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2008年8月上旬
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8月を迎えました。あいかわらず暑い日がつづきます。生後七か月を経過した当家の小春も、小春というのは犬の名前なのですが、このところの暑さにぐったりしております。 乱歩をめぐるこの月最大の話題といえば、これはもう誰が何といおうと、岩波文庫に乱歩の短篇集が登場するということでしょう。版元のサイトの新刊紹介「江戸川乱歩短篇集」によれば、発行日は19日、収録は全十二篇で、うちタイトルが明かされているのは「二銭銅貨」「心理試験」「押絵と旅する男」の三作。となると、残りの収録作品を予想したくなるのが人情というやつでしょう。ちょっと試みてみましょう。 01 二銭銅貨 あたりまえすぎて曲というものが感じられないセレクトで、たとえば「人でなしの恋」あたりも入れたかったのですが、なにしろ岩波文庫の緑帯です。オーソドックスなところでまとめておくことにいたしました。ご閲覧諸兄姉も戯れに予想してごらんになってはいかがでしょうか。 岩波文庫といえば、4月に出た十川信介さんの『近代日本文学案内』が類書にないユニークさで面白く読めました。木で鼻をくくったような近代文学史の概説とは一線を画し、版元のサイトの「近代日本文学案内」の紹介文からも知られるとおり、故郷と都会、他界と異界、交通と通信といったモチーフを軸にして日本近代の文学が語られます。乱歩作品にも結構筆が割かれていて、だったら岩波文庫で乱歩の短篇集くらい出しゃいいのにと不満に思っていたところ、ほんとに『江戸川乱歩短篇集』が出ることになってちょっとびっくり。「屋根裏の散歩者」が紹介されたあたりを引用しておきます。
乱歩はいつも懐かしく、それでいて不思議に新しい、といったところでしょうか。 |
集英社の「ビジネスジャンプ」とその増刊「BJ魂(びーじゃんこん、とお読みください)」に発表された東元(あずまげん、とお読みください)さんの連作漫画が単行本『江戸川乱歩怪奇短編集〜赤い部屋〜』にまとめられました。「BJ魂」編集部の方から掲示板「人外境だより2008」に7月18日発売とのお知らせをいただき、さっそく当地の本屋さんに赴いたのですが、お取り寄せになります、とのことでがっくり。そのお取り寄せ分がようやく入荷しました。 収録作品は版元のサイトの「江戸川乱歩怪奇短編集〜赤い部屋〜」でご確認いただくとして、乱歩の代表作六篇を「赤い部屋」における語りとしてまとめた趣向が秀逸。その趣向のため結末に加えられたひねりも決まっていますし、第六話「赤い部屋」のランディングも、これは人によって異論のあるところかもしれませんが、「赤い部屋」のオフリミットにふさわしいものと思われます。それに何より、レトロという言葉をそのまま絵にしたような東元さんの画風がまことによろしく、もうひとつの乱歩世界をみごとに描いて楽しませてくれます。乱歩ファンならぜひどうぞ。 |
暑いと思います。誰が何といおうと暑いに決まっていると思います。暑さのせいで伝言を記す余裕もなく、本日は「人外境だより2008」に一件投稿しただけで冷えたビールにまっすぐ突進したいと思います。 忘れてました。ミステリ劇を専門に手がける劇団フーダニットから第八回公演のお知らせをいただきました。たぶんとても暑いであろう8月下旬、クリスティの「ナイル殺人事件」が上演されます。詳細は公式サイト「Whodunit」でどうぞ。 |
吉本隆明さんの『日本近代文学の名作』が新潮文庫に入りました。「江戸川乱歩『陰獣』」が収録されております。「現代物なら、内田康夫が好きだ。浅見光彦シリーズなど、ほとんどすべて読んでいる」となんだか意外なことをおっしゃる吉本さんの「陰獣」評、ちょっと引用いたします。
乱歩作品から当代の異常な事件を連想するのはいわば定番の発想なのか、スポーツ報知に掲載された姜尚中さんのインタビュー記事でも、当代の若い衆が起こした事件と乱歩作品とが結びつけられております。
