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2009年3月28日(土)
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●書籍 | |||||||
東京文芸散歩 坂崎重盛 | |||||||
3月25日初版 角川書店 発売:角川グループパブリッシング A6判 カバー 270ページ 本体552円 著:坂崎重盛 |
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団子坂 江戸川乱歩『D坂の殺人事件』 | |||||||
第一章 一葉、鴎外、晶子が歩いた町へ > エッセイ p50−59 |
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文豪が歩いた菊人形ゆかりの坂 | |||||||
ガイド p60−61 |
いわゆる文学散歩のガイド。第二章は「下町 江戸とモダンの散歩道、そして路地、横丁」、第三章は「山の手・武蔵野 幻の郊外、面影の風景を訪ねて」とつづきます。乱歩のパートではまず「D坂の殺人事件」の冒頭が引用され、つづいて露払いを務めるのが漱石と鴎外、そのあといよいよ、やおら、という感じで乱歩が登場してきます。 | |
団子坂の菊人形は、両国国技館で開かれた大資本の菊人形に押されるかたちで、明治末年には中止になってしまう。菊人形を失った団子坂は、その後、市区改正、つまり、都市計画で、幅十間もあろうという、しかも「コンクリートでかためた、雨が降っても高下駄不用と云う馬鹿に立派な往来」(藤井浩祐「上野近辺」)となる。 その後、ここ団子坂にやってきたのが、江戸川乱歩。乱歩は、いうまでもなく、トリック、謎解きを使った和製「探偵小説」のパイオニア。そして、明智小五郎や怪人二十面相の生みの親。 三重県名張市生まれ、早稲田大学を卒業後の乱歩は、さまざまな職業に手をそめ、東京を転々としていた。根岸、早稲田、新小川町、そして団子坂へ。乱歩は、ここ団子坂ではなんと古本屋を開業している。大正八(一九一九)年のことである。 次弟、末弟と乱歩、三人で始めたので屋号が「三人書房」。さらに、古本屋のかたわら、私立探偵を志願したりもしている。その時乱歩二十五歳。小説ばかりではなく、この時期の乱歩の実生活の方も、かなり怪しい。 きっとこのころの体験がベースになったであろう、『D坂の殺人事件』。 押絵といい、人間椅子といい、人でなき、人の形をしたものが好みのような乱歩にとって、「菊人形」のイメージが残存する団子坂は、彼の想像力を刺激する格好の舞台だったのかもしれない。 |
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「文豪が歩いた菊人形ゆかりの坂」では谷中にある「乱歩゜」という喫茶店が紹介されています。一度は行かなきゃな、と思います。 | |
▼web KADOKAWA:東京文芸散歩 |