新青年

昭和3・1928年

編輯局より  延原生
◇十月増大号は圧倒的のすばらしい売行だつた。何しろ三日発売のが、四日には市内の小売店に一冊も見当らず、五日には京阪方面から続々と大口の追註文が来るといふ始末、営業部はそれ再版それ三版と、まるで戦場のやうな騒ぎであつたが、何しろ印刷能力に限りがあるので、遂には現金を掴んで仕入れに来る市内の小売屋さんをさへ断つて帰さなければならない仕儀となつた。
初出・底本:新青年 昭和3・1928年11月号(9巻13号)
掲載:2009/02/28

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