RAMPO Entry 2009
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2009年11月16日(月)

書籍
よくわかる「世界の怪人」事典 造事務所
10月30日第一版第一刷 廣済堂あかつき 廣済堂文庫
A6判 カバー 266ページ 本体648円
監修:一条真也 編著:造事務所
戦前の帝都を駆けぬけた怪盗紳士 怪人二十面相
LEGEND〈4〉 架空の怪人 >
p196−199

戦前の帝都を駆けぬけた怪盗紳士 怪人二十面相

 第一作では、二十面相は美術収集家の古画コレクションや、国立博物館に陳列されている美術品を、一夜にしてゴッソリ盗んでみせた。これらは結局、宿敵たる名探偵・明智小五郎に奪還されてしまったが、少なくとも一度は、みごとにこの大犯罪を成功させたのだ。その手腕は、十分驚嘆にあたいしよう。
 二作めの『少年探偵団』でも、こうした大物ぶりは健在。前作のラストで逮捕されたと思われた二十面相はじつは替え玉で、本物はまんまと逃走していたことが判明し、本物はふたたび、大がかりな犯罪にいどむことになる。
 だが、五作めの『青銅の魔人』あたりから、その犯行スタイルは変貌する。いつしか二十面相は、ロボットや宇宙人、透明人間など、あからさまにナンセンスな存在に化けるようになり、ただ世間を騒がせることを好む、愉快犯へとなりさがるのだ。ときになにも盗まないことすらあった。毎回たちまち明智に正体を見抜かれ、やすやすと裏をかかれて逮捕されるなど、能力的な弱体化もいちじるしい。

 
 廣済堂あかつき:よくわかる「世界の怪人」事典