2007年10月上中旬
4日 はや10月も4日となりて
8日 映画ならびに眼鏡
16日 中井英夫ならびに浅草21世紀
18日 北森鴻さんをお招きして
20日 高原英理さんの『ゴシックスピリット』
 ■10月4日(木)
はや10月も4日となりて 

 ご無沙汰つづきで申しわけありません。更新が滞りがちだというのに乱歩関連情報をメールでお知らせくださる方のあるありがたさ。

 けさは10月3日発売、「東京人」11月号のことを教えていただきました。特集「大江戸出版繁昌記」の一篇として、丹羽みさとさんの「乱歩の和本コレクション」が収録されています。カラー写真も多用して、乱歩の集めた和本がくわしく紹介されている模様。現物を入手してから、またあらためてお知らせいたします。

 とりあえず本日の「RAMPO Up-To-Date」です。

作品収録
芋虫
恐怖の森
9月1日 ランダムハウス講談社 ランダムハウス講談社文庫
編:日本ペンクラブ 選:阿刀田高
旧版:福武書店 福武文庫 1989年3月17日
初出:新青年 昭和4年新春増大号(10巻1号) 1929年1月1日

 阿刀田高さんの「解説」から。

 江戸川乱歩の“芋虫”は、グロテスクの極地。背後に狂気の時代のリアリティを負うているから、ただの猟奇趣味を越えて余まるものがある。批評がある。私はてっきり戦後の作品だと思っていたのだが、昭和四年の作。発禁にならなかったのが不思議である。反戦小説として読むこともできるが、乱歩自身はむしろ、“人間を作った神への反逆”そんな気分で書いたものらしい。

 けさも急ぎ足で相済みません。しかし、たとえわずかこれだけでも、ちゃんと更新できたことの嬉しさ、すがすがしさ、達成感。ではまたあした。


 ■10月8日(月)
映画ならびに眼鏡 

 いやもうほんとに申しわけ次第もございません。

 本日の「RAMPO Up-To-Date」です。

ウェブニュース
Yahoo!動画、鬼才・塚本晋也監督の映画『双生児』を配信 秋山文野
DIGITAL ARENA
10月5日 日経 PB 社
デジタルエンタ

 こんなニュースです。

 Yahoo!動画で塚本晋也監督作品「双生児」(1999年)の配信がはじまりました。それっ、てんで Yahoo!動画「双生児」のページにすっ飛んでってみましたところ、いきなり「お使いの環境では、動画を視聴いただけません」とのつれない言葉にぶつかってしまいました。OS が Windows2000/XP/Vista、ブラウザが Microsoft Internet Explorer 6.0 以上なら大丈夫です。

 つづいてはこれ。

ウェブニュース
江戸川乱歩のメガネが完全復刻 100本限定84000円
日刊アメーバニュース
10月6日 サイバーエージェント
国内

 今月21日、乱歩のお誕生日に、乱歩が愛用したメガネの復刻版が発売されるそうです。

一部引用。

 デザインを監修するのは坂口安吾Tシャツなど文豪Tシャツシリーズを手掛けるデザイン集団「東京ピストル」。メガネ監修は外苑前にあるメガネのセレクトショップ「ブリンク」。この強力タッグが手を組み、乱歩が晩年に愛用していたといわれるアンティークメガネ特有の丸みのある懐かしいデザインを職人の手作業によって可能な限り、細部に至るまで忠実に再現した。さらに乱歩の孫である平井憲太郎氏が責任監修をつとめているのも乱歩ファンにはたまらないだろう。

 職人が手作業で制作した乱歩メガネは限定100本、シリアルナンバー入り(豪華メガネケース、認定証付き)。完全予約制で価格は84,000円。決して安い買い物ではないが、乱歩マニアにとって必須アイテムになりそうだ。

 別に乱歩マニアの必須アイテムってことにもならんと思いますけど。


 ■10月16日(火)
中井英夫ならびに浅草21世紀 

 これは生まれてはじめてのことなのですが、日の暮れ方にサイトを更新いたします。これまでは早寝早起き元気なよい子、朝早くからいそいそと更新していたのですが、先月17日にブログを開設して以来、極端にサイト更新をサボりがちになってしまったこの私。ブログに時間を取られるということもあるのですが、なんかもうほんとにモチベーションってやつですか、それが尋常ならざる水位まで低下してしまい、もう乱歩のことから手を洗うかと、こんなインチキ自治体まっぴらごめんだぜと、そこまで思いつめていまだ結論は出ていないのですけれど、まったくどうすっかなあ。

