2007年12月
|
|
師走を迎えて、早くも一週間が経過してしまいました。ひいひい。 先月と今月の「RAMPO Up-To-Date」、本日記載分です。
ひいひいいってるうちにもう2008年、という気の早い雑誌もあります。
それでいったいどんなランキングなのかというと、ベストテンはこんなぐあいです。
ひぇーッ、とお驚きの向きもおありでしょうが、どうぞご心配なく。百位以内にはわれらが乱歩も入っております。
ひとりで二点ランク入りしてるのは、乱歩のほかには山田風太郎ただひとり。ただし、光文社文庫の『江戸川乱歩と13の宝石』が九十八位に食い込んでますから、もしも軍配をあげるとしたらやっぱり乱歩になるでしょう。 以上、「プレイボーイ」2008年1月号の話題でした。それではどちらさまもよいお年をお迎えください。いやいや、そんな気の早い。山田風太郎といえば7月に出た『わが推理小説零年』のこともまだ「RAMPO Up-To-Date」に記載しておらず、そういえば戸板康二の『松風の記憶』にも乱歩のことを綴った短いエッセイが収録されておりましたし、鷲田小彌太さんの『昭和の思想家67人』にも乱歩がとりあげられていたけれど、こちらはいまだ眼も通してないというていたらく。年内にまだまだひいひいいわなければならぬようです。 |
12月7日から9日までの三日間、京都にある立命館大学で「国際乱歩コンファレンス」なる催しが開かれました。「RAMPO Up-To-Date」的にはこんな感じです。
私は英語がからっきしで、コンファレンスが会議を意味する英語だということさえ知りませんでした。風邪薬の名前ではあるまいけれど、といった程度の察しはつきましたけれど、まさか乱歩をめぐる国際的な会議が開催されることになろうとは。 立命館大学オフィシャルサイトのこのページにもとづいて国際乱歩コンファレンスの歴史をあとづけてみますと、六年あまりさかのぼって2001年の3月22日、AAS(アメリカアジア学会)のプレセッションとしてシカゴで開かれたのが第一回。北米を中心とした日本研究、アジア研究、大衆文化研究、ジェンダー研究などの研究者が集い、RAMPO なるタームを軸にモダニティ研究が展開されたとのことです。第二回は2007年、つまり今年の4月6日と7日の両日、ニューヨーク大学で催された「Workshop Edogawa Rampo」。領域としての乱歩スタディーズが話し合われ、それを受けて新たなステップを踏み出すべく、比叡おろしがはんぱではない12月の京都で第三回が実現されたということになります。 なにしろ英語がからっきしですから、ちょいと覗いてみるとしたら発表がすべて日本語で行われるらしい三日目しかないなと決め、9日の日曜、近鉄名張駅を午前7時27分に発車する京都行き特急に乗り込んで、うちはー比叡おろしーですねーん、とかなんとか口ずさみながら千年の古都に向かいました。午前9時前には京都駅に着き、駅前から立命館大学までの市バスに乗って、発車は午前9時15分。立命館大学のオフィシャルサイトにはこのバスの所要時間は三十五分と書かれていたにもかかわらず、実際には四十五分ほどかかりましたので、午前十時開会のコンファレンスには少しだけ遅れて入場する仕儀となりました。 私は英語にも縁がありませんがそれ以上にアカデミズムとは無縁ですので、もとよりこうした催しに出席するのははじめてのこと。うしろから二列目の席にちょこんと坐って謹聴していたのですが、案ずるほどのことは何もありませんでした。何を案じていたのかわれながら不明なのですが、やがて休憩の時間。屋外に出て、なぜかチンドン屋のそれらしい楽の音が聞こえてくる喫煙所で煙草を吸い、会場に戻ると、いちばん前の席にいらっしゃった方が駆け寄ってきてくださって、じつに丁重なご挨拶をいただきました。今回のコンファレンスの主催者代表、といったポジションの方で、思いもかけないことでびっくりしてしまい、どうして面が割れているのだろうと犯罪者のようなことも考えながら、コンファレンスの後半に突入。 えーっと、あすにつづきます。 |
12月11日付伝言の末尾に「えーっと、あすにつづきます」と記したのは真っ赤な嘘だったという結果になってしまいました。なんとも相済みません。日の暮れ方というのはサイト更新には向かない時間帯であるようで、まだ用事が終わっていなかったり、新しい用事がまぎれこんできたり、あるいは面倒さが先に立ったり、やっぱりお酒が恋しくなったりで、そうこうしておりますうち、わずか一週間前のことだというのに立命館大学で催された「国際乱歩コンファレンス」からずいぶん日が経ってしまったように感じられるきのうきょうです。 コンファレンスはとても面白かったといいますか、興趣深かったといいますか、あるいは、ひさしぶりでお会いできた方もいらっしゃいましたので、それだけで嬉しく楽しい時間を過ごすことができました。見聞きしたことをいろいろ記そうかと考えていたのですが、というのも、なにしろ研究者の集うコンファレンスに立ち会うのは初めてのことでしたから、何を見聞きしても新鮮で興味深い。たとえば壇上での発表のあとにセッションワーキングと名づけられた時間があって、要するに参加者と発表者による質疑応答のことなのですが、なかにおひとり、とても堅気の衆とは思えない貫禄で鋭い質問を矢継ぎ早にくりだす方がいらっしゃって、会場には緊迫感のようなものがみなぎっていたと私には感じられ、おーくわばらくわばら、とか思って首をすくめていたのですけれど、あとで知ったところによりますとその方こそ、乱歩関係でいえばたとえば新潮日本文学アルバム『江戸川乱歩』の編集と評伝を担当された方なのでした。おーくわばらくわばら。何がくわばらなんだかよくわかりませんけど、とにかくそうした場にいあわせたこと自体、私にはすこぶる面白い体験でした。 あとまだいろいろと話題はあり、まったくの部外者であったにもかかわらず関係者のために用意された松花堂弁当をぱくぱくご馳走になったことや、アメリカから参加されたトムさんとおっしゃる研究者の方といつか京都で湯豆腐を食べようと約束したことや、そんな些細なあれこれがほんとに楽しかったなあというささやかな思い出をこの小さな胸に秘め、国際乱歩コンファレンスの話題を終わりたいと思います。 あとは映画の話題を少々。乱歩原作というよりは北村想さん原作の映画です。中日スポーツのオフィシャルサイトから引用いたしましょう。
サンケイスポーツでは「金城武&松たか子出演映画「怪人二十面相」来年12月公開予定」、報知スポーツでは「「ホームレス中学生」東宝が映画化…十数社争奪戦の末ゲット」と報じられておりました。来年も乱歩人気には一点の翳りもないようです。 ついでですからもうひとつ、朝日新聞の記事もお読みください。三重県鳥羽市の話題です。
三重県名張市はいったいどうしているのかな。 |