2007年11月
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夕刻に時間の取れぬ日がつづき、あれこれじたばたしておりましたので、結構ひさしぶりの更新となってしまいました。 メールでお知らせをいただきました展示会、とりいそぎご案内申しあげます。世田谷文学館で「植草甚一/マイ・フェイヴァリット・シングス」が開かれております。11月25日まで。 ウェブニュースはこちら。
乱歩関連では、立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センターの協力で、植草甚一から乱歩に送られた洋書、その本に挟まれていたメモ、といったあたりが展示されているそうです。 |
いまごろかよッ、シリーズも第何弾になるのかうろおぼえ。 「東京人」11月号の話題です。表紙はこんな感じ。メールでお送りいただいた画像をちゃっかりそのまま使用しております。 内容的にはこんなあんばい。
丹羽みさとさんは立教大学大学院文学研究科博士課程にご在籍、近代文学における江戸文学の受容あたりがご専門とのことです。「乱歩の和本コレクション」から、乱歩作品と和本との関係について記されたパートを引用。
「RAMPO Up-To-Date」には本日、こんなのも記載しました。
それでは本日はこのへんで。 |
天城一さんが9日、逝去なさいました。けさの新聞で訃報に接しました。中日新聞オフィシャルサイトに掲載された共同通信の配信記事。 記すべきことは少なからずあるような気がいたしますが、とりあえずご冥福をお祈り申しあげたいと思います。 |
いまごろかよッ、シリーズたしか第六弾。 作品社から山本周五郎探偵小説全集の刊行がはじまりました。第一回配本は『少年探偵・春田龍介』。 いまごろかよッ。 つか、もう第二巻が出てんじゃね? ていうか、乱歩に関係あるのかよッ。 いろいろなお叱りを甘受しながら説明を進めたいと思いますが、上の画像をクリックすると版元のサイトの紹介ページが開きますので、そのページの下のほうに掲載されている末國善己さんの「本全集について」をお読みいただければ、まったく予期してなかったけどいまや出るべくして出たというしかないこの全集についてよく知ることができます。同じページで収録作品も紹介されております。 ですからここでは全集の構成をご案内。
11月には第三巻が出て、完結は来年3月の予定となっております。個人的に面白いかな、というか、乱歩作品と照応させてみると面白いかな、と思われるのは、意外に軍事探偵小説の巻であったりするかもしれません。 第一巻『少年探偵・春田龍介』には昭和5年、「少年少女譚海」に発表された「黒襟飾組の魔手」(「襟飾」は「ネクタイ」とお読みください)が収録されていて、これは1999年に出た新潮文庫『怒らぬ慶之助』で読むことができるそうですが、これ以外の収録作品はいずれも初刊となります。 今年5月に出た出久根達郎さんの『作家の値段』(講談社)から引用。
以下、この大場さんが同じく少年雑誌の別冊付録「探偵小説 シャーロック・ホームズ」を発見したゆくたてが綴られますが、つづきは『作家の値段』でお読みください。その「探偵小説 シャーロック・ホームズ」は先月刊行されました山本周五郎探偵小説全集第二巻『シャーロック・ホームズ異聞』に収められておりますので、興味を惹かれたとおっしゃる方はぜひどうぞ。 出久根さんの『作家の値段』にはじつは乱歩を扱った章もあるのですが、その「少年探偵団の夏」と題された章のご紹介がおそらくは、いまごろかよッ、シリーズ第七弾になるものと予想されます。 まだだったのかよッ。 いろいろなお叱りを甘受しながらおいとまを告げたいと思います。 |
お知らせです。 2004年11月23日、神戸市中央区東川崎町に横溝正史の生誕地碑が建立されました。その三周年を記念した講演会が催されます。
つづきまして、いまごろかよッ、シリーズ第七弾。 出久根達郎さんの『作家の値段』です。
古書という視点から作家とその作品にアプローチするユニークな、というか、作家であり古書店主でもある出久根さんならではの視点から書かれたユニークな作家論。龍生書林の大場さんと出久根さんとのやりとりから引用します。
子供のころの思い出など楽しげな話柄がつづきますが、おあとはぜひご購読を。 ちなみに乱歩の著書のうちもっとも高価な古書はというと、昭和6年に博文館から出た連作小説『江川蘭子』、「およそ美本が市場に現れない探偵小説で、函付きで百五十万くらい。函無しでも二十万から三十万する」とのことです。つづきましてはやはり合作の『空中紳士』、初版再版は存在しないといわれていて、三版で三十五万から四十万。ま、別世界の話ですけど。 |
