RAMPO Entry 2009
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2009年1月26日(月)

書籍
映画『K-20 怪人二十面相・伝』製作記
1月20日初版 出版社 文庫
」は「?」、木へんに世
A6判 カバー 195ページ 本体720円
企画:山崎明夫
序文 編集部
第一章 監督・脚本 佐藤嗣麻子
第二章 美術監督 上篠安里
第三章 VFXディレクター 渋谷紀世子
第四章 脚本・VFX協力 山崎貴
第五章 エグゼクティブ・プロデューサー 阿部秀司
あとがき 阿部秀司という人
 奥田誠治
「K-20 怪人二十面相・伝」キャスト&スタッフ・クレジット
株式会社ROBOT・関連映画一覧

 出版社名にある「」という漢字は「えい」とお読みください。映画「K-20 怪人二十面相・伝」の関連本です。
 
 
 北村想さん原作の映画ですから乱歩の名前はまったくといっていいほど出てこないのですが、第五章として収められた阿部秀司エグゼクティブ・プロデューサーのインタビューから引用。
 
第五章 エグゼクティブ・プロデューサー 阿部秀司

──まず、この『K-20怪人二重面相・伝』(※以下『K-20』)が映画化された経緯について、お話いただけますか。
阿部 この企画は1989年に私が、劇作家の北村想先生の小説『怪人二十面相・伝』に出会ったことから始まります。その小説が新宿の書店で平積みになっているのを見つけて「おっ、怪人二十面相だ」と思ったわけです。
 怪人二十面相といえば、私と同年代の方であれば、少年時代に必ず通るものだし、僕なんかも少年探偵団に入りたかったわけですよ。少なくともキライではなかった。血沸き、肉踊るそのストーリーを、北村想という戯曲家が、いかにアレンジしているかな、と思ったんです。
 でもこのとき私はタイトルに『伝』が付いているのを見落としていたのです。実際に読んでみると、ヒーローであるはずの明智小五郎が狡猾な感じで描かれていた。逆転の発想ですね。それが非常に面白く、魅力を感じたんです。
 読み終えた私は、すぐさま北村先生のいる名古屋へ飛んでいき、「映画化の了承をいただきたい」とお願いしました。当時のROBOTはまだ創業3年目で、あくまでテレビCMの企画制作会社であり、映画制作などまったく縁がなかった。映画を作る方法論も持っていなかったわけです。ROBOTが手掛けた最初の映画は、'95年に公開した岩井俊二監督の『Love Letter』ですから、それより6年も前のことです。にも関わらず、この作品を絶対に映画化したい、と考えた。すると北村先生は、なんとその場で快諾してくれました。
 これまでにROBOTでは32本の映画を制作してきましたが、私が映画化したいと思った作品の第1号が、この怪人二十面相なんです。ただ、当時はまだVFXの技術は十分ではなかったし、私が意図するレベルで映像化できないと判断しました。だから制作すべき時期をじっと模索していたのです。その間、新装版の「怪人二十面相・伝」のあとがきで、北村先生に「映画化の話はいっこうに進まないし……」と書かれたりして(笑)。

 
 文中の「怪人二重面相」はママ、と意地の悪いことを記しておきます。「血沸き、肉踊る」はまあいいことにしておこう、と寛大なところも見せておきます。
 
 出版社:映画『K-20 怪人二十面相・伝』製作記