8号に掲載
磯ップ物語−9
3羽のペンギン、グー・フー・ウー
地球流民

 素直なグー、頭のいいフー、しっかり者のウー。3羽のペンギンたちは、そろそろ自分の家を作らなくてはなりません。

 素直なグーは海鳥の糞でできた柔らかい土に穴を掘って家にしました。おかげで家は1日でできてしまいました。
 それを見ていた、フーとウーは言います。
「ダメだよグーそんな家じゃ。狼が来たら一瞬で踏みつぶされちゃうよ」
 でも、グーはニコニコするばかり、家を建て替えようとはしませんでした。

 頭のいいフーは、森の中で木を集めて家を建てることにしました。海から森は遠かったし、木は重いので、家ができるまで一週間かかりましたがフーはとても満足です。
 それを見ていたしっかり者のウーは言いました。
「ダメだよフーそんな家じゃ。狼に火をつけられたら燃えてしまうよ」
 でもフーは、木の家が気に入っていたので、建て替えようとはしませんでした。

 しっかり者のウーはつぶやきます「みんなどうしたんだろう? 学校で"3匹のこぶた"の絵本を読んで勉強したのに・・・」

 ウーは、堅い断崖に穴を掘り始めました。しっかり者のウーの穴を掘る音は1ヶ月も聞こえ、ついに、たいそう立派な石の家ができました。 これなら何が来ても大丈夫です。
 ウーの石の家を見たフーは、感心して言いました。
「ウーは偉いなあ。絵本の勉強もよくしたし、それに努力家なんだよね」

 でも糞の家のグーはやっぱりニコニコするばかり。だって、あの3匹のこぶたの話は、遠いところにある争いの絶えない国の物語で、この島には狼なんていないんですから。

 ほら、フーとウーが時間をかけて家を作っている間に、グーには素敵な彼女ができて、家からヒナの鳴き声も聞こえてきますよ。


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(C) 1996 Hajime Nakamura.