2000 ●平成12年

2000年11月

『貼雑年譜』完全復刻版
 いまさら喋々の要はないものと思われますが、江戸川乱歩の『貼雑年譜』完全復刻版が東京創元社から刊行されることになりました。克明のうえにも克明に「自己」を収集したスクラップ帳のうち、乱歩自身が筆で書き込みを加えた最初の二冊を復刻。第一分冊には明治27年から昭和3年、第二分冊には昭和4年から15年までの記録が貼り雑ぜされております。
 この二冊は平成元年7月、講談社江戸川乱歩推理文庫の特別補巻として、一冊にまとめたものが出版されましたが、モノクロ写真による復元であったうえ、判型が縮小され、割愛されたページなどもあって、いささか不完全な内容でした。「完全復刻版」と銘打った今回の出版は、「可能な限り原本に近い形で復元」することをめざしたもので、空前絶後の試みといえます。
 判型
A3 判変型(天地29.5センチ×左右43.3センチ)
 造本
上製多色布装/二分冊セット(解説小冊子添付)
    中性保存用(ph8.5)タトウ式堅牢箱入り
 用紙
OK プリンス上質
 印刷
オフセット多色刷り
 頁数
第一分冊=一六八頁/第二分冊=二一四頁
 本体価格
三〇〇、〇〇〇円(消費税別/分割・分売不扱い)
 問い合わせ先
東京創元社
        〒162−0814 東京都新宿区小川町1−5
        電話 03・3268・8231
 『貼雑年譜』第一冊巻頭に、平井太郎名義で記された「序」の冒頭と結びを引用しておきましょう。

 時局のため文筆生活が殆んと不可能となつたので暫く休養する事にした。その徒然にふとこの貼雑帖を拵へて置くことを思ひ立つた。探偵小説を書き出して以来折にふれて切取つて順序もなくスクラップ・ブックに貼りつけて置いた印刷物などを年代順に整理し、その他の古手紙、文反古の類などをもあさつて、ごく大略ながら私の過去を描いて見た。日記といふものを殆んとつけてゐない私には、これが謂はゞ四十七年間の大ざつぱな日記である。印刷物と文反古による貼りまぜ自伝である。
 ……(中略)……
 これはむろん他人に見せるものでなく、主として私自身の備忘と慰みのためのものであるが、兼ねて又、私の家族、子孫にとつては、かういふものにも何等かの興味があるのではないかと考へてゐる。

 中島河太郎先生は講談社版『貼雑年譜』巻頭の「『貼雑年譜』について」で、この結びの「言外に、後代の乱歩愛好者に資するつもりがあったように思われる」と述べていらっしゃいますが、それにしても、気になるお値段はなんと三十万円! 乱歩愛好者は何かと物入りで困ってしまいます。
 『貼雑年譜』完全復刻版パンフレットの一部は、こちらでご覧いただけます。
画像[11月20日]

2000年9月

江戸川乱歩展……郷愁の迷宮
 群馬県の徳冨蘆花記念文学館で企画展「江戸川乱歩展……郷愁の迷宮」が催されます。
 日程
2000年10月6日(金)−11月26日(日)
 会場
徳冨蘆花記念文学館
    群馬県北群馬郡伊香保町大字伊香保614−8
    電話 0279−72−2237
 開館時間
午前8時30分−午後5時
 入館料
大人450円、小人250円
 休館日
会期中無休
 出展は、原稿、初版本・各種全集、色紙・書画、書簡、遺品等、映画・芸能・娯楽関係、江戸川乱歩賞受賞作品、雑誌など。著書や雑誌もさることながら、色紙・書画では梁川剛一「少年探偵団」に竹中英太郎「盲獣」「悪夢」の挿絵原画、遺品等では「二銭銅貨」草案を記した日記帳、浅草凌雲閣の模型と遺物の煉瓦片、映画・芸能・娯楽関係では少年探偵セット、少年探偵団手帖と BD バッジ、怪人二十面相カルタといったあたりもまた、見るものの胸にさまざまな“郷愁”を呼び醒ましてくれることでしょう。
画像[9月27日]

