伊勢志摩地域NPOネットワーク

伊勢・鳥羽・志摩地域を NPOのいきづく地域にするために

伊勢・鳥羽・志摩地域をNPOのいきづく地域にするための報告

伊勢志摩地域市民活動活性化協議会」(以下本協議会)は、三重県南勢志摩県民局より依頼を受けて、NPO意識調査およびNPO 支援検討に関しての事業を行ったので、その成果を報告するとともに、今後の展開について提言をする。
伊勢志摩地域市民活動活性化協議会 会長 中村 元


平成11年3月10日


作成

伊勢志摩地域市民活動活性化協議会

伊勢志摩地域市民活動支援検討委員会


協力

鳥羽まちづくり塾『でもくらしちずん』



はじめに

 本協議会は、NPOの「自らが主体者となって社会を創りあげる」という理念にのっとり、市民活動推進者が主体となって構成された協議会であり、行政主導型ではなく、住民主導により近い形で委員会を開催することによって、市民活動推進者が本当に望むNPO支援システムを提言するとともに、参加者が責任をもって支援システム構築に参加できる基礎づくりを目指した。



 本年度の事業の概要は、次の三つの事業によって進めた。

(1)検討委員会によるワークショップ
伊勢・鳥羽・志摩地域で、すでに活動を行っている市民団体の代表による検討委員会「伊勢志摩地域市民活動支援検討委員会」(以下:検討委員会)を設け、今後の市民活動支援の考え方やNPO活性化のために構築すべきシステムについて検討した。

(2)市民団体へのアンケート調査
市民団体へのアンケートにより、広くNPOに関する基礎調査および意識調査を行った。

(3)公開フォーラム
市民活動参加者のための公開フォーラムを開催し、地域社会と市民活動の関わり合いや、今後の社会のあり方など、市民主導型社会の到来について学習すると共に、参加者の意識発意の場とした。

 特に、今回の提言に関しては、@の検討委員会における、まちづくりワークショップによって重ねられた議論が骨子を成している。委員として就任いただいたのは、実際に市民活動を行われている様々な分野の団体の代表者の皆さんであり、検討された内容は、住民の自助努力の精神に溢れた内容になっているものと自負するところである。
 また、「伊勢志摩市民活動バレンタインフォーラム」は、参加者の旗揚げアンケートなどを取り入れた参加型のフォーラムであり、すでに市民参加型のまちづくりを行っておられる佐賀県鹿島市の桑原市長の「プロ市民のすすめ」や、(財)まちづくり市民財団の村岡理事長の「行政・企業・市民のセクターバランス」の話しに、会場を埋めた120名の参加者は、市民主導の地域づくりの可能性に期待をもってくれ、その評価もたいへん高いものであったと感じている。
 忙しい中、検討委員会に何度も運んでいただいた委員の皆さん、アンケート集計を素早く丁寧にまとめていただいた「こども劇場」の皆さん、そして委員会のワークショップおよびバレンタインフォーラムの運営を行ってくれた『でもくらしちずん』のスタッフには、この場を借りて深くお礼を申し上げたい。



事業全体の考察


○NPOの概念

 本協議会では、NPOを「二人以上で組織され社会活動を行っている、あらゆる市民活動団体(グループ)」と、比較的おおまかに位置づけている。それは、多様性こそが全体としてのNPOの力であり、条件や規制を必要最低限に押さえることにより、住民主体で物事を構築するにあたって有利性を持つことができるからである。
 実は、このことは地域でNPOを推進するのにあたって大きな意味を持つ。一つは、今までボランティア団体という言葉で表されていた組織や、ボランティア活動を行ってきた人たちが、NPOという言葉に対して、新しいセクターであるような疎外感を持っていることが少なくないこと。
 もう一つには、既成概念の中にいるボランティア活動者を、NPOという新しい概念に入れることによって、活動の分野や人数の多少に関わらず、市民活動の全てが非営利組織として行政や経済社会と密接に絡み合っているものである、ということを実感してもらうことができるからである。
 そういった前提の下でみれば、この地域にはNPOの範疇に納まる市民活動団体は思ったより多く育っていることがわかる。特に伊勢市周辺には様々な分野の団体が多く存在する。ただ、その多くがやはりNPOという概念を把握できずに、自分とは関係のないことだと考えているのである。
 つまり、既存の市民活動団体に、現在の活動そのものがNPOであることや、NPOと地方分権の関係を意識してもらうことによって、この地域のNPO推進のかなりの部分が進むであろうと考えられる。