 とか思っておりましたところ、きのうのことでした。未知の方からメールをいただきました。読者諸兄姉はご記憶でしょうか。昭和3年1月、乱歩が扁桃腺剔出手術を受けた下谷黒門町の高橋耳鼻咽喉科病院のことを。その院長だったドクトル高橋研三のことを。きのう頂戴したメールはその高橋研三先生の縁戚の方からのもので、『江戸川乱歩年譜集成』が完成したらドクトル高橋のご遺族にぜひお受け取りいただきたいのだが、いったいどこへお送りすればいいのやら、みたいなことをこの伝言板に以前記しておきましたところ、それが眼にとまったからと丁重なご挨拶をたまわり、研三先生ご逝去後の、楡家の人びとならぬ高橋家の人びとの簡略な消息も教えてくださいましたうえ、何かわからないことがあったらわかる範囲内で教えてあげるからと、じつに懇篤なお申し出までいただいてすっかり恐縮してしまいました。

 やっぱ『江戸川乱歩年譜集成』はおれがつくっとかなくちゃまずいんじゃね? とか思いあがったことも考えて、しかしまったくどうすっかなあ。いまだ結論にはいたらぬのですが、ともあれサイトをほったらかしにしておくわけにもまいりません。本日の「RAMPO Up-To-Date」はこんなところで。

 いまごろかよッ、とお叱りにならないでくださいまし。寝っ転がって読んでたら予告もなしに自分の名前が出てきましたので、まあ予告がないのはあたりまえなんですけど、えらく驚いてしまってしばらく手に取る気になれなんだのでございます。上の画像には版元の紹介ページへのリンクを設定してございますので、定価その他はそちらでどうぞ。

 当サイト的にはこんなあんばい。

関連書籍
中井英夫 虚実の間に生きた作家
6月30日 河出書房新社 KAWADE道の手帖
編:本多正一
関連箇所
塔晶夫は語る──『虚無への供物』を巡って
第八回 江戸川乱歩賞選評 江戸川乱歩(初出:宝石 昭和37年10月号)
塔晶夫は語る──『虚無への供物』を巡って 中井英夫 聞き手:東雅夫(初出:別冊幻想文学《中井英夫スペシャルII》1993年2月15日)
中井さんと乱歩賞 迹見富雄(初出:創元推理 4号 1994年4月25日)

 つづきましては12月1日、浅草公会堂で催されます「浅草21世紀」結成十周年記念公演のご案内。東京の知人からこの舞台に立つとチラシ同封の郵便で知らせてまいりましたので、ご用とお急ぎでない方はこのオフィシャルサイトで詳細をどうぞ。

 浅草21世紀、というコメディ劇団のことを私はまったく知らなかったのですが、座長の橋達也さんはかつてストレートコンビとしてテレビの人気者となり、「だめなのねーだめなのよー」だの「千葉の女はちちしぼり」だのといったギャグを流行させた、などといってもご存じない方が多いか。とにかくその橋さんの劇団が十周年を迎え、その劇団員である知人が記念公演の舞台に立つそうで、昼夜二回公演、夜の部のゲストは「よきすがたなあ」「よもくぼ」という逆さ言葉漫才でおなじみの、などといってもあまり通じないかもしれませんけど、とにかく青空球児&好児師匠だそうです。

 ウェブニュース的には、乱歩の名前も出てくることですので、こんなのを拾ってみました。高瀬徹朗さんの記事。

著作権保護期間の延長は「毒入りケーキ」か
 「あの力道山(プロレスラー、没後45年経過)や芦田均(元首相、没後48年経過)の著作物すら、今は出版されていない」。丹治氏は、死後50年から70年に延長する議論が持たれている著作権保護期間について「毒入りケーキ」と表現した。

 「一見、甘そうな誘惑に見えるが、実際には一部の有名作家・作品だけが売れる生々しい弱肉強食の世界。大半の作家・創作者にとって毒であり、消費者にとっては毒そのもの」(丹治氏)。

 報告で示したデータによれば、没後に作品が出版されている作家・創作者全体の1%にあたる上位20人(江戸川乱歩、吉川英治など)が、出版部数では46.5%を占める「超寡占状態」にある。作家全体の上位5%にまで広げると、部数対比で75%に跳ね上がり、実質的には「ほんの一部の人間しか得をしない」という延長議論の現実を実証した。

