2004年12月前半

●12月1日(水)

 莫迦なことばかりやってるあいだに12月になってしまいました。市町村合併によって伊賀市が誕生した11月1日から早くも一か月が経過したことになります。いやー、まいった。何がまいったのかと申しますと、伊賀市の発足を記念した漫才が掲載されるはずの地域雑誌「四季どんぶらこ」がまだ出ません。とっくに発行されていなければならぬはずなのですが、もしかしたら廃刊に追い込まれたのでしょうか。困ったな。漫才なんてネタの新鮮さが命なんですから、このまま腐らせてしまうのはいかがなものか。ということで掲載誌が出るより先に「乱歩文献打明け話」に掲載してしまうことにいたしました。伊賀市のみなさん、どうぞ読んでね笑ってね。


●12月2日(木)

 きょうもきょうとてそそくさと失礼いたしますが、急ぎのお仕事もおかげさまでようやく一段落しそうな見込みです。ではまたあした。


●12月3日(金)

 おかげさまで昨日、いや別におかげさまというわけでもないのですが、伊賀市議会初の定例会が無事に開会されたようです。議員先生は総勢七十九人、ところが合併前日の10月31日にお亡くなりになった方があったらしく、総数は七十八人となってしまったのですが、いずれにせよとても旧上野市役所の議場には収まりきらず、三重県上野庁舎七階の大会議室が仮議場として使用されたとのことです。あほをあほほど抱えるとこうした事態に立ち至ってしまうわけです。

 伊賀市の発足は11月1日のことでした。初の臨時会は11日に開かれて正副議長などが選ばれ、伊賀市長選挙は21日、これはつまり「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業の最終日で、私のコスプレ期間の最後の日でもあったのですが(そういえば、コスプレ用の白衣を洗濯したら南無阿弥陀仏という文字のプリントがかなり剥離して色も褪め、なんかよれよれになってしまいました。どうしたらいいのでしょうか。二〇〇四伊賀びと委員会事務局に赴いて、プリント技術担当のまめ本さんに相談したほうがいいのかもしれません)、まずは順調にことが運び、きのうの定例会初日には伊賀市長の力強い所信表明も行われたそうですから、ここはひとつ伊賀市の出発に対して心からお慶びを申しあげておきたいと思います。

 伊賀市という地名をテーマにした私の爆笑漫才が掲載された地域雑誌「四季どんぶらこ」は、本来であればまさしく伊賀市長選挙の当日、11月の21日に発行されているはずだったのですが、なぜかいまだに届きません。届いたらいの一番に伊賀市の市長さんと議長さんにお送りしてご挨拶を申しあげようと思っておりましたのに、残念ッ、「四季どんぶらこ」は廃刊なのかな斬りッ、みたいなことになってしまいました。仕方ありませんから漫才は12月1日に当サイトで公開したのですが(未読の方はこのページへどうぞ)、今回の漫才はシリーズ最高傑作の呼び声も高く、掲載誌の廃刊とともにこの連作漫才が中断に追い込まれるのはじつに残念きわまりないことです。いやいや、まだ「四季どんぶらこ」が廃刊と決まったわけではないんですから、あまり先走ったことはいえないわけですが。

 さて、急ぎのお仕事にもようやく目鼻がつきまして、とはいえ完全な仕上がりまでにはまだまだ手間がかかるのですが、いささかの時間的余裕も生じるはずですので、そろそろ「じゃーん。しょうもないことに税金つかうのはやめましょうキャンペーン」のフィナーレを飾るべく、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業推進委員会と二〇〇四伊賀びと委員会のお相手でも務めることにいたしましょうか。とはいえ、いくらお願いしても向こうがいっこうに相手にしてくれないわけなのですが。


●12月4日(土)

 どうも啖呵の切り方を忘れてしまったようです。困ったものです。「じゃーん。しょうもないことに税金つかうのはやめましょうキャンペーン」のフィナーレを飾るべく、まず「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業推進委員会という完全無欠なまでに無駄であった組織を軽く蹴飛ばしてやろうと考えて、委員会の事務局には第五回委員会で俺にも喋らせろとの要請を先日メールで伝えたわけなのですが、どうせなら委員会の会長でいらっしゃる知事にもお願いしてみようと知事宛書簡を書き始めてみたところ、ついつい受け狙いに走ってしまってどうにも啖呵が切れません。

 書簡の冒頭をご覧いただきましょう。

 前文略させていただきます。何かとお世話になり、あらためてお礼を申しあげます。「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業推進委員会に関してお願いの儀があり、ご多用中とは拝察いたしますが、以下に申し述べる次第です。

 これは委員会事務局に対して十一月二十三日付メールでお願いしてあることなのですが、次回の事業推進委員会に一般の地域住民が意見を述べる機会を設けてはいただけないでしょうか。すべての事業が終了した現在の時点で地域住民の忌憚のない声を聴いておかれることも必要ではないかと思われる次第ですが、じつはそんなことはどうだってよろしく、要するに貴職をはじめとした委員全員の方のご見解をお聞かせいただきたいというのが当方の目論見です。

 冷静に自己分析してみますと、おしまいのほうの「じつはそんなことはどうだってよろしく」あたりで受け狙いへの横滑りが始まっている印象で、事実このあとは横滑りが本格化してしまってどうにもいただけぬ展開となっております。そこで(何がそこでなんだかよくわかりませんが)、三重県生活部の部長さんにメールをお出ししてみました。

 はじめてメールをさしあげます。名張市の中と申します。ご多用のところ恐縮ですが、ひとつお教えいただきたいことがあり、勝手ながらご回答をお願いする次第です。

 いささか古い話なのですが、私は昨年12月10日、県庁知事室にメールを送信し、知事から拝眉の機を頂戴したいとお願いしました。「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業に関してお聞きいただき、お聞かせいただきたいことがあったからです。

 ところがいつまで待っても返事がありません。そこで同月19日に知事室へ電話で問い合わせたところ、私の要請は生活部で検討中とのことでした。いずれ生活部から返事があるはずだからそれを待つようにと伝えられ、首を長くして待っているのですが、いまだに何の連絡も頂戴できません。

