」
「行政は決して無謬ではないわけです」

 といったところでふと思いつき、おととい読んだ山口二郎さんの『戦後政治の崩壊 デモクラシーはどこへゆくか』(岩波新書)から行政の無謬性に関する記述をどうぞ。

 第二の問題は、日本の官僚は自らにとって好ましくない現象から目をそむけ、仮想空間の中に閉じこもって政策を作るという点である。工業基地を造成しても工場は立地しない、ダムを造っても水の需要は増えない、農地を造成しても減反で米を作れないなど、政策立案時のもくろみと経済社会の現実が食い違った例が一九九〇年代には目立つようになった。この種の失敗が露呈されたとき、担当組織はすぐには対応しようとしない。むしろ、たとえば工業団地やリゾートを経営する第三セクターであれば机上の「経営再建計画」を作り、根拠もなしに売り上げが増えるという将来計画を作って時間つなぎをする。自治体であれば、人口増を見込んだ「総合計画」を作って、開発事業を正当化する。こうした仮想空間の中で時を過ごし、金利負担だけを増やしていくのである。

 これを別の面から見れば、損切りができない、あるいはサンク・コスト(埋没費用)を受け容れることができないということでもある。事業に失敗したとき、それまでに投入し、結果として無駄になった資源のことをサンク・コストといい、それをあきらめて決着をつける意思決定を損切りという。

 日本の官僚制にその種の意思決定ができないのには訳がある。民間の企業の場合であれば、サンク・コストは「ときどき出てくるやむを得ないもの」である。もちろん新規事業を展開するときには、いろいろな調査をして、ある程度の成算を見込んでやるのだが、やはり運が悪く失敗することがある。よい経営者は、うまくいかないと分かったときに、なるべく早く撤退して、傷口を小さくする。傷口が広がらないうちに撤退することが、企業の生存のためには必要な意思決定である。サンク・コストを授業料としてあきらめようという発想は、人間や組織は間違うことがあるものだという「可謬性」の自覚から生まれる。

 ところが、日本の行政は可謬性ではなく、無謬性という前提に立っている。そこが企業と違うところである。間違いがあってはならないということと、ときどき人間は間違うということとは、別である。しかし、間違いがあってはならないという規範意識から、自分たちは間違っていないのだという事実認識へ展開するというのが日本の官僚制の大きな欠陥である。

 九〇年代には、官僚の可謬性がいろいろな事例を通して明らかになってきた。誰が見ても失敗、不必要だということが明らかになっても、これを誤りだと言い出すことは、その役人にとって非常に大きなリスクになるのである。「では、その誤った政策を作ったのは誰なのだ」という話になって、過去の政策決定に関与した人たちの責任が問われることになる。かくして、日本列島のあちこちに予算の無駄遣いと環境破壊だけをもたらした政策の屍〔しかばね〕が累々と横たわるという惨状を呈している。

 行政の無謬性という神話は結構しぶとく生き延びているようです。むろん「誰が見ても失敗、不必要だということが明らかになっても、これを誤りだと言い出すことは、その役人にとって非常に大きなリスクになる」のはたしかなことで、だからこそ私は「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」という官民合同事業において二〇〇四伊賀びと改め伊賀むし委員会の民間委員は何をしておるのかと、おまえら自分の役目というものをちゃんと弁えておるのかとくどくどくどくど堂々巡りめいて申しあげてきた次第であり、最近ではこんなことにばかりかかずらうのはもしかしたら自分が莫迦だからではないのかとの疑問さえ感じてしまう始末です。

 ですからこの際、いやいやそんなことはあるまい、これはむしろひとたび彼とつきあうや「それは恐ろしい勢いで馬鹿になる」とされる薔薇十字探偵ではないけれど、相手方の莫迦がこちらに感染しただけの話なのであろうとみずからに言い聞かせておきたいと思います。

 薔薇十字探偵の名が出たところでふと思いつき、『網野善彦を継ぐ。』のなかでいちばん笑えた箇所を引いておきましょうか。中沢新一さんの発言ですが。

 民俗学がある時期、中心と周縁という枠で問題を整理しようとして、そこに象徴人類学の手法を取り入れて、民俗事象を構造分析しだしました。そのやり方で、民俗学を生き延びさせようとしましたが、それが今ではもうほとんど駄目になっています。方法がすぐにパターン化してしまって、結局は小説やジャーナリズムに解消されてしまった。それでいけば、いちばん優秀な民俗学者は、京極夏彦ということになっちゃいませんか(笑)。それ自体は面白いものですが、やはり世界を閉ざしてしまいます。それはやはり民俗学のある意味での敗北なんだと思います。どこかでやり方を間違えたんでしょうね。

