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2010年2月19日(金)

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2月19日 朝日新聞社
「前線だけが戦争ではない」ベルリン映画祭参加の若松孝二監督 深津純子
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「前線だけが戦争ではない」ベルリン映画祭参加の若松孝二監督

2010年2月19日

ベルリン映画祭に姿を見せた若松孝二監督=深津写す

 開催中の第60回ベルリン映画祭で、コンペティション部門に日本から参加した「キャタピラー」が15日に当地で上映され、若松孝二監督が主演の大西信満とともに会見した。

 学生運動の崩壊の軌跡を鮮烈に描いた前作「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」が一昨年の同映画祭で話題を呼んだ若松監督。前作で描いた活動家たちの親世代の物語が今回の作品だ。「優秀な青年たちがなぜあんな行為をしたのかを知るために、親世代を描く必要がある。本当は二つの時代を1本にしたかった」

 第2次大戦の中国戦線で手足を失った兵士(大西)が故郷の村に送還される。変わり果てた姿に妻(寺島しのぶ)は衝撃を受けるが、周囲は夫を「軍神様」とたたえ、お国のために彼に尽くせと妻に強いる。

 「どこの国でも、戦争で一番の犠牲になるのは女性や子供。前線の撃ち合いや死体の山だけが戦争ではない。一般市民を苦しめるのも戦争だ」と若松監督。映画「ジョニーは戦場へ行った」や江戸川乱歩の「芋虫」に通じる設定で、日常の中の戦争を描いた。

 戦時下の農村の日常には、9歳で終戦を迎えた監督の少年時代の記憶も反映されている。一方、主演の大西は両親も戦後世代。「今回の役は特殊な人間ではなく、当時の典型的な日本人として演じた。知らないからこそ勉強しなくてはと思う」と話した。(ベルリン=深津純子)

 
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