 いったいどうなっておるのでしょうか。私はいつまで待ちつづければいいのでしょうか。この件に関するご意向なりご事情なりをメールでお知らせいただければ幸甚です。なお頂戴したメールは当方のホームページで公開させていただきたく、あらかじめご了解をいただければと存じます。もしも公開に差し支えがある場合には、その旨お知らせいただければ非公開といたします。

 よろしくお願いいたします。恐惶頓首。

2004/12/04

 県職員というのは県民に対してもう少し誠実であるべきだと私は思います。恐惶頓首。

 さて、きょうもきょうとて「じゃーん。しょうもないことに税金つかうのはやめましょうキャンペーン」に精を出すぞ。これが終わったらそのあとは「じゃーん。名張市は乱歩から手を引けキャンペーン」だ。その前に「じゃーん。伊賀市はんが市に改称してくれんかねキャンペーン」も手がけたいところなのであるが、とてものことにそんな余裕はあるまいて。とにかく三重県および伊賀地域ならびに名張市の莫迦のみなさんにものの道理と人の道とを説いてやらねばならんのじゃ。たまりませんなあ実際。


●12月5日(日)

 受け狙い路線を変更して、しかし啖呵を切ることもなく、とりあえず知事宛書簡をまとめてみました。こんな感じです。

 前文略させていただきます。何かとお世話になり、あらためてお礼を申しあげます。「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業推進委員会に関してお願いの儀があり、ご多用中とは拝察いたしますが、以下に申し述べる次第です。

 これは委員会事務局に対して十一月二十三日付メールでお願いしてあることなのですが、次回の事業推進委員会に一般の地域住民が意見を述べる機会を設けてはいただけないでしょうか。すべての事業が終了した現在の時点で地域住民の忌憚のない声を聴いておかれることも必要ではないかと思われる次第ですが、じつはそんなことはどうだってよろしく、要するに貴職をはじめとした委員全員の方のご見解をお聞かせいただきたいというのが当方の目論見です。

 簡単に経緯を振り返っておきます。昨年七月三十一日、県上野庁舎で事業推進委員会の初会合が開かれました。こうした委員会が結成されることは事前にまったく知らされておらず、また会合の模様を報じる新聞記事によっても委員会の性格や目的がよくわかりませんでしたので、私は八月四日に委員会事務局へ電子メールを送り、「事業推進委員会というのはいったい何か」と質問しました。

 同月十三日、事務局からメールによる回答が届きましたが、不得要領に過ぎる内容であったため、私は翌十四日付メールで再質問を行いました。これに対し十八日付メールで回答がありましたものの、やはり明瞭な内容ではなく、事務局が説明能力を大きく欠いていること、というよりは事務局にも事業推進委員会の存在意義や二〇〇四伊賀びと委員会との関係性などが理解できていないことが看取されましたので、それ以上の質問をつづけることは差し控えました。

 私が貴職はじめ委員全員のご見解をお訊きしたいと思っているのは、まさにこの点についてです。事業推進委員会とはいったい何だったのでしょうか。念のために当方の見解を述べておきますと、事業推進委員会はまったくの飾り物であり形骸であり、文字どおりの無用の長物にしか過ぎません。こうした批判は本年三月二十八日の第三回委員会でお受け取りいただいた地域雑誌「伊賀百筆」第十三号にも寄稿しましたので、これ以上はくり返しません。ただ、同誌にも記しましたとおり、昨年十二月二十五日の第二回委員会の冒頭、貴職が私の指摘を「雑音」として一蹴されたことだけを確認しておくにとどめます。

 つづいて、本年七月二十九日に催された第四回委員会のことを確認します。この日の一号議案は広報費増額の専決処分に関するものでした。増額分は八百万九千円で、議案書にはその内訳が「印刷物、電波広告、新聞広告、広報グッズ等」と記されていましたが、貴職は事務局に対して「これでは説明責任を果たすことにならない。もっと具体的に説明できなければ説明にはならない」と詳しい説明をお求めになりました。結局、事務局が予算の詳細を調べて報告することでようやく収拾がついたと記憶しております。

 第四回委員会までの審議の経過は、残念ながらきわめて不可解なものです。貴職は第四回委員会で広報費八百万円の説明責任を追及なさいました。それならばどうして、第二回委員会で同じことをなさらなかったのでしょうか。第二回委員会では総額三億三千百七十二万八千円の予算案が審議されましたが、提出された予算書は杜撰きわまりない内容で、たとえば広報費一億八十二万三千円の内訳は「広報・宣伝・記録費」と記されているだけに過ぎませんでした。にもかかわらず、貴職をはじめとした出席委員からは詳細の説明を求める声は聞かれませんでした。

 遺憾ながら、事業推進委員会の審議には一貫性がないと申しあげるしかありません。委員会には定見というものが存在していないように見受けられます。貴職は第二回と第四回、この二回の委員会のあいだで変節なさったのでしょうか。三億三千万円の予算を内訳も確認せずまったく無批判にそのまま承認しておきながら、そのあとになってどうして八百万円の予算の説明を求めるなどという重箱の隅をつつくような真似をなさったのでしょうか。どうにも理解が届きません。

 ただしこれによって、事業推進委員会が無用の長物であったことは明らかになりました。第四回委員会における説明責任の追及は、第二回委員会でそれがなされなかったことをあらためて認識させる結果になりました。貴職は過去の審議の杜撰さを浮き彫りになさいました。第四回委員会における貴職のご発言は、第二回委員会の審議が有効なものではなかったという事実を間接的に証明し、少なくともそれまでの委員会の存在意義を完全に否定するものであったと判断される次第です。

 次に、十一月二十一日に名張市内で行われた事業のフィナーレ式典に関して確認いたします。貴職はご挨拶のなかで「地域主権」という言葉をご使用になりました。中央集権から地方分権へ、さらに地域主権へという時代の趨勢に言及なさいました。しかし、事業推進委員会の存在は地域主権にとって妨げの石にほかなりません。地域主権という言葉に拠って立つのであれば、二〇〇四伊賀びと委員会に事業の権限と予算と責任とを委ね、自助の精神を発揮させることこそが知事としての貴職の任務であったはずです。

