昭和31・1956年


5月

5月1日 火曜日
西大久保のうらので早稲田大学竹の会の会合。乱歩はこの月に入会、初めて出席した。出席者は谷崎精二、井伏鱒二ら二十人あまり。・日本探偵作家クラブ会報109号「消息」

5月17日 木曜日
中野の警察大学校で探偵小説について講演。・日本探偵作家クラブ会報109号「消息」

5月19日 土曜日
午後二時から日比谷日活国際会館で江戸川乱歩賞選考委員会。乱歩は来年は長篇を募集して賞を与えたいと述べ、今年はポケットミステリーの出版に対し早川書房に授章したいと提案。討論の結果、提案どおり決定した。午後四時からジャーナリスト三十人あまりを招待し、乱歩賞の副賞となるホームズ像の披露パーティ。制作者の堀進二から制作過程の説明があり、乱歩も像のモデルなどについて話した。・日本探偵作家クラブ会報109号「江戸川乱歩賞選考委員会、及副賞ホームズ像披露会」

5月26日 土曜日
午後四時半から虎ノ門の晩翠軒で土曜会例会。近代書房の吉川厚治が「火曜ミステリー」、早川書房の田村隆一が「エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン」日本語版について説明し、編集主任になった都筑道夫が挨拶。乱歩はふたつの雑誌の発行に讃辞を述べた。夕食のあと、乱歩ら五人は午後七時からNHK「二十の扉」に出演するため退席。・日本探偵作家クラブ会報109号「五月土曜例会記録」

6月

6月5日 火曜日
NHK第一放送で午前八時四十五分から「推理作家江戸川乱歩訪問」が放送され、放送記者の質問に答えた。・日本探偵作家クラブ会報109号「消息」

6月10日 日曜日
藤沢市の宗賢院で平林初之輔の二十五年忌法要。境内に嗣子安曇によって初之輔の碑が建立された。碑文を書いた青野季吉、山川菊栄らのほか、日本探偵作家クラブから乱歩と永瀬三光が参列した。・日本探偵作家クラブ会報109号「平林初之輔二十五年忌」

6月20日 水曜日
文化放送で午後十一時から「夏の夜ばなし」が放送され、乱歩と荒正人、高木彬光が「探偵小説鼎談」と題して話した。・日本探偵作家クラブ会報109号「消息」

6月23日 土曜日
日本探偵作家クラブの会合。郵送による投票の結果、乱歩、木々高太郎らの新幹事が選出され、木々の会長再任も決まった。・日本探偵作家クラブ会報110号「新幹事初会合」

6月30日 土曜日
午後三時から日比谷日活国際会館で日本探偵作家クラブの新幹事による初会合。出席は乱歩、木々高太郎ら十二人。・日本探偵作家クラブ会報110号「新幹事初会合」
日比谷公園内の松本楼で日本探偵作家クラブの総会と第二回江戸川乱歩賞授賞式、木々高太郎外遊歓送会があわせて催された。・探偵小説四十年(昭和35・1960年)
午後五時から松本楼で日本探偵作家クラブ第百十六回例会。年度総会、江戸川乱歩賞授賞式、木々高太郎渡欧壮行会も兼ねて開かれた。乱歩は木々に祝辞を述べたあと、授賞式で早川書房の早川清社長にホームズ像と副賞を手渡し、第二回乱歩賞の経緯について話した。・日本探偵作家クラブ会報110号「日本探偵作家クラブ五十六年度総会」
□都筑道夫「推理作家の出来るまで」昭和50・1975−昭和63・1988年

Rampo Fragment
名張人外境