2000年8月

ミステリファンの方へ 名張市で宮部みゆきさんと北村薫さんによる「ミステリ対談」が催されます。江戸川乱歩のふるさと名張市が日本推理作家協会のご協力を頂戴して実施しております講演会、今年は10周年を記念して黄金コンビによる対談が実現することになりました。どうぞお出かけください。入場無料ですが、整理券が必要でございます。
 日時
2000年10月7日(土)午後2時30分開場、3時開演
 会場
名張市青少年センター(名張市松崎町1325−1、電話0595・64・1447)
 対談テーマ
いま、ミステリがおもしろい
 入場整理券
整理券のお申し込みは9月1日(金)から名張市地域振興課で承ります。整理券の申請用紙は、名張市地域振興課、名張市立図書館、名張市青少年センター、名張市内各地区公民館に備えつけております。遠隔地の方は名張市の公式ホームページにあります「宮部みゆきと北村薫のミステリ対談」からメールでお申し込みください。整理券郵送の場合、80円切手をお送りいただかなければなりません。時節柄、ご理解をたまわれればと存じます。受付は先着順でございます。
 郵便またはファクスでお申し込みの場合
〒518−0492 三重県名張市鴻之台1番町1番地 名張市地域振興課/ファクス0595・64・2560へお願いいたします。
 アンケート
「ミステリ対談」に対するご意見、ご要望を上記の名張市ホームページと名張市立図書館で承っております。宮部さん、北村さんにお聞きになりたいことなど、お気軽にお寄せください。
 問い合わせ先
名張市地域振興課国際交流係(電話0595・63・2111=代表)[8月15日]

2000年6月

乱歩ファンの方へ 角川ホラー文庫から乱歩の作品集『夢遊病者の死』が出ました。同文庫の乱歩作品集はこれで六冊目。『屋根裏の散歩者』『化人幻戯』『暗黒星』と、かつて出ていた角川文庫をそのままホラー文庫に移行した三冊のあと、日下三蔵さんによる新編集版が、怪奇幻想作品を集大成した『鏡地獄』、一人二役トリックをテーマにした『双生児』、そしていわゆる奇妙な味に主眼を置いたこの『夢遊病者の死』と、三冊つづいたことになります。収録は十五篇。巻頭の「石榴」と巻末の「虫」という力作二篇のあいだに短篇掌篇十三篇を配し、「短篇作家としての乱歩の見本市のような一冊」(編者解説)となっています。366ページ、本体619円。収録作品の詳細は「RAMPO-Up-To-Date」の「2000年6月」でご覧ください。ところで、角川文庫では昭和48年から50年にかけて、乱歩作品が全二十冊の陣立てで刊行されましたが、日下三蔵さんの巻末解説には「角川ホラー文庫の江戸川乱歩作品集が好評で」とありますから、『夢遊病者の死』の売れ行き次第では、旧版を新編集したホラー文庫の乱歩作品集、まだまだ出るのかもしれません。いずれにせよ、乱歩作品の根強い人気を喜びたいと思います。画像[6月16日]

乱歩ファンの方へ いましも入江に着いた小さな釣り舟、舳先の横に立って前方を見据えるのは諸戸道雄、砂浜に降り立つ箕浦金之助、舟の艫では老漁夫が二人を見つめています。ときは大正14年8月19日、ところは南海の孤島、岩屋島……。「孤島の鬼」のワンシーンを描いた西山彰さんの表紙画に飾られて、『新青年』研究会の会誌「『新青年』趣味」第8号が出ました。26ページにわたる特集は、ズバリ「江戸川乱歩」。昨年10月に『新青年』研究会が主催した「江戸川乱歩シンポジウム」(パネラーは杉澤加奈子さん、小松史生子さん、横井司さん)の報告を巻頭に配し、さらに八本正幸さんの「乱歩と『ゴジラ』」、山下真史さんの「江戸川乱歩における人間の研究」、小松史生子さんの「江戸川乱歩『孤島の鬼』考─諸戸道雄のメス─」と力作三本を並べて、多彩な視点から乱歩に迫った特集です。乱歩の愛読者、研究者なら必携の一冊。特集以外にも、中島河太郎、尾崎秀樹、乾信一郎三氏の追悼、「新青年」系作家を題材にした論考、小栗虫太郎作品の翻刻など充実した内容で、B5判、118ページ。頒価1000円、送料240円。お申し込みは同会事務取扱部の末永昭二さんあて、このメールでどうぞ。なお、渡辺啓助を特集した第7号は売り切れになったそうです。画像[6月14日]

