<水辺にて>
ピョンピョンと跳ねてきたカエルの目の前に、大きなヘビの背中が現れました。 カエルはすくみ上がってしまいました。
でもヘビは小さなカメをじっと見ていたのです。 どうやら、あのカメを襲うつもりのようです。 はたして、ヘビはカメに飛びかかり、太くて長い胴体を、グルグルと巻き付けたのでした。 「かわいそうに、でもボクじゃなくてよかった」 カエルはやっと落ち着きを取り戻して、そこからそっと離れようとしました。 ところがどうも様子が変です。 ギリギリ締め上げているのはヘビなのに、その顔は苦痛にゆがんでいるのです。 なのにカメときたら、甲羅の中に頭を隠して、鼻歌まで歌っているではありませんか。 ついにヘビはあきめて、どこかへ行ってしまいました。 カエルは、カメの甲羅の威力に一目で惹きつけられてしまいました。 「なんて素敵な鎧なんだろう・・・」 カエルがカメに、その甲羅を譲って欲しいというと、カメは 「いいともさ、でもよ〜く考えながら使うんだよ」 と言って、予備の甲羅を気前よく譲ってくれました。 カエルは、よっこらしょと甲羅に入ると、ノシノシと歩き始めます。 途中でさっきのヘビに会いましたが、もう懲りたのでしょう、ヘビはぷいっとあっちを向いてしまいました。 さすが甲羅の威力は最高です。 そのうち甲羅で汗だくになったカエルは、いつものように池に飛び込みました。 ところが甲羅が重いのと、自慢の長い足も足首から先しか出ていないので、思うように泳げず沈むばかりです。 「助けて〜!ブクブクブク」 それから後、このカエルの姿を見ることは二度とありませんでした。
(おしまい) |
カメの甲羅は、生き延びるという大きな目的のために、能力を選択して獲得した手段です。 甲羅をもらったカエルは、手段に目がくらんだので、自分の能力や生き延びるという本当の目的を見失ってしまったのです。
カメの甲羅と同じように、伊勢志摩NPOネットワークの会も、参加者の目的がはっきりしたところから、その手段としてネットワークを作り、目的に添った活動を進めてきました。 そこがこの会の強いところです。 もしネットワークそのものを目的にしていたら、ネットワークの特性を理解できず、カエルのように池に沈んでしまったことでしょう。 本会では近頃急に、様々な事業が始まりつつあります。 でも、目的がしっかりしているこの会だから、きっといい結果に結びつくことと信じています。 うん、鼻歌で行こう! |