伊勢志摩PO-NPO-N通信
中村 元の、ぽんぽん道楽

episode13 「サンタクロースはやめられない!



 昔むかし、まだサンタクロースたちが、若いヤンキー聖人だった頃の話です。
 サンタたちは、クリスマスにプレゼントを配るのを、もう止めようかと相談していました。
 5年前にヤンキー仲間で、「ワルも飽きたしよー、いーかげんなんか聖人らしいことでもしてみっか?」と軽い気持ちで始めたのが、有名になってしまい、よい子は増えるばかりだし、イブの夜に彼女と過ごせないし、なんかもう面倒になってきたのです。

 待ってるよい子たちへの責任がある…なんて意見もあったのだけど、即却下。
 「オメー、あいつらよい子ですとかいってさー、悪ガキだったりするんだぜ。」 「オレなんか彼女イナイ歴5年だよ。今年はイブパーティーでゲットして即ニャンしてーよ」 「オレたちワルじゃん。人のためとか責任とかっておかしいね」
 そんなノリで、ついにサンタの活動は休止することになったのでした。

 イブの夜がやってきました。
 サンタたちはそれぞれ、デートの準備をしたり、パーティーに行く服を着たり、改造ソリを磨いたりしていましたが、どうもソワソワ落ち着きません。 だって、そんなことをしながらも、無意識のうちに世界中のよい子からの手紙を手にして、ついつい読んでしまっているのですから。

 でも、それは見知らぬ子どもたち、よい子だとウソをついている子どもたちなのかもしれません。 だから「人のことなんかより、自分のこと、自分のこと。」と自分を言い聞かせます。

 ところが、時計が12時を告げる頃、無人のはずのサンタの館に灯がともりました。 サンタたちは、全員そろっていて、何もなかったかのようにソリの準備をしています。
 サンタクロースの仕事は、人のためなんかではなく、自分の幸せのためだったんだと気づいたのです。 その時から彼らは、ずっとサンタクロースを続けています。 だからサンタはみんなおじいさんなんですね。
 (おしまい) 

 クリスマスの月に、ついにNPO法人になったぽんぽん団。
 社会に責任が出来てしまったけれど、実はそれって、自分たちの気持ちに対する責任なんですね。 今までと変わらず、ゆったり楽しい満足を求めて活動を続けていきましょう。 

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(C) 2000 Hajime Nakamura.