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丹羽一彌

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 三重県のことば
  1 総論
   県民の方言意識

 伊賀地方は盆地である。同じ三重県でありながら、山を一つ越えた伊勢との日常の接触は昔から少なかった。ことばも「伊賀弁」は伊勢のことばと異なると意識されている。事実、前に見たようなことばの境界線もある。伊賀は、大阪広域圏に属し、経済的にも文化的にも西を向いている。歴史的に見ても、伊賀地方には近畿中央部から新しい文物や語形が次々と伝播してきた。ことばや意識は伊勢よりさらに大阪や京都に近い。
 近年、名張市などは大阪のベッドタウンとして急激な大阪化が起こり、ことばも変わってきている。伊賀と大阪は似たことばであり、北伊勢と名古屋のように大きく異なるわけではない。それに伊賀の人々が大阪化を拒否していないようであるから、ことばも意識も今後ますます大阪方面に近くなってゆくかもしれない。


掲載 2001年1月25日  最終更新 2002年 9月 20日 (金)