 この点に関する当方の見解も、地域の自立性や主体性の問題として「伊賀百筆」第十三号で言及しておりますので、ここにあらためて記すことは差し控えますが、第二回から第四回までの事業推進委員会を傍聴した結果、この委員会がどこにも必要性の感じられない完全に無駄な組織であるという認識はさらに深まりました。委員会の最大の任務であると見られる予算案の審議がこのうえなく杜撰なものであったことは、第四回委員会で貴職ご自身が証明されたとおりですし、この委員会が貴職のおっしゃる地域主権を否定する組織であることは貴職もお認めにならざるを得ないと思われます。

 私は発足当初から事業推進委員会に対して重大な疑義を抱き、事務局や貴職に説明を求めてきましたが、明瞭な回答が返ってくることはありませんでした。委員会が説明責任を果たそうとする姿勢をまったく見せないことに、私は強い怒りを覚えています。私の主張や疑問に対して、貴職ならびに委員各位はどのようなお考えをお示しになるのでしょうか。まさか「雑音」として退けられることはないだろうとは思いますが、ぜひご見解をお聞かせいただき、委員会としての説明責任を果たしていただきたく、次回の事業推進委員会に一般住民の発言の場と委員会側がそれに誠実に応える場とを設けることを要請します。よろしくお願いいたします。

草々

 二〇〇四年十二月六日

 末尾の日付があすのものになっているのは、あしたプリントアウトして投函するつもりだからです。さて、どうなるのかな。どうにもならないのかな。


●12月6日(月)

 さあ週明けだ。今週も飛ばすぞ。とはいうもののなんだかぼんやり。かなりお酒が残っております。いかんなどうも。


●12月7日(火)

 さて昨日、私は野呂昭彦知事宛の書簡を投函いたしました。それも速達どっせ。文面は12月5日付伝言でご覧いただいたとおりです。私には「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業推進委員会という組織が何の役にも立たぬ単なるお飾り、税金を無駄につかうためにつくられた無用の長物でしかないと思われるのですが、委員会の会長でいらっしゃる知事ははてさてどのようにお考えなのか、ようやく次回の委員会でお聞かせいただけることになりました。いやいや、甘いか。大甘か。天津の甘栗か。

 天津飯だかメロンパンだか知りませんが(なんか俺って錯乱してない?)、とにかく一遍くらいまともに答えてくれたかてよろしやないかいな三重県の関係者のみなさん。知恵が足り苦しおまんのか。いやもちろん知恵の問題もあるのでしょうが、事業推進委員会のことを誰一人としてまともに説明できないのは、そもそもこの委員会が深い考えもなくただの思いつきでつくられた組織であるからだと判断されます。委員会の必要性をまともに考えた人間などただの一人もおらんかったのではないかと私はどんッ、踏んでおります。ちなみにどんッ、ていうのは踏んだときの音です。オノマトペどっせ。小野又兵衛とはちゃいまっせ。

 存在意義すら説明できないような組織つくってどうすんの。みなさん普段からべたべた馴れあったりもたれ合ったりなあなあ感覚でお仕事してるからこんな不様なことになるんですけど、結局はみなさんの習い性、責任回避のためなら何だってやりますというほとんど体質になってしまった職業倫理にこそ問題があるのであって、お役所では組織や機構をできるだけ複雑にして責任の所在を曖昧にしてしまうことがいわば常態と化してますからついつい余計な組織がつくられてしまうんですけど、そんなことじゃ駄目駄目、駄目ざんしょ。

 駄目ざんしょって私ひとりが息巻いてても仕方ありません。事業推進委員会の委員各位にあたいたちゃほんッとに駄目ざんしたってことを認識していただかなければなりません。次回の事業推進委員会で発言の機会をいただき、懇切丁寧に委員会の駄目っぷりを指摘説明解説してさしあげたいと愚考しておりますので、あんまりつれねえことはおっしゃらねえでくだせえやし。番場の忠太郎か俺は。

 ところで、11月9日の知事の定例記者会見で「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業のフィナーレが槍玉に、いや槍玉ではありませんけど発表事項として扱われておりましたので、一部を引いておきます。

(質)天神祭は最終日に行かれたんですか。
(答)そうですね。3日目の最終の方ですね。
(質)月曜日。
(答)芭蕉さんのことについて、少し申し上げておけば、大きないろんな事業をやってまいりましたけど、参加者数については、オープニングで2万人、それから水の細道、これが4,300人、それから世界俳諧フュージョン、これが2,200人ということでございました。それでまだこれから集計や成果の検証というのをやってまいりますけど、上野市の主な観光施設への入れ込み客は前年比で約2割増加しているということ、特に芭蕉翁の生家であるとか、蓑虫庵であるとか、芭蕉記念館等の芭蕉関連3施設については、約4割の増加が見られるということでございます。それから名張市の赤目四十八滝への入れ込み数でいきますと、前年比で約2割増加しているというようなことでございます。それから紅花いっぱい運動なども展開されましたけれども、お聴きしましたら、紅花を使った染め物であるとか、それからクッキーづくりまで広がったりしています。その他にもからくりなどを用いた魅力ある空間づくりであるとか、初瀬街道の手作り行灯の設置といったようなことで、特色あるまちづくりが展開されたんではないかなと、こう思っておりまして、今後、これらにつきましては一過性に終わることのないようフォローしていきたいと、このように考えているところでございます。

(質)上野で2割増とか、名張で2割増とかってことですけど、率直にどう思われます、率直にどういうふうにお感じになります。
(答)この事業につきましては、当初から半年間にわたる事業展開をしていく中で、一つは住民の皆さんに企画から参画をしていただいて、展開をしていくということで、これからのまちづくりと「新しい時代の公」という考え方も打ち出しておりますけども、そういった今後の行政を含めた市民の皆さんとの協働での地域づくり、まちづくりに向けての展開に大いに今回の一連の事業、大変意味のあることだったと、こう思っております。それから、さっきのああいった入れ込み客等のことを見ましても、世界、あるいは世界ということについては、例えば俳諧フュージョンでは、外国からの方も来られたりしていますし、十分、伊賀地域のことについて発信してきたんではないかなと、こう思います。これを引き続き一過性に終わらせることのないようにその効果を今後にも生かしていきたいと、このように思っています。

