RAMPO Entry 2009
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2009年12月31日(木)

書籍
日本幻想作家事典 東雅夫、石堂藍
10月15日初版第一刷 国書刊行会
A5判 カバー 1048ページ 本体7600円
編:東雅夫、石堂藍
旧版:別冊幻想文学6《日本幻想作家名鑑》 幻想文学出版局 1991年9月1日
江戸川乱歩
辞書項目 p111−113

江戸川乱歩

 乱歩には幻想文学の観点から逸することのできないエッセー、評論も多い。すでに第一評論集『鬼の言葉』(三六・春秋社)の「マッケンの事」「群集の中のロビンソン・クルーソー」で、いちはやくアーサー・マッケンに注目し、「日本の探偵小説」では作家別紹介に〈怪奇派〉や〈幻想派〉の項を立て分類解説を試みている。随筆集『幻影の城主』(四七・かもめ書房)は、〈私自身の性格解剖、ある異常心理への関心を示す諸作及び怪奇幻想の随筆〉を集めたもので、なかでも「人形」「残虐への郷愁」「郷愁としてのグロテスク」「レンズ嗜好症」などは乱歩の幻想作品の得がたい自註自解ともなっている。「もくず塚」をはじめとする同性愛関連のエッセーも興味深い。戦後の『幻影城』(五一・岩谷書店)収録の「怪談入門」は、英米怪奇小説に関する初の系統的紹介の試みであり、テーマ別に細かい分類を実践しているところがいかにも乱歩らしいが、その先駆的意義ははかりしれないものがある。

 
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