○NPOと行政

 今後NPOを推進するにあたって、大きなハードルとなるであろうと感じたのは、NPOと行政の関係である。一つには、三重県がNPO推進室を設置し、県民局にもその部門があるにも関わらず、市町村には決められた窓口がないことである。多くのボランティア代表者から、窓口がわからないという声が上がっているのがそれを明確に表している。地域に密着して活動を行うNPOの多くは、市町村行政との関わりを、自由な立場で持つべきであるが、行政の既存の分野分けの下で窮屈な運営を行っているのは、市民活動推進法が規制のための法案であると批判された以上に、市民活動の自由を奪っていると思われた。
 今一つの、NPO−行政間の問題は、活動者たちが行政にあまりにも期待をしすぎているきらいがあるということである。もっともその期待は、今までの幾たびにもよる行政との軋轢により、「行政に期待しても無駄」という信念に変わってきているのも事実である。現に検討委員会の中では、支援システムは自分たちがネットワークを組んでやれるのではないかという意見が大勢を占めていたのは興味深い。
 これらのことは、NPOに対する行政の役割をはっきりさせることによって、おおよその結論が出るということを暗示していると感じた。



○NPOと企業

 さらに現存の市民活動団体は、行政に対して以上に企業に対しての期待を持っているようである。それにはいくつもの意味が含まれている。
 一つには、やはり資金の問題である。活動費を企業に求める団体は少なくないく、すでに力のある団体は協賛金や広告費などの形で資金を得ている。しかしながら、現時点でそれを可能にするのは、有力な企業に個人的につてを持っているか、あるいは企業の利益も考えたひも付き事業ができるかどうかであろう。それでも、近年の経済状態では、おいそれと資金を出すような企業があることを期待するのがおかしくもある。これに関して言えば、企業の意識改革も必要だが、それ以前に税制優遇などの法の整備が待たれる所である。
 二つめには、社員のボランティア活動に対する企業の理解度を向上させることが望まれている。よく言われていたボランティア休暇であるとか、社員の積極的な社会活動参加による企業イメージのアップなどは、現在の経済状況の中で二の次にされるのが当たり前という風潮になっているが、市民活動者の間では、この行き詰まった世の中であるからこそ推進すべきであるとの意見が強い。
 三つめには、企業自身の市民活動への参画が望まれている。特に専門知識のある企業やその社員の社会活動への参画や、企業としての組織だった活動が、NPO社会において大きな力となると考えられている。この考え方は、会社社会という特殊な社会を持つ日本においては、ある意味で将来性のある考え方かもしれない。ただ、営利を追求するのが企業の目的であることを考えると、最終的にはどんな形でも企業利益の見込まれるシステムを構築できなくては、現実性のあるものではないだろう。



○NPO活動のネットワーク

 多様性のあるNPOであるから、それぞれの問題点はやはり多岐に渡るのが当然なのではあるが、今回ワークショップという形で、他分野に渡る市民活動団体の代表者同士が意見を交換したことによって、それぞれの目的は最終的には同じであることや、それぞれの持つ悩みや問題点が、どこかで強く繋がっていることを、互いに発見できたことは大きい成果であると感じる。
 特に、情報の交流や発信など、あるいはスキルアップのための勉強会などの、個々で行うより集合して行う方がより効率的で効果のあることなどは、市民活動団体が手を組んでやるほうがよいという合意に達した。
 結果、公開の市民活動フォーラム(バレンタインフォーラム)でも、当日様々な市民活動の事業が重なっていたにも関わらず、多くの参加者を得ることができたのであろう。
 ワークショップを通じて最も話題に上がった「共同の活動拠点づくり」も、最終的には建物ではなく、NPO活動のネットワークの構築が重要なことであり、拠点となる場所づくりは、その手段であるということも明確になった。逆に言えば、拠点を持つには、その拠点でなにを行うかが先にあるべきということでもあろう。



市民活動支援検討委員会におけるワークショップの流れ。

 本協議会の事業の中核を成す検討委員会では、計5回、「市民活動がいきづく伊勢志摩地域を創るには?」という命題で、主として4段階のワークショップを中心に、議論を行ってきた。
その経緯は以下の通りである。


