<密林にて>
ヒクイドリはダチョウの次に大きい鳥。 ヒクイドリのヒク夫は、近頃とっても元気だ。 なんせ今年は初めて縄張りを持って、メスと子供をつくろうと言うのだから。 おっ!年頃の娘ヒクイドリがやってきた。 彼女をめざとく見つけたヒク夫は、兜のように立派なトサカを突き上げ、喉にぶら下がった真っ赤な袋をブラブラ振って、カオーカオーと声をかけた。 ついでにヒクイドリ得意の火食い技、最後にクチバシからボーと火を吹いた。まあこれは嘘だけど・・・。 とにかく、ヒク夫はその娘ヒクイドリに「オレはこんなに立派なオスだぞ!」ってアピールしたかったんだ。 すると娘、ヒク夫のそばにやってきてニコッと微笑んで聞いた。「ねえ、あなたって元気なオス?」 ヒク夫は威張って答えたさ。「もちろん!いい卵を産ませて上げるよ」 これでOK。二羽は結婚した。熱々の新婚時代、ヒク夫は元気に交尾をして、しばらくしたら娘は大きな卵を3つも産んだ。やったぞ!ヒク夫の初めての子供たちだ。 ところが卵を産んだ娘ヒクイドリは、そこから立ち去ろうとするじゃないか。 ヒク夫が慌てて理由を聞くと、別のオスのところに行ってまた卵を産むんだと言う。 それがヒクイドリの習性なんだって。 そんなこと知らなかったヒク夫は途方にくれたよ。でも、生まれてしまった子供たちを育てるのはヒク夫しかいない。 その日からヒク夫は、エサも食べずに卵を抱いた。 そしたら50日後、卵は見事に孵って、元気な3羽の雛たちが誕生した。 それから数ヶ月、ヒク夫は雛たちと楽しい日々を暮らしている。 今ヒク夫はヒクイドリの喜びを楽しんでいるよ。
(おしまい) |
伊勢志摩NPOネットワークの会の創立から1年半。 会は立派に成長して、昨年の夏には三重県の事業委託を受けることもでき、半年間事務局員を雇うことができました。
おかげで事務所も開設、ばりふり団の手伝いなどで注目を集め、なけなしの会費を減らすことなく活動を行うことができました。 私たちの志と行政資金による目的達成。 この半年は私たちの会と県との蜜月だったと言えるでしょう。 しかしその蜜月も今月でお終いになります。 県は次の新しい卵を産みに行かなくてはならないからです。 そして、私たちの卵はここに残っています。 この卵を育てるのはNPOを育てたいと言った私たちの仕事です。 この卵から、元気な雛が育つ新しいシステムを創り上げましょう。 それが私たちの望みだったのですから。 |