第8回 2001.08.30(Thu)(△) ●所感 Vサイン(と煙草)の危険性について 1.はじめに 子供にカメラを向けると,猫も杓子もVサインをする. これはおそらく,日本特有の使われ方をしていると考えられる. アメリカならば親指を立てたりするが,間違っても中指を立ててはいけない. そもそも,海外であそこまで露骨にVサインをしているのを見たことがない. では,日本でVサインが普及したのはいつ頃か?ということで, 今回いろいろ調べてみた. 2.文献による予備調査 歴史の本を紐解くと,少なくとも,坂本竜馬の頃には普及していなかったようである. (写真を見る限りでは) やってたら,先見の銘があって格好いいのだけど. 漫画などを見ると,1960年代の初頭にはVサインを多用する作品が多い. スポ根と呼ばれる作品が世に蔓延していた頃である. 梶原一騎氏の諸作品の中でもVサインがよく出てきた. 「巨人の星」の星飛雄馬(何故か第二間接で曲げている) 「あしたのジョー」の矢吹丈 大抵の場合,”勝利のVサイン”という意味で使っているのが特徴である. 結局のところ,ピース(平和)の意味で用いるのではなく, 自分を誇示するために用いる傾向が強いように感じられる. 3.歴史的な背景 非常に気になって,夜も寝られなくなったので, Googleで”Vサイン 起源”として検索して調べてみた. この結果,以下のような事実が判明した. Vサインの起源は,16世紀の英仏戦争時代まで溯ることが分かった. 仏軍は英国軍の捕虜に対し,二度と弓矢をはなてないよう, 人差指と中指を切断していたそうである. そのため,英国軍の兵士は,切れるもんなら切ってみろという意味で Vサインを用いていた. このような経緯から,イギリスで手の甲を相手に向けてVサインをすると, 侮辱的かつ挑発的な意味に受け取られる. また,暗に猥褻的な意味としても用いることがあるらしいので, やらない方が身のためである. また,ギリシャでは,Vサインそのものが侮辱的意味を持つので, 絶対にしないのが身のためである. 調べていくうちに,以下のような逸話があることも分かった. 第二次大戦末期に,チャーチル(英)が記者団に向けてVサインをした. 「勝利のVですか?」という質問に対し, 「いえ,平和を意味しています.」と答えたそうである. これは,広島と長崎に(2個)原爆が投下されたからだとか. 眉唾な話ではある. 平和の意味(ピースサイン)として使ったのは, 実はこれが最初なのかもしれない. これと関連して, 煙草の「ラッキーストライク」は原爆投下記念に米国で作られたものであることは, 意外と知られていない. そもそも日本においては,Vサインやラッキーストライクというのは, 本来,タブー視されてしかるべき代物であるが, 戦後のどさくさで,本来の意味はぼやけたまま普及してしまい, 今日に至ってしまったのが実状だと考えられる. 以上のことから, タブーとなる地域において,知らず知らずのうちに,とんでもない危険なことを してしまう可能性があるので,常日頃から情報収集を心掛けることと,状況判断力を 身に付ける必要がある. 4.まとめ Vサイン(と煙草)は,身の危険に晒される可能性があるので, 使用する際は,場所と状況を考えて,十分な配慮が必要である. 海外,特にギリシャへ出張する際には,気をつけましょう.