○運営方法

 本協議会では、NPOを真に活性化させる政策を策定するには、NPOの性格上、行政主導ではなくNPO自身の考えによる支援システムが必要と考えた。また、NPOが自ら考えることによって、それぞれの活動の直接的な意義にとどまらず、NPO全体が社会の中で確固とした地盤を築くことができるであろうと期待をかけた。
 そこで、当該地域ですでに活動を行っている市民団体の代表者に集まっていただき、若干名の行政担当者も含めたメンバーで議論を行うべく、「伊勢志摩地域市民活動支援検討委員会」を設置したのである。
 議論を短時間でできうる限り深い議論をするために、委員のメンバー数は、二十数名という最小限の人数に絞り、まちづくりワークショップの方法で委員会を運営することにした。ワークショップのファシリテーターおよび資料づくりととりまとめは、本地域内で実績のある鳥羽まちづくり塾『でもくらしちずん』が行い、本協議会会長が全体のコーディネートを行った。



○ワークショップの過程

1)キックオフセミナー(98/10/1)
 本協議会と検討委員会の位置づけ、本協議会が考えるNPOの定義、地方分権とNPOの関係、三重県の目指す住民主導型地域づくりの考え方などを、会長よりプレゼンテーション。
 その後、まちづくりワークショップについて『でもくらしちずん』より説明。

2)第1回ワークショップ(98/10/1)
・テーマ:NPOがいきづく地域めざすためには?
・手 法:KJ法によるグループディスカッション
・内 容:上記テーマに沿って、KJ法による課題抽出を行った。

*第1回委員会に関するFAX通信を発行

3)第2回ワークショップ・前半 (98/11/5)
・テーマ:「NPO支援システムをつくるために必要なこと」
・手 法:ノミナルグループプロセスによるグループディスカッション
・内 容:NPO支援システムという具体的な目標を掲げて、第1回で出された様々な意見をもとに、運営側で15通りの意見にまとめ、その中で最も大切な3つをノミナルプロセスの手法でグループ単位で合意形成をして選んだ。

4)第2回ワークショップ・後半 (98/11/5)
・テーマ:「NPO支援システムをつくるために必要なこと」
・手 法:ファシリテーショングラフィックによる全体討論
・内 容:上記グループディスカッションで各グループから抽出された、最も大切なこと3項目を、さらに全体ディスカッションによって、委員会全員の合意形成を得た3項目に絞った。
抽出された3項目:「活動拠点の設置」「資金調達のしくみづくり」「住民の意識改革」
 
*第2回委員会に関するFAX通信を発行
  
5)第3回ワークショップ (98/12/18)
・テーマ:「具体的なアイデア募集」
・手 法:KJ法によるグループディスカッション
・内 容:それまでのワークショップで得た、条件を下に、最も大切な3項目を実現するアイデアをKJ法によるポスターづくりで抽出した。

6)第4回ワークショップ (99/1/13)
・テーマ:NPOネットワークを仮想した場合に求められる機能と運営
・手 法:ファシリテーショングラフィックによる全体ディスカッション
・内 容:伊勢・鳥羽・志摩の地域内で、広域的なNPOネットワークを構築することを前提として、どのような機能が求められ、またどのように運営をしていけばよいのかを、討論した。実質的に、それまでのワークショップをふまえた上での、NPOネットワーク構想の議論となった。

●ワークショップによるディスカッションの内容は、添付資料を参照のこと。



活動拠点(伊勢・鳥羽・志摩NPOのネットワーク)の姿

 検討委員会における4回のワークショップを終えて、この地域においてNPO活動をさらに活性化し、その支援を行うためには、市民活動団体のネットワークによる相互支援システムが必要であるとのおおよその合意を得た。
 特に第4回ワークショップの結果は、すべてを行政におぶさるのではなく、自分たちでできることは自分たちで市民活動団体主体で行い、どうしても足らない部分について、行政からの援助を仰ぐという意識の下に、議論がなされたことがよくわかるものであると思う。
 また、「活動拠点」を想定しながら始まった議論ではあったが、「拠点」とは、場所としてのセンターも意味するが、それ以上にネットワークの意識そのものと、そのネットワークがそれぞれのNPOに提供できる機能が最も大切であることが確認された。


【NPOのネットワークに求められる機能】

求められる機能としてあげられたのは、以下の通りである。

  (1)対外的情報センターとしての機能
   ・各種団体の活動を知らせる「共通の広報誌」の発刊
   ・行政の関係機関の助成金などが分かる「情報の公開」機能

  (2)交流センターとしての機能
   ・フォーラムなどの共同開催を行う「啓発事業開催機能」
   ・ボランティアやリーダーを育てる「会員研修機能」
   ・各種団体の活動状況が分かる「掲示板的役割」