2000年5月

海野十三ファンの方へ 没後50年を迎えた海野十三を偲ぶ『海野十三メモリアル・ブック』が出ました。十三の生まれ故郷、徳島を拠点に活動する海野十三の会が、生誕100年記念の『JU 通信●復刻版』につづいて刊行した一冊です。十三の未刊作品や関連文献、写真などを丹念に収集し、「初公開写真資料集」「追悼資料集」「単行本未収録資料随筆集」「スクラップ資料集」に大別、小松崎茂さんらの書き下ろしエッセイとともに収録しています。乱歩関連では、十三の葬儀で乱歩が朗読した「弔辞」が収められていますが、橋本哲男さんが巻頭に寄せた「太平洋戦争と海野十三」には、弔辞を読む乱歩の姿が書きとめられ、「見事な毛筆で書かれた乱歩の弔辞には、友人としての悲しみがあふれ、読みながらしばしば嗚咽をくり返していた」とあります。巻紙に書かれた「弔辞」の原稿は、2002年秋にオープンする徳島県立文学館に展示される予定。監修は佐野英(十三夫人)、池田憲章、瀬名堯彦、山前譲のみなさん、編著は海野十三の会の山下博之さんと小西昌幸さん。B5判、128ページ、本体1200円。購入希望は100円切手13枚を添えて、発売元の先鋭疾風社(〒771−0204 徳島県板野郡北島町鯛浜字西中野81−1 小西さん方/電話088・698・2946)へ。一般の書店でも地方小出版流通センター扱いで取り寄せられます。画像[5月26日]

乱歩ファンの方へ いまや“乱歩小説”の第一人者といった観がある芦辺拓さんの『怪人対名探偵』が出ました。講談社ノベルスの5月の新刊で、415ページ、本体1050円。乱歩作品へのオマージュにして果敢な挑戦でもあるこの長篇では、怪人対名探偵というおなじみの構図、怪人物による残忍な殺人展覧会といったあたりは申すに及ばず、章のタイトルをすべて乱歩作品のそれから採用するなど、“乱歩小説”への徹底したアプローチが試みられています。作者あとがきによれば、「執筆にあたっては、さまざまな名場面やおなじみのシチュエーションをできるだけ多く取り込み、それらに新しい意味を持たせようと試みました。この点、乱歩作品をよくご存じの方も、そうでない向きにもお楽しみいただけると思います」とのこと。乱歩ファンなら見逃せません。それから、同じく芦辺拓さんのパスティーシュ中短篇集『名探偵博覧会 真説ルパン対ホームズ』も原書房から刊行されました。八編を収録し、374ページ、本体1800円。乱歩関連では昨秋刊行のアンソロジー『贋作館事件』に収録された「黄昏の怪人たち」が再録されていますが、ほかにも内外の名探偵が揃い踏み。作者あとがきには、“乱歩小説”の定義が「江戸川乱歩氏その人が登場したり、乱歩作品をパスティーシュするだけでなく、その世界を下敷きにしたり取り込んだりしている小説」と記されていて、やはり乱歩ファンには見逃せない一冊です。画像[5月20日]

