伊勢志摩PO-NPO-N通信
中村 元の、ぽんぽん道楽

episode 「ホンソメワケベラ」



<海にて>
 ホンソメワケベラは、他の魚たちの体を、ボランティアで掃除している小さなベラです。 これは、ホンソメワケベラがそんなボランティアをするようになった頃のお話です。

 小さなホンソメワケベラの特技は、他の動物に付いた寄生虫などを探し出して食べてしまうことでした。
 普通魚たちは、ヒレによってとても上手に泳ぎますが、手がないので、体に寄生虫が付いたり、食べ残しがエラに引っかかったりしたら取ることができません。

 そこで、ホンソメワケベラは、みんなの寄生虫や食べ残しを、ボランティアで取って上げることにしたのです。 寄生虫や食べ残しは、そのままホンソメワケベラの食事になりますから、とてもいい考えです。

 彼らは近所の魚たちにPRを始めました。「ボクはみんなが元気に活動するためのボランティアを始めたよ」と。
 そして毎日のように、あちらこちらに出かけては、そのボランティアをしていたのです。

 魚たちにはたいへん喜ばれましたが、問題もありました。
 みんなには、小さなホンソメワケベラがどこにいるのかよくわからないのです。 それに、彼がそんなボランティアを始めたことを知らない魚たちもいました。
 常連の魚が言いました。「頼むからさ、毎日同じところにいてくれない?そしたら知らないみんなに教えることもできるんだ」

 そこで、ホンソメワケベラたちは、海の中の一カ所に集まって腰を落ち着け、掃除しますのダンスをを踊って魚を待つようになりました。
 今じゃホンソメワケベラのボランティアは、みんなに頼りにされて大賑わいです。
*ホンソメワケベラは実在する掃除魚です(鳥羽水族館)
 (おしまい) 

  ミキモト製薬のご厚意により、ついに伊勢志摩NPOネットワークの会も、待望の拠点となる事務局を持つことができました。
 これで、会員のみなさんの心と行動によるエネルギー体だった本会も、やっと存在感のある実体になったと言えます。
 ボランティア魚ホンソメワケベラのように、NPOにとって拠点はとても大切です。存在が明確なだけで、不特定多数の相手にPRできますし、情報の伝達も速くなり、信用度だってずいぶん違います。
 そしてもちろん、今までは、それをアピールするために使ってきた様々なエネルギーを、本来の事業に回すことができるのです。
 これからきっと、今まで以上に忙しくなりますが、それこそが私たちの求めていたこと。拠点のダンスを楽しみながら踊りましょう。

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(C) 2000 Hajime Nakamura.