 まあこんなふうにおっしゃるしかないのでしょうけど、三億三千万ぶち込んで前年比二割増の入れ込み客数達成と来ましたか。事業の趣旨目的が違ってきてるような気もしますけど、とにかくよござんしたよござんした。しかし伊賀地域のことなんて全然発信できてませんし、だいたいこんな事業が実施されたことを知らない名張市民もいっぱいいますし、それにひきつづきも何もすでにすべては一過性のものとして終わってますから。嘘だとお思いでしたらぜひまた名張においでください。まちは死に絶えたように静かですから。


●12月8日(水)

 私の知事宛書簡は無事に到着したのでしょうか。県庁には届いたとしても知事室職員の手で闇から闇に葬られ、知事にはお読みいただけないのかもしれませんが、そんな姑息な真似はいい加減にやめたほうがいいずら。いくら隠したって私は自分のサイトで書簡の内容を公開しており、その書簡に記した要請が頭から無視されたとなるとまたきゃんきゃんきゃんきゃん騒ぎ立てます。三重県知事ってのはほんとに不誠実だなと判断せざるを得なくなります。それが風評となってじわじわ広がったら、そんなことはないと思いますけど次の選挙に風評被害が出ることにもなりかねません。知らんからね実際。

 とはいえ、私は知事に説明を求めているだけであって、不合理なことや理不尽なことはいっさい申しあげておりません。ごくまっとうなことしか申しあげていないつもりです。「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業推進委員会なんて必要ないだろうがと次回の委員会でお訊きしたいとお願いしているだけなんですから、その要請を容れたうえで、次の委員会においてこの委員会はこれこれこういう理由で必要であったと、あるいは、たしかにこんな委員会は必要なかったと答えていただければいいわけです。

 ただし昨年12月の第二回委員会冒頭の挨拶みたいに、過去の事例に照らしても事業推進委員会はこれでいいと思っているなんて感じのですね、お役所そのままの前例墨守体質をゆくりなくも剥き出しにしてしまった(三重県はいまだに封建時代か)根拠もくそもなく単なる言い逃れに過ぎぬ説得力ゼロの見解をお示しいただいても困ります。とにかく一度でいいからまともになってくれんかね。県民に顔を向け、県民の声に耳を傾けてくれんかね。

 いっぽう二〇〇四伊賀びと委員会の組かしら会のみなさんはと申しますと、いまごろは何をなさっているのやら、その後さっぱり音沙汰というものがありません。早く非を認めて楽になったらよさそうなものなのに、いつまでうじうじなさっていらっしゃるのでしょうか。私は掲示板閉鎖事件に関する組かしら会の見解をお聞きしたうえで、事件の本質を見ようともせずへっぽこ事務局の説明を鵜呑みにしてことを済まそうとした三重県知事を叩いてやらなければなりません。できれば年内に白黒をつけてしまいたいと考えているのですが、いったいどうなることでしょうか。

 おおそうじゃ。県生活部の部長さんからもいまだお答えが届いておりません。三重県と来た日にゃあっちもこっちも見ざる聞かざる言わざるで、いざとなったら電光石火の言論封殺か。おおそうじゃ。言論封殺という言葉で思い出しました。11月の13日、私はこんなことを経験いたしましたずら。

 私が「伊賀・夢・街道づくり協議会」と「伊賀びとのおもい実現委員会」というなんだか得体の知れぬ団体が主催する、しかしその実態は三重県の事業にほかならない「まちかどこども探偵団」というイベントでドクター諸戸に扮しながらお子供衆のお相手を務めたときのことです。私はお子供衆のみなさんに、きょうのこの催しにも当然お金がかかっている、それは県民の税金である、探偵団諸君も税金の無駄づかいにはくれぐれも目を光らせてくれたまえ、みたいなことを話そうとして、まずその前段としてお役所とはいったいどんなところなのかを説明しようと思ったのですが、あまり時間がなかったものですから、

 「えー、お役所のことを説明している時間がありませんので、みなさんきょうおうちに帰ったら夕ご飯の時間にでもお父さんに訊いてみてください。何を訊くのかといいますと、お父さん、お役所仕事って何ですか? あるいは、お父さん、税金泥棒って何のことですか? あるいは、お父さん、遅れず休まず働かずってどういう意味ですか?」

 ここまで喋ったときのことです。たたたたたッ、と私の近くまで駈け寄ってきたイベントスタッフの県職員のお姉さんから「そういう話題はやめてくださいッ」と強烈な釘を一本かつーんと差され、たじたじとなった私は「ありゃりゃッ」と泣く泣く話柄を転じた次第であったのですが、この三重県にゃ言論封殺が充ち満ちているのかもしれません。しかしこのときの私の話は当日のコスプレ仲間だった(つまり「伊賀・夢・街道づくり協議会」のメンバーでいらっしゃる)Uさんの奥さんには大好評で、久しぶりでお会いしたのですが、

 「いや中さん健在やねえ。県の人怒ってたけどあの話は面白かったわ。もっとつづけたらよかったのに」

 と激励のお言葉を頂戴しましたし、コスプレ姿で名張のまちを歩いているときにはやはり久方ぶりでお目にかかったAさんの奥さんから、挨拶して別れ際にはっしと引き留められ、

 「あ。あれすごい面白かったです。『伊賀百筆』。あれ読んでほんまに胸がすっとしました。あんなん書いてくれるの中さんだけやわ。どうもありがとう」

 とお礼までいわれてしまいました。「伊賀百筆」というのは私が「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業批判を全面展開した「伊賀百筆」第十三号のことなのですが、私がこうして地域住民の圧倒的な支持と共感を獲得できているのは私の主張がごくまっとうで理に適ったものだからであり、事業の不合理や事業関係者の理不尽を正当に批判できているからであると思われます。事業関係者のみなさんはいかがお考えでしょうか。


●12月9日(木)

 またこんなのが出回ってるみたいです。saya_end_u@yahoo.co.jp のさやかちゃんからのメールです。

翔太くん、あの夜の事覚えてますか?
あれから全然連絡とかくれないから心配になってメールしたんだけど…
私たち、またあの頃の関係に戻れないかな?
お返事ください。待ってます。

さやかより

 憶えてますかと尋ねられても心当たりがありませんし、連絡しようにもさやかちゃんのことなんか全然知りませんでしたし、だいいち私はしょーた君ではなくてしょーさく君なんです。さやかちゃん、あんた間違ってますから。残念ッ。さやかちゃんのお相手はのび太君じゃなかったのって突っ込もうと思ったけどよく考えてみたらあれはしずかちゃんだった斬りッ。

