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9月26日 朝日新聞社
明智と人間豹の対決「京乱噂鉤爪」 乱歩歌舞伎、視覚的に 米原範彦
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明智と人間豹の対決「京乱噂鉤爪」 乱歩歌舞伎、視覚的に

2009年9月26日

 江戸川乱歩の怪奇趣味に満ちた小説「人間豹(ひょう)」に着想を得た歌舞伎「京乱噂鉤爪(きょうをみだすうわさのかぎづめ)」が、10月4日から東京・三宅坂の国立劇場で上演される。昨年の1作目「江戸宵闇(えどのやみ)妖鉤爪(あやしのかぎづめ)」に続く作品で、「人間豹の最期」を副題にした完結編だ。

 原案は市川染五郎、脚本は岩豪友樹子、演出は九代琴松(松本幸四郎)。原作は名探偵・明智小五郎と、殺人鬼として恐れられる半人半獣の人間豹こと恩田乱学の対決を描く。

 国立劇場によると、この筋に沿った1作目は好評だった。染五郎はさらに想像を広げ、続編の企画を練った。2作目も時代を昭和初期から江戸末期に移したが、舞台は江戸から京都に変えた。岩豪は乱歩の他の作品の表現も織り込んだ。

 人間豹(染五郎)の出現で京都に混乱が起き、背後には陰陽師(おんみょうじ)(中村梅玉)の姿も隠見される。明智(幸四郎)が再び挑み、ついに人間豹・恩田は死ぬ。

 「演劇的に立体化された恩田について、落とし前をつけようと思った」と染五郎。鏡や炎の演出、宙乗りなど視覚的工夫もふんだんに盛り込むという。

 岩豪は「1作目はやんちゃな人間豹だったが、今回は『死なないでほしい』と同情を集める人間豹を描きたい」と言う。「大衆の中には、哀愁を帯びた、はかないヒーローへのあこがれがある。人間豹もこのヒーローに通じる」と幸四郎。梅玉は「陰陽師は乱歩世界に欠かせないような、あやしい雰囲気を持った存在。精いっぱい憎たらしく演じたい」。

 10月27日まで。出演はほかに中村翫雀、市川高麗蔵、中村松江、松本錦吾、中村歌江ら。1500〜1万2千円。電話0570・07・9900(劇場)。(米原範彦)

 
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