釜谷再訪
なつかしき人との再会 02.10.13
鬼場倉出合  片貝川の南又の林道が伸びて、鬼場倉の出合まで苦労なく行けることを知った。
 前回の釜谷行から30年あまりの年月を経て、自分の変化を確かめたいという気持ちがどこかにあった。日帰りが課題だったが、朝、下から車が登ってきた。その人を見て驚いた。地元U会のS先生ではないか。あまりの偶然に言葉を失う。「途中までいっしょに行きましょう」と声かけていただいたことが嬉しかった。心があたたまる。結果的には、U会隊は一泊予定で、滝場が始まるところからは先行させてもらった。1泊の用意をしていなかったことが悔やまれた。頂上手前でややルート取りを誤り、ものすごいブッシュの海に埋没してしまった。ガスも出てやや焦る。
釜谷f1-1  登り着いた頂上はすっかりガスで被われ、剱が顔をだすのを辛抱強く待った。ようやく剱が見えた時は、思わず手をあわせて拝んだ。感謝の言葉が口をつく。
 おかげで、南又の下降中に日がくれて不安な下降となったが、夏と異なり水量が少ないのが幸いだった。暗闇の中で何回か薮道に迷いながらも、無事車にたどりつけた。

 昔の記憶と今回の山行の印象とを比較すると、
・林道終点の砂防堰堤から先は昔と何ら変わらない
 これがなによりの、毛勝から私への大切な贈り物だった。泣きたいほどありがたかった。
写真は釜谷F1(つぎの写真も同じ)

釜谷f1-2 ・南又取り入れ小屋があとかたもなかった
 30余年前もすでに管理されていなかったが、訪問雑記帳が残されていて、毛勝登山史を見るような気持ちになったものだ。小屋の前の遊水池には冷たい水が流れていて、汗をふくと不思議に元気が出た。
・取入小屋からの沢沿いの薮道を歩かなくてもよい
 昔の南又の道は、背丈を越えるイタドリ林が印象的だった。イタドリを押し退けて歩くと、心楽しくも感じたが、現在地の確認ができず、不安でもあった。現在ではすぐに釜谷の出合へ行けるので、あっけなく感じた。ただ一歩沢沿いの道に入ると、やはりイタドリ林があったので、ああこの感じだったなと、懐かしく思い出す。
釜谷大滝 ・南又本流は夏と秋では水量がかなり違う
 前回は雪の残る夏だったので水量が多かったが、今回伏流している部分があるのには、正直言って驚いた。
・滝場がけっこう難しいと感じた
 自分では、昔は滝を意識せず登ったように記憶していた。これは上部のズタズタの雪渓の記憶にマスクされていたものだ。昔のパートナーは、「あの大滝はものすごい高捲きさせられたではないか。何を寝言を言っているのか!」と教育的指導をくれた。途中に残されていたテープシュリンゲ一本がなければ、すごすご追い返されたろう。まだまだ修行が足らない。

釜谷核心部の大滝。右手のルンゼを巻く。シュリンゲが残されている。

釜谷中間部 中流部。広々見渡せるが、なかなかたどり着けない。夏なら雪が詰まっていることがおおい
大明神方面の眺め 詰め 左:大明神方面の眺望。

右:詰めは傾斜が増すが、あくまで谷は明るく乾いている。秋は雪渓がないので、技術的な問題はあまり感じない

小黒部俯瞰  釜谷山頂上付近から小黒部谷を見下ろす。ガスにまかれていたが、思いがけなく明るい秋がのぞく。すこし嬉しい気分。
剱遠望  釜谷頂上でガスの晴れるのを待つこと、1時間半、ようやく顔をみせてくれた。ありがたや。思わず手をあわせる。
小黒部俯瞰  猫又谷東又を下る。ずいぶん降りてきたように思うが、まだまだ先は長い。西又の出合いに着いた頃は、ヘッドランプが必要になった。出発点へたどりつくまでに、予想通りイタドリ林の中で、迷ってしまった。これも南又の名物みたいなものだ。なければないで、もの足らないことだろう。まあ、無事で何より。

出発 6:45--釜谷P13:30--猫又col(下降点)15:40--帰着17:50