書籍
シャーロック・ホームズに再び愛をこめて ミステリー文学資料館
7月20日初版第一刷 光文社 光文社文庫
A6判 カバー 337ページ 本体619円
編:ミステリー文学資料館
赤馬旅館 探偵ラジオ・ドラマ 小栗虫太郎
台本 p261ー279
放送:昭和13年12月30日夜、JOAK
底本:成層圏魔城 著:小栗虫太郎 刊:桃源社、1971年
解説 新保博久
解説 p321ー337

 

赤馬旅館

小栗虫太郎   

 ギャロップ風の音楽。最後に、それが蹄の音に変る。轍の響き、馬の嘶き、それが、やや低まって解説者の声現わる。
 解説者 一八九九年──、十九世紀が終ろうとする年の、暮の二十九日。イギリス、ノーザムプトン州ロッキンガム村にちかい街道を、一台の馬車が軽やかに走ってゆく。
 ホームズ アンさん、あなたから、ウォトスンに話してやってくれませんか。どうも僕がいうんじゃ、本気にしませんでね。そんな、莫迦気たことがこの世にあるかって、藪医者め、てんで受けつけんのですよ。

 

解説

新保博久   

 その都筑氏はまた、小栗虫太郎(一九〇一ー四六)によるラジオ文士劇「赤馬旅館」(桃源社刊『成層圏魔城』所収、一九七一年)の放送を実際に聴いたことがあるらしい。「これは久生十蘭の演出で、昭和十三年末に放送された。……当時、満九歳だった私には、ホームズ(江戸川乱歩)よりも、悪役の大下宇陀児のほうがうまかった記憶が、おぼろげに残っている」(九九年十一月十四日付毎日新聞)という。

 

光文社:シャーロック・ホームズに再び愛をこめて

 

掲載 2010年7月13日 (火)