 やり方を間違えたのならやり直せばいいだけの話なのですが、無謬性という神話に蝉のようにしがみついている限り、お役人衆には間違いと心中するしか道が残されていないように思われます。むろんお役人衆がどうなろうと知ったことではないのですが、お役人衆の心中では大枚の税金が道連れになってしまいますから困った困った。


●7月14日(水)

 いや困った困った。三重県民のみなさんほんとに困ったものでがんす。むろんきのうの「知事と語ろう本音でトーク」のことなのですが、すっかり崩壊してしまったはずの行政の無謬性という神話がわが三重県においてはいまなおいきいきと息づいているようで、トークに参加した私にはそれがまざまざと実感されました。こんなことではいかんだろう。と申しますか、三重県に対してはもう何の斟酌も要らねえな、と私は思った次第です。

三分間トーキング懐かしや篇

 そもそも「知事と語ろう本音でトーク」がいったいどういうものであるかといえば、6月17日付伝言に「トークの場で偉そうなことほざいて溜飲を下げるだけで喜んでるような人間はどいつもこいつもただの嬉しがりではないか莫迦ではないかだからあんなところにツラを出す人間は信用できんというのだだからトークへの参加なんぞ真っ平ご免だというのだ誰があんな連中と同席できるか県も県だが県民も県民だなどと私はまったく思っておらず」と記しましたとおり私はまったくそんなことは思っていないのですが、少なくともこのトークとやらが県民向けのパフォーマンスであることには間違いがなく、あんなところに顔を出すのは結局のところ体制順応派と称されてしかるべき人間ばかりではないのかと疑っていたところ、意見発表者のなかにじつに懐かしい方がいらっしゃいましたので私は嬉しくなってしまいました。

 どんな方かと申しますと、まず1997年12月発表の「乱歩文献打明け話」第三回には、

私が申しあげたいのはただひとつ、「ろくに乱歩作品も読んでないような人間がランポランポとジタバタしても仕方あるまい」ということである。私は別に乱歩を読んでほしいわけではないが、乱歩に関して何かしらことを行うのであれば、乱歩をよく知ることが必要だと申しあげているのだ。これはお役所に限らない。市民も同様である。ろくに乱歩作品を読みもせずに乱歩を批判している市民があれば、私はその人間を軽蔑するであろう。腹に据えかねた場合はその人物に書状を送り、

 「こらおっさんわれなんちゅうこと抜かしてけつかる。乱歩のことあんじょう教えたるさかいいっぺんツラ貸さんかい。ええな。いついっかやったらお会いできますと返事よこすんやど」

 くらいの啖呵は切るであろう。そしてその人物がおたおた逃げ回って会見に応じようとしないのであれば、

 「杉作、あれをよく見ておくのだぞ。自分は絶対に安全な場所にいて一方的に他人を批判し、いざ自分が批判されそうになると尻尾を巻いて逃げ惑う。あれが幕府の犬の姿なのじゃ」

 くらいのセリフは呟くであろう。どなたも随分用心召されよ。

 さらに1998年3月発表の第四回には、

昨年一年を振り返っても、乱歩のことで質問があると図書館に足を運んでくださった方は、名張市民ではわずかに一人を数えるのみであった。しかもあとになって、この市民がとんでもない人物であることが判明した。果たして、この男が見過ごしにできない無責任かつ破廉恥な言動に及んだので、私はさっそく書状を送りつけ、話があるから面談の機会を得たいと申し込んだ。話があるなどというのは真っ赤な嘘で、会って横面を張り飛ばしてやるつもりだったのだが、予想されたとおり彼はあれこれと理由を並べ立てて応じようとしない。私が前回、「自分は絶対に安全な場所にいて一方的に他人を批判し、いざ自分が批判されそうになると尻尾を巻いて逃げ惑う」と記したのはこの人物にほかならないのだが、その後ようやく面談が実現したことをここに申し添えておこう。

 としてご登場の、要するに「ろくに乱歩作品を読みもせずに乱歩を批判している」、「おたおた逃げ回って会見に応じようとしない」、「見過ごしにできない無責任かつ破廉恥な言動に及んだ」方なのですが、上記引用に「その後ようやく面談が実現した」とありますとおり私は近鉄名張駅前のとある事務所にこの方を呼び出して、僭越ながらちょっとお灸を据えてさしあげた次第です。