他者とのつながりなどという暑苦しいものは、できれば願い下げにしたいものだと私なんか思うわけですけど、そのせいで毎日なんとなく絶望的な感じがしているのかもしれません。だからといって、そんなだいそれた事件なんてとてもよう起こしませんけど。 |
きのうのつづきです。乱歩が昭和25年、夕刊朝日新聞の「頭の体操」に寄せた出題の全容はこんなところだったようです。ただ日付だけをお伝えしても面白くも何ともありませんから、それぞれどんなトリックが使用されていたのか、鬼のような調査を敢行された方からお知らせいただいたままをあわせてお知らせいたします。
ネタ割っちゃまずかったかなとも思うのですが、まあいいでしょう。どんな出題だったのかを知りたいとおっしゃる方もいらっしゃるでしょうが、そのうちまとめて活字になる気配ですから、そのときまたあらためてご紹介することになると思います。ならなおさらのこと、ネタ割っちゃまずかったのかな。 |
本日は乱歩の話題をお休みして、あす開幕式が挙行される北京オリンピックについて少々。なんと俗悪な話題か、と自分でも思うのですが、四年の歳月がめぐりめぐって、遠縁の娘がふたたび金メダル狙いで出場いたします。特段のご声援をお願い申しあげたいと思います。 思い起こせば2004年、初出場となりましたアテネ五輪におきましては、このサイトで私自身の縁戚関係を赤裸々に告白してご声援をお願いした甲斐あって、女子レスリング五十五キロ級でぶっちぎりの優勝を果たしましたものの、今年1月に中国で開催された女子ワールドカップ団体戦で不覚にも判定負けを喫し、これが国際大会初黒星、連勝記録も百十九でストップする仕儀となりました。 無敵だったはずの女王が一敗地に塗れて泣きじゃくる姿をテレビ画面でまのあたりにし、われら縁戚一同、夜も眠れぬほどの悔し涙に泣き濡れた者もあったのかもしれませんが、おかげさまで私はまったくそんなことはなく、あまり記憶はないのですけれど、あいかわらず酔っ払ってばかりいる日常を送っていたのではないかと思い返されます。なんと無情冷淡な縁戚か。 しかし、遠縁の娘は酔っ払いの縁戚など歯牙にもかけず、敗戦を機にひとまわり大きく成長して、燦然たる金色のメダルだけを目標に敢然とリングに立つことになりました。そういうことらしいです。メディアの報道によればどうもそのようです。そのあたりのことは、たとえば日経 PB ネットの「北京五輪への道」シリーズ第十三回「レスリング 吉田沙保里(前編) 敗戦こそ最大の良薬」、第十四回「レスリング 吉田沙保里(後編) 手のひらの察知力」をお読みいただければと思います。 北京五輪レスリング競技の日程は、Yahoo!スポーツの「レスリング フリースタイル」あたりでどうぞ。 |
たぶんそれだったりすると思います。といきなり記しても何のことだかおわかりにならないでしょうが、2ちゃんねるミステリー板乱歩スレ「【悪魔の紋章】 江戸川乱歩 第十二夜」の「460-462」をご覧いただけば一目瞭然。8月5日から6日にかけて伝言板の話題にした乱歩の出題、そのうち活字になるらしいことは私も聞き及んでおり、いずれ刊行されたらわかるだろうと構えていたのですが、9月9日発売のミステリー文学資料館編『江戸川乱歩の推理教室』(光文社文庫)であることまでは知りませんでした。たぶんこれで間違いなかったりするだろうと思います。 それで本日は、名張ロータリークラブ謹製「少年少女乱歩手帳」の話題です。とはいえこの件に関してはブログのほうにあれこれ記しておりますので、手抜きのようなれどそちらをお読みいただくことにして── ・6月28日:コンサルはじめました 名張ロータリークラブから百部ほど貰い受け、暑中見舞がわりにあちらこちらお送りしましたところ評判すこぶるよろしく、ちょっとまとめて送ってくれと千円札同封のリクエストをいただいたり、結構なんやかんやいたしました。これはえらいこっちゃと思い、名張ロータリークラブからさらに百部あまりを届けていただいて、きのうときょうとでようやく追加発送を終えた次第です。 しかし、お送りすべきところにうっかりお送りしてないケースもあるでしょうし、私が存じあげない方のなかにもぜひ欲しいとおっしゃる声があるかもしれません。そんなこんなで「少年少女乱歩手帳」、入手希望をメール(stako@e-net.or.jp)でお寄せいただけば、四の五のいわずどーんと無料でお送りいたします。ただし残部はいささか僅少。お早めにお申し込みください。いやまあ、名張ロータリークラブにはまだまだ残ってるはずなんですけど。いつも乱歩関連情報の収集でお世話になってる2ちゃんねる乱歩スレのみなさんも、よろしかったらお気軽にどうぞ。 |
