魚津岳友会の報告にいたく感動し、北方稜線スキー行を試みた。が、雨に祟られっぱなしの、情けない結果となった。
八ッ峰登攀ができなかったことは、悔しく思った。しかし、行って良かったと思った。
剱北方稜線 '82.5
毛勝山〜剣岳北方稜線〜小窓雪渓、立山川スキー滑降(単独
行程概念図 1982年5月1日〜4日
 本山行は、当初アプローチとして剣北方稜線をとり、真砂で定着隊と合流。八つ峰登攀後、立山川を下る予定で入山。4月30日夕、片貝山荘入り。
5月1日(雨)
 山荘発7時5分。阿武木谷から毛勝谷を登る。上へ行くほど雪がぬかる。毛勝北峰着13時49分。ガスで視界なし。南峰は中ノ谷側を巻いて、釜谷山着14時44分。(先行する)瀬木氏のトレールのおかげで歩きやすい。猫又山通過15時30分。ブナグラ乗越への下りは、幸い雨とガスが切れてルートがよく見えた。最低コル手前の古い雪洞を広げて泊まる、16時30分。
5月2日(雨)
 ヌレネズミで出発、6時。ズボズボ雪にもがきながら赤谷山着9時50分。赤ハゲ付近でいったん雨があがり、富山平野が異様に美しい。しかし、白ハゲの下りで再び風雨強くなる。大窓14時半。ハイマツの枝に注水されながら大窓の頭へ急登。池ノ平山16時半着。小窓尾根ドーム付近から大雪崩発生。小窓への最後の下りは小窓雪渓側へ巻き、コル下100m地点へ立つ、18時。雨あがる。傾斜の緩い小窓雪渓をスキー滑降。池ノ平への分岐からはデブリ帯で滑らず。二股着18時50分。真砂下の台地20時。仲間のテントが見当たらず、一人ツェルトにもぐり込む。夜、再び雨。 5月3日(晴のち雨)
 午前中晴れたが、動く気にならず干し物をする。12時半発。雨の剣沢を仲間のテントを求めて登る。武蔵谷出合あたりから風も激しくなり、ツェルト泊をあきらめ、15時40分剣沢小屋へ逃げ込む。
ブナグラ乗越 5月4日(風雨後曇り)
 剣沢小屋発、7時30分。別山乗越へ出ると、雷鳥沢から強烈な風が吹く。仲間とは結局会えなかったが、この様子ではどちらにしても登攀は無理だったろう。乗越で風の様子を見、8時50分発。9時、少し下ってスキーをつける。室堂乗越の一つ手前のコルから立山川へ滑り込む、9時20分。檜谷との出合までの、高差500mがこの谷のすばらしい部分。痛めつけられた今回、はじめて「来てよかった」と思う。毛勝谷出合付近まで滑るとガスも切れたが、すぐに雪渓も切れ終了。10時35分、スキーをはずす。馬場島着、11時22分。

ブナグラ乗越を見下ろす

雨に煙る池の平山 立山川 :赤谷山付近から雨の大窓、 池の平山
:立山川