RAMPO Entry 2009
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2009年11月1日(日)

書籍
文豪てのひら怪談 東雅夫
8月5日第一刷 ポプラ社 ポプラ文庫
A6判 カバー 231ページ 本体560円
編:東雅夫
空襲のあと(抄) 色川武大
小説 p30−31
出典:怪しい来客簿 角川文庫
たたり 星新一
エッセイ p36
出典:気まぐれ星のメモ 角川文庫
こわいもの(抄) 江戸川乱歩
作品収録 p64−65
出典:火星の運河 角川ホラー文庫
初出:読切小説集臨時増刊号《捕物小説祭り》 昭和28年4月
おわりに 東雅夫
解説 p217−223


 
おわりに

東雅夫  

 にもかかわらず、結果的に本書は、史上最古の怪談集のひとつである『捜神記』所載の「琵琶鬼」から、これぞ史上最短の怪談といっても過言ではない平山夢明の「出会す」まで、東洋怪談文芸の歴史をはるばると通覧する一方で、若き日の川端康成や稲垣足穂に始まり、星新一によって一躍脚光を浴び、阿刀田高や都筑道夫、村上春樹や川上弘美らへ及ぶ掌篇/ショーショートの煌びやかな系譜を展望し、さらには一代の名僧・明恵上人に発して、夏目漱石、江戸川乱歩、中勘助、島尾敏雄、横尾忠則、吉本ばなな等々、まことに多彩な顔ぶれによる怪しい夢文学の精華をも堪能する──覗きこむ角度次第で千変万化する文学的カレイドスコープとでも称すべき一巻となりえているように思う。

 
 ポプラ社:([ひ]1−1)文豪てのひら怪談