きのうの伝言に名張ロータリークラブ謹製「少年少女乱歩手帳」のことを記しましたところ、さっそくお申し込みをいただきました。なかにおひとり、私の7月16日付ブログ記事「少年少女乱歩手帳完成!」をリアルタイムでお読みになり、待ってましたとばかり名張ロータリークラブの事務局に連絡をお入れになったところ、「少年少女乱歩手帳」は郵送しておりません、事務局まで受け取りに来てくださる人だけに配付しております、との返答を得たとおっしゃる方がありました。いやはや、わざわざ遠方からお声をかけていただいたというのに、じつに気の利かないことで困ったものです。名張ロータリークラブのみならず名張市そのものの印象が、こうやって少しずつ少しずつ悪いものになってゆくわけなのですが、とりあえずその方にはメールをお送りし、「なにしろご町内のことしか頭にない田舎者のこととて、ご寛恕いただければと思います」と名張ロータリークラブの会長になりかわってお詫びを申しあげておきました。 それにしてもロータリークラブなどというものは、あるいはライオンズクラブなどというものも、実際ろくなものではないのではないかと、私にはそのような印象があります。活動内容についてはほとんど何も知るところがないのですが、何が社会奉仕か、何が国際奉仕か、あんなものはごくごく狭いご町内で奉仕という名の自己満足に酔い痴れてるだけの無教養きわまりないスノッブ集団ではないか、とか私はつねづね思ってるわけで、しかし名張ロータリークラブから「少年少女乱歩手帳」のお仕事を頂戴したのですから滅多なこともいっておられません。それにだいたい、「少年少女乱歩手帳」をご覧いただいた方はおわかりでしょうけれど、平井憲太郎さんが東京池袋西ロータリークラブの会員でいらっしゃって、今年度はたしか会長の重職にお就きだとも仄聞いたしますので、いよいよ滅多なことを口にできるものではありません。しかもなお具合の悪いことに、乱歩もまた晩年の一時期ロータリークラブに所属していたとのことなんですから、滅多なこと口走ってたらしまいにゃ天罰がくだってしまうことでしょう。 今年の4月6日、名張市内の会場で名張ロータリークラブ四十五周年記念例会が催され、平井憲太郎さんが「フリーターからロータリアンへ」と題した記念講演をなさいました。6月に発行された四十五周年記念誌にはその講演録が収録されていて、憲太郎さんのおはなしの全容を知ることができます。名張ロータリークラブから記念誌を頂戴いたしましたので、同クラブをはじめ全世界のロータリークラブの末永い発展を心から祈念しつつ、講演録の結び二段落を引用。校正洩れと思われる箇所もそのままといたします。
戦後の乱歩は山田風太郎をして、あれじゃ江戸川乱歩じゃなくて江戸川濫費だといわしめたほどのお金持ちだったわけですが、上には上があるといいますか、ロータリアンとして大正製薬だの西武だのといった企業の社長さんクラスとつきあうとなると、さしもの乱歩もお金がかかってたいへんだということにならざるを得なかったもののようです。なんだか空恐ろしいような話です。 |
あいかわらず暑いわ、もうすぐお盆だわ、北京五輪はやってるわ、親戚の幼稚園児は遊びに来るわ、犬は玄関で小便ちびるわ、ゆうべお招きにあずかったさるお座敷では「短パンかよ」といきなり叱られてしまうわ、そんなこんなで何も手につかない感じの日曜ですが、きょうもきょうとて「少年少女乱歩手帳」のお申し込みをいただきました。きのうの受注分とあわせ、あした発送いたします。残部はまだあります。メール(stako@e-net.or.jp)でお気軽にお申し込みください。 |