乱歩ファンの方へ いささか旧聞に属しますが、ちくま文庫『乱歩の選んだベスト・ホラー』が出ました。森英俊さんと野村宏平さんの編による文庫オリジナルのアンソロジーです。乱歩のエッセイ「怪談入門」で言及された作品から12篇が選ばれていますが、巻頭にまず「怪談入門」を置き、倉阪鬼一郎さんの原典版新訳によるジェイコブズ「猿の手」に始まって、横溝正史訳のアルデン「専売特許大統領」といった珍品もまじえながら、最後はエーヴェルスの「蜘蛛」と乱歩の「目羅博士」で締めるという凝った編集が嬉しい一冊。巻末の「怪談入門」主要作品の紹介リストも重宝です。日下三蔵さんの編で昨秋刊行された“乱歩小説”のアンソロジー『乱歩の幻影』につづいて、ちくま文庫から出た乱歩ネタの好アンソロジー。この次はどんな企画が? と期待せずにはいられません。451ページ、本体950円。収録作品の詳細は「Rampo Up-To-Date」の「2000年3月」をご覧ください。なお、乱歩の生まれ故郷たる名張市内の書店には、ちくま文庫の新刊は廻ってまいりませんので、ご紹介するのがついつい遅くなってしまいましたことをお詫び申しあげます。画像[5月20日]

2000年3月

乱歩ファンの方へ 角川ホラー文庫『白髪鬼』が出ました。ホラーコミック傑作選の第5集。乱歩作品を漫画化した、横山光輝「白髪鬼」、桑田次郎「地獄風景」、古賀新一「陰獣」の三作が収録されております。横山・桑田作品は「少年キング」に連載されたもので、とくに「白髪鬼」は「幻の作品」とされていたそうでございます。同誌には古賀作品「屋根裏の散歩者」も掲載されましたが、この作品は原稿が紛失されてしまったため、かわりに「陰獣」が採られました。470ページ、本体800円。つづいて乱歩原作漫画集第二集も企画されているとのことで、石川球太「白日夢」「人間椅子」「芋虫」「お勢地獄(お勢登場)」が30ページ平均で計120ページ、上記の古賀新一「屋根裏の散歩者」の原稿あるいは単行本をなんとか探し出して100ページ、これに古賀新一「人でなしの恋」50ページ、真崎守「巡礼万華鏡(鏡地獄)」32ページ、関谷ひさし「地獄の道化師」160ページを加えて、権利関係がクリアできれば、6月か9月に刊行される運びだそうでございます。以上、日下三蔵様のお知らせに基づいてご案内いたしました。画像[3月17日]

20002

中井英夫ファンの方へ 東京創元社から塔晶夫版『虚無への供物』が出ました。限定100部の特装豪華本は65000円、初版2000部の普及版は4000円(いずれも本体価格)。いまさら何も申しあげることはございません。本日「乱歩百物語」に掲載いたしました中井さんの「未発表日記抄」によりますと、「それが推理小説なるものの墓標である意義をまた加えた、あの小説」、それが『虚無への供物』でございます。
 
もうひとつ、中井英夫最後の助手、本多正一さんの『プラネタリウムにて─中井英夫に─』=写真=も刊行されました。帯には「『虚無への供物』の作者・中井英夫。この“奇妙な作家”の最期を看取った本多正一が写真と文章で綴る晩年の日々」とございます。未公開のものも含め、写真300点を収録。葉文館出版刊、本体2000円、初版3000部。巻末には「アレクセイの花園」園主・田中幸一様による「中井英夫と本多正一」も収録されており、拝読した主人は「アレクセイ君もなかなかやるではないか。狂人の名をほしいままにしながらも中井英夫の往生をきっちり説いている。狂人なおもて往生を説くとはこのことであろう」と感銘を受けておりました。ついででございますので、1997年、銀座ニコンサロンで開かれた本多さんの写真展「彗星との日々─中井英夫との四年半─」のご紹介を、ニコンのホームページでご覧いただきましょう。こちらをクリックしてください。画像
 
中井英夫情報、まだつづきます。東京・世田谷文学館で来年の春か秋、「中井英夫展」を開く企画が動き出しております。詳細は未定とのことでございますが、とりいそぎお知らせまで。何か新しい動きがあれば、またご報告申しあげます。さらにもうひとつ、もしかしたら来年あたり、講談社ノベルスに『虚無への供物』が登場することになるかもしれません。『ドグラ・マグラ』『黒死館殺人事件』とともに、ひとすじの黒い水脈を曳きながら。……って、主人が「西暦2000年2月29日だ。何が起きても不思議ではない。案ずるな」と申しますのでつい書いてしまいましたが、こんな未確定情報まで公開してしまってよろしかったのでしょうか。[2月29日]