 さ、莫迦はほっといてきょうの話題です。まず昨日付朝日新聞伊賀版の記事を朝日のオフィシャルサイトから引用いたしましょう。

乱歩生誕碑ある家 活用して 名張
 名張市に生まれ、日本の推理小説の生みの親として知られる江戸川乱歩(1894〜1965)の生誕碑がある同市本町で、空き家となっている医院の施設の所有者が、乱歩に関連した活用を願って、同碑が建っている土地と建物を市に寄贈した。市は今後、活用方法を検討する。

 寄贈したのは、同市新町の桝田医院(田中成典院長)の初代院長で乱歩と交流のあった故・桝田敏明さんの妻の寿子(ひさこ)さん(81)=大阪府高槻市在住。すでに、先月24日に所有権の移転の手続きを終えたという。

 寄贈については、今年9月、寿子さんの「乱歩にちなんだことで市に活用してほしい」との思いを受けた長女の寿美さんが、名張市立図書館嘱託職員の中相作さんに電話で相談。中さんは亀井利克市長に報告するとともに「乱歩の生家を復元したらおもしろいのではないか」などと助言したという。

 亀井市長は「今後のまちづくりの大きなインパクトになる。活用方法については、住民と協議して今年中にも決め、正式に発表したい」と話している。

 毎日新聞の伊賀版はこんな具合です。

「江戸川乱歩のために使って」 名張の桝田寿子さん、病棟と土地を市に寄贈 /伊賀
 ◇記念館として、整備検討

 名張市生誕の推理作家、江戸川乱歩の生誕碑がある名張市本町の桝田医院第2病棟所有者、桝田寿子さん(81)が「乱歩に関することで活用してほしい」と病棟と土地を名張市に寄贈していたことが7日、分かった。病棟は空き部屋となっており、名張市は「江戸川乱歩記念館」として整備しようと検討を始めている。【熊谷豪】

 病棟(木造平屋建て、敷地面積約380平方メートル)は築後約50年が経過し、83年から使用していない。桝田さんは「乱歩にかかわることで市に活用してほしい」と、乱歩に詳しい名張市立図書館嘱託職員の中相作さん(51)を通じて寄贈を申し出て、11月末に所有を移転したという。

 中さんは「乱歩の生資料の収集は難しいが、生家を復元したら面白い。生誕碑が出来て50周年となる来年11月3日のオープンを目指してほしい」と話している。

 つづいて中日新聞の伊賀版から。

乱歩の生誕の敷地と建物寄贈
大阪の所有者が名張市に
 名張市は七日、江戸川乱歩の生誕記念碑が立つ同市本町の旧桝田医院第二病棟の敷地と建物を、所有者から寄贈を受けたと発表した。乱歩をテーマにしたまちづくりの拠点として利用方法を検討する。
 乱歩は生後七、八カ月までしか名張に住んでいないため、市内にゆかりの名所が少なく、この記念碑は貴重な乱歩をしのぶ場所となっている。

 亀井利克市長は「まちづくりの大きなインパクトになる」と寄贈を喜び、地元などと協議して年内にも活用方法を決めたいとしている。 (伊東 浩一)

 いやー、まいったまいった。私が地域住民の圧倒的な支持と共感とを獲得していることはきのうもお伝えしたとおりなのですが、こういった新聞記事に名前が出てくると私が地域住民から絶大な信用を寄せられ地域社会の精神的支柱とでも呼ぶべき存在になっていることもまたすっかり明らかになってしまいます。まいったな実際。

 記事に私の名前が出てくる必要はないのですが、出てきたのですから仕方ありません。おとといの午後、名張市役所記者クラブの記者さん四人が名張市立図書館まで取材に来てくださいましたのでぺらぺら喋っただけの話なのですが、私が「乱歩の生家を復元したらおもしろいのではないか」だの「乱歩の生資料の収集は難しいが、生家を復元したら面白い。生誕碑が出来て50周年となる来年11月3日のオープンを目指してほしい」だのと助言したり提案したり、あるいは取材に答えてそれを公表したりするのはお役所的にはかなり問題がある行為なんですさやかちゃん。

 さて、この際ですから私のこの確信犯的行為をきっかけに「じゃーん。名張市は乱歩から手を引けキャンペーン」に突入してしまいましょうか。それともちょっと迂回して、「協働」という言葉を恰好の隠れ簑に相も変わらぬ責任回避に忙しい名張市役所のみなさんを叩いてやることにしましょうか。いやいやその前にやっぱり三重県が天下に誇る官民合同事業「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」の決着をつけておかなければなりません。おーい、どうした三重県。あれから全然連絡とかくれないから心配になってメールしてみようかな。


●12月10日(金)

 もう師走も10日か。と茫然としているところへこんなのが届きました。kmin_pearl@yahoo.co.jp のミナエちゃんからのメールです。

ミナエといいます。セックスしていただけそうな相手を探しています。
27歳未婚です。職業は派遣会社の取締役を務めています。
性的なコンプレックスがあって実は、私。。。下のヘアがありません。
二次成長期に生えてこなくてそのまま27歳の今日に至っています。
ですがセックスへの興味は、それゆえに人並み以上にあります!!
ここまで読んで、もうお分かりでしょうが、処女です。
処女ってのはきっと面倒と思われるでしょうから金銭的なものを提供したいです。
私の月収は95万です。
そこから、処女という面倒な私を相手にしてくださるのならいくらか提供したいです。
35万ぐらい必要でしょうか?
こちらがどんな女かまったくわからないと思いますので、いまは猜疑心しかないかもしれません。
お返事いただければ、私の写真を送りますので。お返事待ってます。。。

 まったくまあこの忙しいときにたかがパイパンごときで何の騒ぎだこの莫迦女。おまえパイパンだっていうんならこんなとこでごちゃごちゃいってないでとっとと平井蒼太のとこへ行ってこい。ご開帳したら両手を合わせて拝んでくれるぞ。それでなくてもこちとら右も左もどっち向いても莫迦ばっかりだからかりかり来てんだ。二度と莫迦なメールよこすんじゃないぞこの莫迦。

 さて二十七歳処女パイパン月収九十五万円のミナエちゃんに幸多かれと祈りつつ本日の話題とまいりたいところなのですが、勝手ながらまたあしたということで失礼いたします。


●12月11日(土)