 なんてこと書くと読者諸兄姉はいったいどんないきさつがあったのかとお思いでしょうからいささかを記しておきますと、そもそもの原因は1997年の年頭記者会見で当時の名張市長が今年は乱歩記念館を建設しますとできもしないことを思いつきで口走ったことにあります。でこの方、かりにYさんとしておきますが、Yさんはそれ以前から前市長に対して批判的でいらっしゃったらしく、当然のこととしてこの乱歩記念館構想にも反対なさいました。ただし乱歩のことはまったくご存じありませんから、上記引用にありますとおり「乱歩のことで質問があると図書館に足を運んでくださった」わけです。私がその質問に懇切丁寧にお答えしたことはいうまでもありません。

 さてこのYさん、乱歩記念館がらみで前市長を批判するための文書を印刷してばらまいてくれました。文書の編集その他の実務には名張市内で発行されている地方紙のTさんという記者が全面協力し、印刷はその地方紙を発行しているIという会社が手がけたのですがそんなことはどうだってよろしい。Yさんが前市長を批判することにも私は異議は唱えません。ただし、その文書に乱歩作品に関するとんでもない誤解が記されていたとなれば話は別です。しかもその文書には当時の市長の命を受けて乱歩記念館建設に奔走する市立図書館嘱託として私まで登場しており、しかし私は図書館嘱託として日ごろから名張市に乱歩記念館は必要ない、どうしても建てたいのであれば名張市が金を出して東京に建てろと公言していたのですから、そんな莫迦なこと書かれて黙ってるわけにはまいりません。

 ほかにもいろいろ承服しかねることがありましたので、私は電話帳でYさんの住所を調べ、乱歩のことで話があるから会っていただきたいと書面でお願いしたのですが、上記引用にありますとおり「おたおた逃げ回って会見に応じようとしない」。けっ、逃げ隠れできると思うか、と私はYさんが懇意にしていらっしゃったTさんという名張市議会議員の方にお願いし、近鉄名張駅前にあったTさんの事務所でYさんとの面談を実現して、それはもう温厚穏便紳士的な話し合いを進めたというのがおおよそのゆくたてです。

 トークを終えてから入った喫茶店でたまたまYさんといっしょになりましたので、あらためてご挨拶申しあげた次第だったのですが、そんなこんなで「知事と語ろう本音でトーク」なんて何の意味もないパフォーマンスに過ぎませんなこりゃ、というのがきのうの結論でした。くわしいことはまたあす以降に記しますから、行政は絶対に間違いを犯しませんなどと涼しい顔しながら権力のグロテスクな本質を剥き出しにしているみなさんはしばらくおつきあいくださいな。個人的にはこれ以上莫迦の相手するのはもううんざりなのですが。


●7月15日(木)

 もしかしたらの話なのですが、私がいくら行政の無謬性といい権力のグロテスクな本質と申しあげたところで、当の関係各位にはこうした言葉の意味がご理解いただけていないのではないかと思われてきました。とはいえ、関係各位が無教養であったり不勉強であったりするのは各位それぞれの問題なのですから私には何の責任もなく、またなすべきこととてないわけなんですからとっとと先に進みましょう。

 さて13日夜に名張市役所で開かれました「知事と語ろう本音でトーク」、受付で県職員の方に「事前意見送信書を送った者ですが私は果たして喋れるのでしょうか」とお訊きしますと「はい」とのことでした。「時間は」「三分です」「再質問はできますか」「はい」みたいなことでトークがスタートし、冒頭は県の新しい総合計画をテーマに知事が滔々と独演会、そのあとが事前意見送信書を提出してあった参加者による意見発表で、最初はYさん、二人目が私。なにしろ三分ですから例の「参院選イケメン対決」を思いきり端折ってまくしたて、それから知事の回答をお聞かせいただいたのですが、耳を澄ましているうちに、あ、これはあれではないか、と私には思い当たるところがありました。

 あれとは何かと申しますと、いやもともとこんなことを公表する気は私にはなく、話の流れから触れざるを得なくなりましたので不本意ながら記す次第なのですが、少し前、と申しましてもあれはいつのことでしたか、とにかく少し前、暑い日、私がこの伝言板で「知事と語ろう本音でトーク」に参加する意志を明らかにし、掲示板閉鎖事件の真相を究明するためにはTさんにお出ましいただかねば、みたいなことを書きつけていたころのことだとお思いください。

