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2009年5月7日(木)

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毎日jp
5月1日 毎日新聞社
探偵小説は、なぜよく読まれるんですか?
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探偵小説は、なぜよく読まれるんですか?

 Q 探偵小説(たんていしょうせつ)は、なぜよく読(よ)まれるんですか?=千葉県(ちばけん)、A・Tさん(小(しょう)5)

 A 推理楽(すいりたの)しく、人物(じんぶつ)も魅力的(みりょくてき)<答(こた)える人(ひと):玉木(たまき)研二(けんじ)(毎日新聞専門編集委員(まいにちしんぶんせんもんへんしゅういいん))>

 小説(しょうせつ)やテレビの主人公(しゅじんこう)になるような名探偵(めいたんてい)は、現実(げんじつ)の社会(しゃかい)にはいません。探偵業(たんていぎょう)はありますが、大事件(だいじけん)を捜査(そうさ)したり、謎解(なぞと)きをして犯人(はんにん)に「まいりました」と言(い)わせることはありません。

 でも、なぜ私(わたし)たちは、物語(ものがたり)の名探偵(めいたんてい)たちに強(つよ)くひかれるのでしょう。一(ひと)つは「頭(あたま)の体操(たいそう)」。もう一(ひと)つはさまざまなタイプの探偵(たんてい)や犯人(はんにん)が見(み)せる「人間(にんげん)の面白(おもしろ)さ」にでしょう。探偵(たんてい)の川(かわ)は、無数(むすう)に枝分(えだわ)かれしていますが、水源(すいげん)は19世紀(せいき)、アメリカのエドガー・アラン・ポー作(さく)の「モルグ街(がい)の殺人(さつじん)」に登場(とうじょう)する、オーギュスト・デュパンといわれます。

 一見(いっけん)どこにも逃(に)げ場(ば)がない「密室(みっしつ)」で殺(ころ)された母(はは)と娘(むすめ)。警察(けいさつ)も解決(かいけつ)できないこの事件(じけん)で、彼(かれ)は小(ちい)さな事実(じじつ)を丁寧(ていねい)に観察(かんさつ)し、それをもとに筋道(すじみち)を立(た)てて、何(なに)が起(お)きたかを頭(あたま)の中(なか)に再現(さいげん)します。読者(どくしゃ)はスポーツを楽(たの)しむように、探偵(たんてい)とともに推理(すいり)を働(はたら)かせるのです。

 ポーと、彼(かれ)からやや遅(おく)れてイギリスで登場(とうじょう)したコナン・ドイル(ご存(ぞん)じ名探偵(めいたんてい)シャーロック・ホームズ生(う)みの親(おや)!)が、世界(せかい)の作家(さっか)に大(おお)きな影響(えいきょう)を与(あた)えました。たとえば、明智小五郎(あけちこごろう)や怪人(かいじん)二十面相(めんそう)を生(う)んだ江戸川乱歩(えとがわらんぽ)の筆名(ひつめい)は、ポーからとったもの。江戸川(えどがわ)コナン君(くん)の名(な)もすごいですね。

 作者(さくしゃ)が与(あた)える性格(せいかく)やクセがそれぞれ違(ちが)います。そこがまた大(おお)きな魅力(みりょく)です。ホームズのような洗練(せんれん)され、スマートなタイプ。もじゃもじゃ頭(あたま)からふけをまき散(ち)らし、一見不器用(いっけんぶきよう)に、しかし鋭(するど)く観察(かんさつ)の目(め)を配(くば)る金田一耕助(きんだいちこうすけ)。素知(そし)らぬ顔(かお)をして犯罪者(はんざいしゃ)の心(こころ)の奥(おく)の動(うご)きを見抜(みぬ)くポアロ……。

 そして、頑丈(がんじょう)でクールな「ハードボイルド」フィリップ・マーロウ。<強(つよ)くなくては生(い)きていけない。優(やさ)しくないなら、生(い)きる価値(かち)がない>。いやあ、しびれる。名(めい)セリフを持(も)つことも名探偵(めいたんてい)の条件(じょうけん)かもしれません。

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毎日小学生新聞 2009年5月1日

 
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