新青年

大正12・1923年

春季増大号予告
特別附録 創作探偵小説
 「日本にも外国の作品に劣らぬ探偵小説が出なくてはならぬ」──私達は常にかう云つてゐたのである。が、果然、さうした立派な作品が現れた。真に外国の名作にも劣らない、いや或る意味に於ては外国の作家の作品よりも勝れた長所をもつた純然たる創作が生れたのである。本号に於て発表する江戸川氏の作品がそれである。海外の作品のみを紹介し来つた本誌が、本号を特に創作探偵小説号としたるも、一つはこの傑作を江湖に紹介せんとするに他ならない。敢て諸君の清読と批判を乞ふ次第である。尚ほ近来探偵小説の創作に志しつゝある文壇知名の氏二三、及び二月号の本誌の募集に応じ、続々到着しつゝある作品中よりも、優秀なる作品を選んで掲載するであらう。
   二銭銅貨  江戸川乱歩氏
   山又山   保篠龍緒氏
   題未定   松本泰氏
初出・底本:新青年 大正12・1923年3月号(4巻4号)
掲載:2009/02/10

名張人外境 Home > Rampo Fragment