苦楽

大正15・1926年

休載二篇お断り
 一つは怪奇探偵小説『闇に蠢く』
 作者江戸川乱歩先生微恙を得られた為め本号休載の已む無き事情に立到りました。御諒承を乞ふ。
 そのペンネエムのエドガア・アラン・ポオをすら凌ぐ文名を謳はれつつある作者は此の長篇のために真に削肉鏤骨の苦心を経験して居られます。材料調査のために人も通はぬ山奥まで孤身遥々出かけられた事などもある位なのです。
 今月一回だけ、諸君よ、何卒御辛棒下さい。五月号にはきつとヒロインお蝶の消息が、例の如き心憎いまでに滑らかな筆に依つて明らかにされるでせう。
初出・底本:苦楽 大正15・1926年4月号(5巻4号)
掲載:2009/02/23

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