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2009年5月26日(火)

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第55回江戸川乱歩賞を受賞した遠藤武文さん(43) 海老沢類
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第55回江戸川乱歩賞を受賞した遠藤武文さん(43) (1/2ページ)

2009.5.24 09:35

第55回江戸川乱歩賞を受賞した遠藤武文さん(43)

 ■ドラマ「点と線」に触発され

 「いきなり書いてこんな大きな賞をいただくなんて想像していなかったこと。何もストックがないからこれから大変だな、と」。セミプロ級の応募も多く、苦節〇年…なんて当たり前。そんな公募ミステリー賞の最高峰といわれる江戸川乱歩賞(日本推理作家協会主催)を初めて書いた小説で射止めたが、気負いはない。言葉を選びながら、控えめに喜びを表現する。

 受賞作「三十九条の過失」は、千葉県内の交通刑務所で起こった殺人事件に端を発する本格ミステリー。巧みなトリックと登場人物たちの人間模様が絡み合い、二転三転のストーリーが展開される。

 現役の損害保険会社社員として交通事故の悲惨さを日々実感している。それだけに、作品に出てくる人身事故の示談をめぐる場面は「迫真の描写力で読ませる」(選考委員の大沢在昌さん)と絶賛された。

第55回江戸川乱歩賞を受賞した遠藤武文さん(43) (2/2ページ)

 「普通に生活していれば法に裁かれることのない人が自らの過失で交通刑務所に入ってしまう。加害者にも悲劇はあるけれど、交通事故自体は絶対に許されるものではない。そんな被害者と加害者のぶつかり合いにも触れたかった」

 長野県生まれ。中学時代からコナン・ドイルやエラリー・クイーンなどの推理小説を読みあさり、創作への夢を膨らませた。早大卒業後は地元に帰り、広告会社や出版社に勤務。「小説に比べて枚数も少ないし、会話だけでいいから…」と、10年ほど前からシナリオを書き始めたが、なかなか芽は出なかった。

 転機は一昨年末に、松本清張原作「点と線」のテレビドラマを見たこと。「大がかりな仕掛けを使わずに人間模様を描く社会派の手法」に触発されて長編推理小説の執筆を決意。1年がかりで受賞作を書き上げた。

 「一番好きなのはシャーロック・ホームズ(シリーズ)。今の時代には合わないかもしれないけれど、いつかは名探偵の出る小説を書きたいですね」(海老沢類)

 
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