愛すべき動物保護令 地球流民 動物が大好きなメリーさんが、世界連邦の大統領に選ばれました。 メリー大統領はお気に入りのペットの猫ちゃんを抱きながら、世界中の人々に「愛すべき動物保護令」を宣言します。 「頭のいいイルカを捕るなんて、野蛮人のすることです。これからイルカを捕った人は、野蛮とみなして死刑!」 人々は死刑になるのが恐くて、イルカを食べるのを止めました。 「可愛いアザラシを殺すなんて、未開人のすることです。これからはアザラシを殺した人は奴隷にします!」 人々は奴隷にされるのが嫌で、アザラシを捕るのを止めました。 メリー大統領は心優しい人々の支持を受け、保護する動物をどんどん多くしていきました。 「美しくて立派なマグロを食べるなんて、デリカシーのない人のすることです。マグロを捕るのも禁止!」 お寿司屋さんからは赤身とトロが無くなり、可愛くも頭がよくもないウニやタコ、チビでみっともないアジやイワシだけがメニューに残りました。 ![]() 猫ちゃんが大好きなキャットフードの缶詰は、シーチキンから作られていたので、マグロが捕れないと生産できなくなったからでした。 その話を側近から聞いたメリー大統領の決断はとても素早くて、世界中の心優しい人々にはとてもわかりやすいものでした。 メリー世界連邦大統領がおごそかに宣言します。 「全ての愛すべき動物たちは、ヒトの野蛮な行為から守られねばなりません。でも、猫ちゃんとマグロを比べたら、猫ちゃんの方が可愛いし頭もいいのです。だから猫ちゃんのエサになるマグロは捕ってもよろしい。」 |