15号に掲載
磯ップ物語−16
ウミガメの特徴

地球流民

 浦島太郎は朝から困っていました。 昨日ひっくり返って頭を打ったら、ウミガメがどんなカメなのか思い出せなくなったのです。
 すじがきによれば、今日は子供たちにいじめられているウミガメを助けなくてはならないのに、このままではどんなカメを助ければいいのか分かりません。

 太郎は学校の先生に聞きにいきました。
「なあ先生、ウミガメの特徴を教えてくれんか?」
先生は答えます
「うむ、ウミガメは大きいぞ。人が乗れるくらい大きいぞ」
 あっそうか! 巨大なカメに思い当たった太郎は動物園に行きました。しかしそのカメの前には「ゾウガメ。陸ガメの一種」と書いてありました。

 再び困った太郎は、今度は大学教授に聞きにいきました。 教授は答えます。
「ウミガメは、足がオールのようになって、首は引っ込まぬ。甲羅のうしろがギザギザになっているのがタイマイで・・・」
さすが専門家、詳しいことこの上ない。

 特徴をしっかり聞いた太郎は、再び動物園に行って探し回りましたが、どのカメも小さすぎてとても太郎が乗れそうではありません。
 それにみんな、淡水ガメの仲間、陸ガメの仲間と書かれています。 どうやらここにはウミガメはいないようなのです。

 すっかり困りはてた太郎が、海岸で頭を抱え込んでいると、子どもたちが集まってきました。「おじさん、いったいどうしたんだ?」
太郎は言います。
「ウミガメと池や陸にいるカメとの違いがわからないんだ」
 すると、子どもたちは大笑いです。「バカだな〜おじさん、海にいるのがウミガメで、池にいるのが淡水ガメだよ」
 そして、「あ、ウミガメだ!」と叫ぶと、海から上がってきた大きなカメに走り寄って、みんなでいじめはじめたのでした。



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(C) 1996 Hajime Nakamura.