2001年の獅子座流星群はコマンドバッグ付きのCANON−T70を使い、コマンドバッグのインターバル長時間露出機能を使って自動撮影しました。自動的に設定時間の露光を繰り返す機能はとても重宝なのですが、現在はコマンドバッグ付きのT70はほとんど入手不可能です。そこで、インターバル長時間露出を自動制御するタイマーを作成しました。
流星撮影を主な目的としたため、カメラ4台を同時に露出開始、終了できること、数分から数10分の露出と数秒のインターバルを自由に設定できること、カメラはさまざまなメーカーのものに対応できること、暗闇での操作性等を考え写真のようなものとなりました。
ミニジャックでカメラのレリーズ接点とつなぎます。カメラは電磁レリーズの物又はモータードライブで電磁レリーズできる物が必要ですが、最近の1眼レフカメラはほとんどが電磁レリーズ式なので問題なく使えそうです。
ボタン2個で露出時間、インターバル時間、撮影枚数をセットし、液晶表示の右下にYが出たところで真ん中のボタンを押して露出開始。途中で中止するときは右ボタンを2秒ほど押すと中止します。再開するには左ボタンを押して撮影枚数をセットしてから開始します。露出時間およびインターバル時間は1秒から99分99秒まで、撮影回数は99回まで設定可能です。
基板上の部品数は写真中央のマイクロコントローラー
PIC16F84を使っているためわずかです。写真下に並んでいる4つのICは、フォトMOSスイッチ
AQV252です。4台のカメラをレリーズするためにフォトMOSスイッチを使ったのは、タイマーの回路とカメラのレリーズ回路を電気的に絶縁するためと、20mAまでしかとれないPIC16F84の出力に直接接続するためです。 カメラのレリーズの際にかかる電圧・電流は小さいので、フォトMOSスイッチはAQV214など案外なんでも使えそうです。
左右の半固定抵抗は液晶表示のコントラストと照明調節用です。
* PIC16F84について
ワンチップマイコンでCPU,メモリ,入力/出力が一つのチップにおさめられています。5Vで動作させたときの消費電力は数mAと非常に小さく、入出力ピンは20mAまで流すことができるのでLEDや小電力リレーを直接駆動できます。この回路では出力ピン1つにフォトMOSスイッチを2個つないでいます。
PIC16F84を使うためにはマシン語でプログラムを書き込む必要があります。マシン語のプログラムはPCのエディタとアセンブラを使って作ります。今回は秋月電気通商のAKI−PICプログラマーキットを使って作成しました。このキットにはROMライタが入っているので、このライタをPCとRS232Cを通して接続し、プログラムを書き込みました。PIC16F84はプログラムの書き込み消去が何度もできるEEPROMタイプなので、不具合の手直しができて都合が良く、プログラム次第で動作を変えることができます。