 さてきょうの話題ですが、いろいろあり過ぎてどれを採用すべきか迷ってしまいます。こりゃまいったな、と思いながら本日付中日新聞伊賀版を眺めてみると、コラム「いがぐり」が官民合同事業「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」をテーマにしていました。タイトルは「住民参加」。執筆は伊東浩一記者。一部を引用しましょう。

 果たして約三億円を投じた芭蕉事業が、十分な効果を挙げたかは評価が分かれるところだろう。伊賀地域の宣伝や誘客に一定の効果があったのは確かだろうが、伊賀の魅力を全国津々浦々に大いに発信し、低迷する中心市街地再生の起爆剤にまでなったかといえば、少し首をかしげたくなる。

 芭蕉事業は直接的な効果よりも、本格的な住民参加によるまちづくりの機運を、この地域にもたらした意味の方が大きいのかもしれない。

 こりゃほんとにまいったな。「芭蕉事業が、十分な効果を挙げたかは評価が分かれる」とあります。しかし私はついきのう、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」は大成功であったという漫才を書きあげたばかりです。ほんとは大成功とはいいがたいのですが、ちょっとした事情がありましたので事業はこれ以上望めないほどの大成功であったと書いてしまったいけない私。ところがこのコラムには「首をかしげたくなる」と記されているではありませんか。事業に対する疑問が新聞に掲載されてしまったではありませんか。いやまいったな。

 事情はあまり知らないのですが、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業の一環として伊賀地域のガイドブックが刊行されるらしく、その編集部からありがたいことにエッセイの注文をいただきましたので、A4判見開き二ページ分、お手のものの漫才をさらさら仕上げてきのう原稿を提出した次第なのですが、なにしろ版元が版元ですから言論封殺の可能性は多分にあり、事業に対して批判的なことを記せば原稿はまず間違いなくボツでしょう。

 私はこの事業に関して少なからぬ出費を重ねてきており、その幾分かでもこの漫才の原稿料で回収したいものだなと思わず眼の色を変えてしまいましたので、迷うことなく版元を持ちあげ、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業は有能このうえないスタッフが英知と努力を結集して見事なまでの大成功を収めたと結論づけました。鉄壁の論理を展開して読者をうまく丸め込んだつもりでいたのですが、日刊紙のコラムに「芭蕉事業が、十分な効果を挙げたかは評価が分かれる」とか「首をかしげたくなる」とか記された記事が掲載されたとなれば話が違ってきます。この記事を記憶していた読者が私の漫才に異議を申し立ててくる可能性も否定できません。いやまったく困ったことになってしまったな。

 ちなみに私の漫才は「芭蕉さんはどこへ消えた」というタイトルで、野呂昭彦知事をはじめとした事業関係者各位に心からお喜びいただける内容であると自負しております。ガイドブックは来年2月に発売とのことですから、伊賀地域のみなさんはぜひお買い求めください。伊賀地域以外の方にもお買い求めいただきたいのですが、流通がどうなるのかは私の知るところではなく、まあ現物ができあがったら当サイトでも大々的に宣伝することにいたしましょう。

 ではここで体制順応型漫才「芭蕉さんはどこへ消えた」がボツにならないよう念には念を入れることにして、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業推進委員会と二〇〇四伊賀びと委員会のみなさんへのメッセージをひとつ。えーみなさん、私の漫才がボツにならないようにお力添えをいただければみなさんのことはこの際すべて水に流してさしあげますからどうぞよろしくね、なんてことは絶対に申しませんからご心配なく。


●12月12日(日)

 いやーまいった。いつもまいってるけどきょうはほんとにまいった。本日の話題のために関係筋をネット検索していたら、12月9日付毎日新聞伊賀版のこんな記事が眼についてしまいました。

伊賀市議会の定数削減求める請願提出−−緑ケ丘西町自治会 /伊賀
 伊賀市緑ケ丘西町自治会の今高一三会長らが8日、市議会の定数(34人)削減を求める請願を市議会に提出し、総務常任委員会に付託された。

 いやこれではありません。これは伊賀市民が伊賀市議会ってのはいったい何なんだべらぼうめと怒り心頭に発しているという小槌大介記者の記事であって、在任特例や議員報酬をめぐって「善良な市民は議会の行動に怒りを感じて」おり、議員定数を「近隣都市や名張市などと照らし合わせ、24人に減員することを望む」との請願が出されたことを伝えるものなのですが、私は伊賀市民に対して怒れ怒れもっと怒れとは思っておりますもののこの記事は今回は無関係。私がまいったのは熊谷豪記者による下記の記事です。

「怪人二十面相議会にしては」−−亀井・名張市長が“発案” /伊賀
 名張市内で先月、開かれた「蔵びらき事業」のフィナーレで、黒マントにマスク、タキシードの怪人二十面相に扮(ふん)した亀井利克市長は8日、12月定例市議会で「怪人二十面相(に扮装(ふんそう)した)議会をしてはどうか?」と議員らに“発案”した。田郷誠之助議員(無所属)の一般質問に答えた。推理作家、江戸川乱歩の生誕地の市議会で近いうちに「怪人二十面相議会」が招集される!?

 この記事によれば、田郷誠之助議員が旧上野市議会のコスプレ忍者議会に触れて「(名張市のPRのため)怪人二十面相の議会をしてはどうか?」と提案し、「市長と議員がお互いに名張市のPRに怪人二十面相の活用を要望し合った」とのことです。やれめでたいな。

 いいえめでたくなんかありません。何がめでたいか。それどころかこの記事を読んだ瞬間、私の頭のなかで音がしました。ぷちっ、という音でした。何かが切れた音みたいです。いやまいったな。

 いいえまいってなんかいられません。きょうは10日夜に名張市役所で開催された乱歩蔵びらき委員会のことを報告しようと考え、その必要から関係筋をあれこれネット検索していた次第なのですが、とんだところへ二十面相、腐れ薬をつけたら知らず、抜きさしならねえ高頬のほくろ、星をさされて見出されちゃあ、そっちで帰れといおうとも、こっちはこのまま帰らねえ。「じゃーん。名張市は乱歩から手を引けキャンペーン」、率爾ながらおっぱじめることにいたしましょうか。

