明治34 1901 7歳
住居 愛知県名古屋市
学年 名古屋市立白川尋常小学校一年
1月
2月
3月
4月
名古屋市立白川尋常小学校に入学。
5月
6月
6月末 一家は名古屋市南伊勢町二番戸に転居、この家で十二年間を過ごす。父は奥田正香商店の支配人を勤める。
7月
8月
9月
3日 妹・あさ(長女)誕生。
10月
11月
12月
江戸川乱歩
 恋と神様(大正15年12月)

 小学校の一、二年の頃だと思う。いやに淋しい子供で、夕暮の路地などを、滅入るように暗くなって行く、不思議な色の空を眺めながら目に涙を浮かべ、芝居の声色めいて、お伽噺のような、詩のような、わけのわからぬ独りごとをつぶやきつぶやき、歩いていたりした。
 不思議なことに、夜一人で寝ていて、猿股をはかない両腿が、スベスベとすれ合う、あの物懐かしい感じが、この世のはかなさ味気なさを連想させた。
 八歳の私には、腿のすれ合う感じと厭世とは同じ事柄のように思われた。たった一人ぼっちの気持だった。命のはかなさ、死の不思議さなどが、ごく抽象的な色合いで私の頭を支配した。

▼江戸川乱歩推理文庫48『悪人志願』昭和63年、講談社

掲載2000年1月7日 最終更新2003年 10月 3日 (金)