【し】
大正6年3月26日−昭和53年6月30日(1917−1978)
眠狂四郎無情控 忍者の里 「ほう! この眺めは、同じ伊賀でも、上野より、こちらの方が、忍者の里らしいの」 |
- 初出 「週刊新潮」昭和46年(1971)1月2日号−12月25日号
- 底本 『眠狂四郎無情控』新潮文庫、昭和56年(1981)2月、新潮社/p.559−560
- 採録 1999年10月21日
明治43年1月7日−平成10年12月26日(1910−1998)
両性具有の美 鬼夜叉という名前 伊賀というところは四方を山でかこまれた籠国こもりくで、隣国の近江、大和、伊勢などとはまるで感じが違う。観阿弥がはじめて座を建てたという小波多(現在は小波田)にしても、伊賀上野から名張へ向う途中の少し開けた山中の盆地で、昔私が訪れた頃は、たしか「御能本おのもと」とか「田楽でんがく田」と称する田圃と、忍者屋敷が残っている程度の寒村であった。現在は「観世発祥の地」とかで観光に力を入れているらしいが、はたしてどれ程開発されているかどうか。せいぜい大阪へのベッドタウンとして細々と生命を保っているのではあるまいか。 |
- 初出 「新潮」平成8年(1996)4月号
- 底本 『両性具有の美』平成9年(1997)3月、新潮社/p.161
- 採録 2001年1月5日