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【サブカルちゃんねる】肉体を駆使 迫真のアクション 佐藤嗣麻子監督「K-20 怪人二十面相・伝」DVD 谷口隆一
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【サブカルちゃんねる】肉体を駆使 迫真のアクション 佐藤嗣麻子監督「K−20 怪人二十面相・伝」DVD (1/5ページ)

2009.6.25 18:57

【サブカルちゃんねる】佐藤嗣麻子監督(谷口隆一撮影)

 血みどろのホラー映画を撮り、笑いにあふれたテレビドラマを撮り、大軍勢を相手に武者が暴れるCGムービーも演出して、小説も書く。マルチな才能を発揮し続ける佐藤嗣麻子(しまこ)さん(45)が監督し、6月24日にDVDとブルーレイディスクが発売となる映画「K−20 怪人二十面相・伝」は、子供から大人まで楽しめるエンターテインメント大作。肉体を駆使してのアクションと、どんでん返しが連続するストーリーが、見る人を驚きの世界へと引きずり込む。

 男の子たちの多くが一度は手にしたことがある物語が、江戸川乱歩(1894〜1965)の「少年探偵シリーズ」だ。名探偵の明智小五郎(あけち・こごろう)と助手の小林少年が、変幻自在の盗賊・怪人二十面相を相手に戦う物語は、正義にあこがれる子供たちを引きつけ大ベストセラーになって、今も刊行され続けている。

 このシリーズを「子供のころに読んでいた」という佐藤監督。加えて1975年にテレビ放送された子供向けの特撮ドラマ「少年探偵団(BD7)」を見て、「マントをひるがえし、縄ばしごにつかまって『わはははは』と笑いながら空に消えていく怪人二十面相像」に関心を持つようになった。

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■大逆転のドラマ

 稲垣吾郎さんが明智小五郎を演じたドラマを2本、前に撮ってはいたが、「プロデューサーから断らないでと念押しされた上で聞かされた」企画が怪人二十面相の物語だと知り、監督を引き受けた。

 原作として差し出されたのは、怪人二十面相とは何者なのかを、劇作家の北村想(そう)さんが想像して描いた「怪人二十面相・伝」。前後編で2世代にまたがる話を、佐藤監督は金城武(かねしろ・たけし)さん演じる遠藤平吉という青年が、逆境から才覚と努力ではい上がっていく大逆転のドラマへと仕立て上げた。

 驚かされるのがアクションシーン。街中のあらゆる障害物を、肉体だけで乗り越え進んでいくパルクールと呼ばれるスポーツを「ぜひ取り入れたかった」。怪人二十面相だと疑われ、追われるようになった平吉が、真犯人に近づくためにトレーニングを重ねるシーンで、雑踏を自在に走り回るパルクールのアクションを堪能できる。

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 映画では近年、アクションシーンにCGが多用され、一騎当千の戦いぶりも、実写のようなリアルさで映像化されている。しかし「ゲームのCGをやって、どんなアクションでも作れてしまうことに、少し飽きてしまった」佐藤さん。群衆によるアクションシーンがある過去の名画も見直し、「生身の人間が演じるアクションの迫力を出したい」と思うようになり、「K−20」で実現させた。

 ■どこでもいいから賞を

 男の世界といわれた映画作りの現場で、活躍する女性監督も増えてきた。ただしアート系が中心で、300館規模のエンターテインメント作品を撮る女性監督は他にいない。

 「なりづらさはある」と経験から話す佐藤監督だが、「作品を発表し、海外でもどこでもいいから賞をとれば監督になれる」とも。敬愛する漫画家、萩尾望都(はぎお・もと)さんの「半神」を卒業制作に撮り、注目を集めた経験をもとに後輩を励ます。

 予定では、ラブストーリーを1本撮り、「K−20」の続編も実現すれば手がけたい意向。「萩尾さんの『銀の三角』を海外で撮ってみたい」とも。マルチな才能によって紡がれる世界は、今後も果てしなく広がっていく。

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 《1940年「幻の東京五輪」から着想》

 企画集団の指南役が執筆した「幻の1940年計画」(アスペクト刊)によれば、1940年の日本で「東京オリンピック」と「万国博覧会」が開催される計画があったという。

 太平洋戦争を戦わなかった1949年の日本が舞台の「K−20」には、1958年に完成した東京タワーのような電波塔が登場する。「40年にオリンピックが開かれていれば、テレビ中継も行われて東京タワーも建てられていたはず」。歴史を調べて想像をめぐらせた成果が「K−20」のにはあふれている。

 「華族制度は崩壊しておらず、身分制度も残っている」から、貧しさに苦しむ人々を救おうと、平吉ががんばる物語が成り立つ。「英国で見た貴族の子女は開明的だった」。貧民街の子供を支援し、1人載りのヘリコプターを操って平吉を助ける松たか子さん演じるお嬢様も絵空事ではない。

 「K−20」から歴史の“もしも”を感じ取り、この先どうなるのかを想像してみるのも楽しそうだ。(谷口隆一/SANKEI EXPRESS)

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 ■さとう・しまこ 1964年生まれ、87年ロンドン・インターナショナル・フィルム・スクール留学、92年「ヴァージニア」で東京ファンタスティック映画祭「アボリアッツ賞」受賞、映画「エコエコアザラク」監督、ゲーム「鬼武者」オープニングムービー監督。多数のドラマの監督や脚本を手がける。岩手県出身。

【サブカルちゃんねる】怪人二十面相に仕立て上げられた青年が真犯人を捕らえようと立ち上がる物語が「K−20 怪人二十面相・伝」だ  (C)2008「K−20」製作委員会

【サブカルちゃんねる】「K−20」公開にあわせて、昔のままの表紙絵でポプラ社の「少年探偵シリーズ」が復刊されて子どもの頃に読んでいたファンを喜ばせた

【サブカルちゃんねる】「K−20 怪人二十面相・伝」(発売日:6月24日、発売元・販売元:バップ、価格:DVD豪華版6090円、DVD通常版3990円、Blu-ray5040円)

【サブカルちゃんねる】指南役著「幻の1940年計画」で紹介された1940年の東京オリンピックが実現していたら「K−20」のような日本が現れていたかもしれない

 
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