2010/1/5 15:59

　阿南市出身の芥川賞候補作家佃實夫（１９２５〜７９年）の業績を振り返る「知の希求者・佃實夫の仕事」展が５日、徳島市内の県立文学書道館で始まった。佃の没後３０年を機に、豊富な資料を通して県人作家の足取りをたどるのが狙い。２月７日まで。

　代表作の「わがモラエス伝」「阿波自由党始末記」の自筆原稿をはじめ日記、手紙、写真など５００点を展示。大半が妻で作家の陽子さん（７９）＝横浜市在住＝が９年前、県に寄贈したもので、初公開の資料が多数ある。

　中には川端康成や井上ひさし、江戸川乱歩、遠藤周作、五木寛之ら人気作家と交わした年賀状も。訪れた人は、佃の交友関係の広さや知的探求心の深さに感心しながら見入っていた。

　会期中は、９日午後１時半から陽子さんの「佃實夫の生きた道」と題する講演のほか、１７日午後１時半から県内の朗読愛好家による朗読会、２４日午後２時から直木賞作家北原亞以子さんの特別講演が開かれる。

【写真説明】佃實夫が著名な作家と交わした年賀状＝県立文学書道館