  (3)事務局機能
   ・電話連絡網などの「事務局員の共有」
   ・パソコン、印刷機、会議室など、「事務用品の共有」

  (4)行政との窓口機能
   ・行政に対する信用ある「交渉主体」
   ・行政との交渉や助成金を得るための「交渉窓口」あるいは「アドバイザー」機能。

  (5)活動財源調達および配分機能
   ・信用ある組織として寄付金などの「活動財源調達機能」
   ・公平な「財源の配分機能」 

「共通の広報誌」について
 多分野の市民活動団体による今回のワークショップによって、他団体の情報が今までほとんどなかったことに気づいた。それは、ボランティア活動を行っていない市民にとっては、それ以上に情報がないということをも指す。また対外的な広報活動はほとんどの団体が手薄であり、対外的な広報を行っている団体からも今以上の広報が必要との意見が出された。NPOを活性化するには、その広報活動を一丸となってする必要があるという多くの意見を経て、「共通の広報誌」という考え方になったものである。

「情報の公開」および「行政との窓口機能」について
 NPOと行政とのコラボレーションの基礎となる問題であると思う。NPOと行政のギャップを埋めるべく情報交流を行うシステムが求められているといえよう。

「啓発事業開催機能」「会員研修機能」
 それぞれの市民活動団体は、自らの事業に手一杯で、対外的に啓発事業を行ったり、参加している会員自身の研修などに、時間や資金を割くことができない。それをネットワークを組むことによって、さまざまな啓発や研修の事業が行えればよいとの考え方である。本年度行ったNPOバレンタインフォーラムに、多くの参加者を得ることができたのは、そのいい例で、多数の市民活動団体が主導で開催したからであると考えられる。

「事務局の共有化」
 事務局員の共有、事務用品や会議室の共有、あるいは掲示板としての事務局の必要性などがその理由である。
 アンケート結果によれば、事務局が個人宅である団体が約半数、さらに約8割の団体が専従スタッフを置いていない。さらに有償スタッフを有している団体はわずかに2団体であった。つまり、本来の活動以外の事務において、代表者などの個人に負担が発生しているということである。
 共有できる事務局と専従者としての有償スタッフ(つまり事務局としての拠点)があれば、それぞれの活動はさらに活発化することは間違いがない。
 ただし、共有事務局は、それぞれの団体の活動範囲である狭い地域に所在することが必要である。30代以上の会員が95%を占めている現状では、離れた場所(例えば隣の市)にある事務局やセンターなどは利用不可能である。この件については、後ほど述べる。

「行政との窓口機能」
 行政から提示されている助成金などがよく見えない。またあることが分かっていても小さな団体ではそれを受けることができない。あるいは、行政とのコラボレーションが必要であるのだが、行政側の窓口がはっきりとしていなかったり、排他的であるという意見がワークショップ途中に多く出た。
 特に市町村行政の窓口が、県以上に敷居が高く、市民活動に対しての意識が低いという不満を持っている団体が多い。
 これは市民団体が特別行政に頼っているという意味ではない。NPO法に税制優遇が盛り込まれるまでは、企業からの財源を当てにはできず、それでもNPOを推進しようというのであれば、税制の変更が行われるまでは、税金として集められた行政の金を当てにする団体があるのは当然の結果であろうと思われるのである。
 NPOの多様性を認め、その現状に対応するには、行政とのさまざまな窓口を手助けする機能を設けることは、理にかなっているとも言える。

「活動財源の調達・配分機能」
 奇しくも、米国の「対NPOのNPO」的な発想と同じである。今後そのような機能を持った公にも認められたNPOもしくは機関が必要となると思われるが、当初はNPOのネットワークで築いていくという方法になるかもしれない。
 愛媛県新居浜市では、GoodWillという市民団体が、実際にその活動を始めているが、調達の方は企業の多く加わった組織で、配分の方はNPO諸団体が認める評議員で構成された組織でという二重構造にして、その公平性とひも付きでない資金調達の方法を確立しようと考えられている。


【NPOネットワークを可能にする運営方法】

NPOネットワークを機能させるために望まれる運営方法は次の通りである。

  (1)自立したネットワーク
   ・行政に事務局を置き、最初は行政の担当者の力を借りて運営する
   ・自ら立ち上げて、行政からの助成金をもらう
   ・ただし、あくまでも、将来的には行政から自立した形が必要

  (2)ブランチ方式による、地域センターの拡散
   ・広域的なセンターと地域におけるセンターの両方が必要
   ・機能に応じた拠点をいくつかつくって連動させることも可能