乱歩ファンの方へ 権田萬治・新保博久さんご監修の『日本ミステリー事典』が出ました。何も申しあげることはございません。ひたすらお薦めいたします。中島河太郎先生の単独執筆による『日本推理小説辞典』から15年、最新情報も盛り込んで進化を遂げたミステリー事典の誕生です。乱歩関連では、ほぼ2ページにわたる「江戸川乱歩」のほか、「明智小五郎」「奇妙な味」「新青年」「竹中英太郎」といった項目もある充実ぶり。新潮選書、本体2000円。同時刊行の『海外ミステリー事典』(権田萬治監修、本体2000円)ともども、乱歩ファンのみならずミステリーファンなら必読必携です。どうぞお買い求めください。[2月25日]
 
左に書影を追加いたしました。ちなみに、同書巻末の「日本ミステリー主要文献」では、主要作家関連文献の乱歩の項に、名張市立図書館発行『乱歩文献データブック』『江戸川乱歩執筆年譜』(ともに監修は平井隆太郎・中島河太郎先生)もご紹介いただいております。関係者の皆様、どうもありがとうございました。画像[2月29日]

乱歩ファンの方へ 角川ホラー文庫の乱歩原作漫画集、編者の日下三蔵様から最新情報をお知らせいただきましたので、ご報告申しあげます。まず3月刊行分のラインアップは、横山光輝「白髪鬼」200ページ、桑田次郎「地獄風景」100ページ、古賀新一「陰獣」150ページの三本。横山・桑田作品は「少年キング」に掲載されたもので、同誌には古賀作品「屋根裏の散歩者」も載ったのですが、この作品は原稿紛失のため、「ヤングレディ」連載の「陰獣」が採られました。つづいて第二集も予定されており、石川球太「白日夢」「人間椅子」「芋虫」「お勢地獄(お勢登場)」が30ページ平均で計120ページ、上記の古賀新一「屋根裏の散歩者」の原稿あるいは単行本をなんとか探し出して100ページ、これに古賀新一「人でなしの恋」50ページ、真崎守「巡礼万華鏡(鏡地獄)」32ページ、関谷ひさし「地獄の道化師」160ページを加えて、権利関係がクリアできれば、6月か9月に刊行とのことでございます。[2月15日]

音楽ファンの方へ 名張市出身の歌手・平井堅さんの新曲が好評です。デビュー以来8枚目になる新曲は、1月19日リリースの「楽園」(収録曲:楽園、affair、What's Goin' On?、楽園〈Birthday Mix〉、定価:1223円、発売:ソニーレコード)。北海道と福岡の地域限定で放送されたこの曲のスポットCMが、人気女優・江角マキ子が出演していることもあって話題を集め、2月下旬から全国で放送されることになりました。平井堅さんは1995年、フジテレビ系列のドラマ「王様のレストラン」(主演:松本幸四郎、脚本:三谷幸喜)のテーマ曲「Precious Junk」でデビューし、音楽性と歌唱力は高く評価されていましたが、ヒットには恵まれませんでした。「江角のおかげでCDは大ヒットの兆しを見せており、無名歌手をスターダムへと押し上げることになりそうだ」と2月9日付「サンケイスポーツ」は伝えています。平井堅さんのプロフィルは Sony Music Online Japan のこのページでどうぞ。画像[2月12日]

20001

乱歩ファンの方へ 乱歩原作映画三本が1月22日(土)午後11時30分から東京・シネセゾン渋谷(JR渋谷駅ハチ公口、ザ・プライム6階、電話03-3770-1721)でオールナイト上映されます。安部公房、江戸川乱歩、谷崎潤一郎原作の映画を三本ずつとりあげる「THE JAPANESE CULT NOVELIST STRIKES BACK!」の一夜。上映作品は、「黒蜥蝪」(井上梅次監督、京マチ子主演)、「盲獣」(増村保造監督、船越英二主演)、「双生児」(塚本晋也監督、本木雅弘主演)です。料金は2200円。以上、玉川知花様ときょえいあん様からお知らせいただきました。[1月15・16日]

