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番犬敬白 1999年10月21日

 このページでは、平井隆太郎先生と故中島河太郎先生のご監修をいただいて名張市立図書館が発行した江戸川乱歩リファレンスブック1『乱歩文献データブック』に準じ、大正12年から平成7年までに発表された江戸川乱歩関連文献を、増補を加えながら目録としてまとめております。不備や遺漏のご教示をいただければ、たいへんありがたく存じます。
 平成8年以降の乱歩文献は「RAMPO Up-To-Date」でとりあえずカバーしてゆく方針ですが、いずれ『乱歩文献データブック』の増補改訂版を発行するべきかとも思っております。
 記載スタイルの概略はご覧いただくだけでほぼおわかり願えるものと思いますが、詳細につきましては下の「凡例」をご参照ください。

凡例 1999年10月21日

 「乱歩文献」の定義は、『乱歩文献データブック』収録の「乱歩文献の定義と類別」に記した。一部を以下に引用する。

 それにしても、世に江戸川乱歩の名が記された文献は数多く存在する。そのなかのどれを乱歩文献としてとりあげるべきか、本書編纂にあたっては、まずそれを定義しておくことが要求された。一般的に考えれば、乱歩という作家がどういう人間であったのか、乱歩作品がどのように読まれてきたのか、このふたつの主題に、われわれが乱歩文献を読むことの意味は集約される。乱歩をめぐる作品論と作家論、さらには乱歩の人となりを伝える随筆の類が、乱歩文献の骨格をなすものであることには間違いがない。したがって、たとえば「かい人21面相」を名乗った犯人による犯罪の報道は、その記事にいくら乱歩の名が見えるからといって、これを乱歩文献と呼ぶことはできないものと判断される。しかし、文献の主は誰でもない、丹念な蒐集癖によって知られる江戸川乱歩なのである。乱歩文献を定義するためには、乱歩自身による乱歩文献の蒐集について、その概要を確認しておくことが必要になるだろう。
 乱歩文献を最初に蒐集し、整理して発表したのは、ほかならぬ江戸川乱歩であった。昭和六年から七年にかけて刊行された平凡社版乱歩全集には、全十三巻のうち一巻から十二巻までの巻末に「批評集」が設けられ、乱歩の選定による乱歩文献が収められている。全集の附録雑誌「探偵趣味」第一号に寄せた「全集の編輯について」で、乱歩が乱歩文献について述べたところを引いてみよう。
 その折々の新聞雑誌に発表された先輩諸氏の批評文は、断片的なものまでも、目につく限り、好評であれ、悪評であれ実に有難く拝読している。それをこの機会に蒐集して、全集の各巻尾に分割掲載させて頂くことにした。評者諸氏に対しては、私の感謝の意を表す為であり、読者諸君に対しては、それらの批評文は拙作読後のある意味の話相手にもなることと思ったからだ。
 「批評集」の収録文献は八十点。「断片的なものまでも、目につく限り」という言明のとおり、本格的な作家論はいうまでもなく、週刊誌に掲載された無署名の小説月評や、乱歩の手蹟を図版で添えた「筆蹟鑑定」、さては文芸誌の合評座談会にわずかに見える言及の抜粋までもが抜かりなく集められ、整然と並べられている。これを要するに、乱歩本人による乱歩文献蒐集の要諦は、可能なかぎりその限定枠を広げてゆくことにあったといえるだろう。

 記載スタイルは、最初に文献タイトル、つづけて執筆者名を記し、無署名の文献でも執筆者が確定できるときには( )で示した。
 文献タイトルは、乱歩を主体的に扱ったものはこの色、そうでないものや無署名の文献はこの色で示した。
 タイトルに添えた〈 〉はコラム、連載などのタイトルを示し、連載回数はアラビア数字で示した。[ ]はその文献を含む複数の文献の総題を示す。ひとつの総題のもとに複数の乱歩文献が収録されている場合は、まず[ ]を項目として立て、そのあと一字下げで当該文献を列記した。
 タイトル横の▲は、無題、または初出タイトルが確認できないため、便宜的につけたタイトルであることを示している。
 文献タイトルの次の行には、掲載紙誌と発行日を示した。発行日が不明の場合は「?日」、記載されていない場合は「──」とした。
 文学通史のように厳密な一貫性をもった書籍や、随所に乱歩への言及が見られる書籍など、書籍タイトルそのものを文献タイトルとして掲げた場合は、タイトルを『 』で括り、発行所を記したうえ、注記に「書籍」と記した。同じく宣伝冊子などは「 」で括り、「パンフレット」などと注記した。
 同一の雑誌、書籍に収められたものは行をあけずに列記し、掲載紙誌などは最初の作品のみに記した。

 以上の基本データのあとに附随データを掲げた。
 附随データに使用した記号は次のとおり。

 には注記を記した。
 は、その文献のなかの当該部分のタイトルを示している。これは乱歩が逝去した昭和40年までの文献にかぎって使用した。これとは別に、書籍タイトルを文献タイトルとして掲げた場合には、乱歩に言及された主要な箇所を▲で示した。→は部、章、節といった階層性を表している。
 はその文献の細目を示し、昭和40年までの文献ではすべて記載したが、座談会の中見出しは割愛した。昭和41年以降はのデータは記載しなかったが、乱歩を主体的に扱った書籍にかぎり、内容を詳細に明示するために使用した場合がある。▲▼を連用した記載は、文献タイトルに掲げた書籍における乱歩への言及がその箇所に尽きていることを示している。
 は、その文献に言及している乱歩の随筆や評論のタイトルを、タイトルのあとの西暦は発表年を示している。「探偵小説四十年」を挙げる場合は「 」で当該の章題まで掲げたが、発表年は記載しなかった。同書に「楽屋噺」などの随筆が引用されている場合、それを重複して掲げることは避けた。これら乱歩の随筆や評論に当該の乱歩文献が引用ないし抜粋されている場合は、に挙げたタイトル末尾に「」を附した。文献の主旨だけを知るには、これらの引用で事足りることも少なくない。「手書き目録」とあるのは乱歩が昭和31年に作成した目録で、なかには乱歩文献を発表順に記載したページも含まれている。この目録に当該文献が記されている場合は、の最初に「手書き目録」と記した。なお、これは刊本『乱歩文献データブック』には盛られていなかったデータである。
 は当該作品の初出以降の収録を示し、発行年を西暦で記した。雑誌名は括弧なしで掲げ、雑誌特集名の《 》、書籍名の『 』の使用は基本データに共通している。収録にあたって改題された場合は、書籍名のあとに「 」でその題を示した。書籍名の前にシリーズ名、編者名があれば当該文献の執筆者の著書ではないことを意味しており、編『 』、とある場合にはそれが当該文献執筆者によって編纂された書籍であること示している。文庫本や新装版、復刻版への移行は「→」で表し、同一の出版社による発行であれば出版社名は省いた。複数の乱歩文献を含む雑誌、書籍が復刻された場合は、最後に一括して■■で示した。

掲載1999年10月21日