 その前にコスプレ議会に関してひとこと申しあげておくべきところですが、私の見解は「乱歩文献打明け話」の第二十九回「伊賀市地名考」に記してありますからここにはくり返しません。名張市議会事務局のみなさんや、心あらばこの漫才をプリント&コピーして市議会関係者全員にお渡しいただけないものでしょうか。ついでに申し添えておきますと、この漫才には下記のごとき箇所があります。

「たしかに上野市は忍者議会をやりましたけどテレビニュースにもとりあげられて観光PRになったみたいですね」
「むしろPRされたのは上野市議会には毛筋ほどの緊張関係もないという驚くべき事実であったと見るべきでしょうね」
「まあ緊張感は感じられませんけど」
「そもそも議会ゆうのはそんなことするための場ではないんですから」
「そないいわれたらそうですけどね」
「神聖な議場でちゃらちゃらコスプレやってどないするねんと怒り出す上野市民はおらんかったんか思いますけど」

 旧上野市のことはいざ知らず、もしもこの名張市でコスプレ二十面相議会なんてのが実現することになったとしたら、あほがこら何さらすねん気が触れたかと烈火のごとく怒り出す名張市民は必ずや存在するはずです。少なくとも一人は存在しています。私のことですけど。名張市議会事務局のみなさんは、そのときどんな目に遭っても知らんからな、とお手数ですが関係各位にお伝えいただけないものでしょうか。

 しかしこうなると、「乱歩文献打明け話」の掲載誌である「四季どんぶらこ」が廃刊になったらしいのはいささか痛いことよ。いや、じつに痛い。痛切に痛い。そういえば、もう気が遠くなるほど遠い昔のことだったような気もいたしますが、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業に対する批判もそもそもは「四季どんぶらこ」を伊賀県民局長に郵送することで戦いの火蓋を切ったものでしたなあご同輩。その伝で「伊賀市地名考」の掲載誌、名張市役所めがけて鏑矢のごとく射掛けられたらまことに都合がよかったのですが。

 なんてこといってても仕方がありません。あしたっからがんがん飛ばしましょう。


●12月13日(月)

 きょうからがんがん飛ばすつもりでいたのですが、なんかすっかり寝過ごしてしまいました。要するに二日酔いなのですが、二日酔いの頭でぼんやりと新聞社系サイトを眺めていて発見したのが読売新聞のこんな記事です。

図書館民営化――人件費削減の利点?選書に偏り?
 公立図書館に「完全民営化」の波が押し寄せている。地方自治法改正によって運営すべてを委託することが可能になったためで、今年4月に山梨県で、民間に全面委託された第1号の図書館が開館し、この10日には北九州市の5館でも民営化スタートが決まった。

 大阪府の堺市や大東市でも導入を検討中で、業務受託を始めた民間会社には「人件費削減」を狙う自治体から問い合わせが相次いでいるという。一方で、公立図書館の司書らからは「利用実績を上げようと選書に偏りが出る恐れがある」などと反対の声も上がっている。

読売新聞 YOMIURI ON-LINE 2004/12/11/16:21

 選書の偏りったってこの図書館は角川選書がやたら多いくせに新潮選書が全然ないじゃん、といったことではありません。記事のなかで公立図書館の司書らが「利用実績を上げようと選書に偏りが出る恐れがある」と危惧し、日本図書館協会の松岡要事務局長が「民間はベストセラーを中心に選ぶ可能性があるし、司書も専門性がつきにくい」と疑問を投げかけていらっしゃるとおり、そしてかく申す不肖カリスマこの私もまた、今年5月に名張市立図書館の民営化が検討され始めたという新聞記事を目にして(しかしどうして新聞記事なんでしょうか。たとえ嘱託といえども市立図書館の禄を食んでいる人間がどうして市立図書館の運営に関する重要案件を新聞で知らなければならんのでしょうか。名張市はどうして私に図書館民営化のことを直接知らせてこないのか。あーこれこれ名張市役所のみなさんや。みたいなこともいずれ問題にはするつもりでおりますのでここでは敢えて触れません)さらさらと執筆いたしました「乱歩文献打明け話」第二十八回「僕のキャリアや人格は」において賢くも予見しましたとおり、図書館民営化における「浅薄な評価主義」が公立図書館業界でそろそろ問題になりつつあるようです。漫才の一部をお読みいただきましょう。

「ここで公立図書館の役割は何かということを確認しておきたいんですけど」
「なんや堅い話になりそうですな」
「二本柱は流通と蓄積なんです」
「流通といいますと」
「地域住民に本を提供することですね」
「図書館で本を閲覧してもろたり借りてもろたりして提供することですか」
「いっぽうの蓄積はその地域に関わりのある本とか資料を収集していつでも活用してもらえるようにすることです」
「要するに図書館に行ったらその地域のことがすべてわかるようにすると」
「ただしどこの図書館も流通に比べると蓄積の分野が弱いみたいでして」
「なんでですねん」
「新刊の流通にはある程度のシステムが確立されてますからそれで行けるんですけど地域独自の情報を収集したり体系化したりするためにはそれなりの知識見識やノウハウが必要ですから」
「そのへんがネックですか」
「ですから公立図書館は無料貸本屋かという批判も出てきてましてね」
「けど地域住民の税金で運営されてる図書館が住民の要望に応じて無料で本を提供するのは当然のことや思いますけど」
「もちろんそれは大原則です」
「そしたら無料貸本屋として流通の役割を果たしながら蓄積のほうももっと頑張って進めなあかんわけですか」
「車の両輪みたいなもんですから」
「名張市立図書館はどうですねん」
「郷土資料の収集には努めてますけどそれ以上は踏み込めてない感じですね」
「それやったら民間委託をきっかけにそこらのことも考え直したらよろしがな」
「考え直すゆうたかて結局は人材と予算が必要になってくる話ですから」
「人材も予算も期待できませんか」
「しかもいまや浅薄な評価主義がお役所にも蔓延してますから困ったもんで」
「評価することは必要ですがな」
「この浅薄な評価主義はじつは年金の未納未加入問題と同じなんです」
「どうゆうことですねん」
「白か黒かの幼稚な基準だけ設けてそれですべてを評価するわけですから」
「そんな風潮はあるかもしれませんね」
「年金という要素だけでひとりの人間を評価することなんかできるわけないんですけどいまやそうゆう幼稚さがすんなり受け容れられる時代なんです」
「ある意味危険な時代ですね」
「ですから公立図書館も来館者数とか市民ひとりあたりの貸し出し冊数とか」
「表面的な数字だけに基づいて評価をくだしてしまいがちになるわけですか」
「図書館運営を民間委託したらその手の浅薄な評価主義がさらに幅を利かすんやないかと僕は危惧してるんですけど」
「公立図書館としては数字に表れない仕事も進めなあかんわけですからね」
「要するにトータルな問題なんです」
「ほな君は民間委託に反対なんですか」
「もちろん賛成なんですけどちゃんと検討を進めてもらわな困りまっせと」
「それはそうですね」
「ところが人材も予算もないうえに検討を進めるのがお役所の人たちと来てはやっぱり話は終わったも同然ですか」
「せやから勝手に終わらすなゆうねん」