 丹治氏は「作品の生命は読まれ続けることでつながるもの。作家が生んだものを、読者が育てる」とし、著作権によるしばりが読者と作品を切り離す存在になる危険性を示唆した。

CNET Japan 2007/10/15/12:27

 それではそろそろ銭湯に行ってまいります。


 ■10月18日(木)
北森鴻さんをお招きして 

 本日も日の暮れ方のサイト更新となっております。

 ついさっき、名張市役所一階の生活環境部まちづくり推進室で教えてもらってきたネタです。名張市オフィシャルサイトではきのう公表されたそうなのですが、名張市が日本推理作家協会の協賛をいただいて毎年の恒例としております「なぞがたりなばり講演会」、十七回目を迎えました本年は11月24日、北森鴻さんをお招きして開催することになりました。テーマは「旅とミステリー」。会場は昨年とおなじ名張市武道交流館いきいき一階多目的ホール。名張駅から遠いじゃねーかとか、椅子が安物じゃねーかとか、去年の評判はあまり芳しくなかった会場なのですが、まあそんなことおっしゃらずにどうぞおいでください。午後4時15分終了予定とのことですから、ご希望があればそのあと大宴会もかましてみたいと思います。

 前売り入場券は千五百円(十八歳以下五百円)、10月29日に発売開始だそうで、メールによる申し込みは10月19日から受け付けることになっております。詳細は名張市オフィシャルサイトのこのページでご覧ください。

 本日も、もう少ししたら銭湯へ行くことになっております。


 ■10月20日(土)
高原英理さんの『ゴシックスピリット』 

 本日も暮れ方なり。

 いまごろかよッ、シリーズ第二弾。

 高原英理さんの『ゴシックスピリット』が出ました。

 当サイトをご閲覧の諸兄姉には、ゴシック版幻影城、とご紹介申しあげるのが手っ取り早いかもしれません。第五十八回日本推理作家協会賞評論その他の部門で『子不語の夢 江戸川乱歩小酒井不木往復書簡集』と枕を並べて討ち死にした『ゴシックハート』から三年、いまや本邦におけるゴシックのトップランナーとなった観のある著者がふたたびゴシックを語り尽くします。とはいえ、乱歩の『幻影城』が探偵小説というお気に入りのおもちゃ箱をひっくり返したような無邪気さにあふれていたのとは異なり、こちらの幻影城はおなじくフェイバリットについて綴りながらも静謐な、あるいは沈鬱なと呼べるほどの内省の気配が漂っている点に感銘をおぼえた次第です。

関連書籍
ゴシックスピリット 高原英理
9月30日 朝日新聞社
著:高原英理
関連箇所
7 東京猟奇交通図
1 都市の猟奇者たち2 乱歩東京迷宮図3 夜の市民たち4 少年少女の夢見るところ

 乱歩について記された「7 東京猟奇交通図」から、冒頭二段落を引用いたします。

 当時未だゴシックと呼びはしなくとも、現在見ればまごうかたない世界が一九三〇年を中心に前後十年ほどの戦前日本の探偵小説である。何より江戸川乱歩があってのことだ。日本的ゴシックの感受性はこのとき本格的に生じたものと私は思う。そこで主題となったのは「猟奇」だった。もともと佐藤春夫の探偵小説に関する批評にあった語から用いられ始めたとされる「猟奇」という態度は、当時の都市の在り方と不可分であるだけでなく、その構造が今に至るも基本的には変わっていない。乱歩が今も読まれ続け愛され続ける理由はそこにある。少なくとも現在のところ、猟奇の嗜好は拡大するばかりのようだ。ここでは乱歩と都市にまつわる想像を語ろう。
 ところで、江戸川乱歩は既に国民的作家と言ってよいと思う。日本語で読書する人であればまず何かの作品は読んでいるだろうし、たとえ読んでいなくとも内容がどんなものかの見当はつく。「乱歩の小説に描かれる猟奇のイメージ」ならば誰でも知っている。また乱歩の全小説は常に必ずどこかの文庫に入っているのでその気になればいつでも読める。たとえば本文にあげた題名など手がかりにしてみれば作品ガイド等にも事欠かない。それゆえここでは個々の作品の内容紹介に筆を費やさず、乱歩の世界とそこに描かれる都市の暗がりに浸っていただくつもりで記してみた。

 ぜひつづきをお読みください。気になるお値段は本体二千四百円。

 さて、暮れ方というか、もうとっぷりと暮れてしまったか。