伊勢志摩PO-NPO-N通信
中村 元の、ぽんぽん道楽

episode 「道楽もんが行く」


<南極にて>
 南極探検隊の鬼隊長が、口笛を吹きながら歩くポン隊員に言いました。
「口笛といい、にやけた顔といい、だいたいお前は歩く姿勢が悪い。あのペンギンとアザラシを見るがいい。ペンギンはまっすぐ立って何かを真剣に考えているが、アザラシはだらしなく寝そべって今にも死にそうだ。さしずめお前はだなしないアザラシだぞ、もっと自分に与えられた使命というものをよく考えて見ろ」

 隊長はポン隊員を連れて、ペンギンとアザラシに、使命と姿勢の相関関係なんて難しいことを聞きに行きました。
「君たちは、いったい何を考えているのかね?」
 ペンギンが答えました
「そうだなあ〜。腹へったなあってさ。使命ってかい?使命っていえば脚の上に乗せたこの卵を孵すことだよなあ」
「うむ、さすが腹が減ってもその直立不動。それでこそ使命が果たせる」と隊長。
しかしペンギンは「そりゃあんた、これがオレにとって一番楽な姿勢だからさ」と答えたのでした。隊長はちょっとがっかりです。

 次はアザラシの番です。
「使命も何も、この子を育てることが私の生き甲斐よ」
「それなのになんで寝そべってるんですか?」とポン隊員。
「バカねえあなた。私たちはこうしているのが一番楽で、すぐに動き出せるのよ」
 そう言ったかと思ったら、彼女はゴロンと一回転して海に入り、次の瞬間には向こう岸で直立不動で眠っていたペンギンをバクッと食べてしまったのでした。

 ポン隊員は、その後やっぱり口笛を吹きながら南極大陸を横断することにしました。それが彼の一番力の続くやり方でしたからね
 (おしまい) 

 このコラムをPO-NPO-N道楽としたのは、そんな理由です。人はみんな違う感性を持ち、違う問題解決の仕方を持っています。だからNPOも自分の一番気持ちがいいように活動していかなければ、続かないし、力も出ないし、人に呼びかけもできないでしょう。
 そして、そんないろんな人が、たった一つ「素敵な未来をつくる」という言葉を共有してつなが場所。それが伊勢志摩NPOネットワークの会だと思うのです。

 ボランティアを道楽とはけしからんのかもしれません。でも、少なくとも好きなことをするのは楽しいし、能力も発揮できますよね。そんな風に考えて、いつまでも楽しみながら、PO-NPO-N道楽の仲間を増やしていきたいものです。

PO-NPO-N道楽目次に戻る
essayRUMIN'S ESSAY 表紙へ        地球流民の海岸表紙へhome
(C) 2000 Hajime Nakamura.