出久根達郎さんの『作家の値段』を読んだのは少し前のことだったので、19日付伝言を書いたときにはうっかり忘れていたのですが、この本の「15 横溝正史 「呪いの塔」の秘密」という章にも乱歩のことが出てきます。 「呪いの塔」は昭和7年に新潮社から出版された書き下ろし長篇で、今年の3月ごろでしたか、この伝言板でもひとしきり話題にいたしました。出久根さんによりますとこの作品、昭和36年に東方社から出ているそうですので、それは知らなんだとさっそく「乱歩文献データブック」に追記したのですけれど、ネット検索で調べてみると東方社版は昭和32年が初版だったり35年が初版だったりしていて、これはどうやらあれでしょうか、奥付に何版とも何刷とも記されておらず、ただ何年何月何日発行というデータが書かれているだけのあの手の本かと推測される次第で、じつは昭和51年に出た桃源社ポピュラーブックス版の『呪いの塔』もそのパターン。じつに困ったものですが、『作家の値段』にもとづいて東方社版はとりあえず昭和36年初版ということにしておきました。 横溝正史の話題なんですから、19日のお知らせを再掲しておきます。あしたのことです。私は近所のお宅のお葬式をお手伝いしなければならなくなり、楽しみにしていたのに行けなくなってしまいました。
それでは『作家の値段』の「15 横溝正史 「呪いの塔」の秘密」から、出久根達郎さんによる「呪いの塔」論を引用。
そうかなあ、と思わないでもありませんが、古書にあんまり興味のない私でもすこぶる面白く読めました『作家の値段』。登場作家は司馬遼太郎、三島由紀夫、山本周五郎、川端康成、太宰治、寺山修司、宮澤賢治、永井荷風、江戸川乱歩、樋口一葉、夏目漱石、直木三十五、野村胡堂、泉鏡花、横溝正史、石川啄木、深沢七郎、坂口安吾、火野葦平、立原道造、森鴎外、吉屋信子、吉川英治、梶井基次郎といったところです。ついでですから、中日新聞と東京新聞に掲載された樽見博さんの書評「古書を読み解く確かな目」もどうぞ。 つづきましては落語の話題。乱歩作品を原作にした柳家喬太郎さんの新作落語「赤いへや」が CD になりました。
「柳家喬太郎落語集 アナザーサイド Vol.1」はきのう発売されたみたいです。詳細はコロムビアミュージックエンタテインメントオフィシャルサイトのこのページでどうぞ。 おあとはウェブニュース二連発。
小路の完成はご同慶のいたりです。鳥羽と名張との比較みたいなことは、機会があればブログのほうに記しましょう。 それでは今夜はお通夜のお手伝いということになっておりますので。 |
本日のお知らせ。12月7日から9日までの三日間、立命館大学衣笠キャンバスで「国際乱歩コンファレンス 江戸川乱歩とグローバル文化としてのモダニズム」が催されます。主催は立命館大学国際言語文化研究所。 ポスターがこちら。クリックするとでっかい PDF ファイルが開きます。 日程とテーマはこんな感じです。
詳細はポスターの画像でご確認ください。 乱歩コンファレンスは2001年3月にシカゴで第一回、2007年4月にニューヨークで第二回が開催されたグローバルな発表と議論の場で、今回が第三回、といったようなことは立命館大学オフィシャルサイトの「国際言語文化研究所」のページで知ることができます。私は乱歩をめぐる海外の潮流といったことにはとても暗いため、このページを読んでたいそうびっくりいたしました。 乱歩のグローバル化はアカデミズムの世界のみにはとどまらないようです。今年の春ごろから伝えられていた「陰獣」映画化の話が、いよいよ具体化してきました。
この記事によれば、主人公の寒川は自著の PR のために来日したフランス人の探偵小説家、小山田静子はその主人公が京都で出会った芸者という設定になるそうです。楽しみなような、不安なような。 |
本日はまず乱歩原作漫画のお知らせ。2ちゃんねるの「【緑衣の鬼】 江戸川乱歩 第十一夜」で教えてもらった情報です。 「BJ 魂」最新号に東元さんの「人間椅子」が掲載されております。「赤い部屋」というタイトルの連作になっているらしく、「人間椅子」もまた赤い部屋のなかで語られる「何事か怪異な物語」の一篇に仕立てられております。 2ちゃんねる乱歩スレには「オクに乱歩文献データブックが出ているが、役に立つのだろうか」とのレスも見られますが、役に立つかどうかは別にして、当サイト「乱歩文献データブック」のほうが増補を経てはるかに充実した内容となっていることをお伝えしておきたいと思います。 つづきましては「文蔵」11月号、乱歩特集の話題です。だいたいがこんな感じです。
もうひとつ、こんなのも出ておりました。二十年ほど前に出た「國文學」別冊「幻想文学の手帖」の改装版です。
つづきましてウェブニュース。11月24日に催されたミステリー講演会「なぞがたりなばり」の記事です。
講演を拝聴していて、「月と手袋」ってそんなすごいか? と思わないでもありませんでしたっけ。講演のあと、東京よりも早く名張市で購入が可能になったという最新刊『香菜里屋を知っていますか』にサインをしていただきましたところ、封筒に入った北森さんのメッセージカードを頂戴しました。こっそり一部引用いたしますと、「われわれミステリ作家は等しく大乱歩の遺伝子を受け継ぐものです」、で、「その出生の地で講演させていただいた喜びを、どう表現していいかよくわかりません」。ここまでおっしゃっていただけると、名張市民のひとりとしてとても嬉しく思います。 |