 ある日、上野市にある二〇〇四伊賀びと改め伊賀むし委員会の事務局から電話があり、会って話したいことがあるからきょうのうちに名張へ行く、はあさよか、と意外な展開とはなりました次第。で、名張市内の喫茶店で事務局の方とお会いして用件は何ですかとお訊きしたところ、掲示板閉鎖について事務局側の説明をまとめた一通の文書をお示しくださいました。

 えらいもので、私が「知事と語ろう本音でトーク」に参加すると表明しただけで事務局側がこうした反応を見せてくださったわけなのですから、何がえらいものなんだかいまひとつよくわからないもののとにかくえらいものだと思います。そこでさっそく拝読いたしましたところ、遺憾ながら閉鎖の説明としては杜撰に過ぎ、というかなんとも苦しい言い逃れに過ぎず、また過去ログを閲覧不能にしてしまった件に関してはひとことも触れられておりませんでしたので、これではとても承服できぬ、せっかくだが受け取れぬ、もう少しちゃんとした説明をお願いしたい、と失礼ながら文書をお返しする仕儀となってしまいました。

 ここでトークの会場に戻るのですが、知事の回答にはその文書をそのままなぞったような部分がありましたので、あ、これはあれではないか、と思い当たったというのが話の流れです。むろん知事の回答には文書の丸読みだけでなく知事ご自身の言葉で語られた部分もあり、しかもその部分には事務局から示された文書よりもっと露骨に、はっはーん、敵さん俺があの掲示板に投稿した文章の字句文言のことに問題を矮小化してしまうつもりだな、と頷かざるを得ないような作為が認められた次第なのですが、それはそれとして さらに話を進めますと、トークの会場で私はふと、そういえば俺は事務局の手で書き改められた文書が「知事と語ろう本音でトーク」までに示されるものと思い込んでいたのだが、結局音沙汰はなかった、あの文書はどうなったのかなと訝しく思いました。

事務局でお聞きしてきました

 そこで私はきのうのこと、すなわちトークから一夜明けた14日午前のことなのですが、なんだか話が前後してしまって恐縮なのですがよろしくおつきあいいただくことにして、創業昭和5年近鉄名張駅前賛急屋謹製名張名物なばり饅頭二十箇入り一ケース税込み千六百八十円也を手みやげに伊賀びと改め伊賀むし委員会事務局にお邪魔しました。いやもう事務局のみなさんにとってはじつにどうも傍迷惑な話でして。

 でもって事務局でお訊きしたところ、あの文書はちょっと手を入れて委員会のオフィシャルサイトに掲載したとのことでした。私は驚いてしまいました。というのも、名張市内の喫茶店でお会いしたおりこうした説明の文書はオフィシャルサイトに掲載するべきであると申しあげたところ、事務局の方が意外そうな顔をしていらっしゃったからです。ですから私は「閉鎖に関する批判が出されているわけだからホームページでそれに応えても不思議でも何でもない」とお伝えしたのですが、こんなにあっさり聞き届けていただけるとは思っておりませんでしたし、それならそれでメールか何かで知らせてくれたってよさそうなものではないかとも思ったのですが、それはそれとして家に帰って確認してみましたところ、「当ホームページ掲示板の閉鎖について(2004年7月8日)」というページがたしかに掲載されておりました。

 さてお立ち会い。事務局での話をつづけます。私は「当ホームページ掲示板の閉鎖について(2004年7月8日)」をプリントアウトした書類を頂戴し、ちょっとよろしいですかいなと、まあこの際だからお訊きできることはお訊きしておこうと考えて腰を据えました。

 まず最初に質問したのは、上記ページに「本年2月に2004伊賀びと委員会として協議した結果、掲示板を当分の間停止することとし」たとあります点、これはいったい誰が協議したのかということでした。組かしら会で協議したとのご返事をいただきました。組かしら会の構成はとお訊きしますと、組のかしらと班のかしらに会長および副会長を合わせたメンバーだとのお答えでしたから、つまりは次のみなさんなわけです。

池澤基善(蔵びらき組広報班かしら)
田中愛一郎(蔵びらき組こだわり班かしら)
辻村勝則(会長)
中村伊英(はかり組かしら)
中盛汀(おもい組かしら)
北村嘉孝(副会長、秘蔵のくに組ブランド班かしら)
的場敏訓(秘蔵のくに組文人班かしら)
岩佐絹枝(副会長、秘蔵のくに組光と影班かしら)
南出ゆかり(副会長)
高橋徹(芭蕉さんがゆく組かしら)
中井孝佳(秘蔵のくに組体験班かしら)
増永秀美(副会長)

