新青年

大正14・1925年

編輯局より  雨村生
◆江戸川乱歩君の上京を機とし、一月十六日の晩に、江戸川の橋本に探偵小説同好者の集りを催した。会する者、田中早苗、延原謙、春田能為、長谷川海太郎、松野一夫の諸君、それに編輯同人の神部君と自分、全部で八人の小さい集りであつた。(星野、浅野、妹尾、坂本の諸君は通知が間に合はず、或は事故のため欠席)
◆皆が気心を知り合つた仲とて、打寛いで探偵小説や犯罪に関する歓談に時を移した。殊に最近外遊から帰つたばかりの春田君の土産話は、大変に面白かつた。席上、たまゝゝ暗号に関する話が出て、読者諸君から暗号を募集して、同人で解いてみようではないか、同時に同人からも暗号を提出して、読者諸君の解答を求めてみてはと云ふことになつた。次号から実行することにしたい。諸君からも同人を懊悩呻吟せしむるやうな暗号の提出を希望する。面白いものは、これを回答と共に誌上に掲載したい。
初出・底本:新青年 大正14・1925年3月号(6巻4号)
掲載:2009/02/11

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