新青年

昭和7・1932年

編輯だより
森下雨村氏と新青年──と云へば、切つても切れぬ間柄にあること、本誌の愛読者諸君にしてよも知らぬ方はあるまいが、氏は二月を以て、いよいよ博文館編輯長を辞し、悠々自適、筆硯の生活に入られることとなつた。新青年の生みの親、探偵小説の育ての親、かくして、これからは本誌或ひは他雑誌に縦横の蘊蓄を傾けられる事になつたのは何としても愉快の限りだ。その首途をお祝ひする意味で二月六日日本橋エムプレスに於て、「森下雨村氏の会」を挙行、来会者一七〇人の盛況裡に、上図で御らんの通り、森下氏は断然ワ゛ン・ダインに挑戦状を発するといふ元気ぶりである。フレー、フレー。
初出・底本:新青年 昭和7・1932年4月号(13巻5号)
掲載:2009/05/31

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