RAMPO Entry 2009
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2009年3月26日(木)

書籍
日本文学者変態論 爆笑問題
3月20日第一刷 幻冬舎
B6判 カバー 246ページ 本体1400円
著:爆笑問題 文・構成:太田光
初出:ダ・ヴィンチ 2007年1月号−2008年12月号 メディアファクトリー
江戸川乱歩
ガイド p89−98
初出:ダ・ヴィンチ 2007年1月号−2008年12月号 メディアファクトリー

 爆笑問題による漫才形式の日本作家ガイド。二十四人の物故作家が俎上に載せられていますが、ごくオーソドックスな人選となっていて、内容ともどもタイトルほどの過激さはありません。ファンにはよく知られたエピソードや作品が紹介され、細かいボケが挿入されてゆくという寸法です。乱歩の場合はこんな感じ。
 
田中──全然違うよ! そして出来上がった原稿を乱歩は当時文壇一の探偵小説好きとして有名だった巨匠、馬場孤蝶に送るんだ。ところが1カ月たってもなんの音沙汰もない。そりゃあ、全然無名の素人がいきなり小説を書いて送ったんだからしょうがないんだけどね。でも、当時の乱歩はそのことに相当憤慨したらしい。それでかなり怒りを込めた手紙を馬場孤蝶に送る。それは「返信がないところを見ると、届いてないか、届いたとしても読んでないかのどちらかだろう。この手紙が着いたら直ちに自分の原稿を返してほしい」という内容だった。で、同封のハガキに、「一、原稿未着、二、原稿は紛失した。三、原稿は返送した」というふうに、どれかに印を付けて送り返すように要求したんだ。
太田──そしたら馬場孤蝶が、「四、読まずに食べた」って書いて返信してきたらしいな。
田中──白ヤギさんか!
 
 思わず笑ってしまいました。ちなみに、太田光さんの「あとがき」にある「表現とは、“異物”であった彼らが、この世界と繋がるための手段であったことは、確かであると、そう思う」との指摘は、誰よりも乱歩にふさわしい評言だと思われます。
 
 幻冬舎:日本文学者変態論