(3)ネットワークの法人化
   ・信用、信頼のある器であるべき
   ・NPOでなくても、そのネットワークに人やモノが集まるものが必要

 運営方法については、現状の環境が厳しすぎる(財源無し、余力なし、)こともあり、具体的な内容についての意見が乏しいのは致し方ないところである。
 今現在、これを運営しようと思うと、事務局を県民局に置き、事務局担当者も行政スタッフに頼るしかない。
 さらに資金もないので、基本的な資金の調達も行政からの助成を仰ぐしかなく、その上でできることは限られていて、例えば広報の機能であるとか、教養事務局の機能であるといったこと、また、フォーラムや研修会を行うなどである。

 しかし、それらのことを、行政に提供せよという見解ではないことに注目をしたい。本来、NPOネットワークは行政から自立しているべきであり、その力を持つに至るまでの過程として、行政の力を借りた運営をせざる得ないというのが、検討委員会での考え方なのである。

 さらに、ブランチ方式という形には大きな意味があると考える。例えば現時点では、県のNPO支援センターは津市にあり、伊勢・鳥羽・志摩の地域の市民団体には、会議室を使うことも、セミナーなどに参加することも不可能であるが、同じことが地域が狭くなっても起こるのは明白である。
 例えば県民局内などに、センターが作られても、伊勢市の一部の団体にしか利用はされないであろう。NPOネットワークの事業機能やセンター機能が県民局など一つの場所にあることは必要だが、実際に共用の事務局としてして使うには、各地の中心地にブランチとして必要であると思われる。
 もちろん、それを作る主体者となるものこそが、それぞれの地域のNPOと、市町村行政であるべきなのだ。
そして、逆に言えば、県民局単位でのNPOネットワークのセンターが機能し始めないことには、地方で必要とされるブランチセンターは生まれることがないと感じるのである。



伊勢・鳥羽・志摩NPOネットワーク協議会構想

 本年度の事業の遂行のために、せっかく、参集してワークショップによって合意形成をおこなってきた検討委員会のネットワークがあり、またアンケートでは実に6割が、ネットワークに参加したいとの意思表明を行っている。
 ワークショップの最終段階で検討した、仮称・伊勢・鳥羽・志摩NPOネットワーク協議会(以下:ネットワーク協議会)を、次年度からNPO主導で立ち上げてみようという機運が高まっている。 その構想について、報告をする。


○伊勢・鳥羽・志摩NPOネットワーク協議会の概要

 ネットワーク協議会は、伊勢・鳥羽・志摩地域の市民活動を支援し、同地域における市民意識をNPO社会の到来に対応すべく意識改革するために、多分野のNPOが手を結び、行政との協力関係の下に組織する協議会である。
 主体となるべきは、市民活動を行っているNPOであり、事務機能および啓蒙研修活動などをはじめとする機能の共有化を、NPOのネットワークによる相互支援によって構築することを目指している。
 活動内容については、最終ワークショップにおいて抽出された「NPOネットワークに求められる機能」から、低コストで行え、しかも効果が高いと思われる事業を中心に実践していくこととする。


【初年度の活動内容】
 (1)伊勢・鳥羽・志摩NPOネットワークセンターの設置。
   ネットワーク協議会および各NPO団体の拠点として、事務局機能を持ったセンターを設置する。
 (2)機関誌の発行など、広報活動の推進。
   NPO活動の相互交流と、一般への参加呼びかけなどを目的とした、広報用機関誌を発行する。
 (3)NPO推進のためのセミナー開催。
   NPO推進のために、ボランティア活動者向けのセミナーや一般向けのセミナーを行う。
 (4)ブランチ型地域センター設立の促進および運営協力。     
 各地域にそれぞれの地域の拠点となる地域NPOセンターの設置を促進し、そのバックアップを行う。


【組織と運営】
 (1)会員
   本年度の検討委員会の参加者を足がかりに、NPOおよび賛同する諸団体や企業、個人へ呼びかけ参加を募る。
   将来への発展を考え、諸団体および企業の会員(賛助会員)を多く募るべき。
 (2)事務局
   当面は、南勢志摩県民局内に置き、県民局の担当職員に事務局の兼任を依頼する。
   最終的には自立が望ましいので、その見直しをする期限を定めて更新を行う。
 (3)活動財源
   会費、寄付金、助成金、事務局使用料などをそれに当てる。   
    当面の間は、行政からの助成金は不可欠。


以上、三重県が今後NPO支援を推進していくのであれば、このような形で既存の市民活動団体のネットワークと協力体制をとりながら、市町村行政の意識付けと働きかけを行うのが、最も早く支援体制が実現をし、またNPO側の地力を養成することにもなると考えるものである。


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(C) 1996 Hajime Nakamura.