 以上、オフィシャルサイト「伊賀びと委員会の紹介」のページから名簿掲載順に抜粋いたしましたが、こんなことしたらまた実名で批判しやがってとお叱りを頂戴してしまうのかしら。かしらのみなさんいかがかしら。しかしこの場合は事務局で教えていただいたことを閲覧者各位に報告しているだけの話であり、しかも上記十二人の方のお名前は「伊賀びと委員会の紹介」のページを見ればすぐに知れるわけですから、別に実名を暴露したなどといった事態ではまったくなく、これらの方のお名前をとくに批判という文脈でお読みいただく必要もないわけですけれど、とはいえ私はあの掲示板閉鎖には一貫して批判的でありつづけているわけですから、これもやっぱり批判ということになるのかしら。ただし批判ってのは実名で行われるのが当たり前なんですから、関係各位は実名の問題をぎゃあぎゃあうんぬんする前に、もしも私の批判が不当だと判断なさるのであればその点をご指摘いただくのが筋ってものだと思われます。

 さて、どうやら平仄が合ってまいりました。きのうお聞きしたところでは組かしら会は毎週木曜の夜に開かれているそうなのですが、私が掲示板閉鎖に気がついて大騒ぎしたのが2月13日金曜の朝のことでしたから、おそらく2月12日夜の組かしら会で閉鎖が決定され、その場で実行に移されたということでしょう。オフィシャルサイトにはこんな説明が掲載されました。

掲示板は、市民の方々からたくさんのご提案をいただき、その書き込みに対応したり、また、伊賀びと委員会の委員それぞれが活発に自身担当業務の進捗状況を報告したり、思うところを自由に書き込むなどを想定していましたが、準備と周知の不足からそのような広がった展開ができませんでした。
大変申し訳ございませんが、掲示板は当分の間停止させていただきます。

 で、明けて13日の朝、私はこの伝言板にこんなことを記しております。

 ここでつらつら思い返しますに、私が二〇〇四伊賀びと委員会の組かしら会メンバーのお名前を列記して、この人たちから回答がいただけるのかどうかをご本人それぞれに確認してくれと掲示板管理者の方にお願いした、そのお答えをまだ頂戴できておりませんでしたから、ごく普通に考えますと、おかしら衆は私の質問に回答してくれる気がなく、しかし回答する気はないと掲示板で公表するのは明らかな責任回避ですからさすがにそんなことはできない、それなら「蛍の光」が終わるまで空とぼけていればいいのではないか、いやいや回答するかしないかを答えない限りあの莫迦「蛍の光」が終わっても「そっとおやすみ」でも「メリー・ジェーン」でも「お座敷小唄」でも何曲だって歌いつづけるつもりですぜ、ほなどないしまんにゃ、よし掲示板は閉鎖と決定だ、俺たちってこんなときだけすぐに意見がまとまるのね、うるせえ、ばしッ、みたいな流れがあったのかなとも推測される次第ですが、なにしろ二〇〇四伊賀びと委員会のことですから真相はすべて闇の中と申しあげるしかありません。どーせ訊いても答えねーだろーしよ。

 きゃはは。当を得ると申しますか的を射ると申しますか、ともかくここに記した私の推測は結構真相に肉薄していたってことではないのでしょうか。きゃはは。どうも「当ホームページ掲示板の閉鎖について(2004年7月8日)」に記されたような理由で閉鎖が決められたとは見受けられない次第なのですが、かしらのみなさんいかがかしら。きゃはは。

 それにしても、なんとも不様な話だなと俺は思うぞ。あんた方はどう思うかね。この場合のあんた方はどこさと申しますと上記十二人のみなさんのことなのですが、かしらだの長だの偉そうな名のつく立場の人間が十二人も集まってこのざまはいったい何なんだ。2月12日の夜に雁首揃えたあんた方の頭の中には、要するに自分たちの都合や体面のことしか存在していなかったというわけだ。住民の税金つかって自分たちが提供した言論の場をいきなり一方的に閉鎖することにどんな重大な問題があるのかなんてことにはまったく顧慮せず、掲示板の投稿者や閲覧者という他者への配慮も微塵もなく、結局はてめえたちだけ無事安穏でいられればそれでいいというのがあんた方なわけさ。なーにやってんだ愚か者ども。何がかしらだ何が長だこの不届き者ども。ちっとは恥というものを知ったらどうだ。

 それにしてもなんとも不様な話だなと、俺はほんとにそう思うぞ。