 なんかもうすべてのネックはお役所の人たちなのではないかという気さえしてきてほんとに困ったものですが、ここらで本日の話題にまいりましょう。

 きのう名張市内にある近鉄百貨店桔梗が丘店へお昼ご飯を食べに行ったときのことです。二階だか三階だかのエスカレーター付近で名張市議会議員の田郷誠之助先生にばったりお会いいたしました。田郷先生は昨日付伝言でご紹介いたしましたとおり、名張市議会定例会の一般質問で「(怪人二十面相姿で)京都や名古屋などにも出没して、名張をPRしてほしい」と市長に要望された方です。立ち話ではあったのですがそのあたりの経緯をお聞きして、みたいなことはあすにつづくということにさせてください皆の衆。あー二日酔い二日酔い。


●12月14日(火)

 二〇〇四伊賀びと委員会事務局からメールを頂戴しました。

 中 相作 様
 いつもお世話になります。

 長らくお待たせしておりましたが、今週16日(木)に組かしら会を開催することになりました。
 つきましては、以前お知らせいたしましたように、会の開催にあわせて、意見交換をさせていただきたいと存じます。
 時間は、議題の都合があり、申し訳ありませんが、19時30分から40分間を予定しています。

 ご都合がよろしければ、19時30分に上野庁舎4階の事務局にお越しください。
 よろしくお願いします。

 当方の返信は次のとおり。

 メール拝受いたしました。お手数をおかけしました。

 仰せに従って16日午後7時30分に事務局にお邪魔いたします。つきましてはふたつ、お願いがあります。

 ひとつめは、意見交換会の内容は当方のサイトで報告いたしますので、その旨ご承知おきくださいということです。出欠の状況もはっきりさせたい、つまり組かしら会のどなたがご出席でどなたがご欠席であったかということも報告したいと思っております。

 ふたつめは、意見交換が記憶や印象や伝聞や推測に基づいたものでは困りますから、貴委員会オフィシャルサイト掲示板の過去ログをすべてプリント&コピーして、事前に組かしらのみなさんにお読みいただき、意見交換会にもご持参いただきたいということです。

 以上二点、ご厄介をおかけして恐縮ですが、よろしくお願いいたします。お聞き届けいただけるかどうか、当日までにお知らせいただければ幸甚です。

 都合により本日はこれでおしまいです。ではまたあした。


●12月15日(水)

 二〇〇四伊賀びと委員会事務局からさっそくに下記のメールを頂戴しました。一部文字化けがありましたので、たぶん括弧付き算用数字だろうと判断して訂しておきました。

中 相作 様
  お申出について、お答えします。
          記
(1)
>  ひとつめは、意見交換会の内容は当方のサイトで報告いたします
> ので、その旨ご承知おきくださいということです。出欠の状況もは
> っきりさせたい、つまり組かしら会のどなたがご出席でどなたがご
> 欠席であったかということも報告したいと思っております。

 承知いたしました。
(2)
>  ふたつめは、意見交換が記憶や印象や伝聞や推測に基づいたもの
> では困りますから、貴委員会オフィシャルサイト掲示板の過去ログ
> をすべてプリント&コピーして、事前に組かしらのみなさんにお読
> みいただき、意見交換会にもご持参いただきたいということです。

 既に、お渡ししてあります。

 以上 よろしくお願いします。

 といった次第で、いよいよ明16日、二〇〇四伊賀びと委員会の組かしら会にお邪魔することになりました。赤穂浪士の元禄義挙に遅れること二日、おのおの方、手っ取り早くけりをつけてしまいましょう。

 三重県が天下に誇る官民合同事業「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」に関していいたいことは山ほどあるのですが、今回は二〇〇四伊賀びと委員会オフィシャルサイトの掲示板閉鎖事件ならびに過去ログ封鎖事件に問題を限定して意見交換会とやらを開催していただきます。意見交換ったってこれまで主張してきたことを組かしらのみなさんに直接お伝えするだけの話ですし、この意見交換会には何の決定権もないそうですから事態が一気に進展することは望めないのですが、いや事態の進展というのがいったいどういうことなのか、それさえよくわからないような状態なのですが、まあ組かしらのみなさんのお考えをお聞かせいただけるだけでもありがたいことだと思っております。

 さるにても遥けくも来つるものかな。例の掲示板が閉鎖されたのは今年2月のことでした。掲示板にはこんな告知が掲載されて、過去ログもすべて閲覧不能になっておりました。やれやれ、と思った私はあほらしくて文句をいう気もしなかったのですが、7月に入って私が三重県主催の「知事と語ろう本音でトーク」に参加して掲示板問題に関する知事の考えを質すことになったとき、二〇〇四伊賀びと委員会オフィシャルサイトに今度はこんな告知が掲載されました。

 目も当てられんなこの醜態には、と私は思い、おまえら自分たちがどれほど見苦しい真似をしているのかわかっておるのか、とも思って、こうなったらいっちょ思いきり叱り飛ばしてやるのが人の道であろうと判断した結果、紆余曲折はありましたもののいよいよ意見交換会とやらでひとつの山場を迎えることになりました。これで終幕ということになるのかどうか、それはまだわかりませんが、悪夢のようだった2004年のうちに決着をつけてしまい、すがすがしい気持ちで2005年を迎えたいものですなおのおの方。槍は錆びても心は錆びぬ、の心意気でござる。どんな心意気なんだか。