乱歩ファンの方へ 廣済堂文庫の異形コレクション14『世紀末サーカス』が出ました。書き下ろしアンソロジー「異形コレクション」のシリーズ14冊目は、サーカスがテーマ。井上雅彦さんの「編者序文」には、「かつて……その世界のサーカスは、《魔》に満ちていました。/魑魅魍魎が渦を巻いていました。/たとえば、江戸川乱歩が描いた曲馬団。人間豹が、一寸法師が。蜘蛛男が、地獄の道化師が跋扈した大天幕。あの魅惑のパノラマ島。そして……孤島の鬼の「創造物」……」と乱歩的サーカスの魅惑も語られています。巻頭に置かれた芦辺拓さんの「天幕と銀幕の見える場所」は、若き日の乱歩が主人公をつとめる“乱歩小説”。この作品にまつわる作者の生の声は、「人外境だより」のバックナンバーでお読みいただけます。そのほか、名張人外境開設時にご祝辞を頂戴した倉阪鬼一郎さんの「夢の中の宴」をはじめ(どうも極端に世間の狭いご紹介で申し訳ございません)、ホラーもファンタジーも多彩にこきまぜて全二十六編を収録。廣済堂出版刊、本体762円。[1月13日]

乱歩ファンの方へ 「恐怖美術館」でおなじみの人形作家、石塚公昭さんの個展「ピクトリアリズム展」が開かれます。会期は1月24日(月)から2月5日(土)まで、会場は東京都千代田区九段南2−2−8、松岡九段ビル2階の「空木(うつぎ)」(電話03−3221−1781、午前11時−午後6時、日曜休廊)。
 黒人ジャズミュージシャンや日本人作家などの人形制作とその写真作品を手がけてきた石塚さんが、オイルプリントという写真の古典技法に挑戦。カウント・ベーシー、チャーリー・パーカー、ロバート・ジョンソンなどのミュージシャン、江戸川乱歩、泉鏡花、寺山修司ら作家の人形を撮影した作品を中心に、ヌード、風景なども展示されます。約半数はデジタル制作したネガが使用されていますが、「クラッシックレンズ、オイルプリント、デジタルなどを使用し、自分の作成した人物を撮影する。これにより自分の外側にレンズを向けず、自分のイメージだけにレンズを向けるという“念写”ができればと考えています」と石塚さん。
 ところでオイルプリントとは、1904年にイギリスのローリンスによって考案された技法。「紙にゼラチンを塗布し、重クロム酸カリ溶液によって感光性をもたせ、ネガと密着して太陽光で焼き付ける。その後流水で水洗すると、シャドー部は硬化して、水分を吸収しにくくなり、ハイライト部は水分を吸収して膨張する。それにより紙上のゼラチンが、レリーフ状になる。そこに油性絵具をブラシで叩きつけていくと、水分の少ないシャドー部には絵具が付き、水分を多く含むハイライト部は、油性絵具を反発して受けつけず、これにより階調が表現される。日本でも大正時代、芸術写真と称し多彩な技法が試みられたが、オイルプリントもそのなかのひとつ」と、これも石塚さんの受け売りです。
 論より証拠、作品の一部をご紹介いたしましょう。上の写真は左が乱歩、右が鏡花、……おや、乱歩の背後に覗くあの怪しげな映像は、たしか緊縛とか亀甲とか、いやどうも手前としたことが、しかしこれはまさしく伊藤晴雨か団鬼六か、新年早々またえらいものを、……いッ、石塚さーん、こんなことして、いーんですかー。いいんだったら、ついでにもう一枚ご紹介してしまいますからねー。ああッ、こ、これもやーらしー。
画像1画像2[1月1日]