自遊人

平成18・2006年

文士の愛した神田神保町 江戸川乱歩
 “神田の親父”と呼ばれ、町内の発展に尽力していた先代の青木寅吉さんが、昭和6年、神田駅前に創業。今の場所へ移ってきたのは戦時中のことだ。そして戦後、懇意にしていた俳優・佐野周二の義兄にあたる作家・笹本寅を介し、「東京作家クラブ」の面々をはじめとした、さまざまな文人が出入りするようになったという。さらに寅吉氏の提案により、2階の座敷が「東京作家クラブ」の定期親睦会の会場になった。毎月27日に開かれる「廿七日会」には、江戸川乱歩をはじめ、佐野周二、佐藤和夫などが名を連ね、文学談義を交わしていたという。
初出・底本:自遊人 平成18・2006年3月号
掲載:2008/04/07

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