目次

古典篇

近現代篇


番犬敬白 1999年10月21日

 「隠」と書いてナバリと読みます。ナバリはまた名墾、那婆理、奈波利とも表記されましたが、和銅6年(713)、畿内七道諸国の郡郷名に二字の「好字」を用いよとの勅命が出され、名張という用字が定着しました。
 ナバリはそもそも「隠れる」意の動詞で、折口信夫先生の『万葉集辞典』には次のように説かれております。

なばる【隠る】ひつこもつて出ない。すつこむ。顔を見せぬ』。ら行四段活用。此語又、本集になまるともある。単に隠れる事でなく、人に見られまいとして内に籠る容子を言ふ語で、偶、伊賀国の名張と同音な処から、巻一「よひに逢ひて朝面なみなばりにかけながき妹がいほりせりけむ(六〇)など言ふ洒落が生れたのである。(以下略)

 さて、ここに「隠文学誌 なばりぶんがくし」と題してお目にかけますのは、名張の地に古来くりひろげられた文学事象の消長転変などではまったくなく、要するに名張が出てくる本をずらりとラインアップした目録です。「隠」の土地たる名張が諸書にどのように顕れてまいったのか、江戸時代までの古典篇と明治以降の近現代篇とに分け、小説随筆はもちろん史書辞典のたぐいまで無節操に蒐集いたしてはおりますが、着手したばかりで眼の届かぬところもいたって多く、お読みの本に「名張」を発見されました方、お手数ながら主人宛メールでお知らせいただければ幸甚に存じます。

凡例

 項目として、古典篇は書名を、近現代篇は執筆者名を掲げ、それぞれ五十音順に排列した。古典篇の書名には( )で成立年代を、近現代篇の執筆者名には( )で生没年月日を添えた。古典篇では、書名の次行に巻数、章題などがあれぱ記載し、階層性がある場合は改行してそれを列記した。近現代篇では、執筆者名の次に作品名を記し、章題などがあれば古典篇に準じた。

 引用テキストは底本どおりとし、歴史的かなづかいのものはそれを踏襲したが、漢字は新字とした。JIS漢字にない場合は■で代用し、〔さんずい偏+存〕といった要領でその字の概略を示した。まことに見苦しい限りである。ルビは、古典篇は割愛し、近現代篇は底本どおりとして〔  〕で示したが、総ルビを踏襲することはしなかった。傍点、くりかえし記号の一部など、ブラウザで再現しがたいものは割愛した。

 引用テキストのあと、古典篇には「略解」「底本」「採録」を示した。「採録」はこのページに掲載した年月日を示している。関連する項目があれば「参照」を掲げた。近現代篇では「略解」を省き、「初出」「底本」「採録」と、必要に応じて「参照」を掲げた。

 採録対象は「名張」のみにとどまらず、名張市域内の地名、あるいは「伊賀」も必要に応じて拾っている。


掲載1999年10月21日